OEKのCD

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2012/01/14

本日は新田ユリさん指揮金沢大学フィルの定期演奏会を聞いてきました。ブラームスの交響曲第1番は、お見事!応援のしがいのある演奏でした。カレリア組曲も期待どおり。やはり良い曲です。

毎年、センター試験1日目の夜は、金大フィルの定期演奏会です。今年は、昨年に続き新田ユリさん指揮でした。毎年のように行っていたつもりなのですが、昨年は行けませんでしたので、2年ぶりということになります。

今年のメインプログラムは、ブラームスの交響曲第1番でした。昨年の定期演奏会で取り上げた、チャイコフスキーの交響曲第5番と並んで、アマチュアオーケストラが取り上げる曲の「定番」と行っても良い作品です。昨年、金沢では、ダニエル・ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラで聞いた曲ですが、今回の金大フィルの演奏も素晴らしい演奏でした。学生オーケストラの良さがしっかり発揮された、聞きごたえのある演奏でした。個人的な感動の度合からすると、ハーディング指揮MCOにも決して劣らない演奏でした。

第1楽章の最初の部分が、予想外に速いテンポだったのには驚きましたが、その推進力が主部では堂々とした力感のある音楽になり、曲全体を一貫していました。新田ユリさんは、若いエネルギーを発散させるだけではななく、非常に安定感のある音楽を聞かせてくれました。安心感と熱さがとてもバランス良く共存していたのが素晴らしいと感じました。

それと、何より各楽章ともソロが素晴らしいと思いました。この曲には、オーボエ、ホルン、クラリネット、フルート...とそれぞれに聞かせどころがあります。いずれもしっかりと聞かせてくれました。特にオーボエが素晴らしかったと思います。第2楽章後半のコンサートマスターによる透き通るようなソロも良かったし、第4楽章の有名な主題の弦楽合奏も感動を秘めた美しさがありました。

この曲の場合、聞きどころが多く、それぞれのポイント、ポイントで応援しながら聞いてしまいます。今回の演奏は、それらをしっかりとクリアしており、「良い演奏を聞かせてくれてありがとう。」という感じの演奏でした。

1曲目の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲は、テンポは堂々としていたものの、どこか練習曲っぽい感じでしたが、2曲目のシベリウスのカレリア組曲は、期待どおりの演奏でした。指揮の新田さんは北欧音楽のスペシャリストということで、最初の弦楽合奏のザワザワとした音から1曲目と空気が違っていました。

最初の「間奏曲」は、タンバリンの後打ちのリズムを刻んでいるのが昔から好きで、聞いているうちに、ちょっとポップスっぽく感じてしまいます。「行進曲風に」は、さらに有名な曲ですが、こちらの方も、「いかにもシベリウス」という感じの「トランペットの合いの手」が好きだったりします。行進曲だけれども、聞いているとどこかせつなくなる感じも大好きです。第2曲「バラード」に出てくるコールアングレの長いソロもしっかり聞かせてくれました。こちらもまた、うブラームスに劣らない、大満足の演奏でした。

アンコールでは、シベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」が演奏されました。新田さんからの最高のプレゼントという感じの素晴らしい弦楽合奏を聞かせてくれました。

金大フィルを中心とした石川県内の学生オーケストラとOEKは2月末に合同でブルックナーの交響曲第5番という大曲に挑みますが、それへの期待が一層高まった、演奏会でした。

2012/01/08

明けましておめでとうございます。OEKニューイヤーコンサート2012は山田和樹さん指揮による大きな流れのある「英雄」とモナ=飛鳥・さんのピアノによるグリーグ。恒例OEKどら焼き付きでした。#oekjp

今年最初のOEKの定期公演は、山田和樹さん指揮のニューイヤーコンサートでした。ステージ上には花が飾られ、女性職員の皆さんが色とりどりの着物を着ていらっしゃるのは例年どおりで、会場全体が華やかな空気に包まれていました。お客さんもとてもよく入っていました。

プログラムは、シュトラウス・ファミリーを中心としたウィーンの音楽、というパターンではなく、ベートーヴェンの「英雄」とグリーグのピアノ協奏曲を中心に、名曲じっくりと聴かせてくれるオーソドックスな構成でした。

この日の演奏では、やはり後半に演奏された、「英雄」が聴きごたえがありました。山田さん指揮OEKのベートーヴェンといえば、数年前の「オーケストラの日」に聞いた第7番での熱い演奏を思い出すのですが、その時の、「若武者」といった感じの演奏に比べると、一段進化しているように感じました。

第1楽章の最初から、非常に柔らかな雰囲気で始まりました。若々しく推進力のある演奏を予想していたので、ちょっと意外だったのですが、アビゲイル・ヤングさんのリードするOEKの作る自発的な音楽をうまくコントロールするような指揮ぶりで、曲全体の構成を踏まえたようなバランスの良さがありました。「英雄」の第1楽章独特の変拍子風のアクセントなど、要所要所を締めており、曲が進むにつれてそのスケール感がじわじわと高まってくるようでした。

ちなみに1楽章のコーダに出てくる、トランペットの部分は、メロディが途中で、フッと消えてしまう形になっていました。一瞬「アレッ」という感じになりましたが、非常に引き締まったコーダでした。

第2楽章も遅めのテンポでじっくりと演奏されていました。各楽器の息の長い歌が印象的で、ここでもスケールの大きさを感じました。朗らかさのあるホルンが活躍する第3楽章に続く、第4楽章では精緻な音の絡み合いが聴きものでした。終結部は、キレの良い集中度の高い音の連続で、充実感を残して、全曲を締めてくれました。OEKをしっかりコントロールした、見事な「英雄」だったと思います。

前半に演奏されたグリーグのピアノ協奏曲では、モナ=飛鳥・オットさんの伸びやかなピアノが印象的でした。冒頭部から強さと同時に透明感のある響きを楽しませてくれました。第1楽章の途中、一瞬、ヒヤリとする場面があったり、もう少し完成度の高さが欲しいところもありましたが、曲の持つ初々しい雰囲気にはよく合っていました。

山田さん指揮OEKの演奏も、第2楽章での「北国ならではの暖かさ」といったムードをはじめ、モナさんにぴったりと付けていました。

# 3年前はお姉さんのアリスさんがニューイヤー・コンサートに登場しましたが、遠くから見た印象は「そっくり」でした。

最初に演奏された「魔笛」序曲でもそうでしたが、山田さんの作る、すっきりとしているけれども、豊かさを感じさせてくれるような音楽の自然さは、大変魅力的です。明日から始まる全国ツァーにも期待をしたいと思います。

PS. ニューイヤーコンサートの恒例となりつつある「OEKどら焼き」が今年も配られました。今から、しっかりと食べようと思います。

2012/01/07

元OEKコンポーザー・イン・レジデンス林光さん逝去。心から哀悼の意を表したいと思います。#oekjp

1999~2000年,OEKのコンポーザー・イン・レジデンスだった林光さんが逝去されました。

http://www.asahi.com/obituaries/update/0107/TKY201201060748.html

80歳ということで,今年生誕80年を迎える,岩城宏之OEK前音楽監督とは,まさに”同志”という間柄でした。

OEKが委嘱し初演した作品は「THRENUS(哀歌)」で,次のセット物CDに収録されているとのことです。
http://amzn.to/zRaXah

これ以外では,2008年に石川県立音楽堂邦楽ホールで上演された,林光さんのオペラ「あまんじゃくとうりこひめ」が印象に残っています。この時は,林先生がステージに登場し,オペラについて語られていました。林さんは,「森は生きている」など,室内楽編成で上演できるオペラをいくつか書かれています。特に邦楽ホールにぴったりだと思います。これからも石川県立音楽堂では,「林は生き続ける」のではないかと思います。

http://www.amazon.co.jp/dp/B00005F001/ref=cm_sw_r_tw_dp_pX5bpb0RS8NB6

「森は生きている」の中の曲をOEKエンジェルコーラスが歌うのを聞いたことがありますが,また聞いてみたいものです。

心からお悔やみを申し上げます。

2011/12/31

今年も一年ありがとうございました。多数の演奏会に行くことができたことに感謝したいと思います。#oekjp

2011年を振り返ると,「東日本大震災と福島第1原発事故の年」ということになります。クラシック音楽を含む芸術活動全般への影響も大きかった中,金沢ではしっかりと演奏会が行われ,多くの演奏会に足を運ぶことをできたことを感謝したいと思います。

金沢でクラシック音楽をライブで楽しむことが,しっかりと根付いて来ていることを再認識できました。OEKを中心とした金沢のクラシック音楽界は,四季折々に行われる演奏会が,「恒例行事」化しており,量的にも内容的にも,私にとっては丁度良い具合に感じられます。大体,次のような感じでしょうか。

1月 ニューイヤーコンサート
2月 OEK合唱団による声楽曲,石川県内大学オーケストラとOEKの合同公演
4月 新人登竜門コンサート
5月 ラ・フォル・ジュルネ金沢
8月 いしかわミュージックアカデミー
9月 岩城メモリアルコンサート,音楽堂関連イベント
11月 外来の有名アーティストとの共演(チッコリーニさんとか)
12月 オペラやバレエ

その他にも,もっとカンタービレシリーズがあり,いろいろと変化に富んだプログラムを楽しませてくれます。

その中で,私にとっての「主食」は,ハイドン,モーツァルト,ベートーヴェン,シューベルトあたりの交響曲です。特にベートーヴェンの音楽は「永遠の主食」だと思っています。11月末に聞いたピヒラーさん指揮OEKの「田園」は,特によかったと思います(来年のニューイヤーコンサートでの山田和樹さん指揮の「英雄」も楽しみですね。)。

それでは,みなさん,良いお年をお迎えください。

2011/12/28

石川県広報誌「ほっと石川」新春号(本日,石川県内に配布)の特集は「石川県立音楽堂開館から10周年」。井上道義OEK音楽監督,駒井邦夫邦楽監督のインタビュー記事などが掲載されていました。その後,社会生活基本調査を分析してみたら面白い傾向が...#oekjp

石川県広報誌「ほっと石川」新春号(本日,石川県内に配布)の特集は「石川県立音楽堂開館から10周年」です。井上道義OEK音楽監督,駒井邦夫邦楽監督のインタビュー記事などが掲載されています。

その中に県立音楽堂開館前後でクラシック音楽に親しむ人の割合が増加したという記事が載っていました。これは社会生活基本調査の結果に基づいたもので,平成13年と平成18年の数値を比較すると次のとおりとのことです。

過去1年間にクラシック音楽会を鑑賞したことのある人の割合
  2001(全国8位)→ 2006年(全国5位)

2001年は,石川県立音楽堂が出来た年なので,2006年の結果は,「石川県立音楽堂の効果」と言えそうです。このデータですが,2001年時点ですでに全国8位というのも結構すごいと思います。これは「オーケストラ・アンサンブル金沢の効果」と言えます。

これらの数字は,1988年のOEK設立,2001年の音楽堂の完成の2段階でクラシック音楽に親しむ県民の割合が増えたことを示していると思われます。社会生活基本調査は5年ごとに行われており,2011年にも行われています。ご存じのどおり,2008年からは,ラ・フォル・ジュルネ金沢が始まり,さらにクラシック音楽を聞く人は増えているはずですので,この割合はさらに上昇していると予想されます。早く2011年の結果を見てみたいものです。

結構,こういう統計を見るのが好きなので(変な趣味ですが),社会生活基本調査のデータそのものをダウンロードして調べてみると,さらにいろいろと面白いことが分かりました。

社会生活基本調査のサイトは次です。
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2011/index.htm

いろいろと触っているうちに,e-stat という統計のデータベースから2006年の調査のCSVデータをダウンロードできました。これをEXCELで読み込んで,いろいろと並び換えをしてみました。

「過去1年間にクラシック音楽会を鑑賞したことのある人の割合」のランキングを20位ぐらいまで調べてみると次のとおりです。なかなか面白いと思います。

1位 東京都 13.9%
2位 神奈川県 12.2
3位 長野県 12
4位 京都府 10.8
5位 石川県 10.6
6位 奈良県 10.1
7位 滋賀県 10.1
8位 兵庫県 9.9
9位 埼玉県 9.8
10位 広島県 9.7
10位 北海道 9.7
全国平均     9.3
12位 千葉県 9.2
13位 群馬県 9.1
13位 栃木県 9.1
15位 宮崎県 8.8
15位 宮城県 8.8
17位 大阪府 8.8
18位 愛知県 8.7
19位 香川県 8.5

平均が10位ぐらいなので,大半の県が平均以下の「ロングテール」ということが言えます。3位の長野県はサイトウ・キネンフェスティバルとか,いろいろな音楽祭の影響かもしれません。大阪府や愛知県はオーケストラがある割には順位が低く,むしろ奈良県,滋賀県,兵庫県...といった周辺の県の方が割合が高くなっています。また,京都,広島,北海道,群馬,宮城などオーケストラのある府県が上位に来ています。

ついでに,クラシック音楽以外の趣味・娯楽も調べてみると,「石川県らしい」ものがやはり上位になっていました。華道,茶道がなんと全国1位,邦楽・踊り,美術鑑賞が全国2位です。数値自体はそれほど高くありませんが,なるほどという感じです。美術鑑賞が全国2位というのは,もしかしたら金沢21世紀美術館の開館も関係しているかもしれませんね。

2011/12/23

OEKクリスマス・オペラ公演「ヘンゼルとグレーテル」。邦楽ホールの機能を生かした,スムーズで流れの良い公演。大人も子供も楽しめる内容でした。 #oekjp

OEKのクリスマス・オペラ公演「ヘンゼルとグレーテル」を観てきました。この公演は2日連続で行われることになっていますが,そのうち今日23日の方はファンタジー定期として行われました。

邦楽ホールでは,これまでもたびたび小編成のオペラ公演が行っており,成果を上げてきましたが,今回もまた楽しめる内容でした。オペラ公演は,純粋な定期公演に比べると,総合芸術だけあって,多面的に(?)突っ込みどころが多いのが楽しいところです。

フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」は,子供でも楽しめる,西洋のオペラでは珍しい作品です。大人が1人で見に行って「どういうものだろうか?」と観る前は思ったりしましたが,ほとんど違和感なくオペラに浸ることができました。最初の方で,「トントントン」とか出てきた時は,「おかあさんといっしょ」的世界のようで,ちょっと照れくさかったのですが,大詰めで同じ曲が出てきた時は,とても喜びに溢れて感動的に響いていました。これが,オペラですね。

スムーズな展開も良かったですね。邦楽ホールは,さすが演劇用ホールだけあって,舞台転換が大変スムーズで,ストレスなく作品を楽しむことができました。確かに子供向けの演出もありましたが,前半最後のバレエ,後半最後の児童合唱と随所にオペラらしい見せ場があり,全く退屈しませんでした。特に最後の部分は,感動的でした。ヘンゼルとグレーテルが魔女をやっつけた後,子供たちが大勢出てきて,両親と再会し,冒頭のホ
ルンの重奏と同じメロディの合唱曲を歌う辺りは,分かっていても気持ちが熱くなりました。

歌手の中では,グレーテル役の西野薫さんとヘンゼル役の直江学美さんが役柄にぴったりの歌と演技でした。大人が子供の役を演じるのは「どうかな?」と見る前は思っていたのですが,大人だからこそ演じられるのだと思います。特にしっかりもののグレーテルにぴったりの張りのある声を聞かせてくれた西野さんの声は素晴らしいと思いました。

その他の歌手では,お父さん役の星野淳さんの声量たっぷりの朗々たる歌が印象的で,「ドイツのおとうさん」というキャラクターを強く印象付けてくれました。その他,お馴染みの地元の歌手の皆さんの歌も魅力的でした。前半の最後に稲垣さんの「眠りの精」,後半の最初に安藤さんの「露の精」が出てくるのですが,オペラ全体がシンメトリカルな感じになっており,構成も見事だと思いました。

唯一の敵役の魔女は,テノールの志田さんが歌っていました。セリフがやや聞き取りにくかったのがちょっともどかしい気はしましたが(この日は,あらすじを伝える字幕があったので,大きな問題ではありませんでしたが),濃いキャラクターを見事に演じていました。

上述のとおり,エコール・ド・ハナヨ・バレエの皆さん,OEKエンジェル・コーラスの皆さんの活躍も素晴らしく,終演後は,とても良い雰囲気のカーテンコールが続きました。

今回のOEKの編成は,弦楽器が5人だけ,管楽器はホルン以外は1人だけというコンパクトな編成で,それを補強するように,ピアノが加わっていました。もともとはワーグナーの流れを引く大編成なのですが,邦楽ホールで上演する分には,「ぴったり」で,物足りなさは全くありせんでした。ピアノが入っているあたり,どこかリヒャルト・シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」を思わせるような感じもあり,オリジナリティのある,OEK版「ヘンゼルとグレーテル」となっていました。

是非,このパターンでの続編を期待したいと思います。「ヘンゼルとグレーテル」についても,時々,この時期に,再演していって欲しいと思います。

2011/12/17

OEKもっとカンタ―ビレは菅原淳さんを中心とした打楽器アンサンブル。打楽器の博物館といった多彩なプログラム&演奏。それにしても菅原さんはサンタ帽子がぴったり!#oekjp

OEK室内楽シリーズもっとカンタービレ第29回「クリスマス・パーカッション ~菅原淳&OEK~」を聞いてきました。昨日から金沢は雪まじりの天候ですが,交流ホールの中はパーカッションの響きに包まれ,湿度が幾分緩和されたように感じました。

今回出演したのは,エキストラのティンパニストとしてOEKに頻繁に参加している菅原淳さん,OEKの渡辺さん,打楽器アンサンブル SOLA~想樂~のみなさんとファゴットの柳浦さんでした。もともと打楽器は楽器の種類が多いのですが,この日は本当に沢山の楽器が登場しました。菅原さんはパーカッション・ミュージアムという打楽器アンサンブルを作っていらっしゃいますが,まさに”打楽器の博物館”的な多彩なプログラムを楽しむことができました。

打楽器の音がバチっと決まった時の迫力,ロールが心地よく続く響き,複数の楽器が重なりあったり,絡み合ったりする面白さ....じっくりと打楽器アンサンブルの面白さを堪能しました。演奏の密度の濃さや緊迫感を味わえるのも,客席とステージ(この日はステージは作っていなかったのですが)が近い交流ホールならではです。

前半は,チャベスのトッカータ(打楽器アンサンブルの定番曲とのことです)で始まった後,3人編成の曲が2曲続き,べックのティパニと打楽器アンサンブルのための協奏曲が演奏されました。この中では,菅原さんがソロ・ティンパニを担当したべックの協奏曲が特に印象的でした。打楽器だけだと単調になるかと思ったのですが,ティンパニの音と打楽器アンサンブルの音とが,文字通り協奏曲的なコントラストを作っており,オーケストラを聞いているような色彩感を感じました。

後半はファゴットの柳浦さんと菅原さんによるニ重奏の後,メインプログラムのカルメン組曲が演奏されました。打楽器によるカルメンと言えば,OEKお得意のシチェドリンによる弦楽器と打楽器による編曲版を思い出しますが,今回の菅原さん版は,このシチェドリン版をさらに打楽器アンサンブル用にアレンジしたものでした(曲数なども違います)。ところどころ,ユーモアを感じさせるような楽器を使ったり,最後を「ジプシーの踊り」の急速で華麗な雰囲気で締めるなど,エンターテインメント性たっぷりの編曲・演奏でした。

そして最後にアンコールとしてクリスマス・メドレーが演奏されました。演奏会のタイトルが「クリスマス・パーカッション」ということで,アンコールがあるのは予想していましたが,こちらの方も大変楽しめました。全員がサンタクロース用の赤い帽子をかぶって演奏していましたが,何と言っても菅原さんは「リアルなサンタクロース」でした。そして,曲の最後の方にもう一つ仕掛けがありました。これは後でご紹介しましょう。

会場は満員。しっかりと打楽器アンサンブルの楽しさ・豊かさと年末気分とをしっかり味わえた演奏会でした。

2011/12/13

石川県立音楽堂&OEK情報誌CadenzaVol.36が発行されました。2月26日OEK+石川県内大学合同でブルックナーの交響曲第5番を演奏! #oekjp

石川県立音楽堂&OEK情報誌CadenzaVol.36が発行され,郵送されてきました。2012年の新しい情報がいくつか掲載されていましたので,お知らせしましょう。

■2012年2月26日(日) 石川県学生オーケストラ&OEK合同公演

何と今年は,ブルックナーの交響曲第5番 これは必聴です。

■2012年3月31日(土) オーケストラの日2012
今年は井上道義さん指揮。何が出てくるか楽しみです。

■2012年9月
来年のイワキ・メモリアルコンサートは,岩城宏之生誕80年記念今さ音

■2012年11月
ミリヤーナ・ニコリッチによる 歌劇「カルメン」

■2012年12月
音楽堂特別編成バレエ団とともに 「白鳥の湖」

なお,6月22日のジョアン・ファレッタさん指揮,マイケル・ルードヴィッヒさんのヴァイオリンによるアメリカ音楽を中心として定期公演ですが,秋山和慶さんの指揮,戸田弥生さんのヴァイオリンにそれぞれ変更になります。秋山さんがOEKを指揮するのを観るのは初めての気がします。大いに期待したいと思います。

2011/12/09

オペラ「高野聖」(初演)を金沢歌劇座で聞いてきました。原作のイメージをきっちりと演劇的に描いていました。中鉢聡さん,川越塔子さんの充実した歌唱。黒子風合唱団も大活躍。美術も最高 #oekjp

今日の金沢は,「雪」という予報でしたが,それほど天候は崩れず,夕方から無事,池辺晋一郎さんによる新作オペラ「高野聖」の初演を観てきました。地元金沢を代表する作家・泉鏡花の名作のオペラ化ということで,いつもとは一味違った会場の雰囲気を感じましたが,全体として,非常に充実した作品にし上がっていたと思います。

実は,原作をしっかり読んだことはありませんが,オペラの最初と最後をはじめ,所々で「聞き手役」を入れるなど,オペラというよりは演劇的な構成感がありました。その分,セリフも非常に多く,オペラにしては,言葉で説明し過ぎかなと感じました。音楽の方もストーリー展開や会話をしっかり支えるような感じで,くっきりとしたメロディラインのある曲は少なめでした。プログラムには,池辺さんの「オペラは演劇的でなければならない」という言葉が書かれていましたが,確かにそういう雰囲気の作品でした。

そういったこともあり,もう少しボーっとして聞けるような部分も欲しかった気がしました。上演時間は,休憩を含めて19:00~22:00ぐらいということで,かなり疲れてしまいました(このところ,仕事が忙しく,平日の夜は特に疲れ気味ということもありますが)。

ただし,上演の水準は大変高かったと思いました。まず,セットが大変豪華でした。これまで金沢で上映されたオペラの中でいちばん豪華だった気がしました。飛騨の山奥の暗い雰囲気を重厚かつ鮮やかに感じさせてくれました。このオペラ上演のための合唱団の皆さんは,半分黒子のような感じで,豪華セットや照明と一体となって,山中で起こる,様々な「怪奇現象」を表現していました。

そして,何より主役のお2人の歌唱が充実していました。前述のとおり,メロディアスな曲は多くないのですが,その分,お2人ともほとんど出ずっぱりという感じで,大変な重労働だったのではないかと思います。中鉢さんは,自然でありながら,ドラマを感じさせる素晴らしい声の持ち主です。それが一貫しており,最後の最後まで緊張感を維持していたのが,見事でした。

川越さんの演じる「女」の方は,初登場の時間帯が遅いのですが(「トゥーランドット」ほど遅くはありませんが),その登場の仕方が,いかにもプリマドンナという感じで鮮烈でした。蛇やら蛭やらの後だったので,美しい着物姿を見るだけで,「いいなぁ」という感じになりました。「上人」の気持ちもよく分かるという感じでした。お楽しみの「見せ場」というか「濡れ場」の部分も,たっぷりと聞かせてくれました。後半の第2幕はさらに出番が多くなり,「真実の愛」を知った女を凛とした声で,しっかりと演じていました。

大勝秀也指揮OEKの演奏も生き生きとしたものでした。特にパーカッションがかなり華々しく活躍していたのが印象的でした(その他,演劇で使うような「リアルな」効果音を使っていたのも池辺さんらしいところです)。

全体的には,もう少しストーリー展開がスピーディでセリフが少なければ良かった気がしましたが(全体を回想形式にせず,「女」の歌で締めても良かった気がしました),”金沢文芸オペラ”の第1弾(勝手にシリーズ化していますが)としては,成功していたのではないかと思います。犀星と秋声には,あまりオペラ向きの作品はないかもしれませんが,今度は金沢を舞台にしたオペラなど観てみたいものです。

2011/12/03

2月の「ほくでんふれあいコンサート」は,北陸3県で辻井伸行withOEK 指揮は金聖響さん #oekjp

毎年,2月に行われている「ほくでんふれあいコンサート」ですが,今回は,「辻井伸行withOEK」です。次のとおり,北陸3県で3日連続で行われます。

.2012年2月10日(金)19:00 富山市オーバード・ホール
.2012年2月11日(土)14:00 ハーモニーホールふくい
.2012年2月12日(日)14:0  石川県立音楽堂コンサートホール

プログラムは次のとおりの「オール・モーツァルト・プログラム」です。

-歌劇「フィガロの結婚」序曲K. 492
-ピアノ協奏曲第21番ハ長調K. 467
-交響曲第41番ハ長調K. 551「ジュピター」

指揮は金聖響さんです。辻井さんのピアノだけではなく,金聖響さん指揮のモーツァルトの交響曲にも注目の演奏会です。人気アーティストの登場ということで,次のサイトから申し込んだ後,チケットを購入するという流れになります。
https://www2.rikuden.co.jp/cgi-bin/fureai/input.cgi

詳細は次をご覧ください。
http://www.rikuden.co.jp/info/fureai.html

2011/11/28

OEK定期.田園はピヒラーさんの気合いがそのまま音楽になったような熱演!高木綾子さんと吉野直子さんによる協奏曲は上質な華やかさのある工芸品のよう #oekjp

11月最後のOEKの定期公演は,おなじみギュンター・ピヒラーさん指揮による,ウィーンの古典派の音楽を中心としたプログラムでした。メインに演奏されたベートーヴェンの「田園」交響曲は,以前,やはり同じ11月にピヒラーさん指揮で聞いた記憶があるのですが(CD化されています),今回の演奏は,「田園」らしからぬ(?),熱さのある演奏で,ピヒラーさんとOEKのつながりの強さをしっかりと感じさせてくれる見事な演奏でした。

「田園」は第1楽章の標題にあるとおり,「田舎でのんびりする」というイメージのある曲ですが,第1楽章の最初から,自信たっぷりにぐっとアクセルを踏み込むような勢いのある音楽を聞かせてくれました。第2楽章も速目のテンポでしたが,暖かさや柔らかさと同時に,濃い味わいを持った演奏で,独特の迫力がありました。木管楽器も大活躍で,ウトウトする暇(?)もないような演奏でした。

第3楽章も非常に速いテンポでした。繰り返しで最初に戻る時,一瞬,フライングみたい感じになりましたが,そういった面も含め,非常にスリリングな迫力がありました。第4楽章では,トム・オケーリー(お久しぶりです)さんの迫力満点の「雷」が大活躍でした。そして締めの第5楽章ですが,ここでも熱い躍動感を感じさせる音楽を聞かせてくれました。

「田園」をプログラムの後半に持ってくるのは,静かな雰囲気のある曲ということもあり,冒険的な部分もあるのですが,この日の演奏は,本当に聞きごたえ十分で,プログラムのトリにぴったりでした。全曲を通じて,熱さが効いていたので,エンディング部分でのゆったりとした雰囲気が特に効果的でした。前回,ピヒラーさん指揮で聞いた「田園」とは,かなり違う印象を持ったのですが,こういう点が,ライブの面白さであり,同じアーティストを繰り返し聞く面白さだと思います。

前半に演奏された,ロッシーニの序曲もピヒラーさんらしい,十分の念の入った演奏でした。その後に演奏された,モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲は,意外なことに,金沢での定期公演では初登場です。ソリストの高木綾子さんと吉野直子さんは,それぞれ白と青のドレスで登場し,ステージに登場した瞬間から,華やかな気分一杯になりました。演奏の方にも曲想にぴったりの華やかさがありました。

ピヒラーさんのテンポ設定は,ここでも速目で,古典派の曲らしい,きっちり,すっきりとしたフォーマットを作っていました。その上で底光りするような上品さのある高木さんのフルート,非常に粒立ちの良い吉野さんのハープの音が,絶妙のバランスで絡み合っていました。特に吉野さんの音のキラキラとした緻密な音が素晴らしく,洗練された蒔絵などの伝統工芸品を見るような高級感を感じました。

前半と後半のバランスもとても良かったと思います。ソリスト2人の贅沢感と,ピヒラー&OEKによる緊密な迫力をしっかり堪能できた素晴らしい演奏会でした。

2011/11/23

12月のOEK関連の室内楽演奏会情報 #oekjp

OEKのメンバーは室内楽の活動も積極的に行っています。12月も次のとおり,県内各地で演奏会が行われます。入場料等は,各サイト等をご覧ください。

■金沢21世紀美術館友の会クリスマススペシャルコンサート2011 
日時=12月11日(日)13:30開場 14:00開演
木管三重奏 Trio d’anches オーケストラ・アンサンブル金沢メンバーによる
遠藤さん,柳浦さん,水谷さんの木管三重奏です。21世紀美術会友の会員は500円で聞くことができます。
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=71&d=1294

■午後の音楽散歩:歴史探訪編「1911年生まれのドイツの作曲家たち」第2回 エデュアルト・ピュッツ
日時=12月28日(水) 18:30開演
会場=石川県立音楽堂交流ホール
金澤攝さんとの共演で,知られざる作曲家の作品を発掘するシリーズです。次のとおり,21世紀美術館の方では,金澤さんの独奏によるシリーズも行われています。
料金=全席自由 一般\1000 大学生以下\500


■金澤攝ピアノ独奏『生誕200年を迎えるピアニスト=コンポーザーたち』
第2回 Felix Le Couppey  フェリックス・ル・クーペ(1811-1887)
日時=12月7日(水)開場18:30/開演19:00
料金=【1回券】 2,000円(大人)/1,000円(大学生以下※要学生証) 【全4回】 5,000円 ※全4回券のみ金沢21世紀美術館ミュージアムショップにて販売 全席自由

まだまだ知られていない作曲家は沢山いますね。


■石川県西田幾多郎記念哲学館クリスマスコンサート2011】
日時=12月13日(火) 18:30~ 
18:45~ プレコンサート(ホワイエ)
19:00~ ホールコンサート(ホール)

松井直(ヴァイオリン),上島淳子(ヴァイオリン),石黒靖典(ヴィオラ),大澤明(チェロ)

ハイドン 弦楽四重奏曲第76番ニ短調 作品76-2 「五度」
ドヴォルジャーク 弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 作品12  「アメリカ」
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第2番ト長調 作品18-2 「挨拶」
http://www.nishidatetsugakukan.org/top3.htm#23christmas

■金沢蓄音器館クリスマス特集「バロック音楽の夕べ」12月25日(日) 19:00~
ぺルゴレージ作曲「2つのヴァイオリンのための12のソナタ」より7番から12番。

大村俊介・大村一恵(ヴァイオリン)、早川寛(チェロ)、加藤純子(チェンバロ)
500円 要予約
http://www.kanazawa-museum.jp/chikuonki/kikaku/index.htm

2011/11/13

石川県合唱連盟創立50周年記念演奏会を聞いてきました。松尾葉子指揮OEK+石川県合唱連盟合同合唱団=300人による小細工のない第9。さらに中高生も加わり500人で歌われた大地讃頌では,音楽に暖かく包み込まれました。#oekjp

今日は午後から石川県立音楽堂で行われた石川県合唱連盟の創立50周年記念演奏会を聞いてきました。実は,「50周年」は昨年だったらしいのですが,2年に一度行われているビエンナーレいしかわ秋の芸術祭にあわせて,今年行われることになったとのことです。

メインで演奏されたのは,ベートーヴェンの第9でした。このところOEKは12月に第9をほとんど演奏しないのですが,「11月の第9」というのは,全国的に見ても珍しいのではないかと思います。石川県合唱連盟は,創立30周年,40周年の年にも第9を歌ってきましたが,キリの良い50周年には,特に相応しい選曲です。

今回の指揮は松尾葉子さんでした。松尾さんがOEKの指揮をするのを見るのは...もしかしたら20年ぶりぐらいかもしれません。全曲を通じて,もったいぶったところのないテンポ設定で,第1楽章などはサクサク進み過ぎる気はしましたが,躍動感のある第2楽章,滑らかに進む第3楽章と,第4楽章後半の歓喜の爆発に向けて,少しずつ盛り上がっていくような感じの演奏でした。

これだけの大人数で第9を聞くのは初めてのことでしたが,混成チームとはいえ,さすが合唱連盟に参加している団体ばかりということで,とてもよくまとまった歌声だったと思います。特に有名な「歓喜の合唱」の部分の晴れやかな声は,お祝いにぴったりでした。最後の最後の部分の明快な指揮ぶりも含め,小細工のない,気持ちの良い第9を楽しませてくれました。

ただし,ソリストの方は,お馴染みの方が多かったのですが,4人のアンサンブルのバランスがやや悪い気がしました。特に男声お2人が本調子でなかった印象を持ちました。

その後,中学校の合唱団,高校の合唱団の選抜チームが加わり,総勢500名での「大地讃頌」となりました。

前半最初で歌った後,そのまま1階席前方両サイドの客席に座っていた高校生たちは,そのまま立ちあがって,お客さんの方に向いて歌い,中学生の方はオルガンステージに入ってきて歌いましたので,ステージ前方は「人,人,人」という状態でした(お客さんと演奏者の比率はもしかしたら同じぐらいだったかも?)。

「母なる大地のふところに...」と曲が始まると,その歌詞どおり「大地のふところ」に包み込まれるような気分になりました。ゆったりとしたテンポで,ゆったりとした気分で歌われていましたので,うるさく感じる部分はなく,曲のスケール感がスーッと伝わってきました。なぜか卒業式でもよく歌われる曲ですが,その時同様に,目頭が熱くなるような演奏でした。

演奏会の最初に歌われた県内の高校の合唱部の合同チームによる歌も良かったですね。若い人の声を聞くだけで,元気が出てきます。

演奏会は全く休憩なしで一気に行われたので,少々疲れたのですが,何と言っても,大勢の人が集まった時の声の力はすごいと実感できた演奏会でした。毎年12月はオペラや合唱が出てくる公演が多いのですが,そちらの方も楽しみにしたいと思います。

2011/11/02

ラ・ロック・ダンテロンの再現!アルド・チッコリーニ&OEKチャリティ・コンサート@金沢。チッコリーニさんの明るく透き通る音,そして,さり気なく沸き上がるファンタジーの世界に終演後はスタンディング・オベーション。ピアノを聞く幸福感に満たされました #oekjp

今年の夏,フランスのラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭で,記念碑的な演奏を残したアルド・チッコリーニさんとOEKが,金沢でその再現をしてくれました。前半はOEKとの共演,後半はチッコリーニさんの独奏という変則的な構成でしたが,チッコリーニさんの個性とモーツァルトの曲の素晴らしさとが完全にマッチした,見事な演奏の連続でした。

チッコリーニさんは,今年86歳とのことです。ピアノまで歩く様子は,確かに,とってもゆっくりなのですが,演奏が始まると,その指先からは,信じられないような美しく瑞々しい音が溢れ,石川県立音楽堂は幸福感で満たされました。

前半,ドン・ジョヴァンニの序曲で始まった後,同じ調性のピアノ協奏曲第20番が演奏されました。チッコリーニさんのピアノは,短調の作品にも関わらず,音が透き通るように美しいので,どこか明るさを感じさせてくれます。それが曲の魅力をさらに高めていました。虚飾を排して,音楽だけを感じさせてくれるような第2楽章,最後に軽やかに天上の世界に登っていくような第3楽章と,この名曲の凄さを改めて感じました。この曲の第3楽章については「取ってつけたように」明るく終わると感じることもあったのですが,チッコリーニさんの演奏からは全く違和感を感じませんでした。

後半はモーツァルトのピアノ・ソナタ第13番と第11番が演奏されました。どちらの曲も,チッコリーニさんならではの自在に揺れるテンポ感で演奏されており,気持ちの良いファンタジーの世界に浸らせてくれました。遅いのか速いのか分からないようなテンポなのに,全然心が乱れているようなところはないのが,チッコリーニさんの到達した境地なのだと思います。張りつめた緊迫感や奇を衒おうという作為がないのに,個性的。そういう演奏でした。

もちろん,ちょっと危ないかな?という箇所はあったのですが,チッコリーニさんのピアノは全く動じることはありません。演奏のすべてがチッコリーニさんの魅力につながってしまうような演奏だったと思います。

アンコールは3曲も演奏されました。そのうち2曲は,ラ・ロック・ダンテロンと同じアンコール曲で,フランスの放送局が収録したビデオ映像を見た金沢の聴衆にとっては,最高のプレゼントになりました。

3曲目は,「まだこんなに力が残っていたのか!?」という感じのグラナドスの作品でした。これで会場はさらに沸き,金沢では非常に珍しいスタンディング・オベーションとなりました。4月に仙台フィルとOEKが合同演奏会を行った時以来の光景だと思います。金沢で行われたピアノ・リサイタルで見るのは,私自身初めてのことです。

ラ・ロック・ダンテロンでのルネ・マルタンさんの大絶賛については,「本当かな?」と思う部分もあったのですが,チッコリーニさんの実演に接して,「本当だ!」と確信しました。石川県立音楽堂での演奏会史に残る印象的な演奏会だったと思います。

PS. 終演後,楽屋口で数名の方と待っていたところ,中に入れて頂き,チッコリーニさんからサインを頂くことができました。後半に演奏されたピアノ・ソナタを収録した新譜CDにサインを頂いたのですが,このCDを聞くのも大変楽しみです。

2011/10/24

もっとカンタービレ第28回「OEK名誉コンサートマスター マイケル・ダウスを迎えて」 モーツァルトとベートーヴェンの「大きな室内楽」2曲の組み合わせは,このシリーズでは珍しいオーソドックスな構成。かえって新鮮に感じました。#oekjp

今晩は,OEK室内楽シリーズもっとカンタービレ第28回「OEK名誉コンサートマスター マイケル・ダウスを迎えて」を聞いてきました。このシリーズでは,比較的短めの曲が4曲ほど演奏されることが多いのですが,今回は,モーツァルトの弦楽五重奏曲ハ長調,K.515とベートーヴェンの七重奏曲の2曲だけ,というこのシリーズには珍しい,シンプルでオーソドックスな構成でした。その点がかえって新鮮でした。ただし,オーソドックスといっても,七重奏とか五重奏といった,「大き目の室内楽」を聞けるのは,このシリーズならではです。

今回は,前半・後半ともOEKの名誉コンサートマスターのマイケル・ダウスさんのヴァイオリンを中心とした室内楽でした。モーツァルトの五重奏曲の方は,交響曲でいう「ジュピター」に当たる,室内楽の名曲と言われているのですが,生で聞くのは今回が初めてです。第1楽章の冒頭から,大澤さんのチェロとダウスさんのヴァイオリンの「ステレオ効果」が面白く(生ならでは),ゆったりとした気分で楽しむことができました。5人編成ということで,丁度真ん中に紅一点のヴィオラの古宮山さんが来て,ロス・インディオス&シルヴィア(古い)とかピンキーとキラーズ(さらに古い)のようだな,とわけの分からないことを考えながら聞いてしまいましたが,この古宮山さんのヴィオラもダウスさん,大澤さんとしっかりバランスを取って,堂々と存在感をアピールしていました。

後半のベートーヴェンの七重奏曲の方は,管楽器3+弦楽器4の室内楽ということで,室内楽というよりはミニ・オーケストラという響きでした。前半は弦の音一色でしたので,この曲の最初の和音が響くと,鮮やかだなぁと気持ちが晴れやかになりました。全体で40分ほどもある大曲ですが,今回の演奏は,全体的に大変キビキビしており,まったく長さを感じませんでした(どちらかというと,前半のモーツァルトの曲の方がちょっと長いと感じてしまいました)。第1楽章の主部などでは,ダウスさんのヴァイオリンを支える,キビキビとしたリズムも快適でした。

中間部のメヌエットとか変奏曲辺りはディヴェルティメント風ですが,弛緩することなく,ここでもキビキビとした音楽を聞かせてくれました。全曲を通じて特にクラリネットやホルンの音が加わると,曲の気分が大きく広がる気がしました。 ベートーヴェンの交響曲第1番と同じ時期に作られた若さ溢れる魅力的な作品を,ダイナミックに聞かせてくれた,楽しい演奏だったと思います。

このところピアノ音楽ばかりを聞いていたので,弦楽器と管楽器による気持ちの良い音楽を聞いて,丁度良い気分転換になった気がします。10月は「ダウスさんの月」でしたが,名コンビ健在ということを実感できた演奏会でした。

«今晩は「協奏曲の夕べ」。上原彩子の「皇帝」VSブーニンのモーツァルト:23番 with 山下一史/OEK。どちらのキャラクターもしっかり発揮された,「ピアノ・フェスティバル」風演奏会でした。#oekjp

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