OEKのCD

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2018/04/14

#クリストフ・エッシェンバッハ 指揮 #トンヨン・フェスティバル・オーケストラ アジアツァー 最終日の金沢公演。スケールの大きく,新鮮さのある「新世界」 #ツィモン・バルト との共演による深すぎるガーシュイン 聞き応え十分でした

韓国のトンヨンを中心に,世界のトップアーティストが集うトンヨン国際音楽祭という音楽祭が毎年行われています。その音楽祭の中心を担うオーケストラとして結成されたのがトンヨン・フェスティバル・オーケストラです。このオーケストラのアジア・ツァーの最終日の公演が金沢の石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聴いてきました。指揮はクリストフ・エッシェンバッハでした。

このオーケストラは,2015年にもクリストフ・ポッペン指揮で金沢公演を行っているのですが,今回の注目は何と言っても,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のメンバーが大々的に参加していることです。その他,香港シンフォニエッタのメンバーも加わっています。今回のツァーでは,これらのオーケストラの出身国を巡る形で,韓国,香港,金沢で演奏会が行われました。

もう一つの注目は,現代を代表する巨匠指揮者と言ってもよい,エッシェンバッハさんがアジアの多国籍オーケストラとどういう音楽を作るのだろうか,という点です。エッシェンバッハさんは,昨年はNHK交響楽団に客演し,ブラームスの全交響曲やベートーヴェンの第九を指揮されましたが,本日演奏されたドヴォルザークの交響曲第9番「新世界から」もそれらに連なるような大変スケールの大きな演奏だったと思います。

「新世界」については,超人気の名曲過ぎて,奏者側からすると新鮮味が薄く感じられる可能性があります(OEKの場合は,室内オーケストラなので,滅多に演奏しませんが)。今回のトンヨン・フェスティバル・オーケストラの演奏は,一期一会的な音楽祭用のオーケストラということもあり,響きが大変新鮮だと思いました。エッシェンバッハさんの指揮については,かなり大仰な演奏になるのでは,と予想していたのですが,第2楽章,第3楽章については,むしろ速目のテンポで,大変前向きな感じのする演奏でした。

第1楽章の最初の序奏部から提示部に掛けては,所々で,深く思いに耽るような意味深い間のようなものがあり,「エッシェンバッハさんらしいなぁ」と思いましたが(特に第1楽章提示部の繰り返しをする瞬間,大見得を切るようにテンポを落としていたのが,特徴的でした),楽章が進むにつれて,次第にシンフォニックな充実感を持った,スケールの大きな音楽へと発展していくようでした。

第4楽章では力強さと同時に,途中,ファンタジーの世界に飛翔するような雰囲気がありました。最後の部分で大きく盛り上がった後,澄んだ音を長く伸ばし,フッと終了。この何とも言えない清潔感と儚さも素晴らしいなぁと思いました。

個性的な演奏という点では,ツィモン・バルトさんをソリストに迎えてのガーシュインのピアノ協奏曲が大変個性的でした。実演で聴くのは初めての曲でしたが,軽い音楽と思われがちなガーシュインをこれだけ濃く深く演奏し尽くしたバルトさんの力量に感服しました。気軽に楽しく楽しみたいという人には,重過ぎる演奏だったかもしれませんが,ここまで徹底すると,「もしもブラームスがジャズの影響を受けたら...」といった趣が感じられ,すごいと思いました。エッシェンバッハさんの演奏の方向性ともよく合ったピアニストだと思いました。このコンピならではのガーシュインだったと思います。

アンコールでは,スコット・ジョップリンのラグタイム音楽の中から「イージー・ウィナー」が演奏されました。あまりにも重厚なラグタイムで,最初はミスマッチかなと思ったのですが,次第にそれがユーモアとなって感じられました。

この2曲以外にも,トンヨン出身の作曲家ユン・イサンの「Bara」という,かなり前衛的な作品が最初に演奏されました。トンヨン国際音楽祭は,現代音楽も積極的に取り上げているようで,今回の演奏についても,確かにとっつきにくかったのですが,点描的な音を持つ,意味深さのようなものを感じることができました。

このオーケストラのメンバーの中には,元OEKのティンパニ奏者だった,トム・オケーリーさんが加わっていたのですが,相変わらず迫力十分の演奏で,各曲とも演奏全体を引き締めていたのも印象的でした。「新世界」の2楽章のイングリッシュ・ホルンの演奏も,OEKの水谷さんが担当するなど,要所要所でOEKメンバーがしっかりと活躍していたのが嬉しかったですね。

個人的には,3年前の時のように,金沢では滅多に聞けない,マーラーの交響曲辺りを取り上げて欲しいなという思いもあったのですが,聞き慣れた名曲を新鮮な響きとスケールの大きな表現で楽しむことができたのは良かったと思います。この音楽祭には,毎回,有名指揮者やソリストとが登場していますが,今後,さらにアジアを代表する音楽祭へと発展し,金沢公演の方も継続して欲しいと思います。

2018/04/03

#植村太郎,#鶴見彩 デュオ・リサイタル 満開の夜桜にぴったりの,充実のブラームス「雨の歌」,シュトラウス,R.ヴァイオリン・ソナタ他でした。

満開の桜の中,植村太郎さんのヴァイオリンと鶴見彩さんのピアノによるデュオ・リサイタルが,金沢市アートホールで行われたので聞いて来ました。聞きに行こうと思ったのは,リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタとブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番という大曲2曲が演奏されることです。特にリヒャルト・シュトラウスの方は,近年,人気が出ている曲ですが,金沢で演奏される機会は非常に少ないと思います。

植村太郎さんについては,実は今回初めてお名前を知ったのですが,そのしっかりとした余裕と安定感のあるヴァイオリンの音がまず素晴らしく,両曲とも,満開の桜の気分にぴったりの,聴き応え十分の演奏を聴かせてくれました。大げさな表現はなく,さりげなく演奏しているのに,しっかりと落ち着きのある音が広がり,音楽に常に余裕がありました。その中にロマン派の曲にふさわしい,熱い情感もほのかに漂っていました。

特にブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番の最終楽章での思いの熱さがあふれ出るような盛り上がりとその後に続く,名残惜しさが素晴らしいと思いました。

リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタの方も聴き応え十分の演奏でした。もっと大げさに弾いてもらっても面白いかなとも思いましたが,華麗に駆け上っていくようなパッセージやたっぷりとした歌は,ロマン派音楽の到達点のような充実感を感じました。
両曲とも,落ち着きと安定感のある鶴見さんのピアノもドイツ音楽にぴったりだと思いました。最初に演奏されたシューベルトのソナチネ第1番もシンプルな曲想ながら,植村さんと鶴見さんによるしっかりとした音で聴くと聴き応え十分でした。

アンコールでは,ロマンティックな気分に溢れたグラズノフの瞑想曲に加え,シンプルな歌と名技性の両方が楽しめるとてもキャッチーな曲(タイトルを知りたいところです)の2曲が演奏されました。

充実感たっぷりの大曲と歌と技をたっぷりと楽しませてくれるアンコールということで,ヴァイオリン・リサイタルの王道を行くような素晴らしい演奏会だったと思います。演奏会後は,少し遠回りして夜桜を眺めながら帰ったのですが,その気分にもしっかりとマッチした演奏会でした。

2018/03/31

3月31日はミミにいちばん! 石川県立音楽堂で行われた #オーケストラの日 コンサートはOEKに加え,石川県ジュニア・オーケストラ,OEKエンジェルコーラス,いしかわ子ども邦楽アンサンブルが登場した春休みオーケストラ入門企画 #ガルちゃん #ひゃくまんさんも登場 #oekjp

3月31日は「オーケストラの日」ということで,全国的に色々な演奏会が行われています。金沢では,OEKに加え,石川県ジュニア・オーケストラ,OEKエンジェルコーラス,いしかわ子ども邦楽アンサンブルが登場し,春休みオーケストラ入門といった感じの親子で気軽に楽しめる演奏会が行われました。楽都音楽祭の宣伝を兼ねて,PRキャラクターのガルちゃん,さらには石川県のキャラクター,ひゃくまんさんも登場し,会場には和やかな雰囲気がありました。

まず,いしかわ子ども邦楽アンサンブルによって,箏曲と長唄が演奏されました。箏の合奏による,ゆったりとした優雅さ,声と鳴り物が加わっての活気のある盛り上がり。滅多に邦楽器を聞くことがないのですが,たまに聞くと気分が落ち着きますね。

その後はオーケストラを中心としたステージとなりました。鈴木織衛さん指揮OEKで,おなじみの「フィガロの結婚」序曲がきっちりと演奏された後,「みんなで挑戦!オーケストラ・クイズ」コーナーになりました。この日は,オーケストラの演奏会と邦楽器を啓蒙する冊子が配布されたのですが,それに関した質問などが5問出されました。お客さんには,AとBという文字が両面に大きく印刷されたA4サイズの紙が配布されており,それを上げて回答するという手順です。オーケストラメンバーも参加していましたが,こういうのは楽しいですね。

問題の中では「アイネ・クライネ・ナハトムジークは,A 朝の音楽,B 夜の音楽」というのが,結構意外だったようですね。確かに第1楽章を聞いた感じAかもしれません。「正解はBです!」「エー(A)」というようなリアクションでした。

クイズの最後の問題が「トルコ」でしたので,その流れでモーツァルトの「後宮からの逃走」序曲が,軽快かつエキゾティックに演奏された後,OEKエンジェルコーラスが加わって,同じモーツァルトの「アレルヤ」と「パパパの二重唱」が演奏されました。青島広志さん編曲の合唱曲の抜粋で,気持ちよく楽しませてくれました。

その後,石川県ジュニア・オーケストラのメンバーとOEKの合同演奏で,モーツァルトの交響曲第40番の第1楽章が演奏されました。この前の日曜日にジュニア・オーケストラの単独で演奏されたばかりの曲でしたが,プロのオーケストラとの共演とういうのは,子供たちにとっても,とても良い経験になったと思います。

最後は,全員で「ビリーブ」が演奏されました。お客さんも含め全員で合唱しておしまいというのは,定番ですね。

アンコールでは,こちらも定番曲の「ラデツキー行進曲」が演奏されました。司会の方の説明によると,「楽都音楽祭での企画用に使うためにVRカメラで撮影させていただきます」とのことでした。指揮をするゲームアプリのようなものを作るのでしょうか?ちょっと見てみたい気がします。

春休み中の土曜日の午後ということで,お客さんは親子連れが沢山いました。開演前,ホワイエでは,楽器体験コーナーも賑わっていました。本日のお客さんの中から,未来のOEKファンが出てきて欲しいですね。

2018/03/25

石川県ジュニアオーケストラ 第24回定期演奏会。今年はOEKに挑む(?)ようにモーツァルトの交響曲第40番の全曲を立派に演奏。後半は打楽器パートが大活躍。大いに盛り上げてくれました。

「もうすぐ桜も開花かな?」という気分になるような,穏やかな快晴の日曜の午後,石川県立音楽堂コンサートホールで行われた石川県ジュニアオーケストラの第24回定期演奏会を聞いてきました。指揮はお馴染みの鈴木織衛さんでした。

昨年のこの公演は,バレエとの共演という面白い試みでしたが,今年は,前半まず,オーソドックスにクラシック音楽の交響曲が演奏されました。やはりバレエと共演すると,オーケストラ以上にダンスの方が目立ってしまうので,原点に立ち返る形にされたのだと思います。

演奏されたのは,モーツァルトの交響曲第40番の全曲でした。これは,今年の連休の楽都音楽祭のテーマに合わせた選曲という意味もあったと思いますが,考えてみると,非常にチャレンジングな選曲と言えます。OEKがいつも演奏しているような,編成がそれほど大きくない曲ということで,言葉は悪いのですが,ごまかしが聞かないと言えます。

本日の演奏も,さすがにいろいろと粗の目立つ部分もありましたが,まず音楽全体の構成がとても立派で,妥協したところがなかったのが素晴らしいと思いました。ベースとなる弦楽器の音にしっかりとした音の芯があり,浮ついた感じになっていないのが良いと思いました。非常に明確に演奏された,立派な40番だったと思いました。

楽器編成的には木管楽器の人数がとても多いなど,少々変わったバランスでしたが,結果として,いつも聞くのと違ったフレーズがくっきりと浮き上がってくるような面白い効果が出ていました。交響曲は,特定のモチーフを地道に積み上げて大きな音楽を作るのですが,その辺の緊密感もしっかり出ていたと思いました。

前半が「トークなしのシリアスな音楽」だったので,後半は「トーク入りの楽しい音楽」の連続となりました。最初の2曲は打楽器奏者が主役として活躍する曲でした。

「鍛冶屋のポルカ」といえば,今年のOEKのニューイヤーコンサートでの楽しいパフォーマンスを思い出します。今回もまた,楽しいパフォーマンスを見せてくれました。金床の音も美しかったですね,

故・榊原栄さん作曲の「キッチン・コンチェルト」は,OEKとジュニア・オーケストラがいちばん頻繁に演奏いる曲です。台所にあるフライパンなどの道具を打楽器として使う大変楽しい作品です。ルロイ・アンンダーソンの曲のような軽快さのある伴奏に乗って,打楽器奏者が楽しく色々な「打楽器」を叩くということで,ジュニアのメンバーには,とても難しい曲だと思うのですが,「何年もこの曲を演奏している」と思わせるようなリラックスした気分まで出ていて素晴らしいと思いました。

さらに途中に出てくるカデンツァの部分では,打楽器パート総出演(7人ぐらいいたと思います)で,大変楽しいアドリブを聞かせてくれました。吹奏楽曲の定番の「宝島」の途中に打楽器のアドリブが出てくることがありますが,そういった楽しい気分満載でした。演奏後の鈴木さんのトークによると,ジュニアのメンバーにすべて任せたということでした。こういう自発性のある演奏は,これからも聞いてみたいなぁと思いました。

その後,カバレフスキーの組曲「道化師」の全曲が演奏されました。ギャロップだけが有名な曲なので,全曲が演奏されるのは比較的珍しいかもしれません。短いながらも色々な性格を持った曲が続き,多彩なドラマが次々と展開していくような演奏を生き生きと楽しませてくれました。

最後はエルガーの威風堂々第1番を文字通り,堂々と演奏してくれました。改めて品格の高さのある曲だなと感じさせてくれるような演奏でした。

アンコールでは,オーケストラ演奏用に編曲された「花が咲く」がとても美しく演奏されました。各パートに見せ場があるとてもよくできたアレンジでした。最後,オーケストラが一体となってワーッと自然に盛り上がる感じが感動的でした。

というわけで,今年の定期演奏会は,非常にジュニア・オーケストラらしい内容だったと思います。やはり交響曲を演奏するというのは,ジュニアにとっても大きな目標になるのではと改めて思いました。その点で,ジュニア・オーケストラのメンバーにとって「財産」になるような演奏会だったと思います。

2018/03/24

OEK2018-2019定期公演ラインナップ発表。#川瀬賢太郎,#ユベール・スダーン も本格始動。#鈴木雅明,#ムストネン,#ブラッハー など初登場指揮者も続々登場 #oekjo

OEKの2018-2019定期公演ラインナップが郵送されてきましたので,概要をご紹介しましょう。

■定期公演フィルハーモニーシリーズ
9月20日(木)19:00- 川瀬賢太郎指揮,小山実稚恵(ピアノ)
パーマネント・ゲスト・コンダクターになる川瀬賢太郎さん指揮によるベートーヴェンの交響曲第5番を中心としたストレートなプログラムで開幕

11月1日(木)19:00- 鈴木雅明指揮,RIAS室内合唱団 他
日本の古楽界を代表する指揮者,鈴木雅明さんがOEKに初登場。モーツァルトの40番に加え,メンデルスゾーンの声楽曲も演奏

11月29日(木)19:00- オリ・ムストネン指揮・ピアノ
OEK恒例の弾き振りシリーズ。今年度はオリ・ムストネンさんが登場。シベリウスなど北欧の音楽中心

1月12日(土)14:00- フォルクハルト・シュトイデ(リーダー・ヴァイオリン)
ニューイヤーコンサートは2018年に続いて,シュトイデさんの弾き振りによるシュトラウス・ファミリーの音楽

2月16日(土)14:00- 川瀬賢太郎指揮,藤村実穂子(メゾ・ソプラノ),半田美和子(ソプラノ)
日本を代表するメゾ・ソプラノ,藤村実穂子さんによるヴェーゼンドンク歌曲集。後半はメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」

3月27日(水)19:00- ユベール・スダーン指揮,リーズ・ドゥ・ラ・サール(ピアノ)
プリンシパル・ゲストコンダクターとなるユベール・スダーンさんによるベート-ヴェン
「英雄」。リーズ・ドゥ・ラ・サールさんは久しぶりの登場

6月20日(木)19:00- コリヤ・ブラッハ-(リーダー・ヴァイオリン)
元ベルリン・フィルのコンサートマスター,ブラッハーさんがOEK初登場。ブラームスのヴァイオリン協奏曲の弾き振りというのはかなり珍しいかも。

7月18日(木)19:00- パトリック・ハーン指揮,辻井伸行(ピアノ)
シリーズの最後は人気ピアニストの辻井さんが登場。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番を演奏

■マイスター・シリーズ
10月13日(土) 14:00-ユベール・スダーン指揮,堀米ゆず子(ヴァイオリン)
スダーンさんとOEKの共演は昨年のガル祭以来。ハイドンの「太鼓連打」を演奏。堀米さんとOEKの共演は...岩城さん時代以来ですね。

1月26日(土)14:00- ポール・エマニュエル・トーマス指揮,松田華音(ピアノ)
若手ピアニスト,松田華音さんとOEK初共演は,ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調

3月9日(土)14:00- エンリコ・オノフリ指揮・ヴァイオリン
すっかりおなじみとなったオノフリさん指揮OEK。今回はハイドンのヴァイオリ協奏曲,モーツァルトの25番など。

6月8日(土)14:00- ピエール・ドゥモソー指揮
詳細は発表されていませんが,ルーセルのバレエ音楽「くもの饗宴」が演奏されます

7月6日(土)14:00- マルク・ミンコフスキ指揮
そしてマイスターの最後にミンコフスキさん登場。曲目は調整中とのことです。

■ファンタスティック・オーケストラ・コンサート
12月14日(金)19:00- 青島広志作曲 オペラ「黒蜥蜴」 沖澤のどか指揮
江戸川乱歩原作,三島由紀夫 による怪しくも魅力的な作品。関連の企画もあるようです。

2月3日(日)14:00- The殺陣 松木史雄(振付・演出),角田鋼亮指揮
タイトルだけではどういう内容か分からないのですが...音楽に合わせてチャンバラということになるのでしょうか?剣の舞ですね。

4月13日(土)14:00- 池辺晋一郎が選ぶクラシック・ベスト100 
今回は作曲家でくくられていないようですね。池辺さんの案内+松井慶太さん指揮です。

6月30日(日)14:00- OEKポップス さだまさし
渡辺俊幸さん指揮OEKと さだまさしさんが共演

以下,画像でも紹介します。

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2018/03/17

音楽監督としての最後の登場となる #井上道義 指揮OEK定期公演は,#反田恭平 さんとの共演によるプーランク+ハイドンの朝・昼・晩。充実感とサービス精神に溢れた演奏。最後にファンへのプレゼントのような素敵なアンコール。ありがとうございました #oekjp

井上道義さんのOEKの音楽監督としての最後の定期公演を石川県立音楽堂で聞いてきました。人気若手ピアニストの反田恭平さんも出演するとあって,非常に沢山のお客さんが入っていました。ホール全体にはどこか華やいだ雰囲気があり,節目となる記念すべき演奏会の内容も,よく晴れた天候と同様,大変晴れ晴れとしたものでした。

井上さんと反田さんが共演した曲は,プーランクのオーバードという作品でした。終演後のサイン会で,反田さんにお尋ねしたところ,井上さんからの提案で選曲されたとのことで,まさにOEKの編成にぴったり,かつ,反田さんの雰囲気にぴったりの作品でした。この日の井上さんは,最後ということもあってか非常に饒舌で,バレエ音楽でもあるこの作品のストーリーをとてもわかりやすく説明してくださりました。

ヴァイオリン抜きの変わった編成でしたが,室内楽編成のくっきりとした明快な響きと伸び伸びと闊達な反田さんのピアノとが相俟って,井上さんの語ったストーリーが鮮やかに表現されていました。特に主役ダンサーの少し諦めにも似た心情を表現したような,最後の部分での深い表現が特に印象的でした。

この曲は,井上さんにとっても反田さんにとっても,そしてOEKにとっても演奏するのが初めての作品でした。こういう曲を「最後の」演奏会に加える辺り,井上さんは常に前向きだなぁと感心します。そして,若い奏者を育てていこうとするスタンスも一貫しているなぁと思いました。

後半はハイドンの交響曲第6~8番「朝」「昼」「晩」が演奏されました。こちらも各曲ごとに,井上さんのトークを挟みながら演奏されました。解説なしでも気持ちよく楽しめる作品ですが,「ハイドンがエステルハージー候の下で働くようになって間もない若い頃に書いた曲で,優秀なオーケストラのメンバーを生かすためにソリスティックな部分が多い」とか「「朝」では日の出の様子や目覚めた人たちの様子を描写している」...といったことを聞いてから聞くとさらに楽しめます。解説を入れるかどうかは,好みが分かれるところですが,井上さんの「クラシック音楽を幅広い人たちに広めたい」というアウトリーチしようとする気持ちは,OEK在任中,ずっと一貫していたなと改めて思いました。

演奏の方は,ハイドンの意図どおり,オーケストラの首席奏者たちがソリスティックに活躍する部分の多い曲で,「ハイドン版オーケストラのための協奏曲」的な楽しさに溢れていました。特に活躍していたのは,コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさん,チェロのルドヴィート・カンタさん,コントラバスのマルガリータ・カルチェヴァさん,そして,フルートの松木さやさんでした。特にヤングさんは,相変わらずの安定感でした。どの曲もちょっとした協奏曲を思わせるほど,出番が沢山ありました。「晩」の最後の楽章での急速で軽やかなパッセージ(嵐を描写した部分ですね)など,「ブラーヴォ!」と声を掛けたくなる鮮やかさでした。

フルートの松木さんのソロの出番も非常に多く,「朝」の第1楽章や第4楽章などを中心に,爽快な音をしっかり聞かせてくれました。「朝」と言えば,グリーグの「ペールギュント」を思い出しますが,「朝といえばフルート」の原点がこの曲かもしれませんね。

「最後の演奏会」としては,かなり異例な選曲だと思いますが,井上さんとしては,OEKとの共演の原点に立ち返ろうというと意図があったようです。井上さんがはじめてOEKと共演した時(本当の最初は,渡辺暁雄さんの代役でしたが)に演奏した曲がこのハイドンの「朝」でした。その時の「面白さ」を思い出すといったことを途中のトークで語っていましたが,この曲が,OEK音楽監督としての活動の原点にあったのだと思います(その後,「朝」「昼」「晩」としてもう一度取り上げています)。

今から200年以上前,ハイドンによってとても面白い曲が書かれた。それを現代の演奏会でさらに面白く聞かせたい。そのためにはOEKはぴったり,という気持ちを常に持っていたのだと思います。その「回答」が,本日の演奏だったのではないかと思います。

井上さんといえば,派手なパフォーマンスの印象も強いのですが,今回のハイドンの演奏を聞きながら,見事なバランス感覚だと思いました。曲全体として,お客さんがいちばん心地よく楽しめるような,リラックスした伸び伸びとした気分を作ると同時に,OEKメンバーにとっても最高のパフォーマンスを発揮できるような,しかし,スリリングな感じも失わないような...大変バランスの良い音楽作りだったと思います。井上+OEKの原点であり完成形となる演奏だったと思いました。

終演後は,今回で退任する井上さんだけでなく,定年になるカンタさん,そして,コントラバスのカルチェヴァさんに花束が贈呈されました。カルチェヴァさんは,客演の首席奏者として頻繁にOEKに参加していましたが,今回の演奏会を最後に,OEKを離れるとのことです(ご家庭の事情)。カルチェヴァさんは,笑顔が大変魅力的な方で,OEKのベースをしっかりと支えてくださっていたので,非常に寂しくなります。今回の花束は,本当にサプライズだったらしく,カルチェヴァさんも感極まっていました。その光景を見て,きっとOEKメンバーにも愛されていたんだろうなぁとしみじみ思いました。

そしてこの花束に応え,大勢のお客さんにプレゼントをするような形で,アンコールが演奏されました。ハイドンつながりで,「お別れ」と言えば,「告別」かなとも思ったのですが,そんな安易な選択ではなく,井上さんが愛した,非常に魅力的な小品が演奏されました。武満徹の「他人の顔」のワルツです。

この曲は岩城さん時代から,何回か演奏されてきた定番のアンコール曲ですが,本日の演奏は,格別にキザで(良い意味です),したたるように陶酔的な演奏でした。カルチェヴァさんの涙を見た後だったので,この演奏を聞きながら,お客さんの方にも涙は伝染していたようです(終演後の雑踏の中から,「泣けたわぁ」という主婦の方の声が聞こえてきました。)。

そして,井上さんの踊るような指揮姿を最後に目に焼き付けてくれました。途中,井上さんは指揮の動作を止め,OEKの作る音の流れに身を任せていましたが,いろいろな思いが去来していたのかもしれませんね。

OEKの音楽監督を退任するとはいえ,井上さんがOEKを全く指揮しなくなるというわけではないと思います。一つの節目ということになります。一時代を築いてくれた井上音楽監督に心から感謝をしたいと思います。ありがとうございました。

2018/03/16

#梨ばろっこ in 金沢アートグミ #アンサンブル30 によるバッハの「フーガの技法」をゆったりと全曲聞いてきました。

富山市を中心に活動している古楽アンサンブルユニット,アンサンブル30(さんじゅう)の演奏会が金沢市のアートグミで行われたので聞いてきました。今回の演奏会のポイントは,何と言ってもバッハの晩年の謎に満ちた大曲「フーガの技法」の全曲が演奏されたことです。それに加え,これまで行ったことのない会場,「アートグミ」にも興味がありました。

「初めて実演で聞く曲」「長い曲を全部」「初めての場所」という,私にとっては,「行ってみたくなる」条件が,しっかりと揃った演奏会でした。

バッハの「フーガの技法」については,何の楽器で演奏するかはっきりと指定されていないこともあり,色々な楽器で演奏されることがありますが,今回はアンサンブル30のメンバー8人(ヴィオラ・ダ・ガンバ4,バロックヴァイオリン,フラウト・トラヴェルソ,バロック・リコーダー,チェンバロ)+黒瀬恵さんのオルガンで演奏されました。

フーガ16曲,カノン4曲,そして,本来は「フーガの技法」からは外れるようですが,オリジナル版に終曲として載せられているコラール1曲の全20曲が演奏されました。途中休憩を入れて,約2時間,バッハのポリフォニーの世界に浸ってきました。

バッハといえば,厳しく厳格なイメージもあるのですが,アンサンブル30の皆さんの演奏は,古楽器で演奏していたこともあり,どこか穏やかで,急ぎすぎないおおらかさを感じました。特に4挺のヴィオラ・ダ・ガンバの作る音に穏やかな雄弁さがあり,全体のベースを作っていると思いました。

面白かったのは,ほぼ曲ごとに編成が違っていた点です。第1曲はヴィオラ・ダ・ガンバのみで演奏していましたが,その後,フラウト・ドラヴェルソ(横笛)やバロック・リコーダー(縦笛)が加わったり,バロック・ヴァイオリンが加わったり,地味ながら多彩な世界が広がっていました。研究の結果,バッハ自身は,チェンバロのために書いたと言われていますが,複数の声部を聞き分けるには,今回のように色々な楽器で分担する方が分かりやすいのではないかと思いました。

フーガ15曲の後,カノンが4曲演奏されましたが,こちらでは2人の奏者による,「差し」の演奏になっており,こちらも面白いと思いました。

そして,最後に「追いかけっこ」の世界から離れて,全楽器で,コラールがしっとりと歌われました。この何とも言えない解放感は,フーガの技法のトリに相応しいと思いました。

アートグミという会場はもともとは北國銀行内の会議室のような感じの部屋だと思いますが,しっかりと音が聞こえ,文字通り「室内楽」という感じのある部屋でした。金庫(今は使っていないと思いますが)の上の部分にバッハの肖像画が飾られている前での演奏というのは,かなり不思議な光景でしたが,アットホームな雰囲気のある室内楽用の会場として十分に使えると思いました。

アンサンブル30の皆さんは,通常は富山で活躍されているのですが,金沢にはこういった古楽アンサンブルはありませんので,是非また,別の切り口の古楽の演奏会を金沢で行ってほしいと思います。

2018/03/10

OEK定期公演M テーマはドレスデンとパスティッチョ,#北谷直樹 さんらしく,刺激とサプライズに満ちた素晴らしい選曲と演奏。そして #ラフォンテヴェルデ の透明な声を交えた晴れ晴れとした祈りの音楽 #oekjp

OEK定期公演3月のマイスターシリーズには,北谷直樹さんが指揮・チェンバロで登場しました。北谷さんも,OEKの古楽担当という感じですっかり常連になっています。毎回,意外性のある選曲と知的で熱い演奏を聞かせてくれていますが,この日の公演も,その期待どおりの素晴らしい内容でした。

今シーズンのマイスター定期は,「ドイツ音楽紀行」ということで,毎回,ドイツの都市がテーマになっています。今回はドレスデンがテーマでした。これまでのマイスターシリーズでは,それほど「お題」に忠実な感じはしませんでしたが,さすが北谷さん。しっかりドレスデンにちなんだ曲を並べてきました。

ドレスデンが音楽都市として知られるようになったのは,17~18世紀のザクセン公,アウグスト2世の存在が大きいということで,このアウグスト2世の時代のドレスデンにちなんだ作品がプログラムの柱になっていました。

ヴェラチーニ,ゼレンカといった知り人ぞしるという作曲家の曲が,前半の最初に演奏されましたが,それぞれ大変楽しめる作品でした。ゼレンカの2つのオーボエ,ファゴットと通奏低音のためのソナタ第5番は,ほとんど「室内楽」の演奏でしたが,プログラムの解説に書いてあったとおり,超絶技巧が延々と続くようなパッセージがあるなど,大変充実した作品でした。こういう新たなレパートリーを発掘してくれるのは,OEKファンとしてもうれしいですね。いずれにしても,水谷さん,加納さん,柳浦さん,お疲れ様でした。

続くヴィヴァルディの協奏曲も大変魅力的な作品でした。最初のヴェラチーニ同様,ト短調で統一感が図られており,曲の最初の部分を聞いただけで,ちょっとロマンティックな気分を感じさせるほど,魅力的な雰囲気がありました。弱音で始まった後,一気に音が爆発するようなコントラストも印象的でした。

前半ではOEKのメンバー立ったまま演奏していましたが(もしかしたら曲ごとに編成が違っていたので,その影響もあったのかもしれません),オーセンティックな雰囲気と同時に,演奏全体にダイナミックさがあると思いました。

前半の最後は,「焼き直されたヴィヴァルディ」ということで,非常に凝った作りになっていました。自分または他人の作品を寄せ集めて新しい作品を作ることを「パスティッチョ」というとのことですが,北谷さんの感性でヴィヴァルディを再構成するとこうなるといった,面白い試みになっていました。

まず,バッハがヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲をオルガン独奏曲に編曲したものの第1楽章を,北谷さんがさらにチェンバロ協奏曲にアレンジしたものが演奏されました。ここでは北谷さんのチェンバロの涼しげで鮮やかな妙技を楽しむことができました。

続いて,ヴィヴァルディのオペラのアリアを北谷さんが,オルガンと弦楽のための曲に編曲したものが演奏されました。今度は北谷さんは小型のオルガンを演奏しながらの指揮でした。オルガンが加わることで,しっとりとした哀感がさらに深まっていたと思いました。

さてその後ですが,マックス・リヒターという現代の作曲家が,ヴィヴァルディの「四季」にインスパイアされて「改造」した曲の中から3つの楽章が演奏されました。おなじみのフレーズの一部を,繰り返し繰り返し演奏し,ヴィヴァルディがミニマルミュージック化したようなスリリングな面白さがありました。曲の終わり方は,予定調和的ではなく,スパっと断ち切れるようになっていたのが現代的でした。ここでは,コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんのソロが圧倒的でした。自然に熱気が高まっていくような迫力たっぷりの演奏でした。

後半は,バッハのロ短調ミサの抜粋が演奏されました。最初プログラムを見た時,「なぜ抜粋なのだろう?」と疑問に思ったのですが,もともとこの曲は,ドレスデン王のために書かれたパスティッチョ的な作品ということで,最晩年のバッハが自分の過去の作品を寄せ集めて作ったような作品です。寄せ集めと言いつつ,非常に完成度が高いのですが,今回は,北谷さん自身がそれを再構成したプログラムと言えます。

演奏された曲は「グローリア」の一部,「サンクトクス」,「アニュスデイ」がベースでした。合唱の方は大編成の合唱団ではなく,声楽アンサンブル,ラ・フォンテヴェルデのメンバーを中心に古楽界で活躍する歌手を16名集めた精鋭でした。OEKの演奏同様,すっきりとした透明感のある素晴らしい合唱でした。

トランペット3本が加わる,グローリアの最初から祝祭的な気分がありましたが,北谷さんの選曲の意図としては,声楽を聞かせるだけではなく,OEKメンバー,特に管楽器メンバーを協奏曲的に活躍させようという意図も感じました。フルート2本が活躍する曲,オーボエ3本が入る曲,そして,狩のホルンが大活躍する曲など,オーケストラの定期公演に相応しい形に再構成されていたと思いました。

最後の曲は,オリジナルの全曲の最後でもある「Dona nobis pacem」(私たちに平和を与えたまえ)でした。平和そのものを感じさせてくれるような澄んだ響きの合唱に落ち着きのあるOEKの響きが加わり,現在,平和に暮らしていることのありがたみをしみじみとかみしめました。

2011年3月11日,北谷さんは当初,福島にいるはずだったのですが,たまたまスケジュールを変更し東京に居たとのことです。「今生かされているという感覚とそれに感謝する気持ち」とプログラムに書かれていましたが,そのことがしっかりと伝わってくる演奏だったと思います。

北谷さんは,古楽演奏の専門家ですが,学究的な冷たさはなく,演奏の透明感をベースとしつつ,常にお客さんを楽しませよう,演奏を盛り上げようという,熱い前向きな気持ちが伝わってきます。今回も,その通りの気分が伝わってくる,素晴らしい公演だったと思います。

2018/03/06

#サカリ・オラモ 指揮 #BBC交響楽団 金沢公演。ほれぼれとするくらい堂々としたブラームスの交響曲第1番。アリーナ・ポゴストキーナさんのほの暗いヴァイオリンも魅力的でした。

この時期恒例の東芝グランドコンサートが石川県立音楽堂で行われたので聞いてきました。今年は,サカリ・オラモ指揮BBC交響楽団でした。2月の後半から,「コンサートに行き過ぎ」なのですが,これまで聞いたことのないオーケストラが来ると,やはり行きたくなります。

プログラムの方は,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とブラームスの交響曲第1番がメインということで,やや「名曲過ぎる」プログラムでしたが,終わって見ると,「やっぱりブラームスは良い」「チャイコフスキーも良い」と大満足の内容でした。何より,もったいぶったところのないオラモさんの音楽作りと,BBC交響楽団のバランスの良さと芯の強さのあるサウンドが素晴らしいと思いました。

最初に演奏されたのは,ブリテンの歌劇「ピーター・グライムズ」の「4つの産みの間奏曲」と「パッサカリア」でした。初めて聞く曲だったこともあり,やや取っつきにくいところはあったのですが,大編成オーケストラによる多彩な響きを楽しむことができました。

続いて,アリーナ・ポゴストキーナさんの独奏で,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が演奏されました。ポゴストキーナさんの演奏は,非常に正統的で,センチメンタルな気分に溺れるようなところはありませんでした。音程も技巧も確かで,音楽が崩れることはなく,全体に安定感がありました。ただし,まじめで堅苦しい演奏というわけではなく,音色自体にほの暗い情感が常に漂っていました。そこが大変魅力的でした。オラモさん指揮の大船に乗ったような安心感のある演奏と共に,さりげないけれども,深さの残る演奏を聞かせてくれました。

後半はブラームスの交響曲第1番が演奏されました。金沢でこの曲を聞く場合,OEK+αぐらいの編成で聞くことが多いので,コントラバスが8本も入るプロの大編成オーケストラで聞くこと自体,私にとっては新鮮なことです。BBC交響楽団の音は,重厚なサウンドという感じではなく,しっかりとした芯のまわりに適度に肉が付いているような,バランスの良さを感じました(例によって,3階席で聞いていたせいもあるかもしれなせん)。

オラモさんのテンポは,全く慌てる部分はなく,全曲に渡って,非常に堂々とした音楽を聞かせてくれました。現代ではかえって珍しいほどの,惚れ惚れするほど構えの大きな演奏だったと思います。ただし,音楽が盛り上がる部分でも,これ見よがしに大げさな表現を取るような感じではなく,常に颯爽とした爽やかさも同居していました。

第1楽章冒頭のティンパニの連打の部分から,安定感と同時にエネルギーを感じさせる演奏でした。弦楽器の清々しい響き,管楽器のソリスティックな活躍も印象的でした。特にソリストが演奏しているように雄弁なフルートの音が特に素晴らしいと思いました。

第4楽章の終盤をはじめとして,音楽のどの部分を取っても,もったいぶったようなところはなく,変わったことはしていないのに,音楽を気持ちよく表現し切ったような爽快さが常に感じられました。

オラモさんの指揮からは,巨匠指揮者のような風格と安心感を感じました。第4楽章のコーダの部分で,金管楽器を中止にコラール風のメロディを演奏する部分では,本当に堂々と聞かせてくれました。「待ってました。たっぷりと!」と声を掛けたくなる感じでした。

上述のとおり「名曲過ぎる」プログラムでしたが,その名曲の名に相応しい,堂々たる演奏を楽しむことのできた演奏会でした。

2018/03/04

OEKと石川県内の大学オーケストラメンバーによる合同公演 #カレッジコンサート。今年は #田中祐子 さん指揮による,とても気っ風の良い,ボロディン,プロコフィエフ,ドヴォルザークを楽しみました。春らしい気分にさせてくれました #oekjp

非常に春らしい好天になった本日,OEKと石川県内の大学オーケストラのメンバーとが共演するカレッジコンサートを石川県立音楽堂で聞いてきました。このコンサートも14回目となります。今回の指揮者は,4月からOEKの指揮者(「指揮者」という肩書きです)に就任する田中祐子さんでした。

田中さんは,過去何回かOEKを指揮されていますが,私にとっては田中さんの指揮に接するのは今回が初めてでした。そのお披露目を兼ねたような公演だったかもしれません。

今回のプログラムは,前半の合同演奏がボロディンの「ダッタン人の踊り」,後半の合同演奏がドヴォルザークの交響曲第8番。その間にOEKの単独演奏でプロコフィエフの古典交響曲が演奏されました。

ボロディンの方は,OEKメンバーが首席ということで,随所に出てくる木管楽器の音をはじめ,色彩的で躍動感のある演奏を聞かせてくれました。この曲については,管弦楽版で演奏されることが多いのですが,今回は特別にOEK合唱団メンバーを加えての,オリジナル版で演奏されました。

合唱団のメンバーは,やや男声が少ないかなという印象はありましたが,その声には生々しい迫力があり,盛大に加わる打楽器群とともに,エキゾティックなムードをさらに盛り上げてくれました。田中さんの指揮ぶりは,大変明快で,滅多に聞くことのできない合唱版を存分に楽しませてくれました。

ドヴォルザークの交響曲第8番の方は,大学オーケストラのメンバーが首席奏者になっていました。この曲は大学オーケストラが比較的よく演奏する曲で,数年前のラ・フォル・ジュルネ金沢で,井上道義さん指揮京都大学交響楽団によるみごとな演奏を聞いたことを思い出します。

本日の演奏も素晴らしいものでした。田中さんの指揮はここでも明快で,じっくり演奏する部分と熱く燃える部分とのメリハリがしっかりと付けられていました。各楽章ごとにしっかりと盛り上がりがあり,豊かな歌と硬質に引き締まった若々しいサウンドを楽しませてくれました。

やはり最終楽章が特に楽しめました。演奏前のトークで,OEKのチェロの大澤さんからチェロパートに向けて「3席に居る好きな女性に届くように弾いてみよう」という素晴らしいアドバイスがあったことが紹介されましたが,チェロで演奏される主題は,「なるほど」と思わせる雄弁さでした。フルートの難しいソロも,急速なテンポだったにも関わらず,しっかりと吹ききってくれました。

この楽章については,チェロたフルート以外にも,冒頭のトランペットの爽快なファンファーレ,ホルンの強烈なトリル,童謡「黄金虫」を思わせる部分...など色々とチェックポイントがあるので,冬季五輪のフィギュアスケートの演技を見るように,「ここもクリア,次は4回転...」という感じで,がんばれと応援しながら聞いてしまいました(私だけだと思いますが)。最後の熱気を込めたコーダに至って,充実した響きで締めくくられた時には,プーさんのぬいぐるみ(?)でも投げ込みたいような気分になりました。

田中さんの指揮ぶりは大変分かりやすく,全曲を通じて,気っ風の良い音楽を聞かせてくれました。演奏前に学生指揮者の方へのインタビューがあったのですが,そこでの話の引き出し方もとても面白く,学生オーケストラとの相性は抜群だと思いました。

この両曲の間に,OEKの単独演奏でプロコフィエフの古典交響曲が演奏されました。この曲については,OEKの十八番ということで,安心して楽しむことができました。コンパクトな交響曲という印象のある曲ですが,比較的じっくりしたテンポで,細部にいたるまで明快に聞かせてくれました。最終楽章は急速なテンポでしたが,この楽章では,フルートをはじめとして,OEKの各パートがソリスティックに活躍し,オーケストラのための協奏曲的な,華やかさを感じました。

演奏時間的には比較的短い演奏会でしたが,ようやく春らしくなってきた季節にぴったりの新鮮さ溢れる演奏でした。今後,田中祐子さんがOEKを指揮する機会はどんどん増えてくると思います。その期待が膨らんだ演奏会でした。

2018/03/03

金沢市アートホールで #田島睦子 ピアノリサイタルを聞いてきました。クララ・シューマンに寄せられた名曲たちと題された素晴らしい選曲。のびのびと聞かせてくれました。

金曜日の夜,金沢市アートホールで田島睦子さんのピアノリサイタルを聞いてきました。田島さんは,OEKとの共演,楽都音楽祭での活躍をはじめとして,金沢市を中心に活発に活動をされています。リサイタルも定期的に行うなど,田島さんを暖かく見守る固定ファンも多いのではないかと思います。私もその一人です。その気持ちの良い弾きっぷりに惚れて(?)います。

今回の田島さんのリサイタルでまず良かったのが選曲です。「クララ・シューマンに寄せられた名曲たち」と題して,シューマン,リスト,ブラームスの曲を中心に演奏されたのですが,それに加えて,フリードリヒ・グルダやマルク・アンドレ・アムランといった現代のピアニスト兼作曲家の曲が加えられていました。常にとても面白い,新しいレパートリーに取り組んでいる点が素晴らしいと思います。そして,全ての曲につながりが感じられました。

「ウィーンの音楽」としてグルダの「アリア」が美しく演奏された後,「ゴージャスな無言歌」といった感じで,シューマンの歌曲をリストが編曲した2曲が演奏されました。それにしても「献呈」という作品は,近年,特に大人気ですね。反田恭平さんもよく演奏していますね。

クララへの思いがこもったブラームスの「主題と変奏」(これは弦楽六重奏曲第1番の第3楽章のピアノ版)に続き,リストの「パガニーニ大変奏曲」第6番。この曲は,パガニーニのカプリースに基づく変奏曲です。そして,アムランの作品は,同じパガニーニの主題による変奏曲。リストの曲に輪を掛けて難易度が高まったような作品でした。

田島さんは,これらの作品を平然と,そしてのびのびと,難易度の高い作品を聞かせてくれました。特にリストとアムランの「パガニーニ変奏曲」の連続が圧巻でした。アムランの曲では,不協和音が出てきたり,ベートーヴェンの曲がパロディのように出てきたり,どんどんインスピレーションが広がり,エネルギーが拡散していくような面白さがありました。

後半は,シューマンの幻想曲op.17が,ドンと1曲,演奏されました。この日のプログラムは,ピアノ・ソナタが1曲も入っていなかったのですが,この曲は実質,3楽章からなるソナタということで,今回のプログラムの核となっていました。私自身,実演で一度聞いてみたかった作品で,今回のいちばんの目当てでした。

田島さんは,シューマンのクララへの思いのこもった名品を,ここでものびのびと屈託なく,聞かせてくれました。幻想曲というタイトルからすると,もっと屈折した感じがあると良いのかなと思いましたが,この難曲を立派に聞かせてくれました。行進曲風の第2楽章の後に続く,静かに幸福感が流れるような第3楽章が特に素晴らしいと思いました。

前半と後半の最後の方で,田島さんのトークが入りましたが,それを暖かく見守るのも恒例ですね。最後,アンコールで「4月のパリ」(シャンソンをピアノ独奏に編曲したもの)がリラックスした雰囲気で演奏されて,お開きとなりました。

田島さんは今年の楽都音楽祭では,モーツァルトのピアノ協奏曲第24番をモーツァルテウム管弦楽団と共演します。その期待を高めてくれるようなリサイタルでした。

2018/02/26

#マルク・ミンコフスキ 指揮 #レ・ミュジシャン・デュ・ルーブル 金沢公演 メンデルスゾーン「イタリア」「スコットランド」他を独特の色合いで表現。懐の広さのある指揮者だなぁと期待が増しました。

土曜日から3日連続となる石川県立音楽堂通いです。本日は,9月からOEKの芸術監督に就任することが決まっているマルク・ミンコフスキさん指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーブルの来日公演が行われたので聞きに行ってきました。この公演は,OEKファンならずとも聞き逃すわけにはいきませんね。

プログラムは,メンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」,交響曲第4番「イタリア」,第3番「スコットランド」の名曲3曲でした。プログラムには,序曲,第3番,第4番の順に記載されていたのですが,ミンコフスキさんらしく,直前に変更され,序曲,第4番,第3番の順に演奏されました。曲の長さ的には,変更後の方が「落ち着く」感じです。

レ・ミュジシャン・デュ・ルーブルの編成は,OEKを少し上回るぐらいの,「思ったより大編成」でした。公演を聞くのは2回目ですが,やはりメンデルスゾーンの曲をオリジナル楽器で演奏するとなると,これくらいが適正かなと思いました。楽器のピッチは,モダン楽器の場合よりも,やや低く感じました。特に管楽器については,オリジナル楽器ならではの,独特の落ち着きと素朴さを感じさせる音が印象的でした。

オーケストラ全体としても,磨き抜かれたつややかさというよりは,さらりとした軽さやほの暗さが基調となっていると感じました。というわけで,最初に演奏された「フィンガルの洞窟」,最後に演奏された「スコットランド」の雰囲気に特にぴったりだと思いました。色の発色はやや地味だけれども,微妙な色合いの変化と重なり合いが美しい,透明水彩といった趣きがありました。

メロディの歌わせ方については,熱くなり過ぎないけれども,所々,深い情感が沈潜していく部分もあり,どこかミステリアスな気分があります。これもミンコフスキさんならではの魅力だと思います。

その一方,「イタリア」の最終楽章,「スコットランド」の第2楽章などの急速楽章での,妥協のないテンポによる軽やかさもお見事でした。メンデルスゾーンにぴったりです。オリジナル楽器ということで,音程が取りにくそうな部分もあったのですが,それがまた,良い味付けになっているところもありました。

「イタリア」の3楽章の中間部に出てくるホルンの信号なども,途中,ゲシュトップフト奏法を使うなど,野趣たっぷりでした。「スコットランド」の最終楽章のコーダの部分もオリジナル楽器を使うことで勇壮さがさらに強調されていたと思いました。

「スコットランド」については,メンデルスゾーンの指示によると,各楽章間は連続的に演奏することになっていますが,本日の演奏では,「イタリア」についても同様のスタイルだったと思います。それどころか,前半最初に演奏された「フィンガル」と「イタリア」でさえ,連続的に演奏していました。通常,序曲が終わった後は,一旦,指揮者は袖に引っ込むのが普通ですが,ミンコフスキさんは,「フィンガル」終了後,拍手をしばらく受けた後,パッと「イタリア」を演奏し始めました。その他の楽章間もインターバルは短めでした。

こういう形で演奏することで,演奏会全体として「フィンガル」+「イタリア」≒「スコットランド」というバランスの良い構図になっていると感じました。

ミンコフスキさんの演奏については,どの部分をとってもミンコフスキさんらしさが浸透していますが,演奏全体として見ると,オーケストラのメンバーの自発性や演奏する喜びが感じられます。演奏の雰囲気についても,重苦しくならないけれども,随所に意味深さがある。スリリングさがあるけれどもシリアスになりすぎない...と相反するものが常に共存しているような,「懐の深さ」といって良いような不思議な魅力があると思いました。そして...この日も演奏曲順を急に変更したように,ミンコフスキさんには,常にお客さんを驚かせようという「茶目っ気」もあります。

まずは7月のドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」公演が大変楽しみです。そして,9月以降,芸術監督に就任した後は,OEKというオーケストラのあり方であるとか,金沢という都市全体にも影響を与えてくれるのではないか,と期待が広がりました。ミンコフスキさんへの期待がさらに大きくなった演奏会でした。

PS.本日は,演奏の直前に会場のお客さんに向けて,マルク・ミンコフスキさんから「ごあいさつ」がありました。ミンコフスキさんが「アンサンブル金沢」と発音すると,「ア」の音が鼻に掛かったようになり,「さすが(?)フランス人」と妙なところで感心してしまいました。

2018/02/25

音楽堂室内楽シリーズ #ピーター・ブレイナー 編曲・指揮によるOEKメンバーがソリストとして活躍するビートルズ・ゴー・バロック。念願の #カンタ さん独奏によるハイドンのチェロ協奏曲も楽しめました #NAXOS #oekjp

今年度最後の「音楽堂室内楽シリーズ」として行われた,OEKメンバーによる演奏会「ビートルズ・ゴー・バロック」を聞いてきました。この「ビートルズ・ゴー・バロック」というのは,1990年代にNAXOSレーベルから発売されたCDのタイトルです。ビートルズの作品をバロック音楽の合奏協奏曲風に編曲して楽しもうというコンセプトのアルバムで,世界的に話題を集めました。今回はそのCDの編曲と指揮を担当した,ピーター・ブレイナーさんを指揮者に招き,このCDに収録されている曲の中から数曲が演奏されました。

このブレイナーさんですが,実は,OEKの首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんとも旧知の仲で,約30年前に,カンタさんとブレイナーさんのコンビで,同じくNAXOSレーベルからハイドンのチェロ協奏曲集のCDをリリースしています。この録音は,「ジャズ風のカデンツァが突如出てくる!」ということで話題を集めました。今回は,ビートルズのアレンジものに加え,この「ジャズ風カデンツァ版」ハイドンも演奏されました。

というようなわけで,かなりマニアックであると同時に誰でも楽しめるコンサート...特にNAXOSレーベルのファンにとっては,興味津々のコンサートとなりました。

今回,「ビートルズ・ゴー・バロック」の中から3つの「合奏協奏曲」が演奏されました。それぞれ,ヘンデル風,ヴィヴァルディ風,コレルリ風という設定になっていました。この中では,ヴィヴァルディの「四季」のパロディだというのが,一目瞭然だったヴィヴァルディ風がいちばん分かりやすかったと思います。巧く溶け込みすぎていて,「本当にビートルズ?」といった曲もありましたが,バロック音楽とビートルズの相性の良さを改めて実感しました。

そして,OEKファンとしてうれしかったのは,ソリストが曲ごとに次々と交替していた点です。今回登場した,OEKのヴァイオリンとチェロのほとんどの方がソリストを担当していました。どこか,学校の授業中,順番に指名されて,立ち上がって発表をしていくような趣きがあり,見ていて楽しかったですね。

今回,最初に合奏協奏曲の「サンプル」として,ヘンデルの合奏協奏曲が1曲演奏されたのですが,それと全く同じ楽章数+ソリストでビートルズ風合奏協奏曲が演奏されたのも面白いと思いました。

演奏の方は,古楽奏法的な感じではなく,しっかりとヴィブラートを掛けて演奏していましたが,それがとても良いと思いました。ブレイナーさんの指揮の下,難しいことは言わず,のびのびと楽しんで演奏しましょうといったところがあり,バロック音楽の楽しさを気持ち良く感じることができました。

前半の最後は,もう一つの目玉のカンタさんの独奏による,ハイドンのチェロ協奏曲第1番が演奏されました。この曲を実演で聞くのは,昨年の夏以降,3回目なのですが,今回は1階席で聞いたこともあり,オーケストラとソリストとのやりとりの面白さを強く感じることができました。ジャズ風のカデンツァについては,意外にシリアスな感じで,ちょっと唐突かなと思いましたが,「滅多に聞けないものを聞けた」というお得感(?)がありました。平然と演奏された3楽章の超絶技巧も良かったのですが,2楽章でも暖かな歌は,カンタ+OEKならではのアットホームさだと思いました。

最後にオーボエの加納さんを加えての「この胸のときめきを」(この曲だけはエルヴィス・プレスリーの曲ですが)とフルートの松木さんを加えての「イエローサブマリン」が演奏されました。加納さんのオーボエですが,いつもにも増して,音が素晴らしく,客席には「うっとり」というオーラが漂っているのが見えるようでした。曲自体,ロックンロールではなく,もともとイタリアのカンツォーネ風の曲なので,マルチェルロのオーボエ協奏曲の第2楽章あたりと区別が付かないぐらいのハマり具合でした。

最後の「イエローサブマリン」は,もともと鼻歌風の曲なのですが,松木さんのフルートで演奏すると,どこかゴージャスになっていました。最後の方には,ブレイナーさんの合図の下,「ヘイ!」の掛け声も入り,楽しくお開きとなりました。

この日のプログラムは,「室内楽シリーズ」の枠を超えた編成で,音楽を聞く楽しさをしっかりと伝えてくれました。これを機会に,NAXOS提携(?)シリーズなどを期待したいところです。

2018/02/24

代役で登場した #マティアス・バーメルト 指揮OEK定期は夭逝作曲家特集。一本筋の通った力強さと味わい深さのある巨匠の演奏 #ジャスミン・チェイ さんのフルートは驚くほどの鮮やかさ #oekjp

2月後半のOEK定期公演フィルハーモニー・シリーズには,当初,OEK初登場となる,ヘスス・ロペス=コボスさんが登場予定でしたが,健康上の理由でキャンセルとなり,マティアス・バーメルトさんが登場しました。ロペス=コボスさんの演奏が聞けなかったのはとても残念だったのですが,バーメルトさん指揮による,この日の公演は,期待を上回る大変充実した内容でした。

プログラムは,アリアーガ,モーツァルト,尾高尚忠,シューベルトの曲ということで,夭逝の(若くして亡くなった)作曲家特集でした。このプログラムがまず魅力的で,古典的な明快さと同時に,どこか哀愁やドラマを感じさせる曲が並んでいました。

特に両端に演奏された,アリアーガとシューベルトの交響曲では,バーメルトさん指揮OEKによる,大変バランスの良い充実したサウンドが見事でした。バーメルトさんは,派手な演出は加えない,職人的な雰囲気のある指揮者ですが,随所に一本筋の通った力強さと味わい深さがあり,安心して音楽を楽しむことができました。室内オーケストラ的な精度の高さに加え,色々な要素を多彩に聞かせる幅広さとスケールの大きさを感じました。一言で言うと「巨匠」的な演奏だったと思いました。

シューベルトの交響曲第6番は,ハイドン,ベートーヴェン,ロッシーニを併せたような雰囲気の中に,シューベルトならではの瑞々しい歌をもった曲ですが,そこに堂々たる貫禄も加えたような演奏だったと思います。最初に演奏されたアリアーガの交響曲は,実演では初めて聞いたのですが,「スペインのモーツアルト」というニックネームに相応しい,大変魅力的な作品でした。「疾走する哀しみ」が魅力の曲ですが,バーメルトさんの指揮はしっかり抑制が効いており,曲自体の美しさをしっかりと伝えてくれました。この曲については,是非,OEKのレパートリーに加えてもらい,CD録音なども期待したいところです。

この日のもう一つの聞き物は,ジャスミン・チェイさんのフルートでした。ジャスミンさんは,6年前にOEKのフルート奏者として客演していたことがあります。その時から韓国のポップスターを思わせる華やかな雰囲気が印象的でしたが,その実力も素晴らしく,モーツァルトのアンダンテでは,曲想に相応しい,マイルドさとクリアさが共存したような素晴らしい音を聞かせてくれました。短い曲の中にさりげないドラマが潜んでいるような演奏でした。

尾高尚忠のフルート協奏曲も,実演で聞くのは初めてだったのですが,非常に魅力的な作品でした。イベールのフルート協奏曲あたりと組み合わせても違和感がないような,洗練された雰囲気と第2楽章でのエキゾティックな雰囲気とがバランス良く楽しめる曲です。ジャスミンさんの演奏は,曲の冒頭から才気煥発!といった生きの良さがあり,自在で滑らかな演奏を楽しませてくれました。

そして,ジャスミンさんの演奏では,アンコールで演奏された独奏曲が驚くべき演奏でした。フルート一本で列車が走っている様子を描写したような現代的な曲だったのですが,特殊奏法満載の凄まじい曲でした。音色自体多彩だったのですが,二つの音が出ているように聞こえたり,声が混じったり,叫び声が混じったり...ジャスミンさん以外演奏できるのだろうか?と思わせるほどでした。この曲を,楽々と楽しげに演奏。まさにフルート界のスターといった感じの魅せて,聞かせる演奏でした。

というようなわけで,プログラミング,オーケストラの演奏,独奏者のパフォーマンス...すべての点で大満足の演奏会でした。

2018/02/05

大雪の中,金沢市アートホールで,アンサンブル・ミリムによるバッハのモテット全曲演奏会を聞いてきました。「言葉」がしっかりと伝わってくる,聞き応え十分の演奏。そしてモテットの世界は多彩だと思いました。

本日の金沢は,朝からずっと雪が降り続き,「このまま降り続くと大雪になりそう」という状況で,出かけようかどうか迷ったのですが,バッハのモテット全曲を精鋭を集めた声楽アンサンブルの演奏で聞く機会は滅多にないことなので,がんばって(?)聞いてきました。

登場したのは,指揮者を含め12人編成の声楽アンサンブル,アンサンブル・ミリムです。アンサンブル・ミリムは,バッハ・コレギウム・ジャパン,東京混声合唱団,新国立劇場合唱団など,東京にあるプロの合唱団のメンバーによるアンサンブルということで,根本卓也さんの指揮のもと,美しさと強さを兼ね備えたような,大変質の高い音楽を聞かせてくれました。最初の「一声」を聴いただけで,パッと目が覚めるような鮮やかさがありました。

バッハのモテットの全曲をまとめて聴くのは今回初めてだったのですが,6曲を連続して聴いてみて感じたのは,「色々なタイプの曲があるなぁ」ということでした。最後に演奏された「主に向かって新しい歌をうたえ」の凜とした華やかさ,11曲からなる「イエスよ,わが喜び」のシンメトリーな感じの構成感。この2曲以外も,それぞれに生き生きとした表情を持っており,退屈することなく楽しむことができました。

アンサンブル・ミリムのメンバーは,個々のメンバーの声が素晴らしいので,各曲のクライマックスの部分などでは,ちょっとした声の饗宴に参加するような趣がありました。色々な声部の声が飛び交い,絡み合いながら,大きく盛り上がっていく感じが素晴らしいと思いました。この日の会場の,金沢市アートホールで聞くのにピッタリのボリューム感でした。

プログラムの中で,指揮の根本さんは「今夜お聞きいただく演奏は古楽に慣れた人々の耳からすれば荒っぽくもあり,合唱に慣れた人々の耳からすれば滑らかさに欠けるかも知れません。しかしそれは,全てバッハが語りたかった抑揚で皆さんに語りかけるための挑戦」といったことを書れていました。確かに(ドイツ語が分かるわけではないのですが),非常に明確に言葉が伝わってくるな,と感じました。

バッハの曲自体,強調したい語句を何回も何回も繰り返していたので,「言葉をしっかり伝える」という意味で,「バッハに忠実」な演奏なのだなと思えました。そういえば,「ミリム」という単語自体,ヘブライ語の「言葉」という意味だということも思い出しました。

アンサンブル・ミリムのメンバーは,12人中3人が石川県出身ということで,これからも「第2の故郷」という感じで,金沢公演を期待したいと思います。数年前のラ・フォル・ジュルネ金沢びテーマが「バロック音楽」だったのですが,例えば,その時聞いた,モンテヴェルディの声楽曲など,是非,もう一度聞いてみたいものです。いずれにしても...次回は,もう少し気候の良い時に聞いてみたいものです。(自分を含め)皆様お疲れ様でした。

«#井上道義 指揮OEK定期はショスタコーヴィチ,メンデルスゾーン,ヒンデミットを詰め込んだ充実のプログラム。特に #クニャーゼフ さんと共演したチェロ協奏曲第1番は底知れぬ凄みを持った記憶に残るような演奏 #oekjo

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