OEKのCD

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2019/07/18

#パトリック・ハーン 指揮OEK定期公演は,弦楽合奏を中心とした,シンメトリカルな構成のOEKならではのプログラム。#辻井伸行 #ルシエンヌ と共演したショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番は,美しさだけではなく,凄みのある鮮やかさを実感できる素晴らしい演奏。 #oekjp

本日はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の2018/2019シーズンの最後となる,フィルハーモニー定期公演を石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。指揮は,定期公演初登場のパトリック・ハーンさん,ピアノ独奏は,お馴染みの辻井伸行さん,トランペット独奏は,ルシエンヌ・ルノダン=ヴァリさんでした。

6月以降のOEKの定期公演では,若い指揮者が次々登場しているのですが,ハーンさんはまだ24歳。定期公演に登場する指揮者としては異例の若さです。ルシエンヌさんに至っては,まだ10代(のはず)。何と辻井さんがいちばん年輩という,若いアーティストたちとOEKの共演ということになりました。この3人のコラボレーションが本当に素晴らしいものでした。人気の辻井さんが登場するとあって,会場は大入り満員(心なしか,いつもよりホールの残響が少なく感じるほどでした)。シーズンの最後は大いに盛り上がりました。

プログラムは,3曲演奏されたうち,最初と最後に,弦楽合奏によるディヴェルティメントとセレナードを配し,その間にショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番を入れるというシンメトリカルな構成になっていました。ショスタコーヴィチの曲も弦楽オーケストラのための曲で,そこにピアノとトランペットが加わる形になります。

どの曲についても,ハーンさんの指揮ぶりには,安心感がありました。熟練の指揮ぶりといった感じでした。バルトークもチャイコフスキーも,冒頭部分を大げさに演奏できる曲ですが,両曲とも,しっかりと抑制された感じで始まりました。その一方,細かなニュアンスの変化が非常に丁寧に付けられており,全曲に渡って,目の詰んだ高級な着物を観ているような,職人技の素晴らしさのようなものを感じることができました。バルトークの第2楽章での,充実した響きが特に素晴らしいと思いました。

チャイコフスキーは,音楽自体に常に推進力があり,落ち着いた雰囲気で始まった,段々とノリ良く音楽が進んでいく心地よさがありました。対照的に,儚げな美しさに溢れた第3楽章の美しさも印象的でした。第2楽章ワルツでの,ちょっと粋な感じの歌わせ方も印象的でした。ハーンさんは,楽章の最後の部分など,大げさなタメを作って締めるのではなく,それを避けるように,すっきりと締めていました。この辺に20代前半の指揮者ならではの,新鮮さを感じました。

そして,協奏曲も素晴らしい演奏でした。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番は,過去,OEKは何回も演奏してきましたが,その中でも特に素晴らしい演奏だったと思います。まず,第1楽章の最初の部分での,辻井さんのピアノの深々とした音が素晴らしかったですね。その後,めまぐるしく曲想を変えていくのですが,この最初の部分の迫力のある雰囲気があったので,全曲に安定感があったと思いました。ショスタコーヴィチの音楽については,どこかひねくれた気分を感じるのですが,辻井さんの率直さのある演奏で聞くと,ロシアのピアノ協奏曲の伝統を引く曲なのだな,と感じさせてくれる部分もあると思いました。

辻井さんのピアノに絡む,ルシエンヌさんのトランペットの音も見事でした。非常に柔らかい音で,しっかりと存在感を示しながらも,ピアノやオーケストラと見事に溶け合っていました。これだけしっかりとコントロールされたトランペットの音というのは,なかなか聞けないのではと思いました。

緩徐楽章では,いつもどおり,辻井さんのピアノのタッチの美しさを堪能できました。以前,OEKと共演した,ラヴェルのピアノ協奏曲の時よりも,さらに深い音楽を聞かせてくれたと思いました。ショスタコーヴィチの音楽の持つ,ひんやりとした感じにぴったりの音楽を聞かせてくれました。

第4楽章は,ショスタコーヴィチならではの,皮肉やユーモアを交えた,故意にドタバタしたムードにした音楽なのですが,辻井さんのピアノは,とにかく鮮やかで,テンポが上がっても慌てた感じになりません。楽々と演奏するルシエンヌさんのピアノと合わせて,非常にクールな演奏を聞かせてくれました。若い世代による,格好良い,ショスタコーヴィチという感じでした。

アンコールでは,ガーシュインのプレリュード第1番(オリジナルはピアノ独奏曲)が,辻井さんとルシエンヌさんのデュオで演奏されました。この曲では,ルシエンヌさんは大変伸びやかな音で演奏し,辻井さんはしっかりとベースを支えていました。

演奏後,ルシエンヌさんと辻井さんは,手に手を取って,ステージと袖の間を往復していましたが,その姿が何とも言えず微笑ましく感じました。本日と同様のプログラムで,OEKは国内ツァーを行いますが,是非,大勢の人に楽しんでもらいたいものです。

というわけで,今シーズンのOEK定期公演は,3人の実力十分の若手の饗宴で締めくくられました。8月は,OEK単独の公演はお休みですが,9月以降の新シーズンでも,若手とベテランとがうまく組み合わされた,多彩な公演に期待したいと思います。

2019/07/06

OEK定期公演にマルク・ミンコフスキさん登場。ブラームスのセレナード第1番という一見地味目の作品を,生気に溢れる演奏で楽しませてくれました。クリストフ・コンツさんとの共演によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲も申し分のない素晴らしさ

本日は,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の芸術監督,マルク・ミンコフスキさん指揮によるマイスター定期公演を石川県立音楽堂コンサートホールで聞いて来ました。

ミンコフスキさんは,実質的には,昨年7月末に行われた,ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」公演で芸術監督に就任したのですが,その後,約1年間出番がありませんでした。今回は,待望の公演ということになります。前回はオペラ公演での指揮でしたので,通常のオーケストラのみによる演奏会となると,さらに久しぶりということになります。

今回は,ブラームスのセレナード第1番ニ長調がメインプログラム。前半は,その気分にあわせるかのように,同じ調性で書かれたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が演奏されました。どちらも重厚で暗いイメージのある両作曲家の作品の中では,明るく穏やかな性格を持つ曲です。本日の素晴らしい演奏を聞いて,満を持して登場したミンコフスキさんが,「OEKにぴったり」と考えて選曲したプログラムだったのだな,と改めて思いました。両曲とも45分程度かかる曲でしたので,聴きごたえも十分でした。

前半に演奏されたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲では,ソリストとしてクリストフ・コンツが登場しました。コンツさんは,ウィーン・フィルの第2ヴァイオリンの首席奏者なのですが,近年は指揮者,ソリストとしても活躍の場を広げているとのことです。ミンコフスキさんは,自分が信頼する,若いアーティストを次々と金沢に連れてきていますが,コンツさんもその一人だと思います。

コンツさんの演奏には,どの部分にも瑞々しさがありました。演奏は,非常に丁寧で,「とても育ちの良い」雰囲気がありました。第1楽章と第2楽章は,正統的で堂々たる弾きっぷり,第3楽章は若々しくキリっと演奏していましたが,急速なテンポになっても乱雑な感じにならないのが素晴らしいと思いました。

ミンコフスキ指揮OEKの演奏も万全でした。ミンコフスキさんの指揮からは,音楽に生気を加えるようなエネルギーの大きさを感じました。そのオーラが,OEKの演奏だけでなく,コンツさんの演奏にも広がっていたと思いました。この曲では,ファゴットも結構活躍するのですが,この日のエキストラの奏者の方のくっきりとソリストに寄り添うような演奏が素晴らしいと思いました。

ちなみに,ミンコフスキさんは,結構,手を高く上げて指揮することがあったのですが...ポーズをしばらく止めることが何回かあったので...右手を斜め上に上げて止めるポーズはウルトラ・マン(?)に変身するときのポーズに似ているのでは...変なことを考えながら聞いていました(古い話題で失礼しました)。

後半のブラームスのセレナード第1番は,しばらく前に故オリバー・ナッセンさん指揮の定期公演でも聞いたことがありますが,今回のミンコフスキさん指揮の演奏は,さらに生気に溢れる演奏だったと思いました。

第1楽章は,低弦が支える上で,ホルンが鼻唄風のメロディを演奏して始まるのですが,まず,この雰囲気が素晴らしいと思いました。リアルに牧歌的だと思いました。この日は,コントラバスはステージ奥の高い場所に配置されていました。また,弦楽器メンバーは,各パート2名ずつ程度増強していました。その辺の効果がしっかり出ていたと思いました。

第1楽章は軽快に始まった後,楽章の最後の部分では,旅の気分が終わるのを惜しむかのように,深く沈みこむ感じがあったのが素晴らしいと思いました。その後,6楽章まであるのが,交響曲ではなく,セレナードらしいところです。

第3楽章はさすがに長く感じましたが,その長さが段々と心地良さとなって感じられて来ました。第5楽章でのホルン4本による力強い主題をはじめ,管楽器がソリスティックに活躍する部分が多く,退屈しませんでした。いつくしみような感じのメヌエットも印象的でした。最終楽章は,非常に生き生きとしたテンポで演奏され,力強く全曲を締めてくれました。

というわけで,前半後半ともミンコフスキさんの指揮の「熱さ」を感じさせてくれる演奏だったと思います。

9月からの,2019-2020のシーズンでは,ミンコフスキさんは2回登場しますが,今回のセレナード第1番に続き,第2番も演奏される予定になっています。もう一つの公演は,ドヴォルザークの「新世界から」。これまでのOEKとの共演では,古楽器オーケストラの専門家としてではなく,通常のオーケストラの指揮者として,古典派以降の曲を取り上げています。どんどん新しいレパートリーに取り組んでくれるのが嬉しいですね。ミンコフスキさんのネットワークで,次々と若く生きの良いアーティストが紹介されるのにも期待したいと思います。

2019/06/19

#コリヤ・ブラッハー さんの弾き振りによるOEK定期公演。前回とはがらっと変わって,「今日のOEKはベルリン・フィル化していた?」と思わせるような強靱な響きのベートーヴェンの4番とブラームスの協奏曲。初めて聴くブリテンの変奏曲も大変魅力的でした。 #oekjp

本日は,今月2回目となるオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の定期公演フィルハーモニー・シリーズを聞いて来ました。リーダー&ヴァイオリンは,元ベルリン・フィルのコンサートマスター,コリヤ・ブラッハーさん。OEK名物といっても良い,弾き振りによるコンサートでした。

6月の定期公演では,10日ほど前に,フランス音楽特集を聴いたばかりですが,今回はブラッハーさんのリードの下,同じオーケストラとは思えないほど強靱な響きのドイツ音楽を聴かせてくれました。この適応力の高さがOEKの素晴らしさだと思います。

この日はブラッハーさんの隣に,ゲスト・コンサートマスターの水谷晃さんも座っていらっしゃいましたが,この2人を中心に,弦楽器の各パートのボウイングの動きが,いつもよりかなり大きく見えました。演奏された3曲とも,非常にパワフルで伸びやかな音を聴かせてくれました。聴いたことがないので推測で書くのですが,ベルリン・フィルが室内オーケストラ編成で演奏したらこんな感じなのかも,と勝手に思いながら聞いていました。

特に最後に演奏された,ベートーヴェンの交響曲第4番は,惚れ惚れするような立派な演奏でした。第1楽章の序奏部から主部に移行する部分,じ~っくりと力感を増していき,力強く主部が始まるあたりの鮮烈さにはシビれました。どの楽章も弛緩することなく自身に溢れた音楽を聞かせてくれました。第4楽章も十分速いテンポでしたが,各楽器がしっかりと弾き切れるようなテンポ感で演奏しており,一つ一つの音の迫力が素晴らしいと思いました。

2曲目に演奏された,ブラームスのヴァイオリン協奏曲は,OEKの定期公演に登場する機会の少ない作品です(弾き振りも滅多にないと思います)。まず,ブラッハーさんの凜とした音と堂々たる弾きぶりが素晴らしく,ソロとオーケストラが一丸となって,密度の高い音楽を聞かせてくれました。これ見よがしのケレン味や大げさな身振りのない演奏で,ブラームスの曲自体の立派さがストレートに伝わってきました。

この2曲に加え,演奏会の最初に演奏された,ブリテンの「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」もまた,素晴らしい演奏でした。最初,プログラムの並びを見た時,「それほど長い曲ではないかな?」と思ったのですが,実際には20分以上ある変化に富んだ作品で,後半に演奏された曲同様,OEKの弦楽セクションのゴージャスさにしっかり浸ることができました。ちなみに「変奏曲」と言いながら,「主題」が結構わかりにくいのも,英国的なのかもしれませんね。むしろ,最後の部分でくっきりと出てくるあたりも面白いと思いました。

というわけで,前半後半ともに大変充実した演奏の連続でした。OEKは,ヴェンツェル・フックスさん,安永徹さんをはじめ,ベルリン・フィル関係者とつながりが大きいオーケストラだと思いますが,ブラッハーさんには,是非また客演していただきたいものです。

 

2019/06/15

第32回県教弘クラシックコンサート #沖澤のどか さん指揮OEKによるシューベルトの交響曲第5番は,ストレートに曲の美しさが伝わってくる理想的な演奏。#新垣隆 さんのピアノによる自作の協奏曲「新生」も現代的感覚とロマンティックな情熱とが合わさったような聴きごたえのある作品 #oekjp

本日は,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の設立当初からこの時期に行われている,県教弘クラシックコンサートを聞いてきました。今回で32回目ということになります。無料の演奏会なのですが,応募して整理券をもらう必要があることもあり,実はこれまでほとんど行ったことのない演奏会でした。

今年は,昨年の東京国際音楽コンクール(指揮者)で第1位を取った注目の若手指揮者・沖澤のどかさんが登場すること,そして,才能豊かな作曲家,新垣隆さんの作品が自身のピアノで演奏されるということで,整理券を応募し,聞きに行くことにしました。実は,沖澤さんについては,井上道義さんによる指揮講習会の受講生だったころに一度聞いたことがあります。新垣さんについては,ガル祭の常連になりつつありますので,お二人とも金沢との縁が強いアーティストといえます。

非常にすっきりと心地良いテンポ感で演奏された,モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲に続き,前半は,新垣隆作曲によるピアノ協奏曲「新生」が演奏されました。この曲は,新垣さんと佐村河内さんをめぐる「ゴーストライター事件」後に,新垣さんが作曲家としての新しいスタートを切るのに際して作られた作品です。

この事件の後,新垣さんは,この事件さえ「ネタ」にするような感じで,バラエティ番組なども含め,非常に精力的に活動の場を広げています。そのしたたかさは,本当に素晴らしいと,個人的に思っています。そして,新垣さんを応援する人が多いのは,新垣さんの音楽的な才能と誠実な人柄あってのことなのだと思います。

今回演奏された「新生」を聞いて,そのことを再確認できました。曲は20分ぐらいで,3つの楽章から成っているのですが,続けて演奏されますので,単一楽章とも言えます。無機的で重苦しい雰囲気(ちょっとバルトークの曲を思わせる感じ)で始まった後,暗い情熱を秘めた,少しロマンティックな気分のあるような音楽になっていきます。途中,抒情的な雰囲気になった後,最後はピアノの名技性をしっかり聞かせるような,活力のある音楽になります。明るく晴れ渡る感じにはなりませんが,「新生」というタイトルどおり,力強く立ち上がるような感じで曲は締められました。

現代的で不気味な部分とロマンティックで親しみやすい気分とがバランス良く合わさっているのがさすがだと思いました。弦五部以外の管楽器については,各パート1名ずつという室内オーケストラ編成でしたので,まさにOEKと共演するのにぴったりの曲でした。

そして,新垣さんのピアノが素晴らしかったですね。クールでキレの良い打鍵も素晴らしかったのですが,抒情的な部分での透明感のある音も素晴らしいと思いました。そのうち,新垣さんには,OEKのコンポーザー・オブ・ザー・イヤーに就任してもらい,ピアノ協奏曲第2番を作ってもらいたいぐらいだと思いました。

アンコールでは,新垣さんによる自作のピアノ曲が演奏されました。何となくサティの「ジュ・トゥ・ヴ」を思わせるような「いい曲だなぁ」と思って聞いていたのですが,後半最初の部分でのトークによると,くまモンをイメージして作った,「小熊のワルツ」とのことでした。途中,即興的に色々な「ユーモア」を入れるあたりも,新垣さんならではでした。

後半の最初では,沖澤さんと新垣さんによる対談が行われました。沖澤さんは,指揮の雰囲気同様,とても明快で爽やかな語り口で,新垣さんから色々興味深い話題を引き出していました。これについては,後日,別途ご紹介しましょう。

後半に演奏されたシューベルトの交響曲第5番は,OEKがたびたび演奏してきた作品です。まず,平成元年の第1回定期公演で,天沼裕子さん指揮で演奏されています。令和元年の最初は,沖澤のどかさん指揮ということで,ちょっと不思議な縁のようなものを感じます。

個人的に大好きな曲なのですが,沖澤さんの作る音楽は,本当に率直で,スーッと音楽の魅力が伝わってきました。シューベルトやモーツァルトの曲を聞いていると,明るく純粋であるほど,ほのかに哀しさが漂ってくることがありましたが,そういう魅力的な瞬間が随所に出てくるような演奏で,この曲の理想的な演奏なのではと思いました。弦楽器の瑞々しい響きに,フルートを中心とした管楽器が美しく絡み,さりげないけれども華やいだ気分にさせてくれました。

第2楽章の緩徐楽章も重苦しくなることはないのに,音楽が進むにつれて,「懐かしい思い」がどんどん募ってくるように感じました。第3楽章も短調の部分と長調の部分が交錯します。その移行が大変自然でした。

というわけで,全曲どこを取っても,瑞々しくストレートな美しさに溢れた素晴らしい演奏だったと思いました。アンコールでは,チャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレが暖かみのある音で丁寧に演奏されました。もともとは弦楽四重奏で演奏される曲ですが,コントラバス入りの弦楽合奏での演奏ということで,控えめながらゴージャスさも感じられました。

シューベルトの交響曲では,楽章ごとに拍手が入るなど,定期公演の時とは,違った客層だったようですが,誰もが「良いなぁ」と感じられるとても気持ちの良い演奏会だったと思います。これから,お二人の活躍の場が広がっていくことを確信した演奏会でした。

2019/06/08

本日のOEK定期公演は,日本初登場となる #ピエール・ドゥモソー さん指揮による「ドビュッシーとラヴェル抜き」のフランス音楽特集。音のブレンドが素晴らしく,演奏会全体がフランスの音に。ルーセルの「蜘蛛の饗宴」の静かで精緻なドラマが特に印象的でした。#oekjp

6月のオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)定期公演マイスター・シリーズの指揮者は,OEK初...どころか日本初登場となる,フランスの若手,ピエール・ドゥモソーさんでした。ドゥモソーさんは,OEKの芸術監督のマルク・ミンコフスキさんのアシスタント等として経験を積みながら,歌劇場を足掛かりに活動の場を広げている指揮者です。

そのプログラムは,「ドビュッシーとラヴェルを外した」フランス音楽特集という冒険的なものでした。時代的には1902年~1921年という,第1次世界大戦前後に初演された作品ばかりで,フォーレ以外には,クラ,ルーセル,オネゲルという,一般的にはあまり知られていないフランスの作曲家の作品が並びました。しかも,最初に演奏されたクラの「子供の心」以外は,静かに終わる曲ばかり,ということで,一見,非常に渋い内容だったのですが,まず,ドゥモソーさんとOEKの作り出す見事にブレンド音が素晴らしく,少々,短めのプログラムだったにも関わらず,充実感たっぷりの演奏を楽しませてくれました。

本日演奏された曲は,どの曲も弦楽器のちょっとくすんだような音の上に,管楽器が活躍するような感じのサウンドが中心だったのですが,その音の微妙な溶け合い方が素晴らしく,刺激的に突出するようが部分がありませんでした。管楽器などは,ソリスティックに活躍しているのに,しっかり一つの方向性に音がまとまっており,ホール全体に「フランスの音」のフィルターが掛かったような,素晴らしさを感じました。

クラの「子供の心」は,フォーレの組曲「ドリー」と同様,もともとはピアノ連弾(3人の連弾ですが)用の曲を自身でオーケストレーションした曲で,優しい気分をベースとしつつも,豊かな情感の溢れる音楽を楽しませてくれました。

フォーレの「ペレアスとメリザンド」は,前奏曲から非常に深い響きで,メランコリックな気分があふれ出てくるようでした。加納さんのオーボエ,松木さんのフルートなども伸びやかに演奏する中にフッと憂いが漂う感じで,昨年観たドビュッシーのオペラ同様,美しさと悲しさが共存したドラマを感じさせてくれました。終曲の後の深い余韻も素晴らしいものでした。

後半はオネゲルの「夏の牧歌」から始まりました。この曲では,まず,金星さん演奏する,けだるい感じの柔らかいホルンの音が印象的でした。音による風景画といった気分のある,素晴らしい演奏でした。

最後に演奏された,ルーセルの「蜘蛛の饗宴」は,蜘蛛がゾロゾロ出てくるわけではなく,ファーブルの「昆虫記」にインスパイアされて作られた曲ということで,蟻,蝶々,カゲロウなどが次々出てくるという設定のバレエ音楽(からの抜粋)でした。続けて演奏されたので,例えば,どこでカゲロウが出てくるかまでは正確には分かりませんでしたが(「蟻」や「葬送の音楽」の部分は分かりました),各部分の描写が非常に精緻で,庭の中の虫たちによる静かなドラマを見事に描いているなぁと思いました。絵に例えると,厚く塗った油彩ではなく,細めの筆で描かれた細密画を見るような趣きがあると感じました。

20分ぐらいの長さの曲でしたが,リズムの変化に加え,ダイナミクスの変化もあり,演奏会全体を締める,充実感を感じました。ドゥモソーさんの指揮からは強い表現意欲が伝わってきました。OEKもしっかりとそれに反応し,生き生きとした表情を作っていたのが素晴らしいと思いました。

演奏会全体としては,90分程度で終わったので,アンコールが演奏されました。「フランス物」の場合,ビゼーがアンコールというパターンが結構多いのですが,今回もそのとおりで,「アルルの女」の中から前奏曲が演奏されました。その演奏がまた,非常にドラマティックでした。弦楽器を中心とした強靱な音と,オペラ劇場でも活躍されている指揮者らしい音楽の盛り上げ方が強烈なインパクトを残してくれました。

指揮台での動作は,若手指揮者らしく,少々バタバタとした感じがありましたが,是非,ドゥモソーさんの指揮で,フランス・オペラなどを観てみたいものだと思いました。

2019/06/05

OEK小松定期公演・春は,#茂木大輔 さんのトークと指揮によるベートーヴェンの英雄交響曲を中心としたプログラム。分かりやすいトークに加え,剛毅な演奏を楽しませてくれました。前半のプロメテウスの創造物には英雄と同じ主題が登場。OEKメンバーのソロも存分に楽しめました #oekjp

今晩は小松市うららで行われた,OEK小松定期公演・春を聞いてきました。「平日夜の小松ということで,仕事の後,金沢から出むくのは少々大変でしたが,茂木大輔さんのトークと指揮を楽しみに出かけてきました。

茂木さんのお話によると,3月にNHK交響楽団の首席オーボエ奏者を定年退職された後,4月以降は,指揮者一本で活動されているそうですが,指揮者として依頼を受けて指揮台に立つのは本日が初めてとのことでした。少々大げさですが「第2の人生(?)」の門出の演奏会といえそうです。

その記念すべき演奏会ということもあり,今回のプログラムは,以前から茂木さんが「やってみたかった」ものでした。ベートーヴェンの「英雄」交響曲と同じくベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」(抜粋)を組み合わせ,茂木さんの解説付きで楽しもうという内容でした。

私が中学生の頃,NHK-FMでは,音楽評論家の金子建志さんが「ちょっと聞いてみましょう」と曲の部分を聞きながら解説をするような,クラシック音楽の番組があったのですが,そういう雰囲気とちょっと似た感じがあったと思いました(「英雄」の第2楽章の解説の時,ゴセックの葬送行進曲という珍しい曲を参考音源として聞かせていただきましたが,こういう聞き比べは大好きです)。

私自身,そういう放送を聞きながら,クラシック音楽に「ハマって」いったので,本日のトーク&演奏を聞いて,クラシック音楽って面白いものだな,と思った若い人も出てきて欲しいと思いました(お客さんには地元の中学or高校生がかなり沢山いました)。

まずこの2曲のつながりなのですが,「英雄」の最終楽章に,「プロメテウス」の終曲のメロディが大々的に登場することによります。ベートーヴェンのお気に入りのメロディということになります。「プロメテウス」の方は,バレエの終曲(ベートーヴェン作曲のバレエというのも,かなり意外性がありますが)ということで,何回も同じメロディが繰り返し出てくる感じです。「英雄」を聞いた後だと,「なかなか先に進まない」感もなきにしもあらずでしたが,オリジナルの形を聞けたのは大変貴重な機会でした。

「プロメテウス」の中では,第5曲「アダージョ」が特に聞きものでした。ベートーヴェンの曲の中で唯一ハープが出てくる曲という「トリビア」を得ることができましたが,このハープとからむように,フルート,ファゴット,クラリネットそしてチェロが大活躍します。OEKのメンバーを全部覚えているようファン(私のことです)にとっては,大変うれしい演奏でした。茂木さんが語っていたとおり,カンタさんのチェロが美しかったですね。

後半に演奏された「英雄」の方は,かなり速いテンポで演奏されました。一言でいうと「剛毅」な「英雄」だったと思います。茂木さんの書かれた解説によると,第1楽章は「戦場の英雄」ということで,あちこち戦況を見回っている英雄という感じがしました。個人的には,大河のように悠々と流れるような第1楽章も好きなのですが,血気盛んな若々しい英雄も良いなと思いました。

第2楽章も速目のテンポでしたが,中盤以降,ティンパニやトランペットを交えての盛り上がりが素晴らしく(小松のホールだと特に音がよく聞こえます),全曲のクライマックスがこの辺にあったように感じました。

いかにもドイツ風の雰囲気のあった第3楽章に続き,「プロメテウス」の再登場したような第4楽章に。やはり,いつも馴染んでいるこちらの方が良いですね。こちらも全体的に速目のテンポでしたが,コーダの部分は慌てることなく,威厳たっぷりに締めてくれました。

個人的には,まだ週のはじめの火曜日なのに,少々疲れ気味だったのですが,バシッとしまった「英雄」を聞いて,一気に気力が回復しました。今後,茂木さんとOEKが共演する機会があると良いと思います。演奏会の企画面でも(ファンタスティックシリーズとかどうでしょうか?)協力していただけると良いのでは,と思いました。

2019/05/26

恒例のOEKメンバーによる #ふだん着ティータイムコンサート を金沢市民芸術村で聞いてきました。例年通り色々な作品を楽しめましたが...特にヴォーン・ヒューズさんを中心とした”ジャズ・オーケストラ”が最高でした

5月にしては異例の暑さの中,日曜日の午後,金沢市民芸術村で行われた,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)メンバーによる「ふだん着ティータイムコンサート」に参加してきました。

全体の構成は例年どおりで,14:00からオープンスペースで「子どものためのコンサート」が行われた後,15:10から18:00まで,休憩2回を入れて,室内楽コンサートが行われました。

子どものためのコンサートは,例年どおり,多くの子ども連れのお客さんが入っていました。毎回司会は,昨年度までOEKのファゴット奏者だった柳浦さんが担当されていましたが,今年はオーボエの加納律子さんの担当でした。明るい雰囲気で,ゆったりと進行されており,とても良かったと思いました。

「指揮者体験コーナー」では,今年は2歳の指揮者が登場していましたね。課題曲の中に,ハンガリー舞曲第5番が入っていましたが,曲のコンセプトどおりの(?)緩急自在のテンポで楽しませてくれました。このコーナーの最後は,「さんぽ」の演奏+合唱でおしまい。

室内楽コンサートの方は,例年にも増して,色々な曲が含まれており,とても楽しめました。オーボエやファゴットの四重奏曲の心地良い古典的な気分。弦楽四重奏からチェロが抜けた編成のドヴォルザークのテルツェットの陶酔的な心地よさ。チェロの大澤さんの独奏による,ソッリマという作曲家の不思議な作品(声も入っていました)。チェロ・パート3人による,穏やかな重厚さのあるドッツァウアーという作曲家の小品集...知名度の高い曲は少ないのに,どの曲も楽しむことができました。

その中で特に楽しめたのが,フンパーディンクのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」の木管五重奏編曲版でした。ストーリーに沿って,5人の奏者が持ち回りでナレーションを入れながら演奏するという大変面白いものでした。もともとは英語版だったのをヴァイオリンのトロイさんが日本語に訳してくれたものとのことでしたが(後で加納さんに教えていただきました),このオペラの雰囲気がしっかり伝わってきました。それと演奏が本当に生き生きとしていました。

そして最後のコーナーで演奏された,ヴォーン・ヒューズさんのエレキギター(ヴァイオリンも演奏していましたが)を中心とした,小編成オーケストラによる,ジャズコーナー。この編成で聞くのは初めてだったのですが,「最高」でした。ゆったりとリラックスしたムードが溢れる,晴れた日曜の午後に聞くのにぴったりの演奏でした。

渡邊さんのドラム,今野さんのベース,ヒューズさんのギターの音に弦楽セクションの音が重なるサウンドは,ジャズとクラシック音楽とが見事に融合した「癖になりそうな快適サウンド」だったと思いました。どなたのアレンジなのでしょうか?この際,グループ名を付けて,時々,金沢市民芸術村で定期演奏会をして欲しいぐらいでした。

# Jazz Orchestra Ensemble Kanazawa でどうか?と思ったのですが...略すると JOEKでNHKのコールサインのようになってしまいますね。ちなみにNHK金沢放送局はJOJKです。

というわけで,今年もまたゆったりと(長時間なので少々腰が痛くなるのですが)OEKメンバーによる手作りの音楽を楽しませていただきました。

2019/05/25

OEKの #ソンジュン・キム さんと #ダニエリス・ルビナス さんによる「きらめきコンサート:魅惑のチェロ&コントラバス」を #金沢市立安江金箔工芸館 で聞いてきました。この2つの楽器でこんなに多彩で迫力のある音楽を作れるのだなぁと感激。内容の詰まった1時間でした。


本日は全国的に夏のような暑さになっています。金沢も快晴で恐らく30度ぐらいあったのではないかと思います(ただし,それほど湿気は高くないですね)。その中,金沢市立安江金箔工芸館で行われた,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のチェロ奏者,ソンジュン・キムさんとコントラバス奏者,ダニエリス・ルビナスさんの二重奏の演奏会を聞いてきました。

その内容ですが,予想を上回る充実度でした。予定時間の1時間,ぎっしりとチェロとコントラバスの音が詰まった,素晴らしい内容でした。会場は,工芸館の入口入ってすぐ横の多目的展示ホールでした。非常に間近で聞けたこともあり,お二人の素晴らしい音の迫力に包み込まれました。

もともと,チェロとコントラバスのための作品というのはほとんどないので,大半は別の編成からの編曲だったのですが,テレマンなどのバロック時代の作品から,20世紀の音楽まで。各楽器の超絶技巧を聞かせる曲。各楽器の独奏...という感じで多彩な作品が選ばれていました。

キムさんのチェロは,後半の曲に行くほど音の輝きが増し,歌が熱くあふれ出てくるようで,会場の「金箔」のイメージに重なるような「黄金のチェロ」を聞かせてくれました。ルビナスさんのコントラバスは,まず,その音の深さに圧倒されました。ボンとピツィカートを演奏するだけでも多彩なニュアンスがあることが分かりました。

最後にこの編成の曲ではいちばん有名な曲である,ロッシーニのチェロとコントラバスのための二重奏で締められました。ダイナミックな動きやユーモアな気分を交えた,緩急自在の音楽を楽しませてくれました。

本日の演奏を聞いて,この2つの楽器で,こんなに多彩で迫力のある音楽を作れるのだなぁと感激しました。内容のぎっしりと詰まった充実の1時間でした。

2019/05/19

第18回北陸新人登竜門コンサート:声楽部門は,4人の女声歌手の共演。過去最高の華やかさだったかも。#川瀬賢太郎 指揮 #oekjp によるイタリア交響曲も新緑の季節にぴったりの美しさ。山下千愛 前澤歌穂 高野百合絵 髙橋美咲

本日は,連休後恒例の北陸新人登竜門コンサートを聞いてきました。今年は,声楽部門でした。毎年,北陸ゆかりの若手アーティストとOEKとが共演をするのですが,今年は女声歌手4人との共演ということで,もしかしたら過去最高の華やかさがあった気がします。そして,4人の歌手が競うように,非常にレベルの高い歌唱を聞かせてくれました。ブラーヴォの複数形のブラーヴィ!という公演だったと思います。今回から,「管・打・声楽部門」から「声楽部門」に部門が組み替えられたのですが,その効果が十分出ていた気がしました。

今回出演した4人の歌手は次の皆さんです。バランス良く福井,石川,富山の各県出身者が揃いました。

・山下千愛(ソプラノ)福井県出身

・前澤歌穂(メゾソプラノ)石川県出身

・髙橋美咲(ソプラノ)富山県出身

・高野百合絵(メゾソプラノ)富山県出身


山下さんの歌ったモーツァルトのモテット「踊れ喜べ、汝幸いなる魂よ」はOEKも何回か演奏していますが,ドニゼッティとベルリーニについては,石川県で聞く機会が多くありません。今回,イタリアのベルカント・オペラのコアと言っても良い,この2人の作曲家のアリアをじっくり聞けたのが特に良かったと思いました。次の曲です。

ドニゼッティ/歌劇「アンナ・ボレーナ」~このような手に負えぬ炎は(前澤さん)
ベッリーニ/歌劇「カプレーティ家とモンテッキ家」~ああ、幾たびか(髙橋さん)
ドニゼッティ/歌劇「ラ・ファヴォリータ」~私のフェルナンド(高野さん)

それにしても4人の方の歌は見事でした。山下の非常に新鮮な声。前澤さんの艶と力のある声。髙橋さんの歌からは,気持ちの陰影がしっかり伝わってきました。最後の高野さんはそのステージに立つ姿からプリマドンナといった華やかさがあったのに加え,深さと伸びやかさのある声を楽しむことができました。

曲としては,髙橋さんの歌ったベルリーニのアリアが,ホルンやハープの聞かせどろこが存分にあり,特に良い曲だなぁと思いました。石川県でベルリーニやドニゼッティの作品が演奏される機会は少ないのですが,今回のお客さんの反応を見ていると,是非一度,OEKの演奏でオペラの全曲を聞いてみたいものだと思いました。

前半に演奏された,メンデルスゾーンのイタリア交響曲が楽しめたのは言うまでもありません。川瀬賢太郎さんの指揮には,いつも嘘がなく,その曲の良さをストレートかつしなやかに伝えてくれるのが良いですね。曲の持つ,イタリア旅行記のような気分が鮮やかによみがえり,曲の魅力に浸らせてくれました。

本日の金沢は爽やかな快晴。新緑に包まれていますが,その気分そのまんまの演奏会でした。

2019/04/27

#OEK 2019-2020定期公演ラインナップ(大体)発表。#ミンコフスキ さんは2回登場。#新世界 というのは意表を突いた選曲。初登場の指揮者・ソリストも多い,楽しみな内容です。 #oekjp

OEKの2019-2020のシーズンの定期公演のラインナップが,定期会員宛てに郵送されてきましたので概要をお知らせしましょう。

■フィルハーモニーシリーズ(前期)
若手ヴァイオリにストで石川ミュージックアカデミーで学ばれた,辻彩奈さんが定期公演のソリストとしては初登場ですね。
ピアノの津田裕也さん初登場。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番は何回も演奏されてきましたが,第2番は定期公演初登場でしょうか。

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■フィルハーモニーシリーズ(後期)
3月の定期にはミンコフスキさんが登場。今年の7月の第1番に続く,ブラームスのセレナード第2番がメインですね。
田中祐子さんも定期公演初登場ですね。藤倉大さんの作品も楽しみです。

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■マイスターシリーズ
10月にもミンコフスキさんが登場。ドヴォルザークの「新世界から」という超名曲を指揮します。
1月の定期ではコンポーザー・オブ・ザ・イヤーの狭間美帆さんの新作が初演されます。
アンジェラ・ヒューイットさんによるバッハの弾き振りも非常に楽しみです。

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ファンタスティック・オーケストラコンサート
ヴェルディの「椿姫」が,ガル祭でもおなじみのヘンリク・シェーファーさん指揮で上演されます。矢内原美邦さんの演出も注目ですね。

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2019/04/13

#池辺晋一郎 が選ぶクラシック・ベスト100第5回は,最終回まで取ってあった,ベートーヴェン,ブラームスなどの名曲揃い。#松井慶太 指揮OEKの演奏に加え,若手アーティストたちの演奏がどれも見事でした。 #古海行子 #会田莉凡 #高橋洋介 #oekjp

先週土曜日に続き,ほぼ満開の桜の中,午後から石川県立音楽堂コンサートホールに出かけ,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のファンタスティック・オーケストラコンサートを聞いてきました。今回は,シリーズで行われている「池辺晋一郎が選ぶクラシック・ベスト100」の第5回,最終回でした。

このシリーズは,池辺さんがクラシック音楽の名曲の中から100曲を選び,抜粋を中心に20曲ずつ5回に分けて演奏するというものです。今回が最終回だったのですが,池辺さんのお話によると,「私は美味しいものは最後に取っておくタイプ」ということで,クラシック音楽の保守本流(?),ベートーヴェン,ブラームス,シューマンなどの作品が演奏されました。

このコンサートを聞くのは2回目です。一種「つまみ食い」的プログラムですなのが,大半が「良いところ」で終わってしまうこと,オーケストラ音楽だけでなく,器楽曲,室内楽曲,声楽曲もバランス良く含まれていることなど,通常の演奏会にない面白さもあります。

途中で終わってしまう点については,そのことによって曲がさらに魅力的に聞こえる気もします。CMや映画の中で聞いて「良いなぁ」と感じる感覚と同様です。ピアニストの古海行子さん,この日のゲスト・コンサートミストレストだった会田莉凡さん,バリトンの高橋洋介さんと,生きの良い若手奏者たちによるソロを聞けたのも良かったですね。

特に昨年の高松国際ピアノコンクールで優勝した古海さんによる,ベートーヴェンの「熱情」の第1楽章の深々とした音と勢いのある音楽が素晴らしいと思いました。是非,別途リサイタルやOEKとの共演などを聞いてみたいものです。

会田さんと古海さんの共演によるベートーヴェンの「スプリング」ソナタの第1楽章は,「ここで止めるか?」という部分で終わっていましたので,池辺さんの思惑どおり「もっと聞きたい」と思いました。会田さんは,ブラームスのヴァイオリン協奏曲の第3楽章も演奏していましたが,凜とした演奏が印象的でした。

高橋洋介さんは,以前にも何回かOEKと共演していますが,その無理のない若々しい声はドイツリートにもぴったりだと思いました。

室内楽編成の曲では,ハイドンの弦楽四重奏曲「ひばり」の第1楽章の一部,ブラームスの弦楽六重奏曲第1番の第2楽章の一部,シェーンベルクの「浄夜」の一部(「浄められかけた夜」という池辺さんのネーミングどおりでした),シューマンのピアノ五重奏曲の一部と抜粋ばかりでしたが,「あれも,これも名曲揃いだなぁ」と実感しました。

松井慶太さん指揮OEKの演奏も大変充実していました。前半と後半のそれぞれ最後にベートーヴェンの「エグモント」序曲とウェーバーの「魔弾の射手」序曲という聞き応えのある序曲を配したのも巧いと思いました。色々なつまみ食いをした後,最後に腹持ちの良い料理を食べたような満腹感を感じました。松井さんは大変長身の方ですが,その音楽にも包容力があり,深々とたっぷりと聞かせる部分と晴れやかに盛り上げる部分とのメリハリがくっきりと付けられていました。

トークと演奏のバランスもとても良く,シリーズの最後を締めるのに相応しい演奏だったと思います。

2019/03/27

#ユベール・スダーン 指揮OEKの定期公演は,「英雄」交響曲がメイン。「現代のスタンダートのベートーヴェンはこれだ」と思ってしまいました。#リーズ・ドゥ・ラ・サール さんによる憂いを持った「ジュノム」も最高でした。#oekjp

本日は,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のプリンシパル・ゲストコンダクター,ユベール・スダーンさん指揮による,ベートーヴェンとモーツァルトによるプログラムを聞いてきました。昨年9月以来,スダーンさん指揮による,素晴らしく充実したウィーン古典派の音楽の数々を聞いてきましたが,本日の自信に溢れた「英雄」を聞いて,スダーンさん指揮OEKは最強のコンビだと確信しました。

最初に演奏された,モーツァルトの歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲から,引き締まった音と揺るぎない構築感を持った世界が広がっていましたが,後半のベートーヴェンの「英雄」は,その世界がさらに拡大され,もしかしたら「現代のスタンダードのベートーヴェンはこれかも」と思わせるほどの説得力十分の演奏を聞かせてくれました。

まず冒頭の和音2つの緊迫感に凄まじいものがありました。バロック・ティンパニの強く乾いた音とともに,弛緩することのないベートーヴェンの世界が始まりました。もちろん曲想の変化に応じて,柔らかい響きが出てきたり,滑らかなメロディラインが出てきたりするのですが,ベースは,速いテンポでキビキビと引き締まった緊張感がありました。ゴツゴツとした力強さがあったのも,私にとってのイメージどおりの「英雄」でした。

第2楽章も速めのテンポで,暗く落ち込むようなウェットな感じはなく,比較的サラリと演奏していました。そのことによって,楽章内の部分と部分の間での明暗の対比や楽器の重なり合いによるテクスチュアの変化などが,鮮やかに浮かび上がっていたと思いました。

第3楽章も快適なテンポ。中間部のホルンの重奏の部分も速めのテンポで生き生きとしたノリの良い音楽が続きました。第4楽章も同様でしたが,変奏曲形式ということで,次から次へと音の風景が代わり,前へ前へと進んでいきました。途中,管楽器が次々と活躍する部分での,花がパッ,パッと咲いていくような感じも鮮やかでした。

この部分では,何とクラリネットがベルアップをしていました。マーラーの交響曲の演奏を観るようなデフォルメの効果があった気がしましたが,演奏自体がビシッと引き締まっているので,違和感というよりはこれが正解と思わせる説得力を感じました。コーダの部分では,テンポが速くなるのではなく,平静さをしっかりキープした威厳のようなものが伝わってきました。見事なフィナーレでした。

スダーンさんのベートーヴェンは,以上のとおり非常によくまとまっており,部分部分がしっかりと組み合わさった構築感があるのですが,そのベースには,常に「熱」や「若々しさ」があります。その一方で,演奏全体に揺るぎのない自信が満ちており,安心して楽しむことができました。スダーンさんとOEKによるベートーヴェンについては,既に2年前の楽都音楽祭でその片鱗を聞いていますが(2番と6番),是非,全曲を聞いてみたいものです。

さてこの演奏会ですが,リーズ・ドゥ・ラ・サールさんをソリストに迎えての,モーツァルトの「ジュノム」協奏曲も素晴らしい演奏でした。リーズさんの音には常に詩的なセンスがあると思いました。第1楽章は全体的に軽快な音楽なのですが,カラッと晴れた感じというよりは,所々で憂いを感じさせるような,奥行きを感じました。

第2楽章はさらに憂いに満ちていました。静かだけれども,切々と迫ってくる感じが魅力的でした。中間部での強い表現は,曲全体のクライマックスを作っているようでした。第3楽章は,第1楽章以上に快速のテンポで演奏されました。リーズさんの見事な技巧に支えられたスピード感も素晴らしかったのですが,途中テンポをグッと落としたメヌエット風の部分での夢の世界に入り込んだような深さは全曲中の白眉だったと思いました。

アンコールでは,ケンプ編曲によるバッハのシチリアーノが演奏されました。この演奏が少しグレン・グールドを思わせるような,トツトツとした感じがあり何とも言えない孤独感が伝わってきました。ただし,エキセントリックな感じはなく,健康的な美しさを持っていたのがリーズさんの演奏の魅力だと思いました。

もともと,モーツァルトとベートーヴェンはOEKの最も大切なレパートリーですので,「良くて当たり前」的なところもありますが,今回の演奏を聞いて,さらにスダーンさんへの信頼が高まりました。同じプログラムで東京公演も行われますので,少しでも多くの方に聞いてもらいたいものです。

2019/03/24

#石川県ジュニアオーケストラ 定期演奏会を聞いてきました。中学生ピアニスト,矢崎紫さんとの共演による瑞々しい演奏。グノー「ファウスト」,シャブリエ「スペイン」など,音楽による世界巡りを楽しむことができました。

本日は年度末恒例の,石川県ジュニアオーケストラの定期演奏会を聞いてきました。今回で25回目。四半世紀ということになります。指揮はお馴染みの鈴木織衛さんでした。
この演奏会のプログラムについては,色々な趣向が凝らされて来ましたが,今回はオーソドックスにオーケストラの音をたっぷりと楽しませてくれる曲が中心でした。
これまでになかった趣向は,金沢市の中学生ピアニスト,矢崎紫(しき)さんとの共演でした。矢崎さんはピティナ・コンペティションの優秀者で,今回はアンサンブルのオーディションで合格して共演することになったとのことです。
演奏されたのは,ハイドンのピアノ協奏曲ニ長調でした。OEKが演奏するとぴったり来るような古典派の作品で,矢崎さんはクリアな音楽で明快な音楽の世界を楽しませてくれました。ジュニアオーケストラの演奏ともども,大変瑞々しい演奏でした。
その他の曲は,ジュニアオーケストラ単独の演奏でした。プログラムの趣旨としては,「世界の色々な国の音楽を楽しむ」ということで,西部開拓時代の気分を持ったリロイ・アンダーソンの「馬と馬車」,楽都音楽祭のテーマに合わせたようなシベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォ。そして後半は,グノーの「ファウスト」のバレエ音楽,シャブリエの狂詩曲「スペイン」が演奏されました。後半の2曲はフランスの作品なのですが,内容的にはエジプトとスペインですので,文字通り,世界各国の音楽を楽しんだ感じです。

「馬と馬車」は,ウッドブロックとムチの音が効果的に使われており,ちょっとレトロな西部劇の映画を観るようでした。アンダンテ・フェスティーヴォは,どこか早春の気分を思わせる淡い情感があったのが良いと思いました。鈴木さんは「音楽に羽が生えて飛んでいくよう」という表現をされていましたが,のびのびとした気分にさせてくれる作品ですね。
「ファウスト」のバレエ音楽は,個人的に大好きな作品です。短い7曲からなる組曲ですが,オーケストラの色々な楽器が活躍し,多彩な表情を持っているので,ジュニア・オーケストラのレパートリーにぴったりだと思います(演奏するのは難しいと思いますが)。トロンボーンやテューバには,「大人」のメンバーも加わっていましたが,その充実した音に支えられて,親しみやすい音楽が次々出てきました。特に「トロイの娘たちの踊り」の滑らかなワルツ,「鏡の踊り」での軽快なリズム感が心地良かったですね。この日はハープを3台使っていましたが,フルートの数もものすごく(?),9人も居ました。そのこともあって,独特の豪華さがあると思いました。
最後の「スペイン」も大編成を活かした充実感のある演奏でした。フル編成の響きも気持ち良かったのですが,途中に出てくる管楽器のソロなども聞きものでした。日頃地味な印象のあるファゴットが,スペイン旅行の気分を盛り上げるような感じで活躍していたのが良かったと思いました。全体にじっくりとしたテンポだったので,めくるめくような楽しさと色彩感を感じることができました。
最後に「くるみ割り人形」の「行進曲」がアンコールで演奏されて,演奏会は終了しました。ジュニア・オーケストラは,来週の「オーケストラの日」コンサートに出演後,「楽都音楽祭」にも登場します。今回の演奏会は,大きな自信になったのではないかと思います。

2019/03/13

#ファビオ・ルイージ 指揮 #デンマーク国立交響楽団 金沢公演。#横山幸雄さんのピアノによる鮮やかな「皇帝」,見事に構築されたチャイコフスキーの交響曲第5番に感服

本日は,石川県立音楽堂コンサートホールで,この時期恒例の東芝グランドコンサートを聞いてきました。今年登場したオーケストラは,ファビオ・ルイージ指揮のデンマーク国立交響楽団でした。今年の連休に行われる楽都音楽祭は,北欧がテーマの一つですので,それを先取りするような感じもありました。

プログラムは,まず,デンマークのオーケストラの挨拶代わりのような感じで,ニルセンの歌劇「仮面舞踏会」序曲が明快に演奏された後,横山幸雄さんをソリストに迎えて,ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。後半はチャイコフスキーの交響曲第5番が演奏されました。個人的には「これまで実演で聞いたことのない大編成の曲」を聞いてみたかったという思いもありましたが,「必ず楽しめる鉄板プログラム」とも言えます。そして,そのとおりでした。特に後半に演奏された,チャイコフスキーは,ルイージさんの本領発揮が発揮された,立派な建物のように見事に構築された素晴らしい演奏だったと思います。

ベートーヴェンの「皇帝」は,冒頭,オーケストラの予想外に柔らかな音で始まった後,横山さんの鮮やかなピアノの音が入ってきました。横山さんのピアノは,全曲を通じて,高音を美しく聞かせる部分が特に印象的でした。表現の引き出しも多く,自由自在にスマートな演奏を聞かせてくれました。今回,ステージからかなり遠い席で聞いたので,やや音が遠く,ソツがなさ過ぎる感じに聞こえる部分もありましたが,さすが横山さんという演奏だったと思います。

ルイージさんの作る音楽も印象的でした。後半のチャイコフスキーでも同様だったのですが,力づくで暴力的に大きな音を聞かせるようなところはなく,かなり抑制された感じで始まった後,音楽が進むにつれて,どんどん歌が溢れてくるといった感じの音楽になっていました。OEKの演奏で何回も聞いてきた曲ですが,大編成でゆったりと聞くのも良いものだと思いました。

後半のチャイコフスキーは,冒頭の2本のクラリネットの演奏から,暗~い情感が漂っていました。しかも非常に遅いテンポ。その徹底した表現が素晴らしいと思いました。第2楽章冒頭のホルンも憂いに満ちた深い味がありました。楽章の後半になると熱いカンタービレも出てきましたが,しっかりと引き締まっており,すべて「ルイージさんの表現」となっていたのが素晴らしいと思いました。

熟成された味わいのある第3楽章に続く,第4楽章も,どこか威厳の高さを感じさせるような雰囲気で始まりました。主部に入ってからもじっくりとしたテンポで進み,各パートがしっかりと絡み合った密度の高い音楽が続きました。楽章の後半になると,徐々に音楽に解放感が出てきます。コーダの部分は,反対に軽快な感じの行進になりました。それでも浮ついた感じはなく,全曲を振り返ってみると,見事に「暗から明へのドラマ」になっていました。しっかりと設計された聞き応え十分の音楽になっていると同時に,自然に燃えるようなカンタービレも随所にある,大変魅力的な音楽になっていました。

盛大な拍手に応えて演奏されたアンコールが,コンチネンタルタンゴの名曲「ジェラシー」。この曲の作曲家のゲーデは,デンマーク出身ということで,最後もお国もので締められました。どこか古いミュージカル映画の1シーンを見るような暖かみのある演奏でした。

ルイージさんの演奏を聞くのは初めてでしたが,チャイコフスキー以外でも,構築感のある音楽を聞かせてくれるのではと思いました。是非,また聞いてみたい指揮者です。

2019/03/09

快晴の中,エンリコ・オノフリさん指揮・ヴァイオリンによるOEK定期公演へ。モーツァルト25番はこれまで聞いたことがないような濃い演奏。未知の作品,ハイドンの70番もとても面白い作品。「春へのコンブリオ」といった感じの公演でした。

本日の金沢はすっかり春になったような快晴。その中,午後からエンリコ・オノフリさん指揮によるオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)定期公演,マイスター・シリーズを聞いてきました。今シーズンのマイスター定期には,「コン・ブリオ」というキャッチフレーズが毎回入っているのですが,今回演奏された,モーツァルトの交響曲第25番とハイドンの交響曲第70番には,共に第1楽章に「コン・ブリオ」という指示が入っていましたので,このコンセプトにぴったりと言えます。今年の金沢は暖冬でしたが,この両曲を中心に,精緻さと同時に前向きな熱気のある演奏で,「春へのコンブリオ」といった感じの素晴らしい公演でした。

オノフリさんが登場する公演については,毎回,どういう表現をするのか読めないスリリングさがあります。今回も,お馴染みのモーツァルトの交響曲第25番がオノフリ流にガラッと変貌していました。初めて聞くハイドンの交響曲第70番については,「ハイドンはこんな変わった交響曲も作っていたのか」という発見の喜びがありました。

まず最初にオノフリさんの弾き振りで,ハイドンのヴァイオリン協奏曲ト長調が演奏されました。演奏される機会の少ない作品ですが,バロック音楽の名残を残しながらも,ハイドンらしい朗らかさな美しさもある良い曲でした。オノフリさんのヴァイオリンは,バロック・ヴァイオリンということで,音色的にはやや落ち着いた感じがしました。その清潔感のある音と同時に,急速なテンポの最終楽章での見事な技巧に圧倒されました。さすがと思いました。

ちなみにこの日のオノフリさんは,マフラーをしていなかったですね。以前はマフラーでヴァイオリンを固定していたと思うのですが...方針を変えたのでしょうか?

続いて上述のとおり,モーツァルトの交響曲第25番が演奏されました。冒頭からゴツゴツした雰囲気の中に十分なエネルギーが込められたような演奏でした。各楽器とも,音を長く伸ばす時に,クレッシェンド気味に音を膨らませていたのが独特で,オノフリさんならではの,濃い音楽を作っていました。その一方,いつも聞き慣れているのとは違う対旋律がしっかり聞こえてきたり,細かい音のバランスにもしっかり配慮をしていました。

この曲はホルンが4本入るのですが,このホルンを最後列両端に2本ずつ分けていたのも独特でした。それと各楽章とも繰り返しをしっかりと行っており,オノフリさんならではの「過剰感」が倍増している感じでした。これまで聞いたこの曲の演奏の中でも,特に個性的で印象的に残る演奏だったと思います。

後半はロッシーニの「セビリアの理髪師」序曲で始まりました。オノフリさんの指揮のレパートリーも,バロック音楽から古典派,ロマン派へと拡大しているのかもしれません。この演奏を聞いてまず,「イタリアだなぁ」と思いました。冒頭からトランペットの音が明るく突き抜けて聞こえてきました。テンポは全体に速めでしたが,弦楽器のカンタービレに透明感がありしっかりと歌われていました。管楽器にもすっきりとした美しさが溢れていました。曲の最後の部分の,お祭り騒ぎの雰囲気もラテン的で良いなぁと思いました。

独特だったのは,通奏低音が入っていたことです。この日は,ロッセッラ・ポリカルドさんという方がチェンバロを担当していましたが,主部が始まる部分で,チャッチャッチャッチャッ...と音が聞こえてくると,ちょっとヴィヴァルディの「冬」の第1楽章あたりと通じる雰囲気になるのが面白いな,と思いました。

演奏会の最後は,ハイドンの交響曲第70番でした。未知の曲でしたが,この曲の構成自体が独特でした。第1楽章は,トランペットやティンパニが力強く入り,祝典的な気分で始まります。独立した序曲のような感じがありました。第2楽章は,反対にちょっと不気味な気分が漂う,暗さと明るさが交錯するような楽章。第3楽章は異様に力強いメヌエット(これはオノフリさんの指揮のせいかもしれませんが)。最終楽章が二重対位法を使った楽章ということで,後期の交響曲の展開部がいきなり始まったような充実感。ハイドンの交響曲にも色々ありますが,特に個性的だと感じました。

このちょっと破格な雰囲気が,オノフリさんの指揮の,良い意味での少々エキセントリックな雰囲気とうまくマッチしていると思いました。コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんを中心としたOEKの音には,美しさと精緻さがありましたが,それにオノフリさんの「思い」がしっかりと加わり,ハイドンの技や工夫に命が吹き込まれていたように感じました。

というわけで,是非,オノフリさんには,今後も古典派交響曲シリーズを期待したいと思います。

«#太田弦 指揮によるカレッジコンサート2019。石川県内の大学オーケストラメンバーとOEKが共演。大編成のブラームスの交響曲第2番等に加え,OEK単独によるシューベルトの交響曲第1番も素晴らしい演奏でした。 #oekjp

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