ナッセンさん登場
オリヴァー・ナッセンさん指揮のOEK定期公演に出かけてきました。ナッセンさんが登場するのは2回目のことですが,何と言っても...大きな方です。このナッセンさん指揮で演奏された曲は,ナッセンさん自身の曲,コープランドのアパラチアの春,ブリテンのチェロ交響曲ということで,20世紀の曲が並びました。最近,OEKの定期公演では,古典派からロマン派の曲が演奏されることが多かったので,とても新鮮な感じがしました。
演奏された曲の中では,やはり後半に演奏されたブリテンのチェロ交響曲が非常に歯ごたえのある曲でした。OEKの通常編成にトロンボーン,チューバ,打楽器をいくつか追加しないと演奏できない曲ですが,冒頭から大変ものものしい響きの連続でした。アンシ・カルツネンさんのチェロは,荒々しさよりも知的な密度の高さを感じさせるもので,この曲の持つ大仰な感じをスマートなものにしていました。弱音で素早い動きを聞かせる部分など,とても技巧的な曲ですが(ロストロポーヴィチが初演した曲です),そのことを全く感じさせない,見事な演奏でした。
前半は,ナッセンさん自身の小品(あっという間に終わってしまった感じでした)の後,アパラチアの春が演奏されました。この曲は過去数回OEKも取り上げていますが,ナッセンさんの指揮は体格の割りに(?)とても緻密なもので,透明感あふれる冒頭部,キレの良いリズム,素朴な民謡の変奏で大きく盛り上がる終盤までとてもくっきりと情景が描き分けられていました。最後の部分は,本当にデリケートで,まさに絶妙という感じの演奏となっていました。
演奏後はサイン会が行われましたが,間近で見るナッセンさんは...大きかったです。ナッセンさん指揮の武満作品集のCDにサインしてもらったのですが,ジャケットの写真を見て「New cover?」などとおっしゃられていましたので,「This is Japanese version」などと適当に答えておきました。何故か最後には握手などしてしまいまったのですが,良い思い出になりました。
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