OEKの兵士の物語
金沢市民芸術村パフォーミングスクエアで行われた,OEKメンバーと金沢の地元の俳優とダンサーが共演した,ストラヴィンスキーの「兵士の物語」の公演を聞いてきました。このパフォーミングスクエアに行くのは久しぶりのことなのですが,ストラヴィンスキーならではの少々安っぽくちょっと不思議な小編成音楽劇を見るにはぴったりの場所です。
OEKメンバーがこの曲を取り上げるのは2回目のことと思いますが,前回はアナウンサーのナレーション付きでの公演でした。今回は俳優3人が分担していただけあって,さらに見ごたえ,聞き応えのあるものになっていました。最近よく聞く言葉でいうと,兵士役(第七警察さん)と悪魔役(風李一成さん)の”キャラ”が立っており,大変よく雰囲気が伝わってきました。この2つの役以外は,所村佳子さんが務めていましたが,所村さんのナレーションも大変聞きやすく,ドラマの展開をしっかりまとめていました。
今回の音楽監督はOEKの坂本さんだったのですが,このヴァイオリンを中心に独特の毒と安っぽさとモダンな雰囲気のある音楽を楽しませてくれました。指揮者なしでは演奏しにくいような複雑な曲もありましたが,役者さんの演技との息もぴったりでした。
オリジナルの脚本は,第1次世界大戦の頃に書かれたものですが,今回の脚本は,うまく現代風の味付けと金沢の地元ネタを加えており,「金沢版」と言って良い内容になっていました。4人のダンサーによるバレエや効果的な照明,簡潔だけど印象的な舞台美術など,ちょっとした総合芸術になっていました。OEKと地元劇団とに接点ができたことは今回の大きな収穫だったのではないかと思います。
前半は,バッハのインベンションをヴァイオリンとコントラバス用に編曲したものとピアソラの曲が演奏されました。こちらの方も会場の雰囲気によく合っており,大変楽しめるものでした。
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