岩城宏之メモリアル・コンサートで新シーズン開幕
2008~2009年の定期公演シリーズは,「岩城宏之メモリアル・コンサート」で開幕しました。この日の主役は,今年の岩城宏之音楽賞受賞者の荒井結子さんで,ハイドンのチェロ協奏曲第2番を見事に聞かせてくれました。この曲は,高音部が続出する難曲ですが,密度の高い音色でじっくりと聞かせてくれました。井上道義さん指揮OEKの伴奏も,新人をサポートする気分に満ちた暖かなものでした。
今回の公演のもう一つの注目は,三枝成彰さんの「イカの哲学」です。曲のタイトルとしては(本のタイトルとしてもですが),何とも珍妙なタイトルですが,曲の内容の方も型破りのものでした。ナレーション付きのピアノ協奏曲というのがまず独創的です。曲の冒頭から速く強烈なピアノの打鍵が続き,木村かをりさんは大変だったと思います。オーケストレーションも華やかで,中沢新一さんによる,「哲学的」なシナリオと不思議にマッチしていました。
演奏会の最後はベートーヴェン交響曲第1番でした。この曲がメインに来るのは珍しいことですが,さすがベートーヴェンの曲です。大変爽快に締めてくれました。実演で聞くのは久しぶりのことでしたが,改めて良い曲だと実感しました。
そして,最後にアンコールとして,井上道義さんからのプレゼントのような小品が演奏されました。私自身,今年になって30回ぐらいは聞いている,あの曲です。
というようなわけで,幸福感に満ちたとても良い雰囲気の演奏会になりました。
PS.この日もCD録音を行っていました。あの「イカの哲学」がどう収録されているか大変楽しみです。
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