OEK定期公演F:千住明の世界
OEK定期公演ファンタジー・シリーズの千住明の世界に出かけてきました。この演奏会ですが,まさにタイトルどおり「千住明の世界」で,アンコールを含めて全曲が千住さんの作品でした。このような形でコンサート全体を千住さんの作品で覆い尽くすことは非常に珍しいと千住明さん自身語られていましたが,聞く方から見ても,テレビや映画のための音楽以外の千住さんの作品に接することができたのは大変貴重でした。
千住さん自身,「注文を受けて曲を作ることが大半だが,その場合自分を抑えざるを得ない」というような興味深い話をされていましたが,前半,妹のヴァイオリニスト千住真理子さんとの共演で演奏された2曲の弦楽合奏とヴァイオリンのための協奏曲的作品などは,「自分が作りたい本当の作品」とのことでした。
どちらも静かで透明感のある作品で,同じ音型が繰り返されているうちに心地良さが出てくる作品で,美しさに浸りながら癒された人も多かったと思います。真理子さんのヴァイオリンも情感豊かでしっとりとした音による絵画の世界を楽しませてくれました。
後半の「風林火山」の音楽が中心でした。こちらはトランペット,トロンボーン,ホルンなど金管楽器が大活躍する曲で,前半とは違った職人的な音楽作りを聞かせてくれました。実は「風林火山」は,昨年1年間,全回見てしまいましたので,音楽を聞きながら,頭の中で「迅きこと風のごとし...」と内野さんの声を甦らせながら聞いていました。まだ1年も経たないのですが,大変懐かしくなりました。テーマをはじめトランペットの高音が頻出する曲ですので,トランペットパートの3人の皆さんは大変な重労働だったと思いますが,聞くたびにテンションというか闘争心が湧き上がる曲です。
アンコールでは,やはり同じNHKの「ほんまもん」と「雪の女王」のテーマが演奏されましたが,この辺は,「演奏しないと帰れない」曲ですね。終演後は,CD購入者向けにサイン会を行っており,私も参加してきましたが,大変,大勢の人が集まっていました。華やかさと和やかさに包まれた,とても良いムードの演奏会だったと思います。
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