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2008/10/31

能とオーケストラのコラボレーション

今回のOEKの定期公演PHは,「能とオーケストラのコラボレーション」でした。もともとOEKは,コラボ大好きのオーケストラですが,今回の定期公演は,かつてないような演奏会となりました。

後半の最後で演奏された,高橋裕さんの「能とオーケストラのための「井筒」」をはじめ,どちらかというと邦楽のテイストの方が強い公演で,「これがオーケストラの定期公演?」という意外性に満ちた内容でした。唯一演奏された”クラシック音楽”のヴィヴァルディのファゴット協奏曲にしても,バロック音楽ですので,古典派~ロマン派~20世紀の音楽が全然演奏されなかったことになります。この辺の普通でない選曲は,指揮の井上道義さんの意図だと思います。

その他,狂言「見物左衛門」,舞囃子「高砂」といった純粋な邦楽も上演されましたが,どの曲にも共通していたのはドラマ性でした。ヴィヴァルディのファゴット協奏曲でさせ,照明や効果音を加えることで,夜から朝へのドラマとなっていました。そして,何より驚いたのは「十字軍の音楽」と題されたステージです。オーケストラの演奏というよりは,室内楽の演奏なのですが,井上さんの軽妙なトークとともに大変楽しいステージを作っていました。

最後の「井筒」は,通常の能にオーケストラが加わるような形でしたが,能単独で鑑賞するよりは,分かりやすくなっていたような気がしました。ちょっとしたオペラを見るような雰囲気があったのも面白いと思いました。個人的には,もう少し”普通”のクラシック音楽を聞きたい気もしましたが,OEKならではのチャレンジ精神に満ちた公演だったと思います。

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コメント

本当に、かつて無いような演奏会でしたね。能楽好きな私には大歓迎でしたが、主催者側も気になっているようで、アンケート用紙が配られていました。階段室から近道して出てしまったら、アンケート用紙をうっかり持ち帰ってしまいました。いつも駄文はお恥ずかしいですが、今回ばかりは私もこの場をお借りして、感想をお伝えしたいと思います。

hs様おっしゃるとおり、純粋なクラシックファンには、物足りなかったかもしれませんが、私は満足でした。今年はフィルハーモニー・シリーズの会員にもなって本当によかったと、喜びました。
演劇である能楽と純粋音楽とのコラボというのは本当に難しいんだろうなあ、というのが正直な感想でした。私の理解では、能楽というのは「心象風景の象徴的な表現形式」であり、そのような能にとっては、囃し方以外にオーケストラの音はやっぱり無いほうがいいかもなあ、と思ったりもしました。
西洋音楽のダイナミックな時間(クラシック音楽)と、特に能楽に象徴的な、静止=多次元的な時間(能の囃し方)との融合はなかなか難しい。(武満徹さんの音楽はこれを統一した成功例であったと、勝手に思っています。。。音楽にも演劇にも、ズブの素人である者の戯言でありますので、どうぞ悪しからず... m(_ _)m )
一方、Jazzも大好きな私にとって、Jazz奏者とのコラボは、とてもいいです。(どっちも「音楽」ですし。)

しかし、今回のような試みは、今後も是非続けていただきたいです。井上音楽監督もおっしゃるように、こういう企画こそ金沢らしいし、今後、芸術的な深みを増していく可能性を秘めていると思います。

私は、この囃し方の、大鼓(オオヅツミ)の音がこよなく好きです。私にはとても硬質で乾いて聞こえるこの音を聴いているだけで、幸せになれます(笑)。これは邦楽器にしか出せない音色ではないでしょうか。歌舞伎や、大相撲の呼出しに用いられている柝(キ)も、同様に硬質な乾いた音で、大好きです。先日初めて両国国技館で大相撲を観る機会があり、この柝を自分への土産に買ってきました。(但し、最高級拍子木という表示で、「柝」という表現が無く、少し寂しかったです。)

十字軍の音楽も、とても楽しめました。井上監督の、演奏会を何としても楽しく盛り上げたい、という誠意と熱意を感じました。文字通り「古典音楽」の姿を学ばせていただきました。

今回の定期公演は、かつて無い大胆な試みをされたと思いますが、同様の試みを今後も続けていただきたいと、私は思います。

covariantさま,こんにちは。今回の定期公演は,面白い試みの連続でしたね。最近,井上監督がいろいろな場所でOEKのことを書いているのを見かけますが,OEKならではの新しい定期公演を作り,本気になってそれを盛り上げたいのだ,という心意気が伝わってきました。

実は私も今回の”コラボアンケート”を出しそこなってしまったので,この場を使って,思いつくものを書いてみたいと思います。

・歌舞伎とオーケストラのコラボ(響敏也さんにシナリオを書いていただいて,トスカとかカルメンを和風にできませんかねぇ。
それかOEKオリジナルの歌舞伎風歌劇のオリジナル作品を作る)

・映像とオーケストラ演奏のコラボ(音楽堂をプラネタリウムのようにして宇宙をイメージさせる音楽を流す)

・演歌とオーケストラのコラボ(いろいろなオペラアリアを演歌調に歌ってもらう。黛さん時代の「題名のない音楽会」で美空ひばりが「歌に生き恋に生き」を歌ったのを秘蔵映像のような感じで見たことがありますが,そういうイメージです。または,民謡調で「誰も寝てはならぬ」とか「オーソレミオ」いうのはどうでしょうか?その代わりクラシックの歌手が演歌を歌う)

・OEKの伴奏でミュージカル(交流ホールで新しいシリーズが始まっていますが,その延長で「マイ・フェア・レディ」などをOEKの伴奏で上演)

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