セミョン・ビシュコフ指揮ケルンWDR交響楽団金沢公演
連日の演奏会となりましたが,毎年,この時期恒例となっている,東芝グランド・コンサートに行ってきました。今年は,セミョン・ビシュコフ指揮ケルンWDR交響楽団の公演でした(ケルンWDR交響楽団というオーケストラは,以前はケルン放送交響楽団と呼ばれていましたが,近年はこちらの名称で呼ばれているようです。)。
この日のプログラムは,シューマン,ベートーヴェン,ブラームスというドイツ音楽ばかりということで,このオーケストラにとっては,もっとも基本的なレパートリーなのではないかと思います。ビシュコフさんは,ロシア出身の指揮者ということで,もっと濃い演奏を予想していたのですが,非常に正統的で,どちらかというとスリムな響きを聞かせてくれました。特に前半の2曲では,トランペットやホルンなどは古楽器を使っていたようで(ティンパニは,前半後半ともバロック・ティンパニだったと思います),すっきりした味わいがありました。
#と思ったのですが,「通常のティンパニ」とOEKわたなべさんにお知らせいただきました。どうもありがとうございます。
後半のブラームスは,編成が少し大きくなっており,非常にバランスの良い,充実した響きを聞かせてくれました。どの楽章もじっくりと聞かせてくれたのですが,楽章の終盤になると,自然に音楽に熱がこもり,大変聞き応えがありました。終楽章でのフルートをはじめ,管楽器のソリスティックな活躍も見事でした。
今回のもう一つの収穫は,2曲目のソリストとして登場した,若手ヴァイオリン奏者のヴィヴィアン・ハーグナーさんの演奏を聞けたことです。実は,どういう方か全く知らなかったのですが(実は演奏曲も忘れており,メンデルスゾーンの協奏曲が演奏されるものとばかり思っていました...),非常に知的で抑制の効いた演奏を聞かせてくれました。技巧も非常に安定しており,立派な彫刻を見るような演奏でした。それでいて厳めしいところはなく,若々しく,親しみやすい表情も持っていました。非常に素晴らしいヴァイオリニストだと思いました。
ここ数年,金沢に来る外来オーケストラがブラームスの交響曲を演奏する機会が非常に多いので,たまには別の作曲家の交響曲を聞きたい気もしましたが,聞き終わってみると,「やはり良いなぁ」と毎回思います。それだけ,指揮者にも聴衆にも愛されている曲・作曲家と言えるのかもしれませんね。
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