今回のOEKの定期公演は,いつもにも増して聞き応えたっぷりの連続でした。まず,何と言っても2曲目のブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番のソリストとして登場した神尾真由子さんです。チャイコフスキー国際コンクールで優勝した経歴をお持ちですが,もの凄い演奏でした。
この曲はロマン派のヴァイオリン協奏曲の代表作ですが,その魅力を最大限に引き出すような強く,熱く,激しい演奏でした。まずヴァイオリンの鳴り方が素晴らしく,自信たっぷりの堂々たる演奏でした。井上/OEKの方も神尾さんに負けまいとする熱く強い音を聞かせてくれました。その音のぶつかり合いと相乗効果に圧倒されました。日本には素晴らしい若手女性ヴァイオリニストが沢山いますが,今時珍しい(?)巨匠風の演奏を聞かせてくれるという点では最右翼の奏者と言えるのではないかと思います。
後半は,OEKのみで「アルルの女」の抜粋が演奏されましたが,これもまた気合がこもった,素晴らしい演奏でした。岩城さん時代から,OEKは室内オーケストラにも関わらずダイナミックな演奏を聞かせると言われてきましたが,この演奏もそのとおりでした。曲の出だしのユニゾンの部分から,ピンと張り詰めた強靭さがありました。しかも,それだけではなく,曲全体に渡って,何とも言えない,明るいタッチさとフランス風の香りのようなものがありました。昨年ぐらいから,OEKはフランス音楽を積極的に取り上げていますが,この北陸地方の冬とは思えない,カラッとした爽やかさは井上/OEKのサウンドの魅力だと思います。
アンコールですが...またまた,我らがミッキーが踊ってくれました。詳細は,後でご報告しましょう。
最初に演奏された,ハイドンの「軍隊」交響曲も素晴らしい演奏でした。井上さんのハイドンは,いつも上機嫌で,曲想にぴったりです。メヌエット楽章での細かい音の動きが,いつも聞いているのとちょっと違う感じで,響きがとてもすっきりとしていました。
というわけで,このところ,OEKの定期公演も絶好調という感じです。この公演ですが,CD録音と同時に,テレビ放送の収録も行っていました。放送されたら,是非,もう一度見てみたいと思います。
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