井上道義/OEK+NJPのマーラー交響曲第3番
お待ちかねの,井上道義指揮OEKと新日本フィルの合同オーケストラによるマーラーの3番を聞いてきました。演奏前,ステージいっぱいに並んだイスを見るだけでワクワクしましたが,演奏の方も聞き応え十分の演奏でした。
冒頭のホルン8本のユニゾンとそれに続く,パーカションの迫力たっぷりの響きの後,一気にマーラーのめくるめくような音の世界に引き込まれました。約100分間,一気に演奏されましたので,音楽だけに集中できました(さすがに全曲を聞いた後は疲れましたが)。
楽器の中では特にパーカッションの音が生々しく聞こえましたが(ティンパニの客演奏者の方は遠くからみると井上さんそっくりでした),それだけが突出するのではなく,いくつかのパーツをじっくりと積み重ねて,大きな建造物を組み立てていくような面白さががありました。
第1楽章の後は,比較的穏やかな曲が続きますが,第3楽章でのオルガンステージ奥から聞こえてくるポストホルン,第4楽章の直前に合唱団とソリストがすっと入ってきて,一気に雰囲気が変わる面白さ,など,劇場的な面白さもありました。特にメゾ・ソプラノ独唱の入る第4楽章は,バーナデット・キューレンさんがステージ中央に立ち,貫禄たっぷりの歌を聞かせてくれたので,宗教的な儀式を思わせる雰囲気がありました。
第5楽章では,特別編成の女声合唱とOEKエンジェルコーラスがメルヘン的な歌をしっかりと聞かせてくれました。続く第6楽章は,前半の幸福感に満ちた弦楽器の響きに続き,全曲を締めくくる大きなクライマックスになりました。最後のティンパニの響きには,大自然の鼓動を聞くような力強さがありました。
30分以上かかる第1楽章についてはOEKがトップ奏者,それ以降については,NJPがトップ奏者を務めていましたが,両方のオーケストラとつながりのある井上さんならではの公演だったと思います。今後も,マーラー,ブルックナー,ショスタコーヴィチなどを取り上げる「合同公演による大曲シリーズ」に期待したいと思います。
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コメント
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演奏会レビューにありました、オーケストラがやってきたの記述を読んで・・そういえば・・思い出しました。
私もNJPを観光会館の最前列で聴いておりました。
各々のNJPとの出会いが、ある地点で交差していたというのは面白いなあと感じました。
投稿: 広太家 | 2009/11/30 22:01