ラ・フォル・ジュルネ金沢明けは,山下洋輔×一柳慧のJAZZ!
ラ・フォル・ジュルネ金沢明け(ほとんど季語のようなものですね),最初のOEKの定期公演は,ジャズピアノの山下洋輔さんが登場するファンタジー公演でした。LFJK期間中にPRしていた,「おためし3000円パック」の効果があったようで,会場は満席に近い入りでした。どことなく,LFJKの余韻が残っているような空気でした。
コンサートの方も大変スリリングで楽しいものになりました。今回は,一柳慧さんの曲を3曲とガーシュインという,ちょっと他に例のないような独創的なプログラムでしたが,この取り合わせが最高でした。メインで演奏された,一柳さんのピアノ協奏曲第4番「JAZZ」は,どこかガーシュインのピアノ協奏曲ト調を思わせるような,ジャズの要素を取り入れた作品でした。どこまでが山下さんのアドリブで,どこまでが一柳さんの作品なのか判別できないところがありましたが,初演と同じ藤岡幸夫さんと山下さんの共演ということで,手の内に入った自在な演奏を楽しませてくれました。
山下さんは,いつもどおりの山下さんでした。ヒジを使ったり,もの凄い高速で,鍵盤上を高音から低音まで動き回ったり,いつもの「ピアノ炎上!」というスタイルでしたが,時おり,古き良き時代のレトロな雰囲気になるなど,軽妙さも楽しませてくれました。
前半は,OEKが既にCD録音も残している一柳さんの交響曲「イシカワ・パラフレーズ」に続いて,ガーシュインのラプソディ・イン・ブルーが演奏されました。山下さんのラプソディを聞くのは2回目のことですが,山下さん自身,いろいろなオーケストラとの共演に慣れて来たせいか,以前聞いた時のような「なんじゃこりゃ」という破壊的な雰囲気は薄まり,ジャズならではの即興性をオーケストラと一緒になって楽しむようなゆとりを感じました。もちろん「ピアノ炎上!」のような部分もありますが,聴きながら,「山下さんのピアノも完成の域に達したなぁ」などと感じてしまいました。
その他,一柳さん作曲のワルツも演奏されました。「一柳さんもこういう甘い作品を書くんだ」と思わせるほど,分かりやすい作品でした。ちょっとショスタコーヴィチのワルツを思わせるようなところもありましたので,井上/OEKのアンコールピースにも丁度良い曲ではないかと思いました。
というわけで,LFJK効果が持続していることを感じさせてくれるような,定期公演でした。
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コメント
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一柳さんの曲理解できました?私には全く理解できませんでした。私はもともと現代音楽は好きじゃないので。最近の芥川賞小説と同様作品の評価基準が変わったのでしょうか。とにかく聴きなれない和音とリズムと少ないOEK楽士の目いっぱいの大音響に疲れました。「JAZZ」は横浜開港150年記念の曲だそうですが、横浜ではなく騒々しい上海港のように感じました。盛んな拍手に驚きました。何年も聴いてきた今までのOEKの演奏で最悪だったと感じたのは私の芸術理解不足のせいでしょうか?ファンタジーの定期会員の常連さんの姿も少なく、私のような招待券の客でなんとかホールを埋めたような感じがしましたが。こんな感想者がいてもいいでしょう。
投稿: | 2010/05/15 20:16
こんばんは。一柳さんの曲に限らないのですが,音楽については,所詮趣味の世界ですので,岩城宏之さんがよく語っていたとおり,「わかる/わからない」というよりは,「好き/嫌い」という判断で,自由に聞けば良いのではないかと思います。
今回の一柳さんの曲については,予想していたよりも聴きやすい曲のように感じました。また,山下さんとの共演という目新しさもあり,面白いと感じました。
こういうタイプの音楽が毎回続くのは,OEKらしくない気はしますが,たまにはこういう演奏会もあっても良いかな,と思いました。
投稿: 管理人hs | 2010/05/15 22:12