OEKの登場しないOEK定期。クリストプロス指揮南西ドイツ・フィルのドボルザーク8番は聴き応えたっぷり
今日は,「OEKの登場しないOEK定期公演」を聞いてきました。このパターンは,ここしばらくなかったのですが,なかなか面白い制度です。今回は,今年の2月にOEKを指揮したばかりのヴァシリス・クリストプロスさん指揮の南西ドイツ・フィルが登場しました。2月の公演の時から,素晴らしい指揮者だと思っていたのですが,今回のプログラムを聴いて,さらにその感を強くしました。
ヴァルヴのないホルンやトランペット,バロック・ティンパニを使ったモーツァルトの「パリ」交響曲も充実していましたが,何よりも金沢では,意外なほど実演では演奏されない,ドヴォルザークの交響曲第8番が見事でした。どちらかというと遅めのテンポでしたが,どの音もエネルギーが満ちており,非常に引き締まった演奏になっていました。力と輝きのあるフルートの音をはじめとして,各パートの演奏も素晴らしく,正攻法で堂々と聞かせる,王道を行くような演奏でした。
2曲目に登場した庄司紗矢香さんをソリストに迎えてのプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番も見事な演奏でした。庄司さんのヴァイオリンもまた,正攻法で,大変たっぷりとした演奏を聞かせてくれました。円熟味を感じさせるような立派な演奏でした。
クリストプロスさんと南西ドイツ・フィルは,モーツァルトの曲を中心とした日本ツァーを行い,今日の公演がその千秋楽でした。この日の音楽堂はほぼ満席でしたが,演奏者にとっても,有終の美を飾るような,充実感だっぷりの演奏会だったのではないかと思います。
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コメント
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久しぶりに"濃い"演奏会でした。南西ドイツフィルは確かにローカルな味わいがありました。決してスマートではないけれど、全体にたっぷり・じっくり鳴り響いていました。ドヴォルザークでは、OEKメンバーの一部と合同していましたが、これはオケのホームグラウンド、わが音楽堂ならではの強みでしたね。
ちなみに、私にとって生"ドヴォ8"は、高校生の頃?コシュラー&スロヴァキアフィル来沢公演以来だと記憶します。
ドヴォルザークはベートーヴェンと同じくティンパニの活躍が重要だと思います。昨晩の演奏も細かくバチを変えながら決め所はバッチリという感じでした。
前半のモーツァルトでもバロックティンパニが要所を決めていました。
庄司さんのプロコフィエフですが、いつも通りエッジが鋭く、決して咆哮せず、全ての音が明快であり、かつ優美さを失わない・・・全くの庄司スタイルが昨晩も冴えていました。過去3回の音楽堂登場ですが、このプロコフィエフが最も庄司さんの天才を証明しているように聴こえました。
プロコフィエフでも打楽器が重要な役割でした。スリムな女性の打楽器奏者さんが印象的でしたね。アンコールでも愉快そうにやってました。
南西ドイツフィルの日本ツアーは昨晩がラストだったんですね。私が帰る頃には多くの奏者が燕尾服のまま楽器などをかかえ、いそいそとホテルの方へ歩いて行きました。私の拙い耳には「ビア・・」がどうしたという会話だったように聞こえ、どうもこの後、打ち上げでビールなのかなーなんて想像しました。
南ドイツの楽団員=ビールが大好きそう(別にどの国の楽団員もお酒大好きそうですが・・・)じゃないですか。「お疲れ様、どうか思いっきり金沢の夜を愉しんでくださいな」と声をかけたい気分になりました。
そこで私も帰って早速黒ビールで乾杯。たまには"濃い"演奏会ってのも良いものですね!
投稿: めの・もっそ | 2010/06/17 08:58