ファジル・サイ ピアノ・リサイタル 異色!強靭!超絶技巧のジャズピアニスト
今日はトルコ出身のピアニスト,ファジル・サイのリサイタルを聞いてきました。ラ・フォル・ジュルネ金沢を除くと,金沢で,外国の有名ピアニストのリサイタルが行われる機会は少ないのですが,今回のファジル・サイの演奏会は,まさに痛快そのものでした。
まず,ヤナーチェク,ベートーヴェンのテンペスト,プロコフィエフの第7ソナタ,展覧会の絵というプログラムは,サイの技巧の冴えと魅力を最大限に引き出してくる,聴き応えたっぷりのものでした。サイのピアノのタッチは,硬質・強靭で,冷たい狂気を感じさせるような凄味がありました。さすがにベートーヴェンのテンペストについては,かなり違和感を感じましたが,それでも実演ならではのスリリングな魅力がありました。
前半の最後に演奏されたプロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番は,実演で一度聴いてみたかった曲ですが,サイの感性とピタリと合っていました。最終楽章など,ほとんどフリー・ジャズという演奏で,クラシック音楽の枠組みを越えたような演奏だったと思います。
後半の展覧会の絵は,冒頭のプロムナードから大変力強い演奏でした。サイは,グレン・グールドばりに,鼻歌まじりで演奏するのですが,「古い城」での鼻歌は,意外に(?)良い味になっていました。少々一本調子かなと思える部分もあったのですが,最後の「キエフの大門」のスケール感は圧巻でした。
「バーバヤガー」のような曲では,裏拍を強調するような感じで,ジャズ・ピアノに通じるものがあるなぁと思っていたらアンコールでは,本当にジャズの曲が演奏されました。サイの自由自在の演奏と先日聞いた守屋純子さんのジャズ講座を思い出しながら,ジャズとクラシックは区別する必要はなさそうだ,と改めて実感しました。
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