いしかわミュージックアカデミー日本海交流コンサートwithOEK 何とも豪華なヴァイオリンの競演!IMA音楽賞も発表
いしかわミュージックアカデミー関連のイベントのトリとなる「日本海交流コンサートwithOEK」を聞いてきました。昨年はフェスティバルコンサートという名称でしたが,今年は,「日本海」という名称を入れ,韓国と日本の若手ヴァイオリン奏者とOEKの競演という特徴を強く打ち出していました。
最初にIMAオーケストラとOEKの弦楽セクションの競演で大変ゴージャスな響きのバルトークが演奏された後,前半は正戸里佳さんとクララ=ジュミ・カンさんが登場しました。演奏された曲は,ツィガーヌ,序奏とロンド・カプリツィオーソ,ツィゴイネル・ワイゼンということで,ヴァイオリンの技巧的な定番曲を3つ並べるという大変豪華な内容でした。お二方とも,唖然とするほど,見事に聞かせてくれましたが,特にクララ=ジュミ・カンさんの堂々たる演奏は圧倒的でした。数日前に交流ホールで聞いたばかりでしたが,コンサートホールでさらにスケールの大きな演奏を聞かせてくれるあたり,ただ者ではないと思いました。
後半は,マウラーという作曲家の4本のヴァイオリンのための協奏交響曲という珍しい作品が演奏されました。登場したのが,鈴木愛理さん、青木尚佳さん、 松本紘佳さん,インモ・ヤンさんの4人でした。古典派風のシンプルな曲で,オペラの四重奏を聴くような,楽しさのある曲でした。それぞれが競うようにソロパートを演奏したり,大変華やかで楽しい演奏でした。
演奏会の最後は,ヒョンス・シンさんの独奏で,モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番が演奏されました。シンさんは,鮮やかなコバルト・ブルーのドレスで登場しましたが,その印象どおりの,洗練された素敵な演奏を聞かせてくれました。
今回のIMAは,いろいろと新しい試みが行われましたが,しっかりと金沢に定着してきた気がします。韓国からの受講者がさらに増え,今回の演奏会のタイトルどおり,日本海地域のアカデミーとして発展して行くことを期待したいと思います。
なお,今年のIMA音楽賞ですが,次のとおり公式サイトで発表されていました。
http://ishikawa-ma.jp/news/topics.cgi?action=201008261721
この中から,来年のIMAで行われる各種コンサートに出演される方が出てくることでしょう。今後の活躍に期待したいと思います。
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管理人さま、レビューを拝見しました。
シンさんについてですが、舞台を去る足が速かったり、舞台の立ち居振る舞いがあまり堂々としていないとか・・・私も気になりました。たぶん、それはスリムな容姿とか、若さのせいだけでなく、そもそも彼女は「シャイ」なんじゃないかなーと私は見ています。
シャイさは音楽にも現れていて、しっかりとした技術と、高度に洗練された美しい表現を貫いていながら、どこか内向きな気分を感じさせます。いわゆる押し出しの強さは感じられません。
個人的にはシンさんのような清楚なヴァイオリンが好きなのです。昨今、若い弦奏者は「超テク系」「爆演系」が多くなる傾向ですが、シンさんには、そうした方向とは違う、品のある落ち着いた演奏を続けて欲しいと願います。
アンコールのクライスラーは彼女の十八番なのでしょうか、こちらでも視聴できました。
http://www.youtube.com/watch?v=FkBYhWeijS0&feature=related
投稿: めの・もっそ | 2010/08/28 16:23
めの・もっそさん,こんにちは。
シン・ヒョンスさんの演奏も十分強さはあると思うのですが,それが前面に出すぎることはなく,本当に品良く聞かせてくれましたね。アルトゥール・グリュミオーという名ヴァイオリニストがいましたが(実演を聞いたことがないのに書いていますが),こういうタイプのヴァイオリニストにもっと出てきて欲しいな,と思っています。
とはいえ,私の方はクララ=ジュミ・カンさんの方もすごいなぁと思いました。このお二人が,今後どう活躍の場を広げていくのか注目したいと思います。
ちなみにこのお二人ですが,9月に行われるインディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールに出場されるようです。
http://www.violin.org/2010comp/participants.html
この結果にも注目したいと思います。このお二人以外の Yoo Jin Jang さんもIMA出身の方ですね。日本の木嶋さんも参加されるようです。
というわけで,今年もまたIMA出身のコンクール受賞者が出る確率はかなり高そうです。
投稿: 管理人hs | 2010/08/29 10:38