鬼才。金澤攝 「ピアノ・エチュード大観」 1830年代のエチュード史(前編) 第1景を聞いてきました。ヒラーの6つの組曲形式によるエチュード集はすごい曲でした。
今日は,小林美恵&清水和音という選択肢もあったのですが,石川県立音楽堂で行われた,金澤攝さんによる新シリーズ 「ピアノ・エチュード大観」― 1830年代のエチュード史」の第1回目を聞いてきました。
知られざるピアノ曲を着々と発掘していく金澤攝さんの活動は,非常に地道なものですが,ここまで徹底すると唯一無二の誰も真似できない活動として,全国的にも注目を集める存在になりつつあるようです。新シリーズの「ピアノ・エチュード大観」というのも金澤さんならではの企画で,ロマン派時代のエチュードをシリーズで聞いていくというものです。
その第1回に演奏されたのが,フェルディナント・ヒラーという作曲家による,6つの組曲形式によるエチュード集(24のエチュード) Op.15という作品でした。この曲が演奏されるのは,非常に珍しいことだと思いますが,全部で1時間以上掛かるもの凄い作品でした。シューマン風に響いたり,ショパン風に響いたり,リスト風に響いたり,さらにはプロコフィエフなどを思わせるような曲があったり,ピアノ音楽のありとあらゆる要素が詰め込まれた,大変多彩な24曲ででした。こういう作品を1830年代(ヒラーの20代前半)に書かれたというのが驚きです。
金澤さんの演奏からは,「こんなにすごい曲があるんだ」と曲を発掘し広めようとする使命感が感じられました。楽しんで聞くというよりは,悲壮感のようなものさえ漂っている感じでしたが,そこがまた金澤さんの演奏の魅力です。ヒラーの作品がどれぐらい「知られていない」のかは分からないのですが,今回の演奏をきっかけにリバイバルして欲しい作曲家だと思いました。
このシリーズですが,第2回目は10月1日に行われます。
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