井上道義指揮、広瀬悦子(ピアノ)OEK定期公演を聞いてきました
秋の連休初日、金沢は快晴でした。市内では金沢ジャズストリートというイベントを各所で行っていましたが、私は、その中を抜け、OEKの定期公演を聞いてきました。
今回の公演は、秋の全国ツアーの初日でもあったのですが、メンデルスゾーンの弦楽のための交響曲第10番でビシッと始まった後(本当に良い曲でした)、広瀬悦子さんをソリストに迎えてのラヴェルのピアノ協奏曲ト長調、後半は、武満徹の地平線のドーリア、そして最後にモーツァルトの交響曲第39番という内容でした。
最後のモーツァルトは、井上さんがOEKの音楽監督に就任した直後の演奏会でも演奏されましたが、基本的にすっきりとしていながら、いかにも人間的な感情の動きを感じさせてくれる点で、井上さんのキャラクターにピッタリの曲だと思います。第1楽章や第2楽章では、明るさと暗さが交錯し、表情が頻繁に変わるのですが、それが自然なドラマを感じさせてくれます。天衣無縫な第4楽章も井上さんにピッタリでした。
前半のラヴェルのピアノ協奏曲も大変楽しめました。OEKが過去何回も演奏してきた曲ですが、広瀬さんのピアノは大変軽やかで(視覚的にも大きく弾むような腕の動きが印象的でした)、私のイメージするフランス音楽のイメージにピッタリでした。奔放だけど洒落ており、OEKとのスリリングなコラボを楽しませてくれました。OEKの演奏も大変奔放で、特に打楽器や管楽器が非常にソリスティックに活躍していました。広瀬さんのテンポ感とピタリとはあっていない部分もあった気もしますが、その辺も含めライブならではの一気のノリで楽しませてくるような大変生き生きとした演奏でした。
後半最初の武満さんの地平線のドーリアも、OEKが比較的よく演奏している作品です。非常に前衛的な響きのする作品ということで、井上さんは、楽器の配置に独特の工夫を凝らしていました。詳細はレビューの方ご紹介しましょう。演奏を聞きながら、能の世界にも意外に合うかもと思ってしまいました(大魔神の見過ぎ?)。
9月後半は、このプログラムを中心に全国各地で演奏会を行います。近くの皆さんは、是非お聞きになってみてください。
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