井上道義さんの新作能「大魔神」を見てきました。
今回のOEKの「もっとカンタービレ」シリーズは、井上道義さんの構成による新作能、その名も「大魔神」でした。伝統的な能の感覚からすると、禁じ手だらけの作品だったと思いますが、渡邊荀之助さんのの声は、貫禄十分で、作品全体を「能」として引き締めていました。
作品の方は、井上さんの岩城さんに対する思いを描いた、やや私小説的なもので、少々饒舌過ぎるかなと思いました。プレトークで、ストーリーを説明されていましたので、井上さん自身の語りはもう少し控え目にし、音楽と能で語って欲しいと思いました。
最初に出てきたのが伊福部昭さんの「大魔神」の音楽というのが意表を付いていて、大変面白かったのですが、その後の部分は急に、スケールが小さなり、少々期待はずれでした。最後の部分のモーツァルトのグランパルティータのアダージョにあわせて、能が舞われる部分は、全曲のクライマックスでした。井上さんは、この部分を表現したかったのだな、ということがしっかり伝わってきました。
最後にモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」風の明るいエンディングとなり、出演者全員が舞台に登場するのは、面白かったのですが、やはり、「能」の後にはやや違和感を感じました。
というわけで、全体としては成功作とは言えなかったと思うのですが、「能を分かりやすく見せたい」という意図には共感できるものがありました。日本の芸能でいうと、井上さんの場合、能よりは歌舞伎向きの気もしますが、今度は、新作歌舞伎はいかがでしょうか?
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