ギュンター・ピヒラー/OEKのピリッ・カラッ風ベートーヴェンを堪能。リディア・バイチさんも見事な弾きっぷり
今日のOEKの定期公演PHは,ギュンター・ピヒラーさん指揮による,オール・ベートーヴェン・プログラムでした。ピヒラーさん指揮のOEKは,いつ聴いても集中度が高く,聴いていて,思わず背筋が伸びてしまうのですが,今日のベートーヴェンも,その本領発揮といった演奏会でした。
特に最後に演奏された,交響曲第2番は,最初から最後までずーっとテンションの高さが維持されており,キビキビというよりは,ビシビシという音が聞こえてくるような,引き締まった演奏でした。第4楽章の最初の部分などは,聞くといつも,「ピリッと」感じるのですが,今回のピヒラーさんの指揮ぶりは,さらに辛口で,言ってみればベートーヴェンのピリカラ風炒めといった趣きがありました。さすがピヒラーさんという演奏でした。
前半最初のコリオランは,ホールの響きをたっぷり聞かせてくれる落ち着いた演奏でしたが,基本的にはやはり,ピリッと引き締まっていました。
もう1人の主役のリディア・バイチさんが登場した,ヴァイオリン協奏曲も,全曲を通じて,一本筋が通ったような厳しさのある演奏でした。バイチさんの音には,くっきりとした明瞭さとバランスの良さがあり,ピヒラー/OEKの作る音楽と方向性が一致していると思いました。第3楽章最後のバリバリと弾きまくるような技巧的な部分などは,いかにも協奏曲的でしたが,そのこともあり,全曲を通じて,交響曲を思わせるような聴き応えのある演奏になっていたと思います。
これで今年のOEKの主要公演が終わってしまいました(早いですね)。12月の公演では,「くるみ割り人形」をしっかり楽しみたいと思います。
PS. 今日も演奏会の後,サイン会がありました。バイチさんの弾いたカデンツァが聴きなれないものだったので,”Whose cadenza did you play?"と思い切って英語で尋ねてみたところ,"mine"とのことでした。思わず,"Very good!"などと自然に相づちが出てしまったのですが,このOEK恒例のサイン会は,度胸試しの英会話の練習にも使えますね。正しい疑問文だったかは疑問ですが,ちょっとでも通じると嬉しいものです。
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ピヒラーさんのキリリと引き締まったベートーヴェンを堪能して、私の本年の定期鑑賞は終わりました(くるみ割りは行けません)
うーん、やっぱりベートーヴェンはいいですね!
OEKの2管編成にジャストサイズだし、響きもこのホール全体を適度に鳴らす感じでした。
プログラムも序曲、コンチェルト、交響曲と正しく?構成されていて、何もかもが無理なく楽しめました。(そういえばコンチェルトと交響曲は、どちらも二長調でしたね)
コンチェルトのソロであったバイチさんも、そのやや派手な外見と違い、奇を衒わない堅実な演奏で、ピヒラーさんの目指す音楽に合っていたので、最後まで安心して聴くことができました。
交響曲は管と打の厳しい打ち込みが何とも素晴らしく、「よし来年も気合入れて頑張るぞ!」って気分になりました、何故?
個人的な意見としては、今回のような伝統的な?プログラムが、定期ではもう少し多くあってもよいかなあ、というのを言っておきたいです・・・そのほうが、やはりお客の入りはよいと思うのですが、どうでしょうか。
今年の無事を感謝し、来年もここで楽しい音楽生活が送れるよう祈りつつ、ホールを後にしました。
投稿: めの・もっそ | 2010/11/23 11:44