OEKのCD

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2011/06/10

ダニエル・ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ金沢公演 ブラームス:交響曲4&1番。ストレートに曲の美しさを聞かせる快演。透明だけれども深いサウンドが魅力。1年後のOEKとの共演にも期待。

週末金曜日の夜。石川県立音楽堂で,ブラームスの交響曲2曲を聞いてきました。演奏は,ダニエル・ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ(MCO)です。このコンビは,大阪でブラームスの交響曲全集を演奏するので,その半分が演奏されたことになります。今回は,特に人気の高い4番と1番の組み合わせ,しかもチケット代もリーズナブルということで,会場はほぼ満席でした。

最初に4番が演奏されましたが,全く力んだところのない演奏で,オーケストラのくっきりとした音の美しさが自然に伝わってくるような演奏でした。楽器の配置は,コントラバスが下手側に来る古典的な対向配置でしたが,弦楽器の奏法はノン・ヴィブラートではなく,基本的にはオーソドックスなスタイルだったと思います。

それでも,曲全体の雰囲気は大変すっきりとしていました。ゆったりとした堂々たるテンポを取っていましたが,要所要所での音のキレ味の良さや木管楽器を中心としたクッキリとした音色が特徴的で,全体として爽快な後味が残りました。もったいぶったようなタメがないのも若々しく,ハーディングらしいと思いました。

4番では,変奏が進むにつれて,次々と音色が変わる4楽章の鮮やかさが特に印象的でした。聞いているうちに,どこか20世紀の音楽を聞いているような感覚になったのですが(これは,つい最近聞いた,OEKの定期公演の影響かもしれません),ブラームスの持つ音楽の現代性を浮き彫りにしていたような気がしました。曲の最後の方は熱くなっていましたが,それでも常に曲全体を俯瞰しているようなところがあり,大変スケールの大きな演奏になっていたと思いました(実際,室内オーケストラにしては,編成が大きく,弦楽器は,12-10-8-6-5ぐらいだったと思います)。

後半は,1番が演奏されました。やはり1番は盛り上がるので,この順番になったのだと思います。冒頭のティンパニの部分は,自然体で,深刻さとは無縁の穏やかな雰囲気で曲は始まりました。4番同様,曲全体を見通したようなメリハリがはっきりしており,各楽章ともに大きなクライマックスを切れ味良く,爽快に築いていました。大きな動作でスパっと音を切る姿がいかにも若々しく,ブラームスに命がけで立ち向かうといった壮絶さのようなものがないのが,ハーディングさんらしいところだと思います。

ハーディングさんとMCOは,楽譜にある音を鮮やかに再現しているのですが,それが恣意的ではなく,自然な音楽の流れになっているのが素晴らしいと思いました。各楽章ともMCOのメンバーの個人技も楽しめました。ハーディングさんは,メンバーの自発性を最高度に引き出しているようで,第4楽章などは,聞いていて,次々に花が咲いていくような,楽しさを感じました。

コーダの部分は,キレの良い音が続く,大変生き生きとした演奏で,このまま一気に走るのかな,と思ったのですが,いちばん最後の音は,長ーく伸ばした後,スッと音が減退していくように締めていました。金聖響さんのブラームス第1番もこういう終わり方をしていたのですが,力で威圧するようなところのない美しいエンディングというのは,とても新鮮です。

アンコールでは,交響曲第2番の第3楽章が演奏されました。吉井瑞穂さんの美しいオーボエ・ソロがソリストのように活躍していました。ここでは,ハーディングさんはほとんど手を動かさず,上半身を揺らすだけで指揮をしていました。ハーディングさんとMCOの関係の良さを見せてくれるようなアンコールでした。

その後,サイン会も行われました。実は,この日は休憩時間が25分もあり,その間,ハーディングさんが,ロビーに出てきて,自ら募金のお願いをしていました。この日は,ステージ上だけではなく,すぐ間近でもハーディングさんに接することができたのですが,その気さくさにも好感を持ちました。

ハーディングさんは,2012年7月のOEKの定期公演に登場することになっています。きっと,OEKファンだけではなく,OEKメンバーも,その虜にしてくれるのではないかと思います。1年後が今から楽しみです。

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コメント

終始呼吸(いき)の楽な演奏会でした。気負わないブラームス。4番からでも微笑みを感じさせる優しさやしなやかさを感じました。

確実に「次の世代」のクラシックでしたね。指揮者ハーディングの位置は、いわゆる権威とは正反対のところ、オケの仲間の一人のようでした。

MCOは非常に優秀ですね。皆がそれぞれ好きなように演奏しながら、お互いの音や意思を聴きあっているのがわかりました。

前回、ベートーヴェンを聴いた際の鮮烈さは、今回は感じませんでしたが、それはブラームスだったからででしょうか。編成も大きく、その分、若干大がかりに聴こえたのは仕方がないことですね。

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