OEKのCD

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2011年10月16日 - 2011年10月22日

2011/10/17

今晩は「協奏曲の夕べ」。上原彩子の「皇帝」VSブーニンのモーツァルト:23番 with 山下一史/OEK。どちらのキャラクターもしっかり発揮された,「ピアノ・フェスティバル」風演奏会でした。#oekjp

先週の金曜日から4日の間に3回,石川県立音楽堂に来ています。OEKの場合,「芸術の秋」というよりは,「ピアノの秋」という感じで,名ピアニスト,話題のピアニストが続々登場しています。この日は,「協奏曲の夕べ~二大国際コンクール優勝者を迎えて」ということで,一晩で上原彩子さんとスタニスラフ・ブーニンさんという2人の人気ピアニストが山下一史指揮OEKと共演登場するという,贅沢な内容の演奏会でした。

主催者としては,チャイコフスキーコンクールの優勝者対ショパンコンクールの優勝者という意図があったようですが,そろそろ,コンクール歴については,無視してあげたいところですね(特にブーニンさんには)。

前半は上原さんのピアノで,ベートーヴェンの「皇帝」が演奏されました。OEKはこの曲を,いろいろなピアニストと何回も何回も演奏していますが,今回の上原さんのピアノには特に明るく華麗な印象がありました。今回は3階席で聞いたこともあり,ホールいっぱいに気持ち良く広がる音を楽しむことができました。上原さんのピアノの音には,磨き上げられた美しさがあるのですが,その表現は,神経質ではなく,「皇帝」のタイトルに相応しい,堂々としたスケールの大きさを感じさせてくれました。

後半はブーニンさんによるモーツァルトのピアノ協奏曲第23番でした。曲の長さからすると,「皇帝」が後半に来るのが普通ですが,やはり,ここは先輩のブーニンさんに敬意を表したのかもしれません。演奏自体も,上原さんの「皇帝」に劣らない,個性溢れる演奏でしたので,この配列で全く問題はありませんでした。

ブーニンさんと言えば,ショパンコンクールで優勝した頃から,一癖も二癖もあるような演奏を聞かせてくれていました。曲によっては,「ついていけない」と思うケースもありますが,今回のモーツァルトとはピタリと波長があってしまいました。「自然体」とは正反対の演奏で,随所に「ひっかかり」とか「孤独感」を感じさせるものでした。

第1楽章の第2主題に入る前に大き目の間を入れ,音量とテンポをぐっと落として,暗く演奏する辺り,大変魅力的でした。第2楽章もシチリア舞曲の揺れるような感じは無視してゴツゴツと演奏していました。どこかグールドの演奏するバッハのような印象があり,これもまた魅力的でした。最終楽章については,若い頃は,猛スピードで演奏していましたが(ブーニンさんが初来日(多分)した時に外山雄三指揮NHK交響楽団と共演したライブ録音CDを何故か持っています),この日の演奏は,かなり落ち着いたテンポで演奏しており,不思議なファンタジーの世界に遊ぶといった趣きがありました。この辺は,人によって受ける印象は違うと思いますが,私には大変魅力的な演奏でした。

お2人はそれぞれ,ピアノ独奏曲のアンコールを演奏しました。チャイコフスキーの「四季」の中の1曲とショパンのマズルカの中の1曲ということで,絵に描いたようにバランスの良い選曲でした。

今回はOEKではなくピアニストが主役の演奏会でしたが,こういう演奏会を金沢で行うことができるのも,OEKという存在があるからでしょう。”ビエンナーレ”ということで2年に1度ぐらいはこういうフェスティバル的な雰囲気のある演奏会を楽しむのも良いものですね。

2011/10/16

石川フィルによるマーラーの9番を聞いてきました。実は,実演で全曲を聞くのは今回が初めてでした(もしかしたら金沢初演?)。マーラーの意図がしっかり伝わってくる充実の演奏でした。

今日は午後から,「2011ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭」の中のイベントとして行われた,石川フィルハーモニー交響楽団の特別演奏会を聞いてきました。

この演奏会の注目は何と言っても,マーラーの交響曲第9番です。近年,金沢でも,マーラーの交響曲が演奏される機会は少しずつ増えてきているのですが,6番以降の曲が演奏されたのを聞いたことはありません(OEKが以前,編曲版による「大地の歌」を演奏したことはありますが)。特に,今回演奏された第9番は,調性のある交響曲の到達点,といった名曲ということで,どういう世界が広がるのか楽しみにして演奏会に臨みました。

演奏は,大変立派でした。この曲は,アマチュア・オーケストラが簡単に取り組める作品ではありませんが,曲の全貌をしっかり伝える素晴らしい演奏だったと思います。第1楽章の出だしは,いろいろな楽器が,精密に組み合わさって始まります。さすがに,この部分は,バランスが不安定な感じでしたが,その後,曲が進み,楽章が進むに連れて,どんどん調子が上がってきた気がしました。

特に後半の3,4楽章は聞きごたえ十分でした。第3楽章はテンポが速い部分が多く,技術的な難易度が高い楽章ですが,冷静さと狂乱とが見事に合致しており,圧倒的な音楽を作っていました。この日の演奏では,管楽器は,どのパートも良かったのですが,特に楽章の中間部で出てくる,トランペットが見事でした。プログラムの解説に書いてあったとおり,第4楽章につながる,シンボリックな存在感をしっかりと示していました。

第4楽章も見事でした。何よりも弦楽合奏のうるおいのある響きとバランスの良い厚みが曲想にぴったりでした。最後の「息絶えるように終わる」部分も集中力抜群でした。「死の恐怖」を超越したような明るさのある響きは,マーラーの作曲の意図どおりだったのではないかと思います。

この日の演奏は,どの楽章もテンポ設定が丁度良く,それほど重苦しい感じはしませんでした。「マーラーの楽譜をしっかり再現しよう」という思いだけが伝わってくる,真摯さのある演奏だったと思います。マーラーの交響曲第9番にはライブ録音のCDに名盤と呼ばれるものが多いのですが,今回,初めてこの曲の全曲をライブで聞いて,その理由が少し分かった気がしました。各楽器の音の生々しさやそれらが表現する葛藤のようなものは,90分近く音楽に浸るのがいちばんなのかもしれません。

今回は,マーラーの前にモーツァルトのディヴェルティメントが演奏され,さらにその前に指揮者の花本さんによるプレトークも行われました。ディヴェルティメントの方は,マーラーの後だと印象が薄くなってしまいましたが,面白い組み合わせだと思いました。

プレトークもそうですが,花本さん自身が書かれたプログラム・ノートもとても良かったと思います。マーラーの9番は長く複雑な曲なので,プレトークの時に花本さんが言われていたとおり,今回はこのプログラムノートを見ながら聞いていたのですが,そのことにより曲全体の構成がよく分かりました。

そういった演奏以外の点も含め,とても充実した演奏会でした。マーラーの交響曲のような作品は,そう簡単には,演奏できないと思いますが,是非,今後も大曲に挑戦をしていって欲しいものです。難曲に挑戦し,それを見事に成し遂げた今回の演奏会は,楽団員の皆さんにとっては,大きな自信につながったことでしょう。そういう意味で,石川フィルの皆さんにとって,記念碑的な演奏会になったのではないかと思います。

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