明けましておめでとうございます。OEKニューイヤーコンサート2012は山田和樹さん指揮による大きな流れのある「英雄」とモナ=飛鳥・さんのピアノによるグリーグ。恒例OEKどら焼き付きでした。#oekjp
今年最初のOEKの定期公演は、山田和樹さん指揮のニューイヤーコンサートでした。ステージ上には花が飾られ、女性職員の皆さんが色とりどりの着物を着ていらっしゃるのは例年どおりで、会場全体が華やかな空気に包まれていました。お客さんもとてもよく入っていました。
プログラムは、シュトラウス・ファミリーを中心としたウィーンの音楽、というパターンではなく、ベートーヴェンの「英雄」とグリーグのピアノ協奏曲を中心に、名曲じっくりと聴かせてくれるオーソドックスな構成でした。
この日の演奏では、やはり後半に演奏された、「英雄」が聴きごたえがありました。山田さん指揮OEKのベートーヴェンといえば、数年前の「オーケストラの日」に聞いた第7番での熱い演奏を思い出すのですが、その時の、「若武者」といった感じの演奏に比べると、一段進化しているように感じました。
第1楽章の最初から、非常に柔らかな雰囲気で始まりました。若々しく推進力のある演奏を予想していたので、ちょっと意外だったのですが、アビゲイル・ヤングさんのリードするOEKの作る自発的な音楽をうまくコントロールするような指揮ぶりで、曲全体の構成を踏まえたようなバランスの良さがありました。「英雄」の第1楽章独特の変拍子風のアクセントなど、要所要所を締めており、曲が進むにつれてそのスケール感がじわじわと高まってくるようでした。
ちなみに1楽章のコーダに出てくる、トランペットの部分は、メロディが途中で、フッと消えてしまう形になっていました。一瞬「アレッ」という感じになりましたが、非常に引き締まったコーダでした。
第2楽章も遅めのテンポでじっくりと演奏されていました。各楽器の息の長い歌が印象的で、ここでもスケールの大きさを感じました。朗らかさのあるホルンが活躍する第3楽章に続く、第4楽章では精緻な音の絡み合いが聴きものでした。終結部は、キレの良い集中度の高い音の連続で、充実感を残して、全曲を締めてくれました。OEKをしっかりコントロールした、見事な「英雄」だったと思います。
前半に演奏されたグリーグのピアノ協奏曲では、モナ=飛鳥・オットさんの伸びやかなピアノが印象的でした。冒頭部から強さと同時に透明感のある響きを楽しませてくれました。第1楽章の途中、一瞬、ヒヤリとする場面があったり、もう少し完成度の高さが欲しいところもありましたが、曲の持つ初々しい雰囲気にはよく合っていました。
山田さん指揮OEKの演奏も、第2楽章での「北国ならではの暖かさ」といったムードをはじめ、モナさんにぴったりと付けていました。
# 3年前はお姉さんのアリスさんがニューイヤー・コンサートに登場しましたが、遠くから見た印象は「そっくり」でした。
最初に演奏された「魔笛」序曲でもそうでしたが、山田さんの作る、すっきりとしているけれども、豊かさを感じさせてくれるような音楽の自然さは、大変魅力的です。明日から始まる全国ツァーにも期待をしたいと思います。
PS. ニューイヤーコンサートの恒例となりつつある「OEKどら焼き」が今年も配られました。今から、しっかりと食べようと思います。
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