七夕の夜に聞くOEK室内オペラシリーズ。パーセル「ディドとエネアス」は,シンメトリカルに整った雰囲気から哀感が漂ってきました。バッハのコーヒーカンタータも楽しいステージ。#oekjp
七夕の夜,石川県立邦楽ホールで,OEK室内オペラシリーズを聞いてきました。今回は,バロックオペラの傑作,パーセルの「ディドとエネアス」とバッハのコーヒーカンタータが上演されました。このシリーズでバロックオペラが取り上げられるのは,「オルフェオ」以来ということで期待して観に行きました。その期待どおりの充実した内容でした。
ディドとエネアスは,1時間程度の短い作品なのですが,魔女役の牧野正人さんがストーリーを,芝居っ気たっぷりに,各幕の前にしっかりと説明されていましたので,予想以上にボリュームがありました。舞台はそれほど大がかりではありませんでしたが,非常によくできており,邦楽ホールの機能を生かして,場面がにスムーズに転換していきました。舞台全体に”シンメトリーの法則”が貫かれている感じで,整然とした品格の高さを感じました。ストーリーは悲恋物語ということで,その中から哀感が美しく漂ってくるのが何とも言えず魅力的でした。OEKの清冽な音もそういう気分にぴったりでした。
各歌手の歌唱も素晴らしく,ギリシャ悲劇をオペラで見るような雰囲気がありました。その中で,ハリーポッターに出てきそうな魔女役を楽しげに演じていた,牧野正人さんの声に圧倒的な輝きがあり,ドラマを大きく盛り上げてくれました。OEK合唱団も大活躍でした。この前の池辺さんのオペラ「高野聖」の時もそうでしたが,”動くセット”のような感じで,いろいろなフォーメーションを作って動き回り,各場面を盛り上げてくれました。魔女の出てくる場面では,天井から衣装が吊り下がって出てきたり,舞台全体にダイナミックさを加えていました。
前半に演奏されたコーヒーカンタータも楽しいステージでした。こちらはさらにシンプルなステージでしたが,いつもとは一味違った,ユーモア好きなバッハの世界をリラックスして楽しむことができました。バッハのカンタータは,世俗カンタータもかなりありますので,シリーズ化していって欲しいものです。
今回の上演では,「ドレスアップしてオペラを楽しみませんか?」という呼びかけをFacebookで行ったそうです。山野金沢市長もタキシードで来られていました。「オペラパーツ金澤」ということで,オペラを盛り上げるパーツになりませんか,という趣旨だったようです。「金沢発オペラ」シリーズを盛り上げるためのアイデアが次々出てくることは素晴らしいことだと思います。が,正直なところ,何をしていたのか,よく伝わってきませんでした。ロビー付近でシャンパンを飲んでいる人がいたり,写真撮影用のスペースがあったりしましたが...ドレスアップしてきた人用の特典?だったのでしょうか。
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