連休最終日はルドヴィート・カンタ チェロ・リサイタル。R.シュトラウス&ラフマニノフのチェロ・ソナタの組み合わせは聞きごたえ十分。ホールは後期ロマン派の薫りにつつまれました。
連休最終日の午後は,OEK首席チェロ奏者,ルドヴィート・カンタさんのチェロ・リサイタルを聞いてきました。カンタさんのリサイタルは毎年のように行われていますが,同じ曲をほとんど繰り返して演奏していないのが特徴で,チェロのレパートリーを制覇しようとしている感があります。今回演奏された曲は,リヒャルト・シュトラウスとラフマニノフのチェロ・ソナタという非常に渋いプログラムでした。
演奏会場は,石川県立音楽堂のコンサートホールの1階席だけを使っていましたが,カンタさんを囲む会の皆さんをはじめとしたカンタさんファンがしっかりと集まっている感じで,客席は暖かい雰囲気でした。
演奏された曲はどの曲ととても聞きやすい作品でした。
リヒャルト・シュトラウスの作品の方は,彼の若い頃の作品で,ブラームス,シューマンのチェロ作品を聞くようなドイツ音楽らしい気分がありました。若い頃から完成度の高い作品を書いていた点では,メンデルスゾーンにも通じるかもしれません。カンタさんの演奏は,いつもどおり変わった小細工をすることなく,曲の美しさをしっかりと,時に熱く聞かせてくれました。
後半に演奏されたラフマニノフのチェロ・ソナタは,さらに魅力的な演奏だったと思います。そういう先入観で聞くせいか,落日のロシア帝国といった趣きで始まった後,段々と明るさが戻ってくるようなストーリー性を感じました。第3楽章は,以前,泉鏡花の「外科室」という短編を坂東玉三郎が映画化した際に,挿入曲として使っていたことがあります。非常にセリフの少ない映画で,映像と音楽で耽美的な雰囲気を大きく盛り上げていた記憶があります。この日の演奏は,それほど耽美的ではなく,どちらかというと「幸せの予兆」といった感じの暖かみを感じました。
演奏会の時間がそれほど長くなかったこともあり,アンコール曲は3曲も演奏されました。終演後,ピアノのジュリアン・リームさんとカンタさんにそれぞれ花束が贈呈されましたが,それぞれのお子さんから別のお父さんの方に贈呈という形になっていました(多分)。こういう和やかな気分の演奏会を開けるのも,地元金沢ならではだと思います。
ようやく夏の暑さも去り,いよいよクラシック音楽を聞くのにぴったりの季節になってきました。そろそろ,OEK本体の演奏も聞きたくなってきましたね。
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