OEKのCD

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2012年10月28日 - 2012年11月3日

2012/11/01

エミール・タバコフ指揮OEK定期公演。容赦なく強烈でハードボイルドなドヴォルザーク8番に感嘆!コントラバスのカルチェヴァさんはスターの貫録 #oekjp

エミール・タバコフ指揮OEK定期公演を聞いてきました。タバコフさんはブルガリアの指揮者。演奏される曲はドヴォルザーク。ソリストで登場するのはコントラバス...ということで,のどかな田園風景を思わせるノスタルジック演奏会になるかなと思っていたのですが...逆に強烈なインパクトの残る演奏会となりました。

指揮者のタバコフさんは,日本での知名度はそれほど高くはないのですが,全く熱くならずに強靭な音楽を聞かせてくれる,どこかハードボイルドな雰囲気に強く惹かれました。実演は聞いたことはないので憶測で書いていますが,ゲオルク・ショルティとかアンタル・ドラティなどハンガリー系の指揮者に通じるようなソリッドな感じのする音楽を聞かせてくれました。ドヴォルザークの交響曲第8番の演奏の時は,OEKは,低弦を中心にいつもより編成を増強していましたが,非常にスケールの大きな音楽を聞かせてくれました。

指揮者のタバコフさんには,常に全体を見通しているような冷静さがあり,音楽に強烈なアッチェレランドが掛っても乱れるような感じはなく,常に安定感が感じられました。指揮の動作にも無駄がなく,大きく手を広げると,音楽もぐっと大きく広がるような感じで,OEKを自在に操っていました。ドヴォルザークの8番は,美しいメロディが沢山出てきますが,それに溺れることなく,音楽の立派さや強さを際立たせる辺り,本当に素晴らしい指揮者だと感じました。

2曲目はタバコフさん自身が作曲したコントラバス協奏曲が演奏されました。この曲には,冒頭から「おっ」と声が出そうなくらい,ゴツゴツとした感じの強靭さと前衛的な気分がありました。ソリストのマルガリータ・カルチェヴァさんは,OEKの客演首席コントラバス奏者としてすっかりお馴染みの方です。カルチェヴァさんが出演する演奏会では,毎回,そのにこやかで優雅な雰囲気に注目してしまうのですが,今回のようなシリアスな音楽でも確かな技を聞かせてくれました。ただし,独奏楽器としては,やはりコントラバスはやや地味で(音量が少し足りない気がしました),どちらかというと,他の楽器と一体となったような,オーケストラのための協奏曲的な雰囲気があると思いました。

最初に演奏された「売られた花嫁」序曲での,精緻な音の動きも聞きものでした。

この日の公演では,最後に演奏されたアンコール曲も大きな聞きものでした。パーカッションが炸裂する,「何じゃこりゃ」というぐらい強烈なインパクトのある東欧風の曲でした。後で掲示をみると,タバコフさん自身のブルガリアン・ダンスという曲でした(名前からして「アルメニアン・ダンス」を彷彿とさせるので,中高生が吹奏楽で演奏しても盛り上がるかもしれません)。というわけで,記念についつい,受付で売っていたタバコフさんの曲のCDまで買ってしまい,サイン会でサインを頂いてしまいました。

タバコフさんは,マーラーの交響曲全集のCD録音なども残しているとのことですが,是非,再度聞いてみたい指揮者です(OEKでも聞きたいし,大編成オーケストラでも聞いてみたいですね)。只者ではない指揮者だと思いました。

2012/10/30

OEK室内楽シリーズもっとカンタービレは,風李一成さんとの「兵士の物語」。人形劇とドラマが一体になった風李版は,素晴らしい説得力!楽しめました #oekjp

OEK室内楽シリーズもっとカンタ―ビレ,今回は金沢を中心に活躍されている俳優の風李一成さんとOEKメンバーによるストラヴィンスキーの「兵士の物語」を中心としたプログラムでした。OEKメンバーによる「兵士の物語」は,以前にも見たことはありますが(そのうち一回は風李さんとの共演でした),今回の人形劇と組み合わせたバージョンは,これまででいちばん楽しめた気がします。

まず,主役の兵士が人形+操作する人で演じられます。ちょうど人形浄瑠璃という感じです(二人羽織のようにも見えます)。セリフの方は,舞台袖に居る二人のナレーターが担当していましたので,形としては人形浄瑠璃風でした。ただし,ナレーションの方は,アニメーションの吹き替え風でした。

この兵士に対する「悪魔」が風李さんです。こちらの方は「吹き替え」ではなく,自分自身で演技をしながらセリフを語ります。この2人の絡み合いが非常にこなれており,まず,大変楽しめました。風李さんのキャラクターは,悪魔的なのですが,かなり[志村けん」的な雰囲気になったり,井上ひさしの劇に出てくるような「言葉遊び風」セリフが次々出てきたり,非常に個性的でした。

今回の脚本自体,風李さんによるものでしたが,恐らく,全体の構成・演出も風李さんによるものだと思います。風李版「兵士の物語」と言っても良い内容だったと思いますが,それが,本当によくこなれており,現代的な寓話としての説得力を強く感じました。

まず,「2つの幸せを得ることはできない」というテーマがしっかりと伝わって来ました。人形が演技することで,かえって思い切った演技になったり,アニメの吹き替え風のセリフが加わることでドラマ性が強調されていました。それに風李さんの怖いもの知らずの強烈な演技が加わることで(後半のトランプをしながら,酔っぱらう場面など面白かったですねぇ),テーマが分かりやすく伝わってきました。

最後の最後の場面,「2つめの幸福」を求めた兵士は,すべての幸福を失い,皆から捨てられてしまいます。この部分では,人形を操作していた人からも捨てられ,人形が床に放置されて全体が終わります。この効果は素晴らしいと思いました。人形劇にした狙いはこの部分にあったのだと思いました。

7人編成によるOEKの演奏も生き生きとしており楽しめました。全体に軽快でリズミカルに演奏されており,ドラマの展開とよくマッチしていました。この曲を実演で聞くのは3回目ですが,風李さん同様に,よくこなれた演奏だったと思います。演奏時間は,恐らく1時間以上かかっていた気がしますが,これまででいちばん楽しめた「兵士の物語」でした。

# この演奏では,久しぶりにクラリネットの遠藤文江さんが出演されていました。

前半はプーランクのホルン,トランペットとトロンボーンのためのソナタとジョリヴェのフルート,ヴィオラとハープのための小組曲が演奏されました。「兵士の物語」の印象を強かったので,プーランクの曲の印象は,吹き飛ばされてしまった感がありますが,ジョリヴェの方は,非常に楽しめました。フルートとヴィオラの音の絶妙のブレンドと,ハープが醸し出す華麗な雰囲気の両方を楽しむことができ,ジョリヴェの音楽の世界に浸ることができました。

今回の公演も,このシリーズらしく,凝ったプログラム+凝った趣向の演奏でした。「兵士の物語」は,今回1回の上演では惜しいぐらいでした。「もっとカンタービレ」シリーズについては,是非,演劇とのコラボなどを含めた今の路線のまま行って欲しいと思います。

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