OEKのCD

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2012年2月26日 - 2012年3月3日

2012/03/03

井上道義指揮OEK定期公演は、ラ・フォル・ジュルネを先取りする「こだわりのロシア音楽」。ショスタコーヴィチの交響曲第14番では2人の歌手の圧倒的な声の力で「死」の世界を徹底的に描写 #oekjp

今年のラ・フォル・ジュルネは、世界的にロシア音楽がテーマですが、今回のOEK定期公演では、それを先取りするような「こだわりのロシア音楽」が取り上げられました。

メインで演奏されたショスタコーヴィチの交響曲第14番は、一癖も二癖もあるショスタコーヴィチの交響曲の中でも特に変わった作品です。楽章数が11、弦楽器と複数の打楽器という編成、ソプラノ歌手とバス歌手が各楽章で登場し、「死」をモチーフとした曲を次々と歌う―ということで、マーラーの大地の歌と通じる部分もあるのですが、さらに晦渋さがあります。

私自身、生で聞くのはもちろん初めてですが、この曲の”胆”と言ってもよい二人のロシア人歌手の声の力が素晴らしく、有無を言わさぬ迫力をもった演奏となっていました。バス歌手は、井上さんの信頼の厚いセルゲイ・アレクサーシキンさんからニコライ・ディデンコさんに変更になったので、ちょっと心配でしたが、プログラムに書かれた井上さんのコメントどおり、「勝るとも劣らない」歌でした。ソプラノのアンナ・シャファジンスカヤともども、声量が豊かで、ロシア音楽にふさわしいスケール感をありました。声質もほの暗い感じで、「死」をテーマにした作品によく合っていました。

OEKの演奏も集中力十分でした。コントラバスやチェロが2人の歌手と絡む部分が随所に出てきましたが、室内オーケストラならではの親密さを持っていました。狂気をはらんだような弦楽合奏が出てきたり、3曲に1曲ぐらい打楽器が活躍する曲が出てきたり、よく考えられた構成になっているのもショスタコーヴィチらしいと思いました。

前半は、OEKの十八番、ビゼー-シチェドリン/カルメン組曲が演奏されました(一部カットを行っていました)。この曲はOEKファンにはおなじみの曲ですが、今回は、これまでに見たことのないような楽器配置で演奏していました。打楽器奏者5人を前方に、弦楽合奏を通常管楽器が座っている雛壇に配置していました。

そのせいか、いつもと音の響き方が違っていました。気のせいか、弦楽器の音が上の方に抜けて行っている気がして、ちょっと落ち着かなかったのですが、演奏の方は井上/OEKならではのこなれたもので、しっかり楽しむことができました。

この日のプログラムは、どちらも管楽器が出てこないロシア音楽ということで、うまくまとまっていたと思います。その変わり、明日の「もっとカンタービレ」公演で、管楽器だけの室内楽が演奏される、というのもうまくできています。弦楽器+打楽器組は、明日は東京の日比谷公会堂で、今回と同じ曲を演奏しますので、「2つのOEK」が、ほぼ同じ時間帯に別行動をしていることになります。これは、OEKならではの非常に面白いスタイルですね。

明日の日比谷公会堂での公演は、井上さんの思い入れの強さで実現したものだと思います。OEKがこのホールでどういう音を出すのか聞いてみたい気もします。

2012/02/26

井上道義指揮石川県学生オーケストラ&OEKのブルックナーの5番。最終楽章のコーダで見事な”音の大聖堂”が完成していました。#oekjp

この時期恒例の石川県の大学オーケストラの選抜メンバーとOEKによる合同公演を聞いてきました。ここ数年、OEK単独では聞けないような大曲が続き、毎年楽しみにしています。今年は、さらに大曲化(?)がすすみ、ブルックナーの交響曲第5番が演奏されました。演奏時間は約80分ということで、大きな挑戦だったと思いますが、素晴らしい演奏でした。

井上さんが演奏後のトークで語っていたとおり、”5分経っても同じ景色が続いている”という曲なのですが、最終的にはそれらが組み合わさって立派な大聖堂が作り上げられていました。大曲揃いのブルックナーの中でも特にこの曲には、そういう性格が強いので、聞く方もある程度の忍耐が必要なのです。恐らく、非常に練習は大変だったと思いますが、それがすべて報われたような演奏だったのではないかと思います。地道に煉瓦を積み重ねていくような持続力には、感動しました。

井上さんのテンポ設定は揺るぎのないもので(揺るがないテンポを維持することは実は、とても難しい気がします。)、熱気はあるけれども、ブレることのない音楽を作っていました。

第2楽章の途中に出てくる、たっぷりとしたメロディなど(弦楽合奏の瑞々しい歌が素晴らしかったです)、ところどころで、流れるように美しい音楽が湧き出てきます。こういう部分では、大聖堂を作っている途中に下を観てみると、素晴らしい景色が広がっていたというような趣きがありました。

例年通り、学生オーケストラ側が全部首席奏者を務めていましたが、その演奏も立派なものでした。第2楽章の最初の方に出てくるオーボエ、第4楽章の最初の方に出てくるクラリネットなど、曲の核となるようなモチーフをくっきりと演奏していたのが印象的でした。

そして、やはり最後の最後の部分のコーダでしょう。この部分では、別動の金管楽器が加わる演奏もありますが、今回は最後に全力を振り絞るような、気力十分の演奏を聞かせてくました。井上さんもこの部分では、最終コーナーで鞭(?)を入れるように、ずっと金管の方に向かって大きく指揮をしていました。実に感動的でした。

私自身、この曲を生で聞くのは今回が初めてでしたが、今回の演奏は、良い意味で「長さを堪能」させてくれました。ところどころで、細かいミスはあったかもしれませんが、OEKにとっても学生にとっても初めてという一期一会的新鮮さは他に換えられない魅力があると感じました(もう少しお客さんが入っていても良いと思いましたが、雪がまたまた降ってきたのも影響があったかもしれませんね)。

というようなわけで、毎年ブルックナーというのはシンドイかもしれませんが、「学生だけでは演奏するのは難しいけれども、OEKが加わればやれそう」という曲にこれからも挑戦していって欲しいと思います。

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