第10回学生オーケストラ&オーケストラ・アンサンブル金沢 合同公演カレッジ・コンサート 120人編成での「悲愴」の響きは爽快。北欧音楽特集のOEKの演奏も魅力的でした。#oekjp
この時期恒例の,OEKと大学オーケストラの選抜メンバーが共演する,カレッジコンサートを聞いてきました。今回の指揮者は,学生並に若い指揮者の松井慶太さんで,金沢大学フィルハーモニー管弦楽団,金沢工業大学室内管弦楽団,富山大学フィルハーモニー管弦楽団の選抜メンバーと共演しました。富山大学のオーケストラがこのコンサートに出演するのは今回が初めてです。
演奏会は前半最初に,OEKメンバーが首席奏者になった形でシュトラウスの皇帝円舞曲が演奏された後,OEKのみで,グリーグとシベリウスの作品が演奏され,後半のメインプログラムとして,学生側が首席奏者となる形で,チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」が演奏されました。
ホールに入ってみると,ステージ上には椅子がぎっしり。今回は120人ぐらいの編成だったようです。この編成で聞く,皇帝円舞曲には,そのネーミングに相応しい華やかさがありました。全体にワルツとしてはちょっと真面目過ぎる感じがしましたが,若々しい清潔感がありました。松井さんは,非常に長身の指揮者で,とても明快な指揮ぶりで,安心感を感じさせてくれました。
その後,学生オーケストラは引っ込み,OEKのみでグリーグとシベリウスによる,弦楽を主体とした作品が4曲演奏されました。1曲目と比較してみると,編成は小さくなったのですが,やはりOEKの音は引き締まった音だなぁと感じました。北欧ならではの,ちょっとメランコリックな感じの曲が並んでいたのも良かったですね。徐々に,後半の「悲愴」へとつながっていく感じでした。
メインの「悲愴」は,冒頭のファゴットのソロが実に堂々としていて,大船に乗った安心感で聞くことができました。松井さんのテンポ設定は,全体にたっぷりとした感じで,学生オーケストラものびのびと演奏できたのではないかと思います。第1楽章では,展開部でのブラスの咆哮が気持ちよかったですね。こういう部分を聞くと,若い人たちの演奏は良いなぁと思います。
第3楽章のスケルツォ風の行進曲の部分は,全体的に安全運転という感じで,もう少し派手に爆発して欲しい気がしました。その中でさすがと思ったのが,OEKの渡邉さんのシンバルでした。喝を入れるような鮮やかさでした。
第4楽章は,3楽章の後に拍手が入るのを警戒するように,ほとんどインターバルなしで始まりました。この楽章では,弦楽合奏の鮮烈さ,ドラマを秘めた歌わせ方が印象的でした。
全体としては,重くドロドロとした感じはなかったのですが,学生らしいひたむきさや爽快感が伝わってきて,しっかり楽しむことができました。何よりも,年に1回,これぐらいの大編成で聞けるのがOEKファンとしても嬉しいことです。今回から富山大学が加わりましたが,来年以降の展開も楽しみにしたいと思います。
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