OEK定期公演にエンリコ・オノフリ(EO)さん登場。大胆で緻密,軽やかで知的なバッハを堪能。OEKがEO風に変貌 #oekjp
先日のOEK室内楽シリーズに続き,エンリコ・オノフリさんがOEKの定期公演に登場しました。前回はヴィヴァルディ特集だったのに対し,今回はバッハ特集でした。演奏された曲は,ブランデンブルク協奏曲第3番,第2番,管弦楽組曲第3番ということで,バッハの有名曲中心のプログラムでした。
ただし,その音楽は,「がっちりした構築感のある音楽」というイメージのあるバッハではなく,非常に軽やかでセンスの良い演奏の連続でした。最初のブランデンブルク協奏曲第3番から,大変軽快でスピード感たっぷりでした。ただし,それが雑になることはなく,オノフリさんらしさがしっかり浸透した,緻密な音楽となっていました。第2楽章(楽譜的には音が2つだけだと思います)での桒形亜樹子さんのチェンバロの自在な雰囲気をはじめ,大変新鮮な演奏となっていました。
次にチェンバロ協奏曲第5番をヴァイオリン協奏曲としたものが演奏されました。この曲も大変魅力的でした。知らない曲かと思っていたのですが,第2楽章は何かの映画音楽で使われている曲ですね。オノフリさんのヴァイオリンのすっきりとした美しさが印象的でした。
前半最後のブランデンブルク第2番は,オノフリさんを含む,4人のソリストの演奏が見事でした。この曲はトランペットの難曲として知られていますが,ガブリエレ・カッソーネさんの音は非常にまろやかで,大変気持ちよく聞くことができました。何よりも素晴らしかったのが,他の楽器とのバランスの良さです。トランペットだけが突出することなく,濱田芳通さんのリコーダー,オノフリさんのヴァイオリン,OEKの水谷さんオーボエがそれぞれ見せ場を作っていました。
後半は唯一,ヴィヴァルディの曲が演奏されました。先日の室内楽シリーズの時も感じたのですが,オノフリさんの演奏でヴィヴァルディを聞くと,とても現代的に響きます。江原さんのヴァイオリン,カンタさんのチェロと一体となって,スリリングで自在な音楽を聞かせてくれました。
最後に管弦楽組曲第3番が演奏されました。トランペット3本が活躍するので,どこか,ヘンデルの王宮の花火の音楽のような雰囲気のある曲です。バロックティンパニの響きと合せて,明るく,祝祭的の気分いっぱいで始まりました。2曲目は,G線上のアリアと知られている「エール」ですが,この日は弦楽五重奏の形で演奏してました。オノフリさん一人で主旋律を演奏していたのですが,それがアドリブ風の音の動きたっぷりの独特の演奏でした。どこか,ゴルトベルク変奏曲のアリアを弦楽五重奏に編曲したような感じに聞こえました。この演奏もとてもセンスの良い演奏でした。その後の3曲はテンポの速い曲が一気に続きます。そのノリの良さも印象的でした。演奏会を締めるのにぴったりの勢いがありました。
オノフリさんは,各曲の結びの部分を「どうだ!」という感じで念を押すようなことをせず,わざと肩透かしをするように軽く絞めていました。大胆さとセンスの良さを同時に感じさせてくれる演奏の連続で,音楽堂の中はすっかりオノフリさんらしさに満たされました。Enrico Onofri風OEKといったところでしょうか。前回の室内楽公演と合せ,オノフリさんの求心力のすごさを実感できた1週間でした。機会があれば,EOさんには,是非OEKに再度客演して欲しいと思います。
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