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2013年5月

2013/05/31

安永徹&市野あゆみ&OEK定期公演は素晴らしい充実感。管とピアノの絶妙のバランスを楽しめたモーツァルト,永遠に続くような天国的なマルティノフ,「何と自由!」と思わせるハイドン。言うことなしです #oekjp

ラ・フォル・ジュルネ金沢明けに久しぶりに聞く(と言っても1カ月以内ですが)OEKの演奏は,おなじみ安永徹さんの弾き振りと,市野あゆみさんのピアノによる定期公演でした。

安永さんと市野さんの公演には,ハズレが無いのですが,今回の公演は特に素晴らしかったと思います。古典派んの曲と聞いたことのない現代曲という地味目の組み合わせでしたが,どの曲にも工夫が凝らされており,OEKの魅力を100%引き出してくれるような演奏の連続でした。何よりOEKが伸び伸びと,そして一丸となって演奏している様子が伝わってくるのが良かったと思います。

前半は市野さんのピアノを加えてモーツァルトのピアノ協奏曲第24番が演奏されました。OEKの音にはベートーヴェンを思わせるような引き締まった雰囲気があったのですが,全体的にドラマティックになりすぎることはなく,さりげない美しさを持った市野さんのピアノと共にほの暗い穏やかさを湛えた大人の音楽を聞かせくれました。特に随所に出てくる木管楽器との掛け合いが素晴らしかったと思います。

後半はまずマルティノフという現代の作曲家による「カム・イン!ヴァイオリンと弦楽のための」という曲が演奏されました。全くどういう曲が知らずに聞いたのですが...ほとんどヒーリングミュージックという感じの心地よさを持った作品でした。ただし,曲が進むにつれて同じ構造が何回も繰り返されていることが分かり,どこか催眠的で天国的な気分になってきます。ところどころでチェレスタ(市野さんが担当していました)やパーカッションが入るのですが,同じパターンが繰り返されるので,ちょっとミニマルミュージック的なところもありました。ギドン・クレーメルが初演した曲ということですが,安永さんの独奏ヴァイオリンには,かっぷくの良い安定感があり,いつまでもいつまでも浸っていたいような気持になりました。

最後にハイドンの交響曲第88番が演奏されました。この曲については,フルトヴェングラーやワルターの演奏で馴染んでいたので,今回の演奏の最初の部分を聞いて。「おぉ」と思いました。倍ぐらいの速さだった気がします。しかも,音の強弱だけではなく,弦楽器のフレージングが実に多彩で,全く別の曲を聞くような新鮮さがありました。基本的には大変緻密な演奏なのですが,随所に細かい工夫(というか「遊び」と言った方が良いでしょうか)があり,聞いていて実にスリリングでした。

第2楽章は一見のんびりしているのですが,途中で強烈にティンパニとトランペットが音を鳴らしたり,ハイドンらしさ満載でした。第3楽章の田舎風のメヌエットも工夫満載でした。特にトリオの部分でのちょっとずらしたようなリズムの強調が面白かったですね。緻密に進んでいった後,最後に大きく見得を切り,一気に勢いを増して終わる第4楽章も楽しさ満点でした。

ハイドンの交響曲については古典派のセオリーに従って書かれている曲が多いのですが,今回の演奏を聞きながら「何と自由なのだろう」と感じました。五七五の俳句などの定型詩も同様なのかもしれませんが,今回のようなしっかりと考えられた演奏でハイドンの曲を聞くと,形式があるからこそ自由さが際立つのではないかと思います。

安永さんとOEKのコンビの演奏には,アットホームな雰囲気と同時に,一丸となって工夫とアイデアに満ちた音楽に取り組んでいるようなスリリングさが常にあると思います。6月4日には室内楽公演もありますが,こちらもまたスリリングな演奏を楽しませてくれそうです。

2013/05/11

OEK 音楽堂室内楽シリーズ第1回は西村雅彦さんの語りと弦楽四重奏で「ベートーヴェンと三人の女たち」と「カルテットーーーク」  これまでにない趣向でとても楽しめました #oekjp

ラ・フォル・ジュルネ金沢が終わったばかりのですが,今年度から始まる「オーケストラ・アンサンブル金沢 音楽堂室内楽シリーズ」の第1回が行われるので聞いてきました。昨年度まで「もっとカンタービレ」シリーズと呼ばれていた,OEKメンバーのプロデュースによる「室内楽シリーズ」が発展的に解消され,今回から「音楽堂室内楽シリーズ」ということになります。

「室内楽を中心とした自由な企画」という点では「もっとカンタービレ」を引き継いでいますが,今回のようにトークを大々的に交えて,コンサートホールで行ったり,邦楽ホールで行ったり,さらに自由度が高くなっているようです。その分,金額が倍ぐらいに上がったのですが(それでも6回の回数券ならば1回あたり2000円程度),スタッフのサポートも増えているようなので,定期公演シリーズが一つ追加されたような感じです。

その第1回が「ベートーヴェンと三人の女たち」というタイトルが付けられたこの公演です。前半は,ベートーヴェン風の衣装を着た:西村さん(やや額の広いベートーヴェンといった感じ)がベートーヴェンの人生について語り,その間に弦楽四重奏でベートーヴェンの音楽が演奏されるという構成でした。

西村さんの語りは「さすが役者」というもので,その語り自体が芸になっていました。弦楽四重奏との取り合わせもぴったりでした。オーケストラだと,その響きに圧倒されるかもしれませんが,弦楽四重奏だと語りも音楽も主役という感じになります。ベートーヴェンの人生を彩った3人の女性へのラブレターを西村さんが読み上げた後に,弦楽四重奏が続くととてもロマンティックが気分になります。弦楽四重奏曲第5番や第15番の1つの楽章が演奏されたりしていましたが,その選曲が素晴らしかったと思います。これを機会にベートーヴェンの弦楽四重奏の世界に踏み込みたいと思った方も多かったのではないかと思います。

最後にラズモフスキー四重奏曲第3番の最終楽章が演奏されて,前半は終わりました。

後半は,「カルテットーーーク!」と名付けられたコーナーで,西村さんとOEKメンバーによるトークを交えて演奏を楽しむ構成でした。このトークがとても自然で,暖かい雰囲気が会場に溢れていました。OEKメンバーだけのトークだとどうしても遠慮があったりするのですが,西村さんが加わることでいつもと違った角度からメンバーの素顔を見せてくれたようなところもありました。西村さんとチェロの大澤さんは,同郷の「幼馴染」ということで,特に楽しいトークを楽しむことができました。

松井直さん,上島淳子さん,石黒靖典さんのトークはこれまであまり聞いたことはなかったのですが,どれも楽しいものでした(が,この公演は明日以降,他都市でも行われるので詳細は後日レビューでお知らせしましょう)。

後半に演奏された曲は,弦楽四重奏ア・ラ・カルトという感じで,ハイドン,ショスタコーヴィチ,ドビュッシー,モーツァルト...と弦楽四重奏の「いいとこ取り」という感じでした。

というわけで,OEKのメンバーの素顔についてもっと知りたいという人,弦楽四重奏を気楽に楽しみたいという人,そしてもちろん西村さんのファン...それぞれ満足できた演奏会だったと思います。

今後,この室内楽シリーズはどのような展開になるのか大いに期待したいと思います。

2013/05/04

ラ・フォル・ジュルネ金沢2013 最終日も朝から晩まで大賑わい。サン=サーンスの「オルガン」交響曲の壮麗な美しさ,フィリップ・カサール,ビジャーク姉妹,広瀬悦子...迫力満点のピアノの連続,大阪フィル&OEKの演奏も盛り上がりました。そしてクロージングコンサート #lfjk

ラ・フォル・ジュルネ金沢2013も本日で最終日です。本公演は昨日と今日だけで短かったのですが,非常に密度の濃い2日間だったと思います。特に本日は,石川県立音楽堂の方ではフランスの大作交響曲が2つ,アートホールの方では,実力のあるピアニストが次々と聞きごたえ十分でした。恒例の交流ホールでのクロージングコンサートも大いに盛り上がり,全公演終了後は,「祭りの後」の名残を惜しむ人の姿が大勢いました。
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↑クロージングコンサート後の交流ホール

今回私は,結局,コンサートホールで行われた公演を全部聞いてしまいました。そういう構成になっていたからなのですが,そのこともあって,どの公演も大入りでした。その間には,結果的に金沢市アートホールで行われた公演ばかりを選んでしまいました。というわけで,本日は,ホテル日航金沢と全日空ホテルの間の横断歩道を何回も渡ることになりました。

結局,音楽堂とアートホールについては,10分あれば十分間に合うことが分かってきたので結構ギリギリまでサイン会に参加したり,無料公演を眺めたり,段々と時間の使い方が上手くなってきた感じです。通常の定期公演では,30分ほど前には会場に入っていることが多いのですが,ラ・フォル・ジュルネになると5分ほど前に入れば十分という感覚になってくるのが面白いところですね。

というわけで,今回は音楽堂とアートホールの往復ばかりになっていましました。JR金沢駅や鼓門下の公演(考えてみれば交流ホールの公演にも)に全然行けなかったのは残念です。その分,コンサートホールの入りはとても良く,各公演後の音楽堂前広場もとても賑わっていました。演奏予定リーフレットに書かれていないアーテストが「ゲリラ的(?)」に演奏を行っていたり,いかにもお祭りらしい雰囲気に溢れていました。

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↑音楽堂前広場の様子。一日中にぎわっていました。

さて本日の公演ですが,まず午前中,コンサートホールで行われた現田茂夫指揮OEKの公演を聞きました。カルメン幻想曲でのレジス・パスキエさんのソロはかなりスリリングなところもありましたが,OEKがしっかりと盛り上げていました。後半は「アルルの女」の第1と第2組曲が全部演奏されました。こうやってまとめて聞いてみると,本当に良い曲ばかりですね。クラシック音楽を聞き始めた,小学生の頃などを思い出し,ちょっと懐かしい気分に浸ってしまいました。
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アートホール公演では,その名も「ベスト・オブ・ドビュッシー」ということで,フィリップ・カサールさんのピアノ独奏で,ドビュッシーのピアノ曲の中から名曲を選りすぐったようなプログラムが演奏されました。カサールさんは,結構バリバリと弾きまくるタイプのピアニストで,大変鮮やかなドビュッシーを聞かせてくれました。ちなみにこの公演の時,ルネ・マルタンさんが入ってこられ,後方で熱心に聞いていました。そのせいもあるのか,2曲もアンコールが演奏されました。

13:30からは,ラ・フォル・ジュルネ金沢初登場となる大阪フィルが登場し,現田茂夫さん指揮でベルリオーズの幻想交響曲を演奏しました。前半はやや抑え気味というか堅い感じがしたのですが,後半の2楽章は金管や打楽器が全開になり,バシっと爽快な音を聞かせてくれました。演奏後,第5楽章で舞台裏で使っていた「鐘」をわざわざステージに出して来ていましたが,チューブラベルではなく,本当の「鐘」で,こういうのを叩いていたんだ,と妙に感心しました。

続いてまたアートホールに移動し,ラ・フォル・ジュルネの常連のビジャーク姉妹が登場しました。今回もまた聞きごたえたっぷりの強靭で華麗なピアノを聞かせてくれました。ラヴェルのラ・ヴァルスとかシャブリエの狂詩曲「スペイン」などは,オーケストラ版との聞き比べになりましたが,それに劣らない迫力を感じました。

16:00からは,再度大阪フィルの公演を聞きました。今度は井上道義さん指揮で,サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」が演奏されました。個人的に「今回の目玉」と思っていた公演でしたが,その期待どおりの素晴らしい内容でした。音楽堂のオルガンの重低音がオーケストラに加わると,音の厚みがさらに増し,何とも言えない壮麗さに包まれます。最終楽章では,オーケストラの最強音とオルガンの音とがミックスするのですが,うるさい感じは全くなく,改めて,澄んだ綺麗な音だなぁと感じました。オルガンを担当した黒瀬恵さんは特に盛大な拍手を受けていました。満席のお客さんも曲の素晴らしさと同時に音楽堂のオルガンの素晴らしさを実感できたのでないかと思います。

その後,またまたアートホールに移動し,今度は広瀬悦子さんのピアノ独奏を聞きました。ここでも技巧的な曲の連続だったのですが,いかにも楽々と演奏していたフィリップ・カサールさんとは違い,鬼気迫るような迫力を感じました。個人的には広瀬さんの演奏の方に強く惹かれました。特に最後に演奏されたラヴェルの「夜のガスパール」が素晴らしいと思いましたが,アンコール曲にも驚かされました。アルベニスのアストゥーリアスの後,アルカンの鉄道という曲が演奏されました。これが凄まじいばかりに技巧的な曲で聞いている間,息が止まってしまうような感覚になりました。大相撲ではありませんが,今回のLFJKで技能賞を決めるとすれば,この広瀬さんの演奏にあげたいと思います。

コンサートホールでの最後の公演は,井上道義指揮OEKによる,フランス音楽アラカルトといった感じの公演でした。ちょっと焦点が絞りにくいプログラムでしたが,有名な曲の連続で,超満員(LFJK1年目以来の大入りだと思います)のお客さんは大喜びでした。この公演では,最後にキリル・トルソフさんが登場し,サン=サーンスの序奏とロンド・カプリチオーソを演奏しました。オープニングコンサートでの竹澤恭子さんとの演奏に比べるとソツはないけれども,やや味が薄いかなという気はしましたが,トルソフさんによるアンコールで大いに盛り上がりました。
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「ヴェニスの謝肉祭」の主題による変奏曲だと思いますが,ほとんど即興演奏のような感じで,次々と華麗な技巧を見せてくれました。しかも,コンサートマスターのブレンディスさんに「この音型を繰り返してください」という感じでお願いをした上で,OEK弦楽合奏の簡単な伴奏付きで演奏されました。恐らくリハーサルなしだと思いますが,見事に合わせていました。さすがOEKだと思いました。

この公演が終わった後,恒例のクロージングコンサートが交流ホールで行われました。開演が20:30だったのですが,かなり前からお客さんが大勢交流ホール前に並んでおり,時間が遅かったにも関わらず,ホールには人がぎっしりという感じになっていました。交流ホールの天井が低い部分には意外に音が通りにくいのですが,やはり,(私を含め)ラ・フォル・ジュルネ金沢の最後では,OEKメンバーと一体になって締めたいと思う人が多いのだと思います。すっかり「なくてはならないイベント」になりました。
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↑謎のペンギンのキャラクターがクロージングコンサートのPRをしていました。

今年のクロージング・コンサートは,今回のLFJKで大活躍したジリ・ヴァンソンさんと井上さんのトークを交えて進行しました。ヴァンソンさんの歌で「愛の賛歌」が歌われた後,地元のギタリスト,太田真佐代さんを交えてアランフェス協奏曲の第2楽章が演奏されました。アンコールではOEKの「静かな伴奏付」のアルハンブラの思い出が演奏されましたが,どちらも今回のLFJKを振り返るのにぴったりの演奏だったと思います。最後は,手拍子入りのカルメン前奏曲で締められました。

今回のトークの中で井上道義さんは「ラ・フォル・ジュルネ金沢をお祭りで終わらせたくない」と語っていました。この言葉は結構重いですね。個人的には,ラ・フォル・ジュルネは「お祭り」で良いと思うのですが,井上さんとしては,日常(=OEKの定期公演)の方も充実させたいという思いが強いようです。

今年のラ・フォル・ジュルネ金沢については,「お祭り」としては大成功だったと思います。石川県や金沢市に「無くてはならないお祭り」として定着したと思います。それをどう日常につなげれば良いのか?心地よいお祭りの余韻に浸りつつも,常に先を見ている井上さんから大きな課題を呈示されたような気がしました。
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↑すべての公演が終了。今年は「完売」が多かったですね。

2013/05/03

ラ・フォル・ジュルネ金沢2013 本公演1日目 リーフレットの表紙どおりの好天で大盛況&大満足 #lfjk 

ラ・フォル・ジュルネ金沢2013 本公演1日目は,全公演スケジュールの書かれたリーフレットの表紙どおりの好天になり,音楽堂は大盛況でした。私は11:00からの「子どもと魔法」から参加したのですが,この公演以外は,どの公演も満席という感じでした。

まず音楽堂に入る前にJR金沢駅周辺を一回り。
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↑LFJKはこのコンパクトさが良いですね。

鼓門下では2年連続で全日本吹奏楽コンクールの全国大会で金賞を受賞した金沢市立額中学校の皆さんが演奏していました。
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フランス国立ロワール管弦楽団(多分)の方も嬉しそうに眺めていました。

JR金沢駅コンコースでは,ピアノコンサートをやっていました。いきなりラ・ヴァルスが聞こえてきて,「何と贅沢な雰囲気」と思いました。
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今年のプログラムですが,基本的にコンサートホールの公演は全部聞けてしまうという構成になっていますので,まず,びわ湖ホール声楽アンサンブルと園田隆一郎指揮OEKによるラヴェルの短いオペラ「子どもと魔法」を見てきました。さすがに「朝いち」だったことと,裏番組(交流ホール)で児童合唱のプログラムがあったこともあるのか,私の居た3階には空席がありましたが,滅多にみることの出来ないラヴェルのオペラを楽しむことができました。ラヴェルの「音のパレット」が全部使われているような作品でしたが,せっかくならば,もう少し舞台や照明や衣装にも凝ってほしいかなと思いました。この辺はラ・フォル・ジュルネに期待するのは難しい面もあるので,是非,邦楽ホールでのOEK室内オペラシリーズなどで再演して欲しいな,と思いました。

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↑おなじみのLFJK特製クリームパン

続いて,邦楽ホールに移り,モディリアーニ弦楽四重奏団によるドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲を聞きました。これは本当に聞きごたえたっぷりでした。非常に緻密にじっくりと聞かせてくれました。全体的にしっかりと抑制が聞いていて知的な雰囲気がある一方で,ところどころで耽美的な雰囲気になり,演奏にしっかり集中させてくれました。そのせいもあって,演奏時間が1時間以上あったと思います。その後の公演の開始時間が全体に10分ほど遅くなりましたが,大満足の公演でした。

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↑クラシックソムリエ検定のPR企画(やってみましたが,結構難しかったです)。

コンサートホールに移ると,今度は超満員でした。やはり,ボレロ人気でしょうか。井上道義さん×ケフェレックさん人気でしょうか。これもまた,フランスのオーケストラ音楽のエッセンスをたっぷり楽しませてくれる公演でした。ラ・ヴァルスは,まさに井上さんのためにあるような音楽ですね。素晴らしい演奏でした。ラヴェルのピアノ協奏曲は,OEKで何回も聞いている作品ですが,ケフェレックさんの軽快で気品のある演奏は本当に魅力的でした。

そしてお楽しみのボレロですが,非常に変わった配置を取っていました。演奏の前半に出てくる楽器が全部打楽器の後ろの最後列に立っていました。音量が小さい間は,これらの楽器に(それともちろんスネアドラムにも)スポットライトが当たり,どの楽器が演奏しているのか一目瞭然という形になっていました。一種,「青少年のためのオーケストラ入門(フランス版)」といった感じで,誰が見ても楽しめたのではないかと思います。

ソロも素晴らしく(スポットライトが当たっていると,ミスすると大変目立つのでプレッシャーもあったと思いますが),特に「難しいソロ」として有名なトロンボーンはお見事でした(当然,演奏後は盛大な拍手)。演奏が終盤に近づくにつれて会場の照明も明るくなり,最後は客席の照明まで明るくなって終わりました。井上道義さんのアイデアだと思いますが,サービスたっぷりの素晴らしい演奏でした。

再度邦楽ホールに移り,今度はペヌティエさん,パスキエさん,ピドゥさんのベテラン3人によるピアノ三重奏を聞きました。先ほどのモディリアーニ四重奏団の選曲と対を成すように,ドビュッシーとラヴェルのピアノ三重奏曲が演奏されました。こちらの方も大変聞きごたえがありました。ドビュッシーの曲は,ドビュッシーの若い頃の習作ということで,「ドビュッシーらしからぬ」ロマンティックな気分がありましたが,とても気持ちよく楽しませてくれました。ラヴェルの方は円熟した味のある作品でさらに聞きごたえがありました。ベテラン三人の演奏から,底知れぬ力強さが伝わってきました。特にペヌティエさんのピアノの音の美しさが印象的でした。

先ほどラヴェルを演奏したフランス国立ロワール管弦楽団ですが,今度は音楽監督を務めるパスカル・ロフェさん指揮で,ドビュッシーの海,牧神の午後への前奏曲,ラベルの高雅で感傷的なワルツが演奏されました。牧神の午後では,柔らかく気だるい雰囲気を,「海」では,このオーケストラの持つ明るく爽快な響きをしっかりと楽しませてくれました。

続いて金沢市アートホールまで行き,ルイス・フェルナンド・ペレスさんのピアノでスペイン音楽を楽しみました。ペレスさんについては,数年前のショパンの時から注目をしていましたが,今回も凄かったです。ピアノのタッチそのものがクリアで硬質的で,音そのものにスペイン的な陰影があるような感じでした。曲が進むにつれて,どんどん熱気が増していき,圧倒的な迫力でした(アートホールでの公演は本当に迫力がありますね)。アンコールでアルベニスのアストゥーリアスがものすごいスピードで演奏されましたが,改めて素晴らしいピアニストだと思いました。

コンサートホールのこの日最後の公演には,お待ちかねの井上道義指揮OEKが登場しました。客席は超満員で,ラ・フォル・ジュルネ金沢名物の「ステージキャスト席」も登場していました。
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この人気ですが,アランフェス協奏曲を聞きたいというお客さんが多かったのかもしれません。ラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌ,ファリャの三角帽子組曲第1番もそれぞれ,OEKらしい井上さんの手足になったような,表情豊かな演奏でしたが,何といってもパブロ・サインス・ビジェガスさんがソリストとして登場したアランフェス協奏曲に感動しました。

この協奏曲を1500人程度のホールで演奏する場合,通常はPAを使うのですが,ビジェガスさんは,マイクなしで演奏していました。まず,これがすごいと思いました。私は3階席で聞いていたのですが,しっかりと音が届いていました。どの部分についても集中力抜群の熱演だったと思います。第2楽章については,ムード音楽のように聞かれることもありますが,ビジェガスさんの演奏は気合い十分で,思わず身を正して聞いてしまいました。演奏後,井上さんもPAなしで演奏したことに触れ,OEKメンバーも大歓迎だったということを語っていました。アンコールで演奏されたタンゴ風の曲は,打楽器的な感じもあり,大変格好良い演奏で,さらに会場は盛り上がりました。

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↑夜になってもこんな感じで大賑わい

終演後,一休みして通路を歩いていると,何とビジェガスさんがにこやかに歩いて来ました。「これはこれは」ということで,すかさずサインを頂いてしまいました。大変良い記念になりました。
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# ちなみにアンヌ・ケフェレックさんからも別途サインを頂きました(よく時間があったと思いますが,サイン会に間に合いました)

本日最後の公演は,「金沢ならでは(Regard de Kanazawa)」公演で,二台のピアノによるボレロと能舞の組み合わせでした。ピアノの田島睦子さんと相良容子さんは,ぞれぞれ黒と白の衣装,能舞の渡邊旬之助さんと渡邊茂人さんも黒と白の衣装。舞台の上手側にピアノ(連弾),下手側に能舞,ということでステージ全体がシンメトリカルな対比を見せるような構成になっていました。オーケストラ版のボレロ同様,照明の方も徐々に明るくなっていました。不思議な緊張感と和洋の相互作用を楽しめる面白い舞台だったと思います。その後,熊田祥子さんのソプラノを加えて,能舞なしの演奏があった後(この中では田島さんによるラヴェルの「悲しい鳥たち」の透明感のある響きが印象的でした),最後にドビュッシーのまぼろしに合わせて再度,能舞が舞われました。

というわけで,午前中から夜8時過ぎまで,本当にいろいろな種類の音楽を楽しむことができました。大満足という一日でした。
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