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2013年9月

2013/09/22

ワーグナー「ワルキューレ」沼尻竜典指揮,ジョエル・ローウェルス演出@びわ湖ホール。私にとっては今回が初リング。長さに納得しました,ワーグナーっていいもんですねぇ

今年の8月のお盆休みはひたすら暑い金沢でじっと暮らしていたので,その代わりに,びわ湖ホールで行われた,ワーグナーの「ワルキューレ」公演を聞いてきました。

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指揮は沼尻竜典,演出はジョエル・ローウェルス,オーケストラが神奈川フィルと日本センチュリー交響楽団による合同オーケストラ。キャストの方は福井敬さんをはじめとする実力のある日本人歌手キャストというメンバーによる公演でしたが,まず,やはり本格的なオペラハウスで生で聞くワーグナーは素晴らしいと感じました。

ワーグナーの作品については,DVDでは1つの幕すらなかげなか続けて見るのが難しいのですが,生の舞台だと違います。楽劇の場合,歌うというよりは,音楽的にセリフを語るという部分が多く,ワーグナーの場合,それぞれの人物が「語りつくす」ような部分があります。実演だとその長さに「意味」を感じました。

ヴォータン,ブリュンヒルデ以外にもフリッカなどもかなり長セリフがありますが,皆,その長セリフによって,相手を説得してしまい,状況を変えていきます。論理の力で説得している面もあるのですが,「声の力」や「情の力」で変えていく部分もあります。今回の歌手たちは粒ぞろいでした。いずれも「声の力」「情の力」があり,長セリフに説得力がありました。セリフを聞いているだけで,ワーグナーの作ったシナリオの流れが納得できました。

それに加え,第1幕切れのジークリンデとジークムントの熱く甘いアリア(やはり福井敬さんの突き抜けてくる声が素晴らしかった)。第2幕切れのジークムント×フンディング×ヴォータンの対決シーン。第3幕のお馴染み「ワルキューレの騎行(声入りで聞くと,魔女の集まりのような感じになり,かえって良い気分転換(?)になりますね)。第3幕切れの「ヴォータンの別れと魔の炎の音楽」など,音楽自体が分かりやすい部分も多く,全く退屈しませんでした。

歌手は,前述のとおりみんな良かったのですが,特に男声が良かったと思います。福井さんに加え,ヴォータン役の青山貢さんも素晴らしかったですね。実に若々しく,緻密な声のヴォータンでその声を聞くだけで満足でした。第2幕では,妻のフリッカとの間での議論のシーンがあり,ヴォータンはフリッカに負けてしまいます。そして愛する娘のブリュンヒルデを罰することになり苦悩します。ヴォータンは「神々の長」なのですが,このワルキューレでの役柄は家族の問題で悩む現代のホームドラマに出てくる父親に通じるキャラクターでもあります。青山さんのヴォータンは,神話時代ではなく,今でも居そうな父親という感じがしました。

今回のローウェルスさんの演出も,「機能していない家族」ということをテーマにしており(プログラムに書いてありました),第3幕の最後のシーンなども独特の「ホームドラマ」としての終わり方になっていました。「ワルキューレ」の終わり方というと,ステージが赤くなって,炎に包まれて終わりというのが普通なのですが(今回も途中までそうでした),最後,スッと場面が変わり,ヴォータンを中心にワルキューレ,フリッカなど「家族」が全員勢ぞろいしていました。考えてみると,ワルキューレに出てくる人物の大半はヴォータンの家族です。最後,自分の息子であるジークムントもこの中に加わり,何か不吉な雰囲気を漂わせて静かに幕となりました。「機能していない家族」...このテーマをもう少しじっくり考えてみたいと思います。

今回の演出ですが,この最後の場もそうだったのですが,あきれるほど場面転換がスムーズで驚きました。パッと暗転する場面が多いのですが,次の瞬間,全く違う景色になっていたりします。今回の公演のいちばんの立役者は,もしかしたら照明と舞台の担当者だったのかもしれません。暗転している間は,音楽だけが残るので,自然に音楽にも耳に行きます。プログラムの解説によると「映画的手法」と書かれていましたが,オペラを沢山見ているわけではない私にとっても新鮮に感じました。暗転が多いと行っても,ドラマのクライマックスなどでは,たっぷりと見せてくれるので,その使い方の「加減」が巧いと思いました。

もともと「ワルキューレ」には主要登場人物は6人程度なのですが,「それ以外」の人物もかなりステージ上にいました(フンディングの家の一族郎党みたいな感じの人物とか)。それと,「若き日のブリュンヒルデ」をクライマックスで登場させていました。まさに愛娘という感じで,ぐっと「泣かせる」演出になっていました。また大人のブリュンヒルデの横山恵子さんの声も凛とした強い声で素晴らしかったと思います。

そして何よりも沼尻竜典さんの指揮も素晴らしかったですね。遠くから見ても(私は4階席でした),非常に明確に指揮をされており,音楽の安定感が抜群でした。第1幕最初の嵐の部分とか,第3幕最初の「ワルキューレの騎行」などは,大騒ぎする感じではなかったのですが,音楽の流れに乗って,どんどん熱く,集中度が高まってくるという演奏だったと思います。神奈川フィルと日本センチュリーの合同オーケストラも良かったと思います。これだけ長い作品で,出番も多い管楽器が特に大変だったと思いますが,安心して聞くことができました。全曲最後の「魔の炎の音楽」の部分のじっくりと聞かせる精妙さなどは,何となく,まだ頭の中で音楽が続いている感じです。

その他,いろいろと工夫している部分があり,ついつい語りたくなってしまいますねぇ。これがワーグナーの魅力なのでしょうか(もしかしたらワグネリアンの資質があるかも?)。11月には富山で「トリスタンとイゾルデ」公演もあるので,こちらにも行ってみようかなと考えています。

びわ湖ホールでオペラを観るのは今回が初めてでしたが,休憩時間にびわ湖が眺められるというのが素晴らしいですね。天候にも恵まれ大変気持ち良かったです。窓の外に次のような景色が180度ぐらい広がっていました。
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今回,午前中に金沢を出発して,夜11:00に金沢に戻ったのですが,これなら「また来れるな」と思いました(もちろん経済的な問題がなければですが。)。チラシによると,井上道義さんも好きな,コルンゴルトの「死の都」を上演するようです。これなどは可能ならば行ってみたいですね。

というわで,中々語り尽せないぐらい楽しめた「ワルキューレ」でした。

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↑そろそろ,秋分の日ということで,終演後はさすがに暗くなっていました。

2013/09/17

OEK新シーズン開幕&全国ツァー開始。アシュケナージ指揮OEKによるシューマンは健康的な魅力。辻井伸行さんのショパンの方は軽やかな美音が魅力。大盛況 #oekjp

台風も通り過ぎ,今日は全国的に見事な秋晴れになりました。その中で金沢では,OEKの新シーズン開幕の定期公演が行われました。指揮はウラディミール・アシュケナージさん,ピアノ独奏は辻井伸行さんということで,会場は満席でした。今回は定期公演であると同時に9月後半ずっと行う国内ツァーの初日ということにもなります。

アシュケナージさんがOEKの公演に登場するのは2回目だと思いますが,定期公演に登場するのは今回が初めてです。ツァー用にも色々なプログラムが用意されていますが,OEKファン的には,OEKが初めて演奏するシューマンの交響曲第2番が特に注目です。本日は,この曲を楽しみに行ったのですが,期待通り,アシュケナージさんの表現意欲と人柄がしっかり伝わってくるような,聞きごたえのある演奏でした。

この曲については,最晩年のバーンスタインが札幌でPMFオーケストラを指揮した映像をNHKの音楽番組などで何回か見たことがあり,熱い情念の渦巻くような演奏が印象に残っているのですが,この日のアシュケナージさんの指揮OEKの演奏からは,健康的な明るさを感じました。ステージに登場するアシュケナージさんの姿からも,気取りのない飾らないあり人柄が強く伝わって来たのですが,演奏の方にもアシュケナージさんの溢れる思いが率直に反映しているようでした。この曲については,もう少し屈折した暗さがあっても良い気はしましたが,メンデルスゾーンを思わせる明るさは,OEKにはぴったりだと思いました。最初に演奏されたメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」の方も,アシュケナージさんの表現意欲がどんどん湧き上がってくるような感じの演奏でした。

人気ピアニスト辻井伸行さんと共演したショパンのピアノ協奏曲第2番については,辻井さんの音の美しさと指の動きの軽やかさが印象的でした。特にノクターンを思わせる2楽章の美しさと,最終楽章のホルンの信号の後の軽快さが良かったと思います。ただし,全体的に音楽の流れにドラマティックな雰囲気が少なく,ややインパクトが弱いと感じました。辻井さんはOEKと同じ25歳ということで,今後の人生経験とともに音楽の方もさらに成熟していって欲しいと思います。

演奏会の最後には,アンコールでラフマニノフのヴォカリーズが演奏されました。今回のツァーでもアンコールで演奏されると思いますが,「さすがアシュケナージさんはラフマニノフのスペシャリストだな」という演奏でした。あっさりした演奏かと思ったら,どんどん思いがこもってきて,情感が溢れ出すようでした。

演奏会後は,アシュケナージさんのサイン会がおこなれました。これも大盛況でした。私は,今から25年以上前に買ったアシュケナージさんのCD(ショパンのピアノ曲集)を持参しサインを頂いてきました。これは大変良い思い出になりました(個人的には,アシュケナージさんのソロ・ピアノも生で聞いてみたいと思っています)。

今回のツァーはとても長いツァーですが,25周年記念のOEKを全国にアピールしてきて欲しいと思います。

2013/09/15

金沢教会オルガン建造10周年記念コンサートでジャン=フィリップ・メルカートさんのオルガンを聞いてきました。柿木畠ではジャズ・ストリートでゴスペルも歌っていました

石川県立音楽堂に「金沢教会のオルガン建造10周年記念コンサート」(無料)というチラシが置いてあったので,秋の連休...といいつつ夏のように暑かった休日の午後にオルガンの演奏を聞いてきました。金沢教会というと分からない方もいるかと思いますが,柿木畠のうつのみや書店の向いにある教会です(次の写真)。

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金沢市で音楽イベントがあれば,どこにでも聞きに行っている私ですが,教会というのはやはり敷居が高くこの教会をはじめ,ほとんど中に入ったことはありません(ただし,仏教のお寺も同様です。神社の方は初詣をはじめ,それなりに行っていますね)。こういう音楽イベントがないと一般の人には近づきにくいという面もありますので,その点では,音楽による布教活動には重要なことなのだと思います。

教会に入ってみると,ちょっとした体育館を思わせるぐらいの天井の高い明るく開放的な雰囲気の礼拝堂がありました。牧師さんがお話をするステージ(?)の反対側の上の方にパイプオルガンがあり,今回は礼拝の時とは椅子の向きを逆にして,ちょっと上を見るような感じで音楽を楽しみました。

パイプオルガンについては,石川県立音楽堂のパイプオルガンしか聞いたことがないのですが,まず,音楽堂以外にもこんな立派な楽器が金沢市内にあったんだ,という新鮮が発見がありました。演奏のジャン=フィリップ・メルカートさんは,ベルギー出身のオルガン奏者で,札幌コンサートホールKitaraをはじめ,現在,日本国内でオルガン奏者として活躍されている方です。

チラシを見ただけだと,無料なので1時間ぐらいかな,と思っていたのですが,実際には休憩やアンコールを含めて2時間近くあり,オルガン・リサイタルとして大変充実した内容でした。

この教会は調べてみるとプロテスタントの教会ということで,ステンドグラスなどは無かったのですが,パイプオルガンの音も清々しい感じでした。個人的には,教会といえば,暗い部屋の中にロウソクが灯っているいるという印象があったので(やはりクリスマスの時期の印象でしょうか)),柔らかい外光が差し込む中で聞くオルガンは新鮮でした。

演奏された曲の中では,やはりバッハの曲がいいなと思いました。気高い音楽に触れたという実感を持ちました。後半最初に演奏されたメンデルスゾーンの前奏曲とフーガも良い曲だと思いました。メンデルスゾーンはマタイ受難曲を復活させたことでも有名ですが,オルガンの作品的にもバッハの後継者と言えそうです。曲の途中,音量を変えたり,音質を変えたりするのですが,この日はアシスタントの方が操作を手伝っていました。この辺は音楽堂のオルガンとは違う点かもしれませんが,こういう「手作業の労働」の方が見ていて面白いですね。

途中,「小さい秋みつけた」に基づく即興演奏がありました。この日から金沢市内ではジャズストリートというイベントが始まりましたが,時々外から漏れ聞こえてくるジャズの音を聞きながら,「精神としては意外に近いかも」と思いました。

最後,ヴィドールのオルガン交響曲第6番のフィナーレで華麗に締められました。

演奏会の後,外に出てみると,ジャズストリート関連の音楽を楽しげに演奏していました。この時はゴスペルを歌っていましたが,この異業種交流的な雰囲気も良いなぁと思いました。

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2013/09/14

泉鏡花オペラシリーズ 今年度は「滝の白糸」(千住明作曲による新作)が上演されます。記者発表が昨日ありました。 #oekjp 

ここ数年,金沢歌劇座で地元の文豪,泉鏡花原作による文学作品をオペラ化したものを聞いていますが,今年度(2014年1月~2月)は,「滝の白糸」が取り上げられます。その記者発表が昨日行われました。

すでにFacebookページが出来ています。次のとおり泉鏡花記念館で記者会見が行われたようです。
https://www.facebook.com/operatakinoshiraito?ref=stream
公演日程は次のとおりです。

1月17日(金)高岡公演(高岡市民会館、午後6時半開演)
1月19日(日)金沢公演(金沢歌劇座、午後3時開演)
2月16日(日)東京公演(新国立劇場中劇場、午後2時開演)

このうち高岡公演と金沢公演のオーケストラはOEKです。

スタッフ・キャストは次のとおりです。

作曲:千住明,脚本:黛まどか,演出:十川稔,指揮:大友直人,テーマアート:千住博
滝の白糸:中嶋彰子,村越欣弥:高柳圭,南京出刃打ち:森雅史と清水那由太,村越欣弥の母:鳥木弥生

タイトルロールの中嶋さんはここ数年,OEKとの共演も多く,すっかり「金沢びいき」になったようですね。歌手の森さんは先日,岩城宏之音楽賞を受賞された方ですね。高岡公演では特に声援が多いことでしょう。石川県出身の鳥木弥生さんもすっかり,金沢オペラ(今月行われる「金沢おどり」に対抗して,ブランド化できないですかねぇ)ではお馴染みですね。

作曲:千住明,テーマアート:千住博 という組み合わせも楽しみです。この際,音楽と美術と文学を総合して,冬の金沢全体を楽しんでもらえるようなイベントになると楽しいですね。

その他,次のようなサイトをご覧ください。

高岡市民会館のサイト
http://www.takaoka-bunka.com/hall/h25/hall130826.html

いしかわ19ネット
http://www.hot-ishikawa.jp/19net/?p=4717

2013/09/13

金沢蓄音器館でシューベルトの弦楽五重奏(全曲)をたっぷり楽しんできました。演奏はクワルテット・ローディ&カンタさん

本日は金沢蓄音器で行われた「モーツァルト室内楽の旅18」を聞いてきました。ただし,タイトルとは違い,OEKの首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんを招いてのシューベルトの弦楽五重奏曲がメインでした。実は,このシリーズを聞くのは久しぶりだったのですが,モーツァルトの作品を最低1曲は演奏しつつ,ゲスト奏者の得意な曲を含めるというのがこのところの方針になっているようです。今回はこの大曲を目当てに聞きに行きました。

前半はモーツァルトの弦楽三重奏のための前奏曲とフーガ第3番というバッハ風の渋い曲が演奏された後,カンタさんと福野桂子さんのチェロ二重奏で,ダンツィ編曲によるモーツァルトのオペラの中のアリアなど5曲が演奏されました。モーツァルトのオペラと言えば,自由闊達な曲が多い印象がありますが,2人のチェロ奏者による語り合いのような演奏は大変味わい深いものでした。

後半はお目当てのシューベルトの弦楽五重奏曲がたっぷりと全曲演奏されました。最晩年に書かれたこの曲は,調性的にも長さ的にも,交響曲「ザ・グレイト」に該当するような作品です。個人的には自分が大学生だった頃から大好きな曲です。第1楽章の最初の方の響きを聞くだけで,懐かしさでいっぱいになります。ただし,金沢では実演で演奏される機会は非常に少ないと思います。

クワルテット・ローディとカンタさんは,大変じっくりとしたテンポでかみしめるように深い音楽を楽しませてくれました。椅子が木製なので1時間近く聞いていると,少々尻が痛くなりましたが,好きな曲をじっくり堪能できました。

演奏会後,外に出ると日中の暑さが納まっていました。これから秋になると,ますます室内楽の似合うシーズンになりますね。金沢蓄音器館の室内楽シリーズですが,次回はOEKのクラリネット奏者,遠藤文江さんが登場してクラリネット五重奏曲を演奏するとのことです。こちらの”五重奏”も楽しみです。


2013/09/07

諏訪内晶子さん 来年3月にヴァシリー・ペトレンコ指揮オスロ・フィルと石川県立音楽堂に再登場

本日9月7日に井上道義指揮OEKとした諏訪内晶子さんですが,本日,はさまれていたチラシを眺めていると,次のとおり来年3月に再度金沢で公演を行います。


東芝グランドコンサート2014 ヴァシリー・ペトレンコ指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
日時:2014年3月18日(火)19:00~
場所:石川県立音楽堂コンサートホール
演奏曲目
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
マーラー:交響曲第1番「巨人」

本日のショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番は,ほとんど独奏ヴァイオリンは休みなしのような曲でしたが,メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲も同様にほとんど休みなしですね。

オスロ・フィルが登場するのは2回目だと思いますが(前回は現在大活躍のマリス・ヤンソンスさん指揮でしたね),石川県立音楽堂に登場するのは今回が初めてだと思います。

その他,ハーモニーホールふくいの演奏会のチラシも入っていました。こちらも次のとおり楽しみなプログラムです。

パーヴォ・ヤルヴィ指揮パリ管弦楽団
日時:2013年11月8日(金)19:00~
場所:ハーモニーホールふくい大ホール
演奏曲目
シベリウス:「カレリア」組曲
リスト:ピアノ協奏曲第2番(ピアノ:ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ)
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

ピアノ独奏のヌーブルジェさんはラ・フォル・ジュルネでもおなじみですが,こちらも楽しみですね。

OEK設立25周年記念スペシャルコンサートでは,井上道義&OEKの個性をしっかり感じさせてくれました。西村朗:鳥のヘテロフォーニーはやはり生に限ります。楽しめました #oekjp

OEKが設立されて25周年になります。設立当初からの定期会員である私のようなものには感慨深さがあるとともに...我ながら歳を取ったなぁと思います(この間,2倍ほどの年齢になってしまいました)。

OEKは室内オーケストラということで,いろいろな面で制限があります。それを逆手に取るように色々と工夫を凝らした活動をすることによって,OEKらしさを作ってきたようなところがあります。今日のプログラムは,最後に井上さんが語っていたように,「他のオーケストラの25周年だったらこういうことにはならないでしょう」というプログラムでした。各曲ごとにOEKらしさが出ていました。

最初に演奏されたヘンデルの王宮の花火の音楽の序曲は,やはり,何といっても「お祝い」の音楽ですね。ステージに登場する井上さんの歩き方を見ただけで,出てくる音が予想できました。バロックティンパニーとトランペットのハイトーンを中心に格好よく,おめでたく決めてくれました。

次のショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番は,渋い作品でした。てっきり井上道義さんの趣味で選んだ曲かと思っていたのですが,驚くことに諏訪内晶子さんの選曲とのことでした。CDで予習した感じだと,「これは暗いなぁ」という印象だったのですが,諏訪内さんの演奏を実演で聞くと,「良い曲だなぁ」と感じました。諏訪内さんの演奏はいつもパーフェクトで,その隙のない美しさにひかれるのですが,演奏経験を積み重ねて,落ち着きも加わり,この渋い曲を安心して楽しませてくれました。最終楽章の終盤での,井上&OEKと一体となったアクロバティックな軽やかさもお見事でした。

後半はまず,モーツァルトの交響曲第25番が演奏されました。うかつにも見落としていたのですが...25周年だったので25番ということだったようです。第1楽章の最初から直線的な切迫感のある演奏でした。第4楽章のサッと軽やかに走り抜ける感じも良かったのですが,中間2楽章での脱力した気分も実に良かったですね。聞きながら「日常のあれこれの垢を洗い落としてくれるようだ...」と思いながら浸っていました。

そして最後の西村朗:鳥のヘテロフォニーです。井上さんが語っていたとおり,普通25周年記念の最後に,日本の現代曲を持ってくることはないと思いますが,この試みは大成功だったと思います。個人的には,歴代のOEKのコンポーザ・イン・レジデンスの作曲した曲の中でもいちばんインパクトのある曲だと思っています。この曲を持ってきてくれた辺り,OEKファンとしてはうれしいですね。

CDで聞いても面白いのですが,やはり実演で聞くと格別です。どうやってこういう音が出てくるのだろう,という部分の連続のような曲なので,見ているだけで楽しめます。弦楽器などもかなり細かくパートが分かれているようで,タイトルどおり,熱帯系の鳥がクチャクチャ啼いているような部分があったり,複雑なリズムの繰り返しで盛り上がったり,鍵盤打楽器を弓でこすったり,ティンパニを手で叩いたり(こういう奏法は他では見たことがありません)...演奏後,井上さんが「死にそうなぐらい大変」と言っていましたが,その苦労のし甲斐が演奏効果となってしっかり伝わってくるような作品です。

こういう作品をレパートリーとして持っていることは素晴らしいことだと思います。これだけ多彩な響きを出す作品にも関わらず,通常のOEKの2管編成で演奏できてしまうのがすごいところです(パーカッションは1名追加が必要ですが)。是非,次の25年に向けて(私は生きているのだろうか?)OEK十八番となるような新作を残していって欲しいと思います。

アンコールでは,最初の王宮の花火の音楽の序曲に対応するように,同じ曲のメヌエットで終了しました。ヘンデルでまとまりを付ける辺りも井上さんらしいと思います。

というわけでお祭り気分とOEKらしさに溢れた,素晴らしい演奏会でした。

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この日のプログラムです。ツイッターで紹介されていた缶バッチもゲット。ついつい,井上音楽監督の顔の入ったものを選んでしまいました。

2013/09/05

今週はOEKの演奏で西村朗:鳥のヘテロフォニーを2回聞けます #oekjp

9月になりOEKの新シーズンももうすぐ開幕ですね。今年は9月7日に行われる「25周年記念コンサート」で開幕する形ですが,その前の9月6日の「ランチタイムコンサート」にもOEKが登場します。

この中で個人的に注目しているのが西村朗作曲の「鳥のヘテロフォニー」です。この曲が2日連続で演奏されます。この曲は,岩城宏之さん時代に西村さんがコンポーザー・イン・レジデントとして作曲したもので,海外ツァーも含め,日本の現代曲の中でももっとも頻繁に演奏している曲ではないかと思います。

たまたま,西村朗さんが書かれた「曲がった家を作るわけ」という本を書店で立ち読みしていたところ,この曲の初演の際のエピソードが書かれていました。岩城さんのエピソードも書かれていたので「OEKファンとしては買ってじっくり読んでみようかな」と思ったのですが...数日後にもう一度書店に行ったら売り切れていました。

次の本です,関心のある方はお読みになってみてください。
http://www.amazon.co.jp/dp/4393935799

ちなみにこの本のタイトルですが,「作曲家」という3つの文字を無理やり(?)織り込んで,ひっくり返して意味ありげなタイトルにしています。この発想は,モチーフを展開するような作業と似ており,いかにも作曲家らしいと思います。池辺晋一郎さんをはじめ,作曲家にはダジャレの好きな方が多いのですが,クラシック音楽の作曲というのは,実は「音楽的なダジャレ」の積み重ねなのではないか,と最近思っています。現代音楽についても,ダジャレの観点から鑑賞すると,結構楽しめるのでは?とひそかに考えているところです。

さて,「鳥のヘテロフォニー」ですが,レコーディングの多いOEKならではで,2つのCDに収録されています。
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2回目のワーナー盤はライブ録音で,解説には「作曲家の了解を得て原曲の楽器編成から変更しています」と注釈がついています。先ほどの西村さんの本には,この曲の演奏があまりにも難しいので岩城さんとOEKが必死に練習して初演を行ったことが書かれていますが,その辺の緊迫感はやはり1回目のCDに現れていると思います。

今回は岩城さんの指揮ではなく井上道義さんの指揮で演奏されるのですが,どう雰囲気が変わるのか,これも楽しみです。何よりこの曲は実演で聞いて楽しめる曲です。私自身,実演でこの曲を聞いて「すごい」と思った後,家にあったCDを聞き返してみて,「やっぱりすごかった」と再認識したことがあります。

曲の雰囲気としては,途中,バルトークの「中国の不思議な役人」とかストラヴィンスキーの「春の祭典」のように複雑なリズムの繰り返しが緊迫感を生むような部分があるので,特に実演で聞き映えがすると思います。音を微妙に滑らせるような奏法など変なサウンドが沢山出てきますが,この辺も見た方が楽しめると思います。

この曲は,「25周年公演」の最後に演奏されますが,それに相応しい曲だと思います。演奏する方としては非常に大変だと思いますが,「OEK十八番」のうちの1曲の再演に期待したいと思います。

2013/09/04

大野和士指揮サイトウ・キネン・オーケストラのスクリーン・コンサート@金沢市文化ホールで聞いてきました。純音楽的な「ツァラトゥストラ」は聞きごたえ十分

この日の金沢は日中から激しい豪雨だったのですが,夜になって小雨になったので,金沢市文化ホールで行われたサイトウ・キネン・フェスティバル松本2013のスクリーン・コンサートを聞いてきました(入場無料)。

スクリーン・コンサートについては,スクリーンの「向う側」と「こちら側」でどうしても「空気の熱さ」が違ってくるので,拍手をしても良いか迷ってしまうのですが,どの曲も素晴らしい演奏で,「盛大な」とまでは行きませんが,それなりに拍手が起きていました。

最初に演奏されたモーツァルトの交響曲第33番は,オーケストラ・アンサンブル金沢が演奏する機会もほとんどない曲ですが,とても良い曲です(ジュピター音型が第1楽章に出てきますね)。サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)の演奏は,そんなに変わったことをしているわけではないのですが,各フレーズのニュアンスの付け方が大変念入りで,退屈せずに楽しむことができました。全体的に慌てることなく,明快に鮮やかな音楽を楽しませてくれました。

2曲目のリゲティのフルートとオーボエのための二重協奏曲では,管楽器を中心としたサウンドの素晴らしさを堪能させてくれました(多分,ヴァイオリンは入っていなかったと思います。かなり変則的な編成でした)。いわゆる現代音楽ですので,聞きやすい作品とは言えないのですが,フルートのジャック・ズーンさんとオーボエのフィリップ・トーンドゥルさんの音が素晴らしく,その音に浸るだけで幸福感を感じました。

アンコールではモーツァルトの魔笛(多分)の中の2曲をこのお2人が演奏しました。ここでは音の素晴らしさだけではなく,自由自在の闊達さも楽しませてくれました。

後半の「ツァラトゥストラはかく語りき」は,後期ロマン派の作品だけあってうねるようなスケール感があるのですが,大げさ過ぎる感じはなく,むしろ純音楽的な構築感がありました。SKOはソリスト集団だけあって,各モチーフの押し出しが明確で,その積み重ねや受け渡しを追っていくだけで,充実感を感じました。

有名な冒頭のファンファーレはトランペット,ティンパニともに大変鮮やかでしたが,全体的にあっさりとした感じでした。曲のエンディング部分もあっさりとした感じでしたが,こういった点も含め,曲全体のまとまりがとても良いと思いました。

#ちなみに今回のメンバーは次のとおりです。弦楽器は日本人中心ですが大変豪華なメンバーですね。
http://www.saito-kinen.com/j/program/sko_mem/sko_mem.shtml

この日会場では松本市の観光マップを配布していましたが,北陸新幹線が金沢まで開通すれば,松本市まではかなり近くなりますね。その時は一度,松本でSKOの実演を聞いてみたいものです。

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↑このイベントのチラシです。この日の豪雨を予想するように「雨天決行」などと書いてありました。

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