2013ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭 石川フィルハーモニー交響楽団特別演奏会 シェヘラザードなどオール・ロシアプログラム。オーケストラっていいなぁと改めて思いました。感動しました。
10月の連休初日の今日,日中はかなり激しい雨が降ったのですが,夕方以降は天気が回復し,ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭のイベントの一つとして行われた,石川フィルハーモニー交響楽団の特別演奏会を聞いてきました。今回,聞きに行こうと思ったのは,アマチュア・オーケストラにはハード過ぎると思えるぐらいの魅力的なプログラムだったからです。
最初にストラヴィンスキーの「火の鳥」(1919年版),次にショスタコーヴィチの室内交響曲(弦楽四重奏曲第8番の弦楽オーケストラ版),そして,メインにリムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」。石川フィルは2年前には,マーラーの交響曲第9番を演奏しているほどのオーケストラなので実力は十分あるのですが,違ったタイプの難曲3曲というのは,マーラーの大曲1曲とはまた違った難しさがあったのではないかと思います。
その演奏ですが...素晴らしい演奏でした。実は今回,石川県立音楽堂コンサートホールの2階席の前の方で聞いてみたのですが,オーケストラの一員になってしまったような感覚で聞いてしまい,アマチュア・オーケストラの素晴らしさを体感することができました。
何よりも最後に演奏された「シェエラザード」に感動しました。この曲はコンサートマスターがソリストなみに大活躍する曲ですが,まず,コンサートマスターが(女性なのでコンサートミストレスということになりますが)ステージに登場する際,本当ににこやかな表情で登場したのが印象的でした。この表情を見た瞬間,「この演奏は素晴らしい演奏になるだろう」と予想したのですが(前半も素晴らしかったからですが),そのとおりでした。
まず,独奏ヴァイオリンの演奏が,本当に見事でした。冒頭から安心して曲の世界に引き込んでくれました。その演奏に触発されるように,その他のパートもすべて聞きごたえのある演奏を聞かせてくれました。厳密に聞くと,やはり完璧というわけではないのですが,「しっかり仕事しているなぁ」と感じました。その積み重ねを聞いているうちに,オーケストラというのは色々な個性の人がいるはずなのに,よくまとまっているなぁ,とオーケストラ音楽の原点のようなことを考えてしまいました。本当によくまとまった,一丸になった演奏でした。指揮者の花本さんを中心とした練習の成果が十分に発揮された演奏だったのではないかと思います。
前半の2曲も良い演奏でした。「火の鳥」は,途中ちょっと慎重過ぎるかなと感じる部分はあったのですが,終曲の最後の部分で,クレッシェンドした後,バシッと決まる部分が本当にバシっと決まっていたのが爽快でした。ショスタコーヴィチの室内交響曲は弦楽器だけの演奏ということで,アマチュアオーケストラだったら粗が目立つかな...と失礼なことを思っていたのですが,全然そんなことはなく,厚みのある聞きごたえのあるサウンドを聞かせてくれました。この曲でもコンサートマスターが活躍するのですが(前半は男性のコンサートマスターでした),こちらも非常に緻密な演奏を聞かせてくれました。
アンコールでは,ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」の「ワルツ」が流れよく演奏されました。これで,ストラヴィンスキー,ショスタコーヴィチ,リムスキー=コルサコフ,ハチャトゥリアンと役者(?)が勢ぞろいしたことになり,会場は大いに盛り上がりました。この日の演奏会は,石川県立音楽堂コンサートホールの響きの良さ,リムスキー=コルサコフのオーケストレーションの素晴らしさ,そして石川フィルの大健闘と全てのプラスの要素が揃い,素晴らしい演奏になったのではないかと思います。ビエンナーレいしかわはその名のとおり2年に1度ですが,また次回にも期待したいと思います。
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