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2013年9月22日 - 2013年9月28日

2013/09/22

ワーグナー「ワルキューレ」沼尻竜典指揮,ジョエル・ローウェルス演出@びわ湖ホール。私にとっては今回が初リング。長さに納得しました,ワーグナーっていいもんですねぇ

今年の8月のお盆休みはひたすら暑い金沢でじっと暮らしていたので,その代わりに,びわ湖ホールで行われた,ワーグナーの「ワルキューレ」公演を聞いてきました。

P1060600

指揮は沼尻竜典,演出はジョエル・ローウェルス,オーケストラが神奈川フィルと日本センチュリー交響楽団による合同オーケストラ。キャストの方は福井敬さんをはじめとする実力のある日本人歌手キャストというメンバーによる公演でしたが,まず,やはり本格的なオペラハウスで生で聞くワーグナーは素晴らしいと感じました。

ワーグナーの作品については,DVDでは1つの幕すらなかげなか続けて見るのが難しいのですが,生の舞台だと違います。楽劇の場合,歌うというよりは,音楽的にセリフを語るという部分が多く,ワーグナーの場合,それぞれの人物が「語りつくす」ような部分があります。実演だとその長さに「意味」を感じました。

ヴォータン,ブリュンヒルデ以外にもフリッカなどもかなり長セリフがありますが,皆,その長セリフによって,相手を説得してしまい,状況を変えていきます。論理の力で説得している面もあるのですが,「声の力」や「情の力」で変えていく部分もあります。今回の歌手たちは粒ぞろいでした。いずれも「声の力」「情の力」があり,長セリフに説得力がありました。セリフを聞いているだけで,ワーグナーの作ったシナリオの流れが納得できました。

それに加え,第1幕切れのジークリンデとジークムントの熱く甘いアリア(やはり福井敬さんの突き抜けてくる声が素晴らしかった)。第2幕切れのジークムント×フンディング×ヴォータンの対決シーン。第3幕のお馴染み「ワルキューレの騎行(声入りで聞くと,魔女の集まりのような感じになり,かえって良い気分転換(?)になりますね)。第3幕切れの「ヴォータンの別れと魔の炎の音楽」など,音楽自体が分かりやすい部分も多く,全く退屈しませんでした。

歌手は,前述のとおりみんな良かったのですが,特に男声が良かったと思います。福井さんに加え,ヴォータン役の青山貢さんも素晴らしかったですね。実に若々しく,緻密な声のヴォータンでその声を聞くだけで満足でした。第2幕では,妻のフリッカとの間での議論のシーンがあり,ヴォータンはフリッカに負けてしまいます。そして愛する娘のブリュンヒルデを罰することになり苦悩します。ヴォータンは「神々の長」なのですが,このワルキューレでの役柄は家族の問題で悩む現代のホームドラマに出てくる父親に通じるキャラクターでもあります。青山さんのヴォータンは,神話時代ではなく,今でも居そうな父親という感じがしました。

今回のローウェルスさんの演出も,「機能していない家族」ということをテーマにしており(プログラムに書いてありました),第3幕の最後のシーンなども独特の「ホームドラマ」としての終わり方になっていました。「ワルキューレ」の終わり方というと,ステージが赤くなって,炎に包まれて終わりというのが普通なのですが(今回も途中までそうでした),最後,スッと場面が変わり,ヴォータンを中心にワルキューレ,フリッカなど「家族」が全員勢ぞろいしていました。考えてみると,ワルキューレに出てくる人物の大半はヴォータンの家族です。最後,自分の息子であるジークムントもこの中に加わり,何か不吉な雰囲気を漂わせて静かに幕となりました。「機能していない家族」...このテーマをもう少しじっくり考えてみたいと思います。

今回の演出ですが,この最後の場もそうだったのですが,あきれるほど場面転換がスムーズで驚きました。パッと暗転する場面が多いのですが,次の瞬間,全く違う景色になっていたりします。今回の公演のいちばんの立役者は,もしかしたら照明と舞台の担当者だったのかもしれません。暗転している間は,音楽だけが残るので,自然に音楽にも耳に行きます。プログラムの解説によると「映画的手法」と書かれていましたが,オペラを沢山見ているわけではない私にとっても新鮮に感じました。暗転が多いと行っても,ドラマのクライマックスなどでは,たっぷりと見せてくれるので,その使い方の「加減」が巧いと思いました。

もともと「ワルキューレ」には主要登場人物は6人程度なのですが,「それ以外」の人物もかなりステージ上にいました(フンディングの家の一族郎党みたいな感じの人物とか)。それと,「若き日のブリュンヒルデ」をクライマックスで登場させていました。まさに愛娘という感じで,ぐっと「泣かせる」演出になっていました。また大人のブリュンヒルデの横山恵子さんの声も凛とした強い声で素晴らしかったと思います。

そして何よりも沼尻竜典さんの指揮も素晴らしかったですね。遠くから見ても(私は4階席でした),非常に明確に指揮をされており,音楽の安定感が抜群でした。第1幕最初の嵐の部分とか,第3幕最初の「ワルキューレの騎行」などは,大騒ぎする感じではなかったのですが,音楽の流れに乗って,どんどん熱く,集中度が高まってくるという演奏だったと思います。神奈川フィルと日本センチュリーの合同オーケストラも良かったと思います。これだけ長い作品で,出番も多い管楽器が特に大変だったと思いますが,安心して聞くことができました。全曲最後の「魔の炎の音楽」の部分のじっくりと聞かせる精妙さなどは,何となく,まだ頭の中で音楽が続いている感じです。

その他,いろいろと工夫している部分があり,ついつい語りたくなってしまいますねぇ。これがワーグナーの魅力なのでしょうか(もしかしたらワグネリアンの資質があるかも?)。11月には富山で「トリスタンとイゾルデ」公演もあるので,こちらにも行ってみようかなと考えています。

びわ湖ホールでオペラを観るのは今回が初めてでしたが,休憩時間にびわ湖が眺められるというのが素晴らしいですね。天候にも恵まれ大変気持ち良かったです。窓の外に次のような景色が180度ぐらい広がっていました。
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今回,午前中に金沢を出発して,夜11:00に金沢に戻ったのですが,これなら「また来れるな」と思いました(もちろん経済的な問題がなければですが。)。チラシによると,井上道義さんも好きな,コルンゴルトの「死の都」を上演するようです。これなどは可能ならば行ってみたいですね。

というわで,中々語り尽せないぐらい楽しめた「ワルキューレ」でした。

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↑そろそろ,秋分の日ということで,終演後はさすがに暗くなっていました。

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