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2014/01/22

今回の音楽堂室内楽シリーズは,池辺晋一郎「自己ベスト」室内楽曲集。前衛的な作品からヴァイオリン初心者用作品,さらにはビートルズまで。ご本人の解説付きでたっぷり楽しめました。#oekjp

真冬の天候の中(まだ雪はそれほどではありませんが),石川県立音楽堂交流ホールで行われた音楽堂室内楽シリーズ第6回「生誕70周年池辺晋一郎with OEKファミリー」を聞いてきました。今回は池辺さん自身が自分の室内楽作品について解説をしながら,演奏を楽しむという趣向で,演奏会全体で「ベストアルバム」になるような充実した内容でした。

前半は,前衛的な作曲家としての池辺さんに焦点を当てた内容で,カタカナで「ゲンダイオンガク」と書いてみたくなるほどの,ギシギシと軋むような不協和音に溢れた音楽の連続でした。ただし,池辺さん自身の解説を聞いた後だと,「なるほど」という感じで,とても面白く聞くことができました。

個人的に特に凄いと思ったのが,2曲目に演奏された「ストラータⅤ:弦楽四重奏のために」でした。最初から息継ぎの間がないぐらいに,せわしなく,同じような音型や同音反復が続くような作品で,バルトークの弦楽四重奏曲辺りをさらに,強く強く締めあげたような緊迫感がありました。

この日は,OEKの弦楽奏者を中心としたメンバーでしたが,特にヴァイオリンの松井さんは出ずっぱりで,しかも,激しい音の動きを持った作品ばかりということで,見ているだけで「お疲れ様でした」という感じが伝わってきました。

前半最後に演奏された「TANADA」という6つの楽器(ヴァイオリン,チェロ,フルート,クラリネット,ピアノ,打楽器という変則的な編成)のための曲も楽しめました。池辺さんがN響アワーの司会をされたいた頃,夏に新潟県の妻有に出かけたことがあるそうです。その時に見た棚田の印象からひらめいた曲とのことです。

池辺さんは,「音はほっておくと下がる」理論をお持ちですが(この話は以前聞いたことがあります),そのことと「棚田の景観」には通じるものがある,ということで曲の前半はやたらとキンキンとした高音中心,最後はひたすら下降。そんな感じの曲でした。最後の部分で「下がった後,休符,下がった後,休符」という動きを取っていたのは,やはり「棚田」を意識していたのだと思います。楽譜を見ても「棚田」のようになっているのかもしれないですね。

曲全体の響きも,メシアンの曲のような感じで(そういえば,「時の終わりのための四重奏」とちょっと似た編成でした),今回演奏された曲の中ではいちばん色彩的でした。聞きながら,メシアンが「剣の舞」をアレンジしたらこんな感じになるかも,と勝手に想像しながら聞いていました。

後半は趣きを変え,聞きやすい響きの作品ばかりでした。

最初に演奏されたのは,池辺さんがヴァイオリンを習っていた娘さんのために書いた作品集でした。作曲家の父が子供のために作品を書くというのは,何となくバッハとかモーツァルトの時代のようで,カッコ良いですね。

ヴァイオリンの発表会でヴァイオリン・アンサンブルで演奏できるカノンは,OEKのヴァイオリン奏者4人で演奏されました。比較的簡単に演奏できる曲だとは思いますが,とても華やかに響いていたのはさすがだと思いました。カノンの場合,最初に引き終えた奏者が「手持無沙汰」になるのですが,それについての「対策」が取られているなど,さすが池辺さんというアイデアも盛り込まれていました(詳細はレビューで書きたいと思います)。

ちなみにOEKのヴァイオリン奏者の上島淳子さんは,この「カノン」を子供の頃,ヴァイオリンの発表会で弾いたことがあるそうです(池辺さんの娘さんと同じ先生についていたとのことです)。子どもの頃に弾いた曲をプロになって,しかも作曲者自身の前で演奏するとは,誰も予想していなかったでしょうね。

同じく娘さんのために書かれたコンチェルティーノ第2番については,フランスの作曲家が作ったような流麗で洒落た味わいがありました。娘さん自身は,「カタカナの作曲家の曲を弾きたかった」と思っていたそうですが,こんな素敵な曲を贈られた娘さんは大変幸せだと思います。

最後はビートルズの曲をバロック風にアレンジしたものが2曲演奏されました。これは,1970年代に池辺さんがレコード会社から頼まれて編曲したもので,「バロックの名曲とビートルズの名曲を合体させてみよう!」という趣向です。イエスタディとレット・イット・ビーが演奏されましたが,それぞれバロック音楽の超名曲と見事に合体していました。これについても詳細はレビューで紹介したいと思います。アンコールでは,もう1曲ビートルズの曲が演奏してお開きとなりました。

今回,池辺さんの作品をずらりとまとめて聞いてみて,池辺さんの多彩さ多才さを実感しました。どの曲にも,色々なアイデアが詰まっています。注文に応じて作る場合も,そこに池辺さんらしいヒネリが入っているし,バリバリの前衛的な作品の中にも独自のスパイスが効いています。さすがに初期の前衛的な作品については,池辺さん自身に説明をして頂かないと分からない工夫もありましたが,どの曲にもしっかりとしたコンセプトと知的な面白さが埋め込まれているというのが素晴らしい点だと思いました。

今回の企画は,音楽堂ならでは,OEKならではの楽しめる企画だったと思います。今年度の音楽堂室内楽シリーズはこれで最終回ですが(今年は6回全部聞いてしまいました),次年度はどういうプログラムになるのか,楽しみにしたいと思います。

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