OEK定期公演「ベートーヴェン交響曲集II」は,ラルフ・ゴトーニさん指揮。地味目の第6番「田園」と第8番の組み合わせでしたが,大変聞きごたえがありました。 #oekjp
2月最初のOEKの定期公演は「ベートーヴェン交響曲全集=マイスターシリーズ」ということで,ラルフ・ゴトーニさん指揮で,ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」と第8番という”地味目の2曲”が演奏されました。ベートーヴェンの交響曲といえば奇数番の方がよく演奏されますが,今回の演奏は,奇数番に負けない聞きごたえがありました。さすがゴトーニ&OEKという演奏会でした。
このシリーズでは,1曲だけ現代曲を入れるのが”ルール”になっているようで,今回はフィンランドの作曲家クーシストのレイカという作品が最初に演奏されました。現代曲といってもそれほど前衛的ではなく,「もしもジョン・ウィリアムスがフィンランドに来たら...」という感じのSF映画のサントラを思わせるようなところがありました。同じ音型を繰り返して,クールに盛り上がるようなサウンドはシベリウスに通じる”自然”を感じさせてくれるところがあり,前半に演奏された「田園」との取り合わせも悪くないと思いました(「田園」も結構,同じ音型の繰り返しの多い曲ですね)。
続いて演奏された「田園」は,ゴトーニさんの作る音楽が大変立派でした。どの楽章ももたれることのないすっきりした感じで演奏されましたが,オーケストラの音自体に自信が満ちており,しっかりとした安心感を感じました。特に各楽章の最後の部分では,じっくりとテンポを落とし,聞きごたえのある音楽になっていました。
後半の第4楽章と第5楽章は特に印象的でした。まず,嵐の部分では,コントラバスのクリアな音の動き,ティンパニの強烈な音(本当に気持ちの良い音でした),嵐が終わった後のざわざわした余韻などOEKの素晴らしさが出ていました。第5楽章はまず,アビゲイル・ヤングさんを中心とした弦楽器の音の素晴らしさに感動しました。ピュアな感謝の気持ちが湧き上がってくる,素晴らしいエンディングでした。
演奏会の後半では,第8番が演奏されました。曲の長さと知名度的には「田園」で締める方が良いのですが,今回の第8番はメインに相応しい立派さがありました。ゴトーニさんの指揮にしっかり反応して,第1楽章など,大変スケールの大きな音楽を聞かせてくれました。小気味よい第2楽章の後の第3楽章では,滑らかな主部と,室内楽的な気分に溢れたトリオとの対比が鮮やかでした。第4楽章も大変堂々としていました。最後の部分でのティンパニの乱れ打ちの後,ズドンと締めてくれました。
アンコールでは,ゴトーニさんお得意のアンコールが演奏されました。OEKとのCDにも収録されている魅力的な曲です。詳細はレビューでお伝えしましょう。
ゴトーニさんとの1週間がこれで終わりましたが,今回もまた充実した音楽を聞かせてくれました。今回の共演でOEKとのつながりは益々強くなったと思います。次回の共演ではどういうプログラムを聞かせてくれるのか,今から楽しみです。
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