スロヴァキア・トリオ演奏会:ルドヴィート・カンタ・リサイタル・シリーズ Vol.16を聞いてきました。大人の魅力と半場の魅力にあふれた,素晴らしい演奏の連続でした。
昨日に続いて,OEK関連の演奏会を聞いてきました。聞いてきたのは,スロヴァキア・トリオ演奏会:ルドヴィート・カンタ・リサイタル・シリーズ Vol.16です。この日,OEKメンバーは金沢市内や富山市内などに分かれて,色々な公演に登場していたようです。どれに行こうか迷ったのですが,やはりカンタさんの室内楽を聞いてみたいと思い,スロヴァキア・トリオの演奏会に行くことにしました。
このトリオの名前は,1950年代に活動していたスロヴァキアのピアノ三重奏団にちなんだものです。一旦消滅したのですが,1980年代にメンバーを変えて復活し,カンタさんがOEKに入る直前まで活動していたとのことです。今回は2回目の「復活」ということになります。
演奏された曲は,マルティヌー/ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲第1番,ショスタコーヴィチ/ピアノ三重奏曲第2番ホ短調,ドヴォルザーク/ピアノ三重奏曲第4番ホ短調「ドゥムキー」と彼らのお国モノといって良い3曲でした。
最初のマルティヌーの作品は滅多に演奏されない曲ですが,プログラムに書いてあった「マルティヌーは生涯孤独な作曲家だった」という文章を読んでから聞いたこともあり,その孤独感がひしひしと伝わってくるようでした。ただし,大げさな演奏ではなく,第2楽章ではほのかな明るさの見える「大人の演奏」でした。
次のショスタコーヴィチは,昨年12月に交流ホールで別の演奏で聞いたばかりの曲です。その時も素晴らしいと思ったのですが,やはり今回はコンサートホールで聞いたこともあり,さらに凄みと美しさを感じました。ヴァイオリンとチェロも素晴らしかったのですが,ここでは特にピアノのノルベルト・ヘラーさんの硬質の音が冴えていました。重要なモチーフがピアノに出てくると,ハッとさせるような感じでホールの空気が変わっていました。ヴァイオリンのエヴァルト・ダネルさんの音も地に足がしっかりとついたような落ち着きがあり,この曲の魅力がしっかり伝わってきました。
後半のドゥムキーは,この3人にとってはいちばん得意としているレパートリーではないかと思います。ゆっくりとした部分と速い部分とが交錯するような曲で,前半の2曲に比べると大変分かりやすい作品です。カンタさんの伸び伸びとしたカンタービレからは,どこか郷愁のようなものの伝ってきました。この曲は今年のラ・フォル・ジュルネ金沢でも演奏されそうな曲ですが,今回は正真正銘の本場の味が伝わってくるような,味のしみた見事な演奏だったと思います。
今回はコンサートホールの1階だけを使っていましたが,1階で聞く室内楽というのは本当に素晴らしいですね。改めて石川県立音楽堂の音響の良さを堪能しました。
アンコールでは意表を突く曲が演奏されました。これについては,レビューで紹介しましょう。
演奏者=ルドヴィート・カンタ(チェロ),エヴァルド・ダネル(ヴァイオリン),ノルベルト・ヘラー(ピアノ)
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