OEKのCD

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 石川県立音楽堂&OEK情報誌CADENZA Vol.46発行。新定期公演シリーズの紹介記事を中心に今回もインタビュー記事が充実しています。#oekjp | トップページ | 音楽堂室内楽シリーズはOEK渡邉昭夫さんを中心とした打楽器アンサンブルによる横田大司作品集。外は湿気たっぷりでしたが,風李一成さんを交えた「芋掘り藤五郎」などキレ#oekjp »

2014/07/05

大植英次,OEK初登場。前半は「なりきりリンカーン」,後半は大植ワールド全開のスリリングな第9。いつ合唱団が現れる?#oekjp

病気療養中の井上道義音楽監督の代わりにOEK定期公演マイスターシリーズ「ベートーヴェン全交響曲シリーズ」に登場したのは,OEK初登場となる大植英次さんでした。今回の代理は,井上道義さんが首席指揮者を務める大阪フィルつながりで大植さんになったのだと思いますが,代理とは思えないような,「思いっきり大植ワールド」といった演奏会になりました。

前半に演奏されたのは,コープランドの「リンカーンの肖像」という作品でした。当初は世界初演の曲が演奏されるはずでしたが,それに代えて,大植さんの得意曲を持ってきたのかもしれません。曲名にリンカーンの名前が入っているとおり,リンカーンの演説が曲の後半に出てくる独特な曲で,昨日7月4日のアメリカの独立記念日付近で聞くにはちょうど良い選曲と言えます。

このリンカーンの演説を大植さん自身が担当しました。井上道義さんも以前,「ピーターとおおかみ」の時,指揮をしながら語りをされたことがありますが,こちらの大植さんの方は「語り」というよりは「演説そのもの」「なりきりリンカーン」といった雰囲気があります。「For the people, by the people...」という感じでドラマティックに読み上げていました。大植さんの英語は,美しいという感じではないのですが,これだけ熱く語れる指揮者というのは他にはいないかもしれません。

曲の雰囲気としては,前半はいかにもコープランドらしい,「アーリー・アメリカン」という素朴な感じがありましたが,演説が始まると,映画のクライマックスを見るような感じで音楽が盛り上がっていきました。時節柄,声高な演説を聞くのはちょっと気が進まないかな,というところもありましたが,音楽付きで聞くと,否が応でも気分が盛り上がりますね。その意味で音楽の力を感じることのできる曲でした。

日本の政治家の演説とアメリカの大統領の演説というのは,声のトーンからして全く違うので,この曲についても外国人が格調高く読みあげたら,かなり違った雰囲気になると思います。そういう意味で,外国人の俳優がナレーションを担当した演奏なども聞いてみたいものです。

さて,後半の第9ですが,大小さまざまの仕掛けが組み込まれていました。「意外に普通だな」という感じで始まったのですが,その後は,ふっと脱力するような感じでテンポを緩めたり,大きな間を入れたり,強烈に盛り上げたり,かなり大胆な演奏でした。油断も隙もないという感じの演奏でした。演奏全体に熱い雰囲気があるのも大植さんらしいところで,OEKは見事に反応していました。

第2楽章のティンパニの強烈さ,第3楽章のホルンの爽やかさ(今回はエキストラの女性奏者が3楽章のソロを担当していました),など各楽器も生き生きと演奏していました。

大植さんの指揮ぶりは,非常にモーションが大きく,しかも「指さし」が非常に多かったですねぇ。第2楽章など,次々ソロを取る楽器が変わるので,後ろから見ていると「モグラたたき」のように見えました。

何よりも仕掛けが多かったのが第4楽章でした。まず,合唱団の入り方です。合唱団は最初から入っていて,ソリストが2楽章の後に入る,という形はありますが,今日の演奏は,第4楽章が始まった段階で,声楽関係者が一人もステージに乗っていませんでした。こういう第9は初めてみました。

コントラバスが表情たっぷりに歓喜の歌を演奏し始めると,バリトンソロのジョン・ハオさんが入ってみました。その後,ソリスト全員が入ってきて,さらに音楽が大きく盛り上がったところで,合唱団も入って来ました。「オー・フロインデ」までに間に合うのだろうか?とちょっと冷や冷やして見ていたのですが,余裕たっぷりで間に合い,ジョン・ハオさんのソロが始まりました。

このハオさんの声は,その声量に驚きました。ここまでの音楽を全部否定するのも納得という感じの神様か何かが登場したような感じの貫禄がありました。この日の独唱者は,それぞれに押し出しが強く,終盤の4重唱の部分なども大変聞きごたえがありました。

合唱は,オーケストラ・アンサンブル金沢合唱団と大阪フィルハーモニー合唱団の混成チームでした。こういう形は初めてかもしれません。ちょっと声にバラツキがあるようなところもありましたが,大植さんの指揮にしっかり答える,ニュアンス豊かで,スケールの大きな歌を聞かせてくれました。

そしてこの演奏で最後に驚いたのは,コーダの部分でした。大植さんは第4楽章の各コーナーごとにかなり大きな間を入れていましたが,このコーダの直前にこれだけ大きな間を入れるのは初めて聞きました。その後は,これ以上ないぐらい遅いテンポから徐々にテンポを上げ,最後はティンパニの強打を中心に音を熱く連打するようにして締めくくられました。

さすがにやり過ぎかなという部分はありましたが,会場全体が大植さんの世界に巻き込まれてしまいました。大植さんの演奏を聞くのは今回が初めてだったのですが,期待どおり(?)の熱く,魅せる(=見せる)演奏でした。大植さんは,大規模な曲を指揮されるのを得意とされているようなので,「大阪フィル+OEK」合同演奏会を企画し,大植さんに登場してもらっても良いかもしれませんね。井上道義さんの快気祝いにもぴったりかも。

« 石川県立音楽堂&OEK情報誌CADENZA Vol.46発行。新定期公演シリーズの紹介記事を中心に今回もインタビュー記事が充実しています。#oekjp | トップページ | 音楽堂室内楽シリーズはOEK渡邉昭夫さんを中心とした打楽器アンサンブルによる横田大司作品集。外は湿気たっぷりでしたが,風李一成さんを交えた「芋掘り藤五郎」などキレ#oekjp »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/152606/59932322

この記事へのトラックバック一覧です: 大植英次,OEK初登場。前半は「なりきりリンカーン」,後半は大植ワールド全開のスリリングな第9。いつ合唱団が現れる?#oekjp :

« 石川県立音楽堂&OEK情報誌CADENZA Vol.46発行。新定期公演シリーズの紹介記事を中心に今回もインタビュー記事が充実しています。#oekjp | トップページ | 音楽堂室内楽シリーズはOEK渡邉昭夫さんを中心とした打楽器アンサンブルによる横田大司作品集。外は湿気たっぷりでしたが,風李一成さんを交えた「芋掘り藤五郎」などキレ#oekjp »

最近のコメント

最近の記事

最近のトラックバック