OEKのCD

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 2014年8月 | トップページ | 2014年10月 »

2014年9月

2014/09/29

音楽堂室内楽シリーズ2014第3回シモン&マンフレート・プリンツデュオを聞いてきました。

本日は,今年度3回目となる音楽堂室内楽シリーズを聞いてきました。今回は,過去金沢でも何回か公演を行いOEKとも共演したことのあるピアニスト,マインハルト・プリンツさんとその息子ヴァイオリニスト,シモンさんのデュオリサイタルでした。マインハルトさんは,オーストリア国立ウィーン・アカデミーで学び,後進の指導もされてきた方ということで,今回演奏される曲もウィーンの音楽が中心でした。

シモンさんはマンフレートさん同様,ウィーン国立音楽大学で学び,今年その大学院を卒業したばかりです。すらりとした長身の若者で,クールな雰囲気が漂っていました。その音楽の方は,クールというよりは,テンションが低い感じで,個人的にはもう少し情緒たっぷりに演奏してほしいかな,という部分がありました。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番では,その点でちょっと物足りない気はしましたが,モーツァルトの短調のヴァイオリン・ソナタ(K.304)についてっは,独特の暗さが曲のムードに合っていると思いました。

マンフレートさんのピアノは,ヴィルトーゾ風の豪快さよりは,軽快さが持ち味だと思いました。その点で,ハイドンのピアノ・ソナタでのちょっと気まぐれな疾走感が曲想に合っていました。アンコールで演奏された,速い動きが無窮動のように続く曲(多分,ベートーヴェンの曲だと思います)も大変楽しい演奏でした。

今日は月曜日だったのですが,非常にたくさんのお客さんが入っていました。マンフレート・プリンツさんは,大変日本語がお上手でしたが,その金沢での人気を実感させてくれる演奏会でした。

2014/09/26

石川県立音楽堂&OEK情報誌「CADENZA」47号とシーズン・プログラムが届きました。これまで未発表の内容を中心に概要を紹介しましょう。 #oekjp

石川県立音楽堂&OEK情報誌「CADENZA」47号に加えとシーズン・プログラムが郵送されてきました。

「シーズン・プログラム」は,前シーズンまではA4サイズだったと思いますが,今回からは通常のプログラムのサイズになり,60ページ以上のカラーの冊子となったようです。豪華な感じがする上,後から確認するのにも都合が良さそうです。

Nec_0606

この中からこれまで未発表だった内容を中心に概要をご紹介しましょう。

■CADENZA
○表紙はアランドラ・デ・ラ・パーラさん。何としてでもコンサートに出掛けたくなるような表紙ですね。

○今号もインタビュー記事が沢山掲載されています。
・郷古廉さん
・秋山和慶さん(鉄道の話題。英語だと車掌さんも指揮者もConductor。来年の7月には是非,車掌さんの制服で指揮してほしいですね。)
・黒柳徹子さん
・ルドヴィート・カンタさん
・トップ記事は,12月のバレエウィークのPR特集。
・来年1月17,18日の土日に,昨年に引き続き,アートと音楽を融合させる「ミルオトキクカタチ」の第2弾が行われます。今回は伊藤公造さんの「ブルーパール」にインスパイアされた音楽特集とのことです。
・OEKエンジェルコーラスでいっしょにハモりませんか?
・野々市明倫高校新聞部がコンサートホールを取材。
・台湾文化交流コンサートのレポート

■シーズン・プログラム
・全メンバーの写真が掲載されています。
・2015年2月28日(土) 金沢歌劇座 OEKによる「メリーウィドウ」待望の公演ですね。

2014/09/20

ギュンター・ピヒラー指揮OEK定期公演M。得意のシェーンベルク,ハイドン,シューベルトでOEKサウンドをしっかりと聞かせてくれました。#oekjp

ギュンター・ピヒラー指揮OEKによる定期公演Mを聞いてきました。今シーズン最初のマイスターシリーズということになります。マイスターシリーズについては,昨シーズンから何かコンセプトを設けた上でOEKの魅力を楽しませるという形になっています。今シーズンは,「オーケストラ・マスターピースシリーズ」ということで,「有名曲」にハイドンの「あまり演奏されない」交響曲を組み合わせるという趣向です。

プログラムは,シェーンベルク/浄められた夜(弦楽合奏版),ハイドン/交響曲第81番,シューベルト/交響曲第7(8)番「未完成」という順に演奏されました。ウィーンにちなんだ新旧の作曲家の作品によるプログラムで,いかにもピヒラーさん(というかアルバン・ベルク四重奏団)らしい選曲...と言いたいところですが,本来の指揮者である井上道義さんが考えたものです。

公演前の記者会見では,「私のためのようなプログラム」とピヒラーさん自身語っていたようですが,そのとおりの自信に溢れた内容で,OEKの基本的なレパートリーでOEKサウンドをしっかり楽しませてくれました。

最初の「浄められた夜」は,石川県立音楽堂ができたばかりの頃,ピヒラーさん指揮で演奏されたことがあります。その時の緊迫感溢れる演奏は大変強い印象を残しましたが,この日の演奏は,演奏全体に余裕が感じられ,極上のサウンド,多彩な弦楽のテクスチュアを楽しませてくれました。この曲についてだけ,ヴィオラとチェロを増強しており,冒頭部から厚みのある音で濃厚な気分を出していました。音楽堂ができて10年以上たち,OEKのサウンドもホールのエイジングに伴って芳醇さを増してきたなぁと感じさせる演奏でした。

2曲目のハイドンの交響曲第81番は,タイトルなしということもあり,どういう作品か想像もつかなかったのですが,大変楽しめました。シェーンベルクの後だとハイドンの影は薄いかなという予想もしていたのですが,全くそんなことはなく,ピヒラーさんならではのキビキビと引き締まった演奏を聞かせてくれました。

第1楽章からアビゲイル・ヤングさんを中心とした弦楽器の積極性が素晴らしく,音楽にぐいぐい引きこまれました。古楽奏法を意識した演奏ではなく,自由自在に多彩なニュアンスを楽しませてくれるような演奏でした。いかにもハイドン的な第2楽章では,今回も工藤重典さんのフルートが印象的でした。途中,一瞬短調になるのは「ハイドンあるある」という感じですが,ピヒラーさんが指揮すると,本当にビシっとしまって,ドラマティックになります。

最終楽章は,ハイドンならではの「ユーモア」がありました。94番「驚愕」の場合,いきなり「大音量」となりますが,この曲では,呈示部までに普通に演奏した後,展開部になったとたん,いきなり,大きな休符が入っていました。休符というよりは,音が消えるという感じでしょうか。私の隣に座っていた人は,この部分で,「ウトウト→ハッ」という感じになっていたので,「驚愕」と同じような効果があったようです。ニックネームなしの曲でも,いちいち趣向が凝らされているのはさすがハイドンです。

# ニックネームを付けるとすれば...「消滅」でどうでしょうか?81番ということで「九九」というのも考えられますが,99番と区別できないですね。

後半は「未完成」1曲でしたが,こちらも大変聞きごたえがありました。ピヒラーさんのテンポ設定はかなり速目で,筋肉質のシューベルトとなっていました。特に第1楽章展開部での盛り上げ方が非常にドラマティックでした。トロンボーンやトランペットを強調していたので,レクイエムに出てくる「怒りの日」という感じになっていたのが大変印象的でした。

第2楽章も金管楽器の音を強調してクライマックスを作っていました。全般に速目のテンポで,最後の部分では,つかの間の天国的気分を名残惜しむような儚さがありました。

この楽章では,クラリネット→オーボエ→フルートの順(2回目は違う順ですが)にメロディを受け渡す部分が大好きです。今回は,遠藤さん→加納さん→工藤さんでした。個人的には,この部分のフルートは,長年お馴染みの岡本さんの楚々とした感じがいいかなと思いました(あくまでも個人的な感想ですが,工藤さんの音は,ちょっと目立ちすぎるかも)。

アンコールでは,9月末のツァーに備えて,OEKにぴったりの曲が演奏されました(曲名はレビューでご紹介しましょう)。今回の西日本ツァーでは,ピヒラーさん指揮のOEKの魅力を楽しめると思いますので,是非お近くの方はお出かけください。郷古廉さんとのメンデルスゾーンも聞きものだと思います。

2014/09/15

石川フィル シベリウス&チャイコフスキーの「6番尽くし」定期演奏会を聞いてきました。

連休最終日の午後は,石川フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聞いてきました。今回は,シベリウスの交響曲第6番とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の「6番尽くし」というプログラムでした。

「悲愴」の方は,アマチュア,プロを問わずオーケストラのレパートリーの定番ですが,シベリウスの6番の方は,実演では滅多に演奏されない曲です。今回はこの珍しい曲を取り上げた「心意気」に共感して聞きに行くことにしました。

シベリウスの6番はニ短調ということになっていますが,「レ」が基音となるドリア旋法ということで,短調とも長調とも言い難い独特の雰囲気があります。ちょっと不思議で宗教的な味わいのある「北欧風ドリア」(?)といった感じでした。

さすがに地味目でしたが,所々,シベリウスならでは,北欧ならではの魅力的なフレーズがスッと駆け抜けていくようなところがありました。特に第1楽章の途中に出てくる爽やかなメロディは,「ちょっとミュージカル風かも?」という感じで印象的でした。

後半の「悲愴」も,堂々たる演奏でした。過度に甘くなることなく,しっかりとオーケストラを鳴らし切るような立派な演奏でした。特に第1楽章展開部や第3楽章の引き締まった響きは見事でした。楽器の中では,強靭な音を聞かせてくれたトランペットの演奏が特に印象的でした。

「悲愴」については,来月,石川県立音楽堂でゲルギエフ指揮でも演奏される予定ですが,その聞き比べも楽しんでみたいと思います。

2014/09/10

パルカル・ロフェ指揮OEKによるフランス音楽特集。辻井伸行さんの熱くなり過ぎないラヴェルのピアノ協奏曲をはじめ,どの作品も曲想にぴったりの気持ちの良い演奏。#oekjp

OEKの新シーズン最初の定期公演フィルハーモニー・シリーズを聞いてきました。当初の予定ではマルク・ミンコフスキさんの指揮の予定でしたが,急病によりパスカル・ロフェさんに変更になりました。実はマルク・ミンコフスキさんは,今回の公演からOEKのプリンシパル・ゲストコンダクターに就任することが決まっており,おそらく,今回はその「お披露目」をする「サプライズ公演」になるはずだったのだと思います。ファンとしても主催者側としても大変残念でしたが,それを補うように人気ピアニストの辻井伸行さんが登場しましたので,会場はほぼ満席でした。

最初に演奏されたフォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲は,気持ちよく流れるように演奏されました。ロフェさんの指揮ぶりは,かなりエネルギッシュで,気持ちの良い推進力を生んでいました。有名なシチリアーノでの工藤重典さんの輝きのある音色も印象的でした。

続いて,辻井さんとの共演でラヴェルのピアノ協奏曲が演奏されました。辻井さんがこの曲を演奏するのは今回が初めてとのことでしたが,どんなパッセージでも平然と美しい音で,そして全く熱くならずに演奏する感じが曲想にあっていると思いました。特に第2楽章では,「子供のような純粋さ」でシンプルな音楽をしっかり聞かせてくれました。OEKの方は,おもちゃ箱をひっくり返したような曲想そのまんま(テンポがかなり速かったので,演奏は大変そうでしたが)の演奏を聞かせてくれました。

アンコールでは,ラヴェルの作品が2曲演奏されました。ここでも全く感情的にならず,ラヴェルのピアノ曲ならではの精緻な曲想を鮮やかに聞かせてくれました。

後半はラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」の管弦楽版で始まりました。冒頭部分のホルンの音がちょっと外れてしまったのが残念でしたが,軽やかに流れる弦楽の響きなど,涼しげな感触のある演奏はOEKならではだと思いました。

最後に演奏されたビゼーの交響曲もOEKが得意としている曲です。第1楽章は古典派の交響曲を聞くような,バランス良く引き締まった響きを聞かせてくれました。第2楽章では加納さんのオーボエがお見事でした。終演後「オーボエの息が長かったねぇ」「素晴らしかった」と語りあっている奥様方がいらっしゃいましたが,本当にそのとおりでした。

第3楽章もたっぷりと伸びやかに演奏された後,第4楽章は対照的に軽やかに駆け抜けていくような演奏を聞かせてくれました。サイモン・ブレンディスさんを中心とした第1ヴァイオリンの名人芸が素晴らしく,この楽章はこうでなくてはという爽快感を感じました。
ロフェさんは急遽OEKを指揮することになったのですが,どの曲からも前向きな気分が強く感じられ,OEKから明るく健康的な響きを引き出していたと思います。特に最後のビゼーは,曲想にぴったりの見事な演奏だったと思います。

今後,東京と高崎でもロフェ/OEKと辻井さんの公演が行われますので,お近くの方はお聞きになってみてください(とはいえ,既にチケットは完売かもしれませんね)。

2014/09/08

今宵は中秋の名月。金沢市の山間部 湯涌の民家で行われた「お月見の夕べコンサート」へ。筒井裕朗さんのサクソフォンと松原智美さんのアコーディオン演奏で明るい月夜の中多彩な曲を楽しんできました。

本日は中秋の名月。毎年,この日に金沢市の山間部にある湯涌温泉では「お月見の夕べコンサート」を行っています。今年は「金沢ナイトミュージアム」の一環として行われました。実は今日の昼までは行く予定ではなかったのですが,開始時刻が夜の20:15で,月見に最高の天候ということで,夕食を食べた後,車で出かけてきました。

P1080512s
↑手前にカカシ,民家の上に満月 という一句詠みたくなる(?)ような光景でした。

金沢市の場合,山の方に向かって車で20~30分ほど走ると結構,山奥のような景観になります。このコンパクトさが暮らしやすさにつながっていると思います。

今晩はこの湯涌温泉の中の金沢湯涌江戸村の中の藁葺民家の中でサクソフォンとアコーディオンによる演奏が行われました。登場したのは,金沢ではすっかりおなじみのサクソフォン奏者,筒井裕朗さんのと大阪から来られたアコーディオン奏者の松原智美さんでした。

P1080506s
↑囲炉裏のある広い座敷のような場所で演奏されました。戸を全部外すとかなり開放的な感じになるのも日本家屋の面白いところです。

どちらも純粋なクラシック音楽専用の楽器というよりは,どの分野でも対応可能な幅の広さを持っていますので,今晩も,現代音楽のグバイドゥーリナの特殊奏法満載の曲から,月夜にぴったりの「荒城の月」「星めぐりの歌」,見せ場満載のモンティのチャールダッシュと,45分ほどの中で多彩なプログラムを聞かせてくれました。

この中で気に入ったのは,もともとはギターとフルートのために書かれたピアソラの「タンゴの歴史」の中の1曲でした。ピアソラといえば,バンドネオンですが,アコーディオンは十分その代役になるし,サクソフォンは,フルートにない艶のようなものがあります。

こういった演奏を奏者の息の音はキーの音がパタパタと聞こえるような間近で楽しむことができました。週の初めから,金沢ならではの贅沢な時間を過ごすことができました。「お月見@湯涌」はこれからもチェックしておきたいと思います。

2014/09/06

12月上旬の金沢はバレエウィーク OEKの演奏で12/6「くるみ割り人形」と12/9プロコフィエフ「シンデレラ」が上演されます #oekjp

本日のコンサートでもらったチラシによる情報です。

今年の12月上旬ですが,金沢では次のとおり1週間内にOEKが演奏するバレエが2本上演される「バレエウィーク」となります。

12月6日(土)14:00~ 石川県立音楽堂コンサートホール
チャイコフスキー/バレエ「くるみ割り人形」

12月9日(火)19:00~ 金沢歌劇座
プロコフィエフ/バレエ「シンデレラ」

どちらも佐藤正浩指揮OEKで,ドイツ・エッセン市立歌劇場バレエ団のソリストが登場します。

「くるみ割り人形」の方には地元バレエ団のオーディション合格者も登場します。「シンデレラ」の方は「モダンバレエ」ということで,一味違ったものになりそうです。

このような形で短期間でバレエが2本上演されることは石川県内では珍しいことだと思います。バレエには,「見るまではややハードルは高いが,一度見るとハマル」ようなところがあります。今回は,金沢では滅多にみられない「シンデレラ」が上演されるのが特に注目です。お得なセット券(SS席セット12000円,S席セット10000円)もあるようです。チケットは本日9/6から発売開始とのことです。

オーケストラ公演だけでなく,「お金がかかる」オペラやバレエの上演頻度が増えてきたのも,OEKの活動の副産物なのではないかと思います。今年の注目公演だと思います。

ちなみにその翌週には,恒例のヘンデルの「メサイア」が演奏されます。OEKのスケジュールもなかなかハードですね。

潮博恵著『古都のオーケストラ,世界へ!:「オーケストラ・アンサンブル金沢」がひらく地方文化の未来』(アルテスパブリッシング)が演奏会場で配布されました。OEKをしっかり取材したOEKファン必読の著作です #oekjp

本日の岩城宏之メモリアルコンサートで,潮博恵著『古都のオーケストラ,世界へ!:「オーケストラ・アンサンブル金沢」がひらく地方文化の未来』(アルテスパブリッシング)が定期会員(S,A席購入者)に配布されました。次のとおり,レンゴーさんの提供による特製パッケージ(段ボールですね)に入れられていました。

Nec_0621

本文の方は,まだ全部読んでいないのですが,3月末に潮さんが講演された時同様,豊富な写真を掲載し,データに基づいた記述がされています。日本のオーケストラについては,山形交響楽団について指揮者の飯森範親さんが書いた書籍があったと思いますが,それ以外ではこういうタイプの本はほとんどないのではないかと思います。

アーティスト自身,オーケストラのメンバー,指揮者が書いているのではない点も独自の点だと思います。アートの観点だけにとどまらない視野の広さがあり,より客観的な記述になっているのではないかと思います。

Nec_0622

ちなみに...私も潮さんから取材を受けており,p.127~のコラムで楽友会の活動とともにOEKfanのサイトが紹介されています。OEKメンバーも含め,地道なインタビューの積み重ねで作られているのも素晴らしいと思います。日本の特定のオーケストラについて,こういうタイプの書籍が作られたことは過去になかったと思います。

この本がきっかけとなって,OEKの活動がさらに地元金沢に定着し,さらに多くの人に「応援しがいのあるオーケストラだ」と感じてもらえるようになると,OEKファンとしても大変嬉しく思います。

PS. 本日,潮さんから,メッセージ付きのサインをいただきました。こちらも良い記念になりました。

岩城宏之メモリアルコンサート。内藤淳子さんの真摯なヴァイオリンでメンデルスゾーンをじっくり堪能。山田和樹指揮による包容力のある「宗教改革」も見事。ウンスク・チンの新曲は斬新な響き #oekjp

OEKの2014/15のシーズンが始まりました。

9月上旬の新シーズン最初の定期公演は,毎年「岩城宏之メモリアルコンサート」ということが多かったのですが,今年はこのコンサートは定期公演ではなく,純粋に「メモリアルコンサート」として開催されました。今回は,今年の岩城宏之音楽賞を受賞したヴァイオリニストの内藤淳子さんとの共演を中心に,メンデルスゾーンの作品とOEKの委嘱作品が演奏されました。指揮は,病気療養中の井上道義さんに代わって山田和樹さんが登場しました。

山田さんは,2006年の北陸新人登竜門コンサートで岩城さんの代理でOEKを初めて指揮した後,指揮者としての活躍の場を広げましたので,今回のコンサートの指揮者にはぴったりと言えます。

演奏会に先立ち,岩城宏之音楽賞の表彰式があった後,ウンスク・チン作曲の大アンサンブルのための「グラフィティ」という作品が演奏されました。この曲は,当初7月の定期公演で井上道義さん指揮で演奏される予定だったものです。ウンスク・チンさんは,OEKの前のコンポーザー・オブ・ザ・イヤーだった方です。今回の特徴はOEKの単独委嘱ではなく国際的な共同委嘱となっている点です。そのため,世界初演ではなくアジア初演ということになります。

この作品ですが,「大アンサンブルのための」という表現どおり,独特の編成でした。弦楽器の数は室内楽並みに少ないのですが,管楽器はトロンボーンやテューバも含め一通りそろっています。何といっても打楽器が大活躍します。この日は6人(多分)ぐらい打楽器奏者がいました。の

曲の方は...かなり前衛的でメロディがない作品でした。ピアノ,ハープや打楽器の多彩な音,弦楽器の特殊奏法など含め何が飛び出してくるか分からない曲でした。新曲の場合,15分以内のことが多いのですが,この曲については国際共同委嘱作品ということもあるのか,3楽章からなるかなりの大作で30分ぐらい掛かっていたと思います。「グラフィティ」というタイトルは,「壁に描かれたストリートアート」的な落書を意識しています。どこか取り留めもないところがありましたが,その辺をどう感じるかが好みを分かつところだったと思います。

続いて内藤淳子さんが登場しました。内藤さんは,金沢市出身のヴァイオリニストで現在,ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の第1ヴァイオリン奏者として活躍されています。この内藤さんの独奏によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ですが,大変立派な演奏で,感動しました。

冒頭部分はちょっと音程が上ずったような感じになりましたが,その後は非常にゆっくりとしたテンポでじっくりと聞かせてくれました。第1楽章の最後のカデンツァなどは,深く沈潜するような感じでした。華やかな協奏曲というよりは緻密な室内楽的な雰囲気があるのも素晴らしく,内藤さんならではメンデルスゾーンの世界を堪能させてくれました。この曲は非常によく演奏される曲ですが,スター奏者による甘美な演奏とは一味違った,知的な抑制の効いた演奏は大変新鮮に感じました。

今後は,内藤さんとOEKメンバーによる室内楽,さらには内藤さんつながりでロイヤル・コンセルトヘボウのメンバーとOEKメンバーとの共演なども期待したいと思いました。

後半では,内藤さんの演奏曲目に合わせるようにメンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」が演奏されました。山田さんは今年2月のOEK定期演奏会で,メンデルスゾーンの交響曲第2番「讃歌」の見事な演奏を聞かせてくれましたばかりですので,そのアンコール公演のような感じです。

この曲は,題材的にメンデルスゾーンの作品にしては渋く,交響曲と宗教曲が混ざったようなところがあります。第1楽章はコラールが何回か出てきますが,その明るく透き通った感じがOEKらしいところだと思います。第2楽章は,山田さんとOEKにぴったりのスケルツォ風の楽章でした。正真正銘メンデルスゾーンといった感じの瑞々しい音楽を聞かせてくれました。

第3楽章は無言歌を思わせる美しい楽章でした。特にサイモン・ブレンディスさんを中心とした弦楽器の透明感に溢れた美しさが印象的でした。そのまま第4楽章に入っていくのですが,そのつなぎのコラールのメロディが印象的でした。フルートの岡本さんをはじめ,木管楽器のアンサンブルが素晴らしく,聞いていて妙に敬虔な気分になりました。

曲の終結部はコラールと対位法的な音の動きが組み合わさって大きく盛り上がります。ブルックナーの交響曲のフィナーレに通じるものがあると感じました。山田さんは大げさにまとめるのではなく,すべてを暖かく包み込むように柔らかな雰囲気で締めてくれました。

この日のプログラムは,現代曲で始まり,メンデルスゾーンの渋い交響曲で終わるというやや地味目な構成でしたが,お客さんの反応は大変良かったと思います(特に内藤さんのヴァイオリンに対する拍手が暖かかったですね)。金沢で,こういうプログラムが普通に取り上げられるようになり,お客さんが自然に楽しめるようになったのもOEKの活動の積み重ねによるものだと思います。ステージ上の岩城さんのポートレートを眺めながら,そんなことを感じました。

PS.この公演では,OS,A席を購入した定期会員に,潮博恵さんによる25周年記念本「古都のオーケストラ,世界へ!」が配布されました。この本については,別途紹介しましょう。

2014/09/02

サイトウ・キネン・オーケストラ スクリーンコンサート2014@金沢市文化ホール 小澤征爾渾身の指揮の幻想交響曲

ここ数年,この時期恒例になっているサイトウ・キネン・フェスティバル2014のスクリーンコンサートを金沢市文化ホールで聞いてきました。過去2回参加した際には,小澤征爾さん以外の指揮で聞いたので,小澤さんの指揮でスクリーンコンサートを聞くのは今回が初めてです。

ただし,小澤さんの体調を考慮してか前半は指揮者なしによるモーツァルトのグランパルティータでした。名人揃いのサイトウ・キネン・オーケストラの木管楽器メンバーによる演奏ということで,じっくりと練りあげられたられた素晴らしいアンサンブルを聞かせてくれました。ただし,さすがに50分以上かかるこの曲を実演ではなくビデオ映像で楽しむというのは難しいところがあります。この際,目を閉じて,気持ちよい響きに浸ることにしました。最終楽章で,音が鮮やかに立ち上がるように響いていたのが大変印象的でした。

後半が小澤さん指揮による幻想交響曲でした。この曲は,小澤さんがデビュー当時からもっとも得意にしてい曲ではないかと思います。トロント交響楽団,ボストン交響楽団とのスタジオ録音に加え,サイトウ・キネン・オーケストラとのライブ録音のCDもあるようです。

小澤さんはやや高めの背もたれのような椅子に座って指揮をしていましたが要所要所では立ち上がっていました。小澤さんの作る音楽は,基本的には,よく整理された整った丁寧な音楽なのですが,ライブになると随所に熱さがにじみ出ます。テンポは,若い時の演奏に比べると遅めで,味付けも淡白な感じでしたが,その分,ヴィルトーゾ・オーケストラの各メンバーが小澤さんを盛り立ててやろうという気分が素晴らしく,最終楽章などは厚みのある響きを楽しませてくれました。

特に印象的だったのは第3楽章でした。孤独感と同時に不思議な温かみを感じました。しっかりと音が染み渡るような音楽を聞かせてくれました。

参加しているメンバーがアップになるのがスクリーンコンサートの面白さです。相変わらずの豪華なメンバーでした。コンサートマスターは新日本フィルなどでコンサートマスターをされている豊嶋さんでした(それにしてもこの方は色々なオーケストラのコンサートマスターをされています。)。その隣に座っていたのが東京都交響楽団の矢部達哉さん,その後が読売日本交響楽団の小森谷さん...と東京の主要オーケストラのコンサートマスターが勢ぞろいしている感じでした。

木管楽器は外国人奏者が多かったのですが,特にクラリネットのリカルド・モラレスさんの見事にコントロールされた音が魅力的でした。最終楽章の最初の方,通常のフルートではなく,「伸び縮みする横笛」を使ってユーモラスな音を出していたのも独特でした。こういうのは初めてみましたが,独特の風貌のフルート奏者(ジャック・ズーンさんだと思います)のアイデアでしょうか?

というわけで,前半のグランパルティータでは目を閉じて,後半の幻想交響曲では次々に切り替わる各奏者のアップを見ながら楽しみました。が,やはりハイビジョン映像+5.1サラウンドとはいえ,生の音とは全く違います。何よりも,拍手をしても奏者に届かない...というのがかなり空しいですね。

コンサートの開始前,長野県の方が「新幹線ができたら,是非松本にお越しください」といった観光PRをされていましたが,是非,一度松本に行って,その場で拍手をしてきたいものだと思いました。

« 2014年8月 | トップページ | 2014年10月 »

最近のコメント

最近の記事

最近のトラックバック