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2014/09/20

ギュンター・ピヒラー指揮OEK定期公演M。得意のシェーンベルク,ハイドン,シューベルトでOEKサウンドをしっかりと聞かせてくれました。#oekjp

ギュンター・ピヒラー指揮OEKによる定期公演Mを聞いてきました。今シーズン最初のマイスターシリーズということになります。マイスターシリーズについては,昨シーズンから何かコンセプトを設けた上でOEKの魅力を楽しませるという形になっています。今シーズンは,「オーケストラ・マスターピースシリーズ」ということで,「有名曲」にハイドンの「あまり演奏されない」交響曲を組み合わせるという趣向です。

プログラムは,シェーンベルク/浄められた夜(弦楽合奏版),ハイドン/交響曲第81番,シューベルト/交響曲第7(8)番「未完成」という順に演奏されました。ウィーンにちなんだ新旧の作曲家の作品によるプログラムで,いかにもピヒラーさん(というかアルバン・ベルク四重奏団)らしい選曲...と言いたいところですが,本来の指揮者である井上道義さんが考えたものです。

公演前の記者会見では,「私のためのようなプログラム」とピヒラーさん自身語っていたようですが,そのとおりの自信に溢れた内容で,OEKの基本的なレパートリーでOEKサウンドをしっかり楽しませてくれました。

最初の「浄められた夜」は,石川県立音楽堂ができたばかりの頃,ピヒラーさん指揮で演奏されたことがあります。その時の緊迫感溢れる演奏は大変強い印象を残しましたが,この日の演奏は,演奏全体に余裕が感じられ,極上のサウンド,多彩な弦楽のテクスチュアを楽しませてくれました。この曲についてだけ,ヴィオラとチェロを増強しており,冒頭部から厚みのある音で濃厚な気分を出していました。音楽堂ができて10年以上たち,OEKのサウンドもホールのエイジングに伴って芳醇さを増してきたなぁと感じさせる演奏でした。

2曲目のハイドンの交響曲第81番は,タイトルなしということもあり,どういう作品か想像もつかなかったのですが,大変楽しめました。シェーンベルクの後だとハイドンの影は薄いかなという予想もしていたのですが,全くそんなことはなく,ピヒラーさんならではのキビキビと引き締まった演奏を聞かせてくれました。

第1楽章からアビゲイル・ヤングさんを中心とした弦楽器の積極性が素晴らしく,音楽にぐいぐい引きこまれました。古楽奏法を意識した演奏ではなく,自由自在に多彩なニュアンスを楽しませてくれるような演奏でした。いかにもハイドン的な第2楽章では,今回も工藤重典さんのフルートが印象的でした。途中,一瞬短調になるのは「ハイドンあるある」という感じですが,ピヒラーさんが指揮すると,本当にビシっとしまって,ドラマティックになります。

最終楽章は,ハイドンならではの「ユーモア」がありました。94番「驚愕」の場合,いきなり「大音量」となりますが,この曲では,呈示部までに普通に演奏した後,展開部になったとたん,いきなり,大きな休符が入っていました。休符というよりは,音が消えるという感じでしょうか。私の隣に座っていた人は,この部分で,「ウトウト→ハッ」という感じになっていたので,「驚愕」と同じような効果があったようです。ニックネームなしの曲でも,いちいち趣向が凝らされているのはさすがハイドンです。

# ニックネームを付けるとすれば...「消滅」でどうでしょうか?81番ということで「九九」というのも考えられますが,99番と区別できないですね。

後半は「未完成」1曲でしたが,こちらも大変聞きごたえがありました。ピヒラーさんのテンポ設定はかなり速目で,筋肉質のシューベルトとなっていました。特に第1楽章展開部での盛り上げ方が非常にドラマティックでした。トロンボーンやトランペットを強調していたので,レクイエムに出てくる「怒りの日」という感じになっていたのが大変印象的でした。

第2楽章も金管楽器の音を強調してクライマックスを作っていました。全般に速目のテンポで,最後の部分では,つかの間の天国的気分を名残惜しむような儚さがありました。

この楽章では,クラリネット→オーボエ→フルートの順(2回目は違う順ですが)にメロディを受け渡す部分が大好きです。今回は,遠藤さん→加納さん→工藤さんでした。個人的には,この部分のフルートは,長年お馴染みの岡本さんの楚々とした感じがいいかなと思いました(あくまでも個人的な感想ですが,工藤さんの音は,ちょっと目立ちすぎるかも)。

アンコールでは,9月末のツァーに備えて,OEKにぴったりの曲が演奏されました(曲名はレビューでご紹介しましょう)。今回の西日本ツァーでは,ピヒラーさん指揮のOEKの魅力を楽しめると思いますので,是非お近くの方はお出かけください。郷古廉さんとのメンデルスゾーンも聞きものだと思います。

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コメント

来週水曜日の名古屋公演聞きに行きます。
井上さんが出演されないのは残念ですが、ビヒラーの指揮も楽しみです。

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