パルカル・ロフェ指揮OEKによるフランス音楽特集。辻井伸行さんの熱くなり過ぎないラヴェルのピアノ協奏曲をはじめ,どの作品も曲想にぴったりの気持ちの良い演奏。#oekjp
OEKの新シーズン最初の定期公演フィルハーモニー・シリーズを聞いてきました。当初の予定ではマルク・ミンコフスキさんの指揮の予定でしたが,急病によりパスカル・ロフェさんに変更になりました。実はマルク・ミンコフスキさんは,今回の公演からOEKのプリンシパル・ゲストコンダクターに就任することが決まっており,おそらく,今回はその「お披露目」をする「サプライズ公演」になるはずだったのだと思います。ファンとしても主催者側としても大変残念でしたが,それを補うように人気ピアニストの辻井伸行さんが登場しましたので,会場はほぼ満席でした。
最初に演奏されたフォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲は,気持ちよく流れるように演奏されました。ロフェさんの指揮ぶりは,かなりエネルギッシュで,気持ちの良い推進力を生んでいました。有名なシチリアーノでの工藤重典さんの輝きのある音色も印象的でした。
続いて,辻井さんとの共演でラヴェルのピアノ協奏曲が演奏されました。辻井さんがこの曲を演奏するのは今回が初めてとのことでしたが,どんなパッセージでも平然と美しい音で,そして全く熱くならずに演奏する感じが曲想にあっていると思いました。特に第2楽章では,「子供のような純粋さ」でシンプルな音楽をしっかり聞かせてくれました。OEKの方は,おもちゃ箱をひっくり返したような曲想そのまんま(テンポがかなり速かったので,演奏は大変そうでしたが)の演奏を聞かせてくれました。
アンコールでは,ラヴェルの作品が2曲演奏されました。ここでも全く感情的にならず,ラヴェルのピアノ曲ならではの精緻な曲想を鮮やかに聞かせてくれました。
後半はラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」の管弦楽版で始まりました。冒頭部分のホルンの音がちょっと外れてしまったのが残念でしたが,軽やかに流れる弦楽の響きなど,涼しげな感触のある演奏はOEKならではだと思いました。
最後に演奏されたビゼーの交響曲もOEKが得意としている曲です。第1楽章は古典派の交響曲を聞くような,バランス良く引き締まった響きを聞かせてくれました。第2楽章では加納さんのオーボエがお見事でした。終演後「オーボエの息が長かったねぇ」「素晴らしかった」と語りあっている奥様方がいらっしゃいましたが,本当にそのとおりでした。
第3楽章もたっぷりと伸びやかに演奏された後,第4楽章は対照的に軽やかに駆け抜けていくような演奏を聞かせてくれました。サイモン・ブレンディスさんを中心とした第1ヴァイオリンの名人芸が素晴らしく,この楽章はこうでなくてはという爽快感を感じました。
ロフェさんは急遽OEKを指揮することになったのですが,どの曲からも前向きな気分が強く感じられ,OEKから明るく健康的な響きを引き出していたと思います。特に最後のビゼーは,曲想にぴったりの見事な演奏だったと思います。
今後,東京と高崎でもロフェ/OEKと辻井さんの公演が行われますので,お近くの方はお聞きになってみてください(とはいえ,既にチケットは完売かもしれませんね)。
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