OEKのCD

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2014/10/30

待望のネヴィル・マリナー指揮OEK。若々しくニュアンス豊かな,珠玉のモーツァルト。工藤重典さんの高級感溢れる演奏もお見事でした。 #oekjp

10月末~11月上旬にかけて,イギリスの指揮者,ネヴィル・マリナーさんがOEKを指揮します。マリナーさんといえば,1960年代以降,アカデミー室内管弦楽団と大量のレコーディングを行い,LPレコード全盛期を象徴する指揮者の一人として大変有名な方です。室内オーケストラ界(こういう業界があるか分かりませんが)の大スターの登場ということで,OEKの歴史の中でもマイル・ストーンになる演奏会と言えます。そして,その期待どおりの素晴らしい演奏を聞かせてくれました。

マリナーさんは,フィルハーモニーとマイスターの両方に連続して登場します(マリナー・ウィークですね)が,本日のフィルハーモニーは,オール・モーツァルトでした。今年90歳のマリナーさんが,OEKと聞かせてくれたモーツァルトは,まさに珠玉の演奏でした。

プログラムは,交響曲第35番「ハフナー」-フルート協奏曲第1番ー交響曲第39番というシンメトリカルな構成でした。モーツァルトはOEKにとっても基本的なレパートリーで,過去何回も演奏していますが,今日の演奏は特に魅力的な演奏だったと思います。マリナーさんとOEKとの素晴らしいコラボレーションにより,そんなに大げさなことはしていないのに,しっかりと味わい深さが伝わってくる,熟練の演奏を聞かせてくれました。

マリナーさんは,ステージへの出入りの際の足取りはかなりゆっくりとしていましたが,非常に力強いもので,全曲を立ったまま指揮されていました。その姿を見るだけで勇気づけられました。テンポ設定は,両交響曲とも第1楽章の主部にどっしりとした感じがあり,ベテラン指揮者らしい貫禄を感じましたが,全曲を通じ,瑞々しさや若々しさを感じさせてくれるような演奏でした。

この日のコンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんが,マリナーさんをサポートするように,アンサンブルを引き締めているようなところがあり,老巨匠を支えてやろう,というリスペクトの気分が美しく若々しい音となって表れていました。

特に最後に演奏された第39番は,バロック・ティンパニの古楽風のスパイスを加えた清新な気分としっとりとした落ち着いた気分とが共存した,素晴らしい演奏だったと思います。第4楽章の快速・軽快な演奏は,90歳の指揮者とは思えない若々しさのある演奏で,この曲の精神にピタリと一致していました。

第35番「ハフナー」の方は,OEKが特によく演奏している曲ですが,今回はクラリネットとフルートを抜いた初稿による演奏でした(OEKが演奏するのは初めて?)。そのせいか,祝祭的な気分は少し薄れ,質実で率直な気分のある演奏になっていたと思います。

どちらも,大げさなことはしていないのに,ニュアンスが豊かで,薄味だけれどもしっかり味が染みているような,熟練の演奏でした。マリナーさんのモーツアルトに対する愛情が伝わるような珠玉の演奏だったと思います。

2曲目に演奏された,OEKの特任首席奏者を務める工藤重典さんの独奏によるフルート協奏曲第1番では,豊かで高級感のある工藤さんのフルートを中心に聞きごたえのある音楽を聞かせてくれました。マリナー/OEKの若々しい演奏とのコラボレーションも素晴らしく,聞き終わった後,幸福感の残るような後味の良さがありました。

アンコールは,工藤さんの独奏のアンコールを含め,2曲演奏されました。両方とも定番曲でしたが,後でレビューの時にご紹介しましょう。

実は,マリナーさんについては,大量のCDを残している印象から,「ソツのない演奏をする指揮者」という先入観を持っていたのですが,今回の味わい深い演奏を聴いて印象が変わりました。是非,またOEKとの共演を期待したいと思います。

マリナーさんは,高齢なので,今日はサイン会があるのか,半信半疑なところがあったのですが,うれしいことに終演後にサイン会が行われました。大変長い列になっており,マリナーさんの人気がよく分かりました。サインをいただくとき「マリナーさんのモーツァルトを聴くのが夢でした」のようなことを言ってみたら,大変嬉しそうな顔をされました。その表情を見て「ちょっと岩城さんのクチャクチャとした笑顔」に似ているかなと思いました。というわけで,一気にマリナーさんへの親近感の増した演奏会でした。

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