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2014/10/12

ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団金沢公演 十八番の「悲愴」は1~4楽章まで一気に演奏された強い音楽。ネルソン・フレイレによる王道を行くブラームスも見事

金沢に登場するのが初めてとなる,ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団金沢公演が石川県立音楽堂で行われたので聞いてきました。今世界でいちばん知名度の高い指揮者(多分)の登場ということで,お客さんはよく入っていました(ただし満席ではありませんでした)。

非常にハードなツァーを行っているせいか,リハーサル時間が開演20分ぐらいまで続いていましたが,さすがという演奏を聞かせてくれました。ロシアのオーケストラというと,ややローカルで荒々しい演奏をする印象があるのですが,マリインスキー劇場管弦楽団は,少々意外なほど,しっかりコントロールされたまとまりの良い音を聞かせてくれました。

特に「悲愴」は,私が言うのも変なのですが,あまりロシア的な臭いのしない,「純音楽的交響曲」といった演奏だったと思います。基本的に楽章の間のインターバルをほとんどおかず,全4楽章を一まとまりに聞かせようという意図が感じられました。

特に独特だったのが第3楽章です。一般的にはシンバルや大太鼓を盛大に炸裂させるようなイメージがあるのですが,打楽器を抑制し,速いテンポですっきりと駆け抜ける「中間楽章」として位置づけていました。恐らく「物足りない」と感じた人もいたのではないかと思います。

その分,「第3楽章が終わったら,全曲が終わった感じ」という「よくあるパターン」には全くなっていませんでした。第2楽章も比較的スムーズに流れていましたので,両端楽章に重点を置いた,古典的な交響曲を聞いたような印象を持ちました。特に第4楽章にクライマックスを置いていたのではないかと思います。感情的に泣き崩れるような感じはなく,最後の部分もどこか,運命に立ち向かうような力強さを感じました。

この「悲愴」は,このコンビにとってはもっとも頻繁に演奏している十八番的な作品だと思います。実際,ゲルギエフの指揮の動作は非常に少なく,この曲を熟知しているオーケストラに「いつも通りやってくれ」という感じで任せていたように見えました。特に第3楽章は,テンポの変化のない部分はほとんど手を動かしていないように見えました(目で指揮していた?)。ギアを切り替える部分だけ手を動かしているという感じでした。

ずっと以前,エフゲニー・スヴェトラーノフがソヴィエト国立交響楽団(古い!)を指揮して「悲愴」を演奏するのを聞いたとき,「ほとんど指揮をしない」のを見た覚えがありますが,結びつきの強いコンビならではの演奏だったと思います

それで緊張感が薄れるわけではなく,コンサートマスターを中心に,充実感溢れる演奏を聞かせてくれました。一般的に私たちが聞いている,大げさな「悲愴」とは一味違う,自信に溢れた「悲愴」だったのではないかと思います。

前半に演奏されたブラームスのピアノ協奏曲第2番では,ソリストとしてベテランピアニスト,ネルソン・フレイレさんが登場しました。フレイレさんは,小細工をすることなく王道を行くようなピアノを聞かせてくれました。音には十分な輝きと力感があり,特に前半ではスケール感たっぷりの演奏を聞かせてくれました。反対に第3楽章では,オーケストラと一体になったような,室内楽的な雰囲気のある演奏を聞かせてくれました。

ゲルギエフさんとオーケストラのフレイレさんに対する尊敬の気持ちが伝わってくるような演奏だったと思います。

前半のアンコールで演奏されたグルックの曲での染み渡る音の美しさも印象的でした。フレイレさんについては,機会があれば,ぜひ,リサイタルも聞いてみたいものです。

今回のゲルギエフ指揮マリインスキーの演奏会は,得意の「悲愴」ということで,自信たっぷりの演奏でしたが,個人的には別のプログラムも聞いてみたかったなと思います。

PS. 今回,久しぶりに楽屋口で”出待ち”をしました。かなり大勢の人が待っていましたが,その甲斐あってゲルギエフさん,フレイレさんのサインをいただくことができました。家宝にしたいと思います。

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