Special "Malambo" Night! ?OEKはアロンドラ・デ・ラ・パーラさんにすっかり乗せられました。真にピュアなチャールズ・ナイディックさんのクラリネットも忘れられません #oekjp
10月10日,元「体育の日」の夜に行われたOEK定期公演は,スポーツをした後のような爽快な汗が残る,これまでにない演奏会となりました。指揮は今回がOEK初登場のメキシコ出身の若手指揮者,アロンドラ・デ・ラ・パーラさんでした。デ・ラ・パーラさんは,ユニクロのCMにも登場されているだけあって,いかにも都会的に洗練されたファッショナブルな雰囲気を持った女性でした。指揮の動作も大変大きく(手がとても長く,後ろから見ていても引き込まれそうでした),OEKを見事にドライブしていました。
プログラムは,ファリャ,コープランド,マルケス,ピアソラ,ヒナステラと,これまでのOEKの定期公演では聞いたことのないラテン系の曲が並びました。特に後半の3曲は,どれもOEKが演奏するのは今回が初めてだったのではないかと思います。室内オーケストラが演奏するにはやや編成が小さいのかもしれませんが,大変スリムなデ・ラ・パーラさんのスタイルにぴったりの軽快さと透明感があり,会場は大変盛り上がりました。
後半の曲はどれも楽しかったのですが,やはり最後に演奏された,ヒナステラのエスタンシア組曲が鮮やかでした。第1曲目からリズムの饗宴という感じで,変拍子を含むようなラテン系のリズムが続き,コンサートホールを南米の気分に変えてくれました。特に終曲のマランボが印象的でした。バーンスタインの「ウェストサイド物語」の「アメリカ」とちょっと似た感じの「タタタタタタ,タータータ」というリズムが執拗に繰り返され,一種トランス状態のような気分にさせてくれました。
ただし,デ・ラ・パーラさんとOEKの演奏は実は冷静で,精密な機械のようにカッチリと聞かせてくれました。それでも自然に熱を帯びてくる感じが印象的でした。
そしてアンコールです。マランボの一部が再度演奏されたのですが,今度は「みなさんご一緒に」ということで,全員(ほとんどの人が立っていた印象)総立ちになって,「揺れて」「飛んで」という状態になりました。デ・ラ・パーラさんは,青島広志さん以上にお客さんを乗せるのが上手かもしれません。こういう雰囲気の定期演奏会は初めてかもしれません。
OEKの方もノリノリで,ホルンも揺れる,パーカッションも揺れる,チェロは回る...とほとんど「のだめカンタービレ」のような世界になっていました。
前半に登場したチャールズ・ナイディックさんのクラリネットも忘れられません。一見,「ふつうのおじさん」(失礼しました)という感じで,我ながら,非常に親しみを持ってしまったのですが,その演奏は大変純粋かつミステリアスで,その音を聞くだけで演奏に引き込まれました。コープランドのクラリネット協奏曲は,同じコープランドの「アパラチアの春」と似た感じの部分があります。そのアーリー・アメリカン+ジャズっぽい気分がしっかり伝わってきました。本当に良い曲だと感じさせてくれました。
というわけで,週末の疲れを一気に消し去ってくれる演奏会でした。特にデ・ラ・パーラさんの指揮ぶりは忘れられません。復活した井上道義さんとの競演を見たくなるような,華やかな指揮ぶりでした。是非,OEKとの再共演に期待したいと思います。
« Happy Birthday 金沢21世紀美術館! 10周年謝恩会の後,無料開放。OEKメンバーによる室内楽演奏も行われました。 #oekjp | トップページ | ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団金沢公演 十八番の「悲愴」は1~4楽章まで一気に演奏された強い音楽。ネルソン・フレイレによる王道を行くブラームスも見事 »
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: Special "Malambo" Night! ?OEKはアロンドラ・デ・ラ・パーラさんにすっかり乗せられました。真にピュアなチャールズ・ナイディックさんのクラリネットも忘れられません #oekjp:
« Happy Birthday 金沢21世紀美術館! 10周年謝恩会の後,無料開放。OEKメンバーによる室内楽演奏も行われました。 #oekjp | トップページ | ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団金沢公演 十八番の「悲愴」は1~4楽章まで一気に演奏された強い音楽。ネルソン・フレイレによる王道を行くブラームスも見事 »
コメント