ルドヴィート・カンタ演奏活動50年記念チェロ・リサイタル。リサイタルといいつつOEKチェロの仲間が加わった心地よいチェロアンサンブルの数々
OEKは個性的な奏者の集まりですが,その中でももっとも存在感のある奏者の一人が首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんではないかと思います。そのカンタさんのチェロ活動歴が50年になったのを記念して,石川県立音楽堂でリサイタルが行われたので聞いてきました。
まず,リサイタルといいつつ,全曲がOEKのチェロ4人によるアンサンブルばかりというのが面白いところです。活動50年のいちばんの収穫が「チェロの仲間たちの存在」というのはうれしいですね。
プログラムの方も面白いものでした。前半と後半とも,「レクイエムのような静かな曲」「チェロ協奏曲を4人のチェロ用に編曲したもの」「懐かしの映画音楽集のメドレー」という組み合わせになっていました。
レクイエムは,カンタさんの師匠をはじめとした先輩チェリストたちとカンタさんが金沢に来るきっかけとなった岩城宏之さんに捧げた演奏でした。しみじみとした感じとどこか浄化されたような透明感のある素晴らしい演奏で始まりました。
チェロ協奏曲の編曲版は,サン=サーンスとシューマンでした。どちらも同じような長さで,全楽章がインターバルなしで演奏されました。似たタイプの曲ということで,前半と後半が線対称になっているようなプログラミングの面白さを感じました。
カンタさんは両曲ともオーケストラと演奏したことはありますが,4人で演奏するというのは別の楽しさがあったと思います。カンタさんの音がしっかり浮き上がるようになっており,協奏曲的な華やかさはありましたが,その中に室内楽的な落ち着いた味わいがありました。オリジナル版に比べると,やはり音のダイナミックさや音色の変化の点でやや単調になるところはありましたが,カンタさんを囲む仲間たちという演奏は,今回の趣旨にぴったりでした。
映画音楽集のメドレーはアレンジが素晴らしく,4人の奏者それぞれに見せ場がありました。どれも有名な曲でメロディの美しい曲ばかりでしたので,聞いていてとても贅沢な気分に浸ることができました。
そして,最後に「影武者」という,とてもスピーディで格好よい曲が演奏されて,締められました(いったい何の曲でしょうか?)。
この4人組は「I Cellisti di Kanazawa」というのがグループ名です。イタリア語の「I」は英語のTheにあたるので,「金沢のチェリストたち」という意味ですが,「イー」と金沢弁的に伸ばして「良い」という意味も込めています。
というわけで,「金沢のよいチェリストたち」の活動にこれからも期待したいと思います。
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