OEKのCD

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2014年2月9日 - 2014年2月15日

2014/02/15

OEKの「こうもり」@石川県立音楽堂は,現代の東京を舞台にした「白いこうもり」。設定がぴったり。小林沙羅さんのアデーレなど歌手も万全 #oekjp

今日はずっと前から楽しみにしていた,喜歌劇「こうもり」公演を石川県立音楽堂で聞いてきました。OEKの「こうもり」については,2004年にハイライト版で聞いたことはありますが,やや中途半端な面がありました。実質今回が初めて生で観る「こうもり」でした。

今回の「こうもり」は,1月に観たオペラ「滝の白糸」同様,金沢と東京の2か所で上演されます。音楽堂で上演されるということで,演奏会形式かなと最初は勘違いしていたのですが,コンサートホールのステージ上には立派なセットが出来ており,幕がないだけで本格的なオペラとなっていました。

今回の特徴は,何といっても舞台を現代の東京に設定している点です。歌手は,外国人と日本人の混成チームでしたが,その国籍通りの役柄になっていました。例えば,ロザリンデ役の小川里美さんやアデーレ役の小林沙羅さんは日本人役。アイゼンシュタインやオーストリア人役ということで,日本語とドイツ語が混ざる,バイリンガル・オペラとなっていました(歌はドイツ語だったので,「一部二か国語」という方が良いかもしれません)。これが予想以上にリアルに感じました。現代の東京ならあり得るかなという気がしました。

職業の設定の方は,ファッション業界,証券業界ということで,ウィーン風の「こうもり」とは全く違う雰囲気でした。第1幕から,ファッションショーを思わせる白っぽい背景が印象的でした。この印象がとても鮮やかで,一言で言うと「白いこうもり」という新鮮さを感じました。2幕のパーティのパーティシーンでは,この白い背景に草間彌生もびっくりという感じの「水玉の照明」になっており,「非現実的なセレブの世界」を強く感じさせてくれました。

歌手の皆さんもこの「セレブの世界」にぴったりの雰囲気を持っていました。ロザリンデ役の小川里美さんは,元モデルという設定でしたが,元というよりは「現役のモデルそのまま」という感じでした。小川さんを想定したようにはまっていました。ただし,キャラクター的に2幕のチャールダーシュは,やはり野性味とか情熱にやや不足するかなと感じました。

アイゼンシュタイン役のペーター・ボーディングさんも「証券ディーラー」役にぴったりの雰囲気でした。マッチョで愛すべき2枚目という感じでした。このアイゼンシュタインと対を成していたのが,警部フランク役の妻屋秀和さんでした。この2人の絡み合いが,この作品の見所の一つでした。第2幕では,あたかもパンダと白黒反転したパンダのペアのようにそれぞれ白と黒のスーツで登場し,ユーモラスでファッショナブルなコントラストを作っていました。

妻屋秀和さんは,体格も声も立派で,愛すべき警部役として,ドラマを盛り上げていました。第3幕の刑務所のシーンでは警部補役の西村雅彦さんに劣らないようなコミカルな演技を見せてくれました。

ストーリー全体は,アイゼンシュタインの友人の証券ディーラー,ファルケが,アイゼンシュタインに仕返しをするために仕込んだ「やらせ」ということで,ファルケだけは全体から離れて,眺めているという感じになっていました。時々,ステージの上の方から俯瞰するような感じで登場していたので,「みんなが操られている」という感じをしっかり印象づけていました。

2幕ではイベントプロデューサーのオルロフスキー主催のパーティの場になります。オルロフスキーは,笑うことを忘れた憂鬱な若者という設定でした。もしかしたら,現代社会の病理のようなものを象徴しているのかな,とも思ったのですが,そこまで深読みはできませんでした。ただし,2幕では最後まで不満そうな感じだったので,ちょっと違和感を感じました。この辺の解釈については,後からじっくり考えてみようと思います。

歌手の中では,アデーレ役の小林沙羅さんの歌唱がいちばん印象に残りました。家政婦からモデルを目指す,野心に溢れた娘,といった役柄でしたが,小林さんの声には芯の強さがあり,キャラクターにぴったりでした。たくましさと可愛らしさとが共存した雰囲気は魅力的で,最後の場面でオルロフスキーがパトロンになると言うのも納得でした。オルロフスキーについては,最後に笑ったのかどうか,遠くからは分からなかったのですが,このアデーレの「たくましい生き方」によって救われたようにも感じられました。

その他,いかにも軽薄なテノールという役柄だったジョン・健・ヌッツォさんの声も聞きものでした。

第2幕の宴会では,スペシャルゲストとして,オペレッタの元女王といった感じでメラニー・ホリディさんが登場しました。ウィーンの歌を歌って,本場の貫禄を感じさせてくれました。

第2幕以降に登場する合唱団もしっかりとした声で,雰囲気を盛り上げてくれました。この作品はコメディなのですが,要所要所で「人生」を考えさせるようなセリフが出てきます。合唱団の歌によって,力強く人生を肯定しているようでした。

西村雅彦さんのセリフの中に「最近は「先行き」とか「未来」という言葉ばかり出てくる...」といったものがありましたが,オペレッタ全体を通じて,「人生は今を楽しく生きることが大切」というようなメッセージを感じました。シャンパンの力で今を楽しくするというのも一つの選択なのかもしれません。

ハンス・リヒター指揮OEKの演奏も大変気持ちの良いものでした。第2幕最後のBruderleinの辺りなどでは,たっぷりと酒と人生を謳歌するような音楽を聞かせてくれました。 

現代社会では,先行きを予想しないと生きていけないのかもしれませんが,お酒を飲むときぐらいは,そして,音楽を聞く時ぐらいは今を生きていきたいものですね。 そんなことを感じさせる舞台でした。

2014/02/09

小松シティ・フィルハーモニック第15回定期演奏会を聞いてきました。今回はアメリカ尽くし。メインの「新世界」はしっかり演奏された立派な演奏。コンサートでは意外に取り上げられない「パリのアメリカ人」も楽しい演奏でした。

本日は午後から小松まで行って,小松シティ・フィルハーモニックの第15回定期演奏会を聞いてきました。今回は,「アメリカ」がテーマで,前半でバーンスタインのキャンディード序曲とガーシュウィンのパリのアメリカ人が演奏され,後半ではドヴォルザークの交響曲第9番「新世界から」が演奏されました。「新世界」が演奏されることは多いのですが,前半に演奏されたバーンスタインやガーシュインの曲については,アマチュア・オーケストラが取り上げる機会はそれほど多くないかもしれません。

キャンディード序曲は,最近では,「題名のない音楽会」のテーマ曲としてよく知られていますが,私自身,オーケストラの生演奏で聞いたのは本当に久しぶりのことです。各楽器の音が原色的に飛び込んできて,開幕に相応しいパンチ力がありました。

「パリのアメリカ人」は,比較的ゆったりとしたテンポで演奏され,クラクションの音に慌てふためく「お上りさん」的気分が出ていました。途中ゆっくりしたテンポになる部分では,トランペットのソロが入りますが,ベルの部分に赤いタオル(?)を掛けてミュートしていました。ちょっと崩したジャズっぽい気分もあり,実に「いい感じ」でした。最後のチャールストン風の部分もフル編成オーケストラの実演で聞くと楽しいですね。

後半の「新世界から」は,大変有名な曲ですが,管楽器がソリスティックに活躍する部分が多いので,演奏するのはかなり大変なのではないかと思います。今回の演奏は,2楽章のイングリッシュホルンのしっとりとしたソロをはじめ,決め所がしっかりが決まっており,まとまりの良い,とても立派な演奏になっていました。第1楽章の第1主題をはじめ,ホルンも各所で活躍する曲ですが,難しいパッセージをくっきりと演奏しており,演奏全体に魂を込めているようでした。第4楽章も堂々と演奏され,最後の音が長ーくのばされ,静かに終わりました。珍しく第1楽章の呈示部の繰り返しを行っていましたが,そのこともあり,「聞きごたえのある大交響曲」といった演奏になっていました。

アンコールでは,「アメリカ」つながり,というよりは「ドヴォルザーク=鉄道ファン」というつながりで,シュトラウスの「観光列車で」が演奏されました。この曲を聞くと,ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでカラヤンやクライバーが楽し気にこの曲を指揮していたのを思い出しますが,今回の演奏も,リラックスした気分のあるとても良い演奏でした。

小松シティ・フィルハーモニックの定期演奏会のプログラムは,アンコールの選曲も含め,毎年,ちょっとマニアックなひねりがあるのがいいですね。これからも,金沢では聞けないような,「こだわり」のプログラムを期待したいと思います。

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