バッハアンサンブル富山設立10周年記念演奏会 マタイ受難曲(多分,富山初演)。イエスの一生がしっかりと伝わり,最後のコラールでは感動が染み渡りました。
本日は小松シティ・フィルハーモニックの定期演奏会も行われており,どちらに行こうか迷ったのですが,「設立10周年記念」「マタイ受難曲」ということで,午後から富山のオーバードホールに出かけ,バッハアンサンブル富山設立10周年記念演奏会を聞いてきました。北陸地方でバッハのマタイ受難曲が演奏されるのは,ペーター・シュライヤーの歌い振り(?)によるOEK定期公演以来のことだと思います。この日のプレトークに礒山雅さんが登場し,まず驚いたのですが,礒山さんの話によると「多分,今回が富山初演」とのことでした。
演奏会は14:30に始まり,17:45頃に終了し,さすがに疲れましたが,津田雄二郎さん指揮バッハアンサンブル富山(管弦楽は富山室内合奏団)の演奏は大変誠実で安定感のある演奏で,「イエスの一生」を過不足なく体感することができました。
この曲での合唱の役割は,イエスを責め,あざけり,讃える群衆,各場面の間に挟まれたコラールを歌う,など多彩です。どの部分にも熱い思いが込もっていましたが,特にいちばん最後の合唱曲が感動的でした。全曲を聞き終わった達成感がしみじみと広がりました。
今回登場したソリストの皆さんも立派な歌唱でした。特に,すっきりとした芯のある声のソプラノの藤崎美苗さん,威厳に満ちたイエス役の佐々木直樹さんの声が素晴らしいと思いました。福音史家は大変な難役だと思いますが,東福光晴さんの優しさと真摯さのある声も印象的でした。
オーケストラはOEKの大澤明さんが代表をつとめる富山室内合奏団でしたが,コンサートミストレスの上島淳子さんをはじめ,OEKのメンバーや金沢でもお馴染みのアーティストが何人か参加していました。アリアなどでは,ヴィオラ・ダ・ガンバ,フルート,オーボエなどのソリスティックな活躍もあり,合唱同様に誠実さが染み渡るような演奏を聞かせてくれました。
今回全曲をたっぷり聞いて,改めて,バッハの偉大さとこの曲の偉大さを感じることができました。最近,OEKはバッハの宗教曲を取り上げていないのですが,バッハアンサンブル富山の皆さんには,これからも継続的にバロック時代の宗教曲をコツコツと演奏していった欲しいと思いました。金沢の合唱団とのコラボというのもあっても良いかもしれませんね。
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