本日は母の日。今さらモノを上げても喜ばれなさそうなので(結構,好みがうるさい母です),プレゼンと代わりにクリス・ハートさんと鈴木織衛指揮OEKのコンサートに一緒に出掛けることにしました。私の母は,さだまさし,徳永英明など高い声の男性歌手が好みということで,今回のクリス・ハートさんはぴったりでは?と思い,1カ月ほど前に「行ってみるか?」と尋ねてみたら,「行ってみたい」とすぐに返事があったので,チケットを購入することにしました。
会場は石川県立音楽堂コンサートホールでしたが...満員でした。さすがです。
演奏会の方は最初の1曲だけがOEK単独の演奏で,それ以外は全部クリスさんが演奏に参加していました。過去のOEKのポップス系の演奏会ではオーケストラのみの曲がもっと沢山入っているのが普通なので,エネルギーがあるなぁと思いました。
今回,クリスさんが歌った曲は,(1)クリスさんのオリジナル曲,(2)他のJ-POP歌手の名曲のカバー,(3)クラシック系の曲の3つに大別できました。実は,クリスさんのオリジナル曲の代表曲が何なのか知らずに聞きに行ったので,(2)(3)の方が印象に残っているのですが,その声の魅力はどの曲からもしっかり伝わってきました。
クリスさんの声は,男性なのか女性なのか分からないような中性的な高音に魅力があります。透明感のある声というよりは,ちょっとしっとりとざらっとした質感があり,聞き手の耳に絡みついてきます。それがしつこくならならず,暖かさと爽やかさが後に残ります。クリスさんは,ほとんどの曲で微笑みながら歌っていましたが,その印象と同様です。
超高音の部分はファルセットになり,激しくシャウトするようなところは全くありません。その点も心地よく,鈴木織衛指揮OEKの作る,暖かみのあるサウンドとしっかりと融け合っていました。オーケストラとの相性がとても良い歌手だと思いました。
歌われた曲は上述のとおり,いろいろなタイプがありましたが,やはり,しっとりとした叙情性のある曲がぴったりだと思いました。曲の間にトークが入りましたが(歌詞の発音同様に,大変上手な日本語です),常に「前向きな応援」を意識されているようで,どの曲からも誠実さを感じました。
クリスさんは,その日本語の巧さから分かるとおり,大変日本が好きな方ですが,その日本への愛,日本語への愛が伝わってくるような丁寧な歌が素晴らしいと思いました。
クリスさん自身が語っていた通り,最初の方はちょっと緊張感がある気がしましたが,最新の曲「続く道」から代表曲の「home」が歌われた,演奏会後半の盛り上がりが良かったと思いました。鈴木さんとクリスさんによる「金沢はどうですか?」トークも楽しいものでした。
それと驚いたのが...後半最初の「夢がさめて」(紅白歌合戦で松田聖子とデュエットした曲)では,クリスさんがオーボエを演奏していた!という点です。後半最初,ひっそりと第3オーボエの位置に座っていたのを私は気づいていましたが...多くのお客さんはクリスさんがオーボエを吹いていたことに気づいておらず,「へぇ」と感心していました。
クリスさんはその他にもフルートとかも演奏できるようで(チラシの写真によるとギターも演奏できそうですね),「楽隊的精神(?)」をよく知っている人なのでは,という気がしました。OEKのメンバーもどこか楽し気な感じでした。
演奏会の後には,「CDお買い上げの方は握手会に参加できます」というアナウンスもありました。興味はあったのですが,今回は時間の関係でやめにしておきました。
クリス・ハートさんは10月にはオーケストラ以外の伴奏で再度,金沢でコンサートを行う予定になっていますが,今回の公演を聞いてさらにファンが増えたのではないかと思います。また,今回の共演を機会にクリスさんには,「OEKファン」になって頂けたのではないかと思います。そんな印象を持った演奏会でした。
PS. 今回,一番最初に鈴木織衛さん指揮OEKの単独演奏で,J.シュトラウスのポルカ「観光列車」が演奏されました。ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのように,しっかりと鈴木さんは指揮台の上で小型のラッパを演奏されていました。リゾート気分たっぷりの「北陸新幹線開通記念」にぴったりの演奏でした。
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