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2015/06/22

井上道義指揮OEK定期 ブラームスの交響曲第2番はスケール感と瑞々しさが同居した巨匠の音楽。シューマンのヴァイオリン協奏曲はMIDORIの世界。引き込まれました #oekjp

ラ・フォル・ジュルネ金沢と「フィガロの結婚」公演が行われた5月には,OEKの定期公演はなかったので,本日行われた井上道義音楽監督指揮によるフィルハーモニー定期は,OEKが交響曲を演奏した久々の演奏会となりました。ブラームスの交響曲第2番とシューマンのヴァイオリン協奏曲というドイツ・ロマン派を代表する2人の作品を中心とした,真っ向勝負のプログラム。しかもソリストは,五嶋みどりさん。聞きごたえ十分の充実の公演となりました。

最初に,いかにも井上/OEKにぴったりの,ロッシーニの歌劇「シンデレラ」序曲が明るくキレ良く演奏された後,五嶋みどりさんが登場しました。当初はバルトークのヴァイオリン協奏曲が演奏される予定だったと思いますが,シューマンに変更になりました。シューマンのこの曲は,約1年前に井上さん指揮,郷古廉さんのヴァイオリンで演奏されるはずだったのですが,井上さんの病気のため曲目が変更になり,演奏されなかったという経緯があります。今回のプログラム変更は,もしかしたら,この曲を井上さん自身の指揮で,金沢の聴衆に聞かせたいという強い思いがあったのかもしれません。

曲自体は,ロマン派の他のヴァイオリン協奏曲に比べるとかなり渋く,みどりさんの演奏は,弱音を多用して,どんどん自分の世界に深く入り込むような内向的な演奏でした。テンポは非常に遅く,恐らく,30分以上演奏時間が掛かっていたと思います。曲が進むにつれて,みどりさんの集中力はどんどん増し,全曲を通じてしっかりと「みどりの世界」を作っていました。音量は大きくなくても,非常にスケール感の豊かな演奏だったと思います。こういう確固とした表現を聞かせてくれるのは,さすがだと思いました。

テンポは遅かったのですが,そこにはエネルギーが溢れ,聞いていてどんどん,そのやや鬱屈したロマンの世界に引き込まれました。みどりさんの演奏からは,思いつめたような鋭さよりは,柔らかい優しさのようなものを感じさせてくれました。みどりさんには,求道者のようなストイックなイメージを持っていたのですが,さらに進化をしていると感じました。

後半のブラームスの交響曲第2番は,OEKが滅多に演奏しない曲です。今回の演奏でも,第2ヴァイオリン以下の弦楽器を増強し,トロンボーン,テューバが加わる,「やや大きめ」編成による演奏となっていました。

この演奏を聞いて,巨匠の演奏だ,と感じました。しかも瑞々しい演奏でした。この2つが両立しているのが素晴らしいと思います。

全曲を通じて,テンポは遅めで,ブラームスの交響曲らしい,音楽の流れをしっかりと感じさせてくれました。第4楽章のコーダをはじめとして,音楽は所々で大きく盛り上がるのですが,テンポを変えることなく,実にくっきりとブラームスの曲の世界を伝えてくれました。井上さんは,近年,ブルックナーの交響曲をよく取り上げていますが,その世界に通じるような,揺るぎなく,がっちりと細部の音の動きを積み上げていったような構築感を感じさせてくれました。

その一方で弦楽合奏のキレ良く,瑞々しい響き,3楽章のオーボエ(今回は水谷さんでした)ソロの楚々とした味わいなど,OEKらしさもしっかり聞かせてくれました。各楽器では,第1楽章の冒頭から活躍するホルンがお見事でした。この日は木川博史さんという方がエキストラで第1奏者を担当していましたが,安定感抜群でスカッとした音を要所要所(この曲はホルンが大活躍する曲だと再認識しました)で聞かせてくれました。

この公演と同じプログラムは,長野市と新潟市でも行われます。お近くの方は是非,お聞きになってください。

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