夜は金沢マラソン便乗企画,サティ「スポーツと気晴らし」他を金沢ふるさと偉人館で,金澤攝さんの演奏と挿絵の映像付きで楽しんできました。
明日は金沢マラソン。それを記念して,金沢市の博物館では,「ナイトミュージアム」として開館時間を延長しています。金沢ふるさと偉人館では,スポーツ関連の音楽としてサティの「スポーツと気晴らし」を中心とした演奏会が行われたので聞いてきました。演奏は金澤攝さんでした。
金澤さんは,音楽史に埋もれてきた作曲家を集中的に取り上げる演奏会で,金沢ではおなじみですが,サティというメジャーな作曲家を取り上げるのは,珍しいことです。司会の方のお話によると,やはりサティを演奏するのは初めてとのことです。
今回の会場は,ふるさと偉人館でした。これまで,この建物に入る機会はほとんどなかったのですが(実は,昼間出かけていた金沢歌劇座のすぐ後ろにあります),丁度よい具合にピアノを置ける場所があり,なかなか面白い雰囲気の中,至近距離で金澤さんのピアノを楽しむことができました。
サティのこの曲集ですが,20曲から成っているのですが,各曲は大変短く,20分程度で終わったのではないかと思います。曲の方も,ゴルフとか競馬とか,いろいろなスポーツや娯楽を描いているのですが,いかにも「お手軽」という感じで,サクサクと進んでいきました。
今回の演奏会の目玉は,楽譜に付けられているシャルル・マルタンによる挿絵をスライドで投影しながら演奏された点です。挿絵の方は,写実的なものではなく,ちょっとレトロでおしゃれなマンガっぽい雰囲気でした。サティの音楽自体は,ちょっと訳が分からない感じだったので,この挿絵があったので飽きずに楽しめたようなところがあります(ただし,挿絵のスライドが途中でずれてしまっていたのですが...)。
金澤さんのピアノの方は,本当に間近で聞いたこともあり,ピアノの弦の音がダイレクトに聞こえてくるような迫真感がありました。
演奏会の後半は,フランス6人組の陰に隠れていて,ほとんど聞かれることのない,アンリ・クリケ=プレイエルの組曲が演奏されました。サティと同時代の作曲家をカップリングするあたり,「さすが金澤さん」という選曲でした。
曲の雰囲気は,金澤さんの解説通り,「妖気漂う雰囲気がありました。個人的には,こちらの作品の方が音楽としては楽しめると思いました。金澤さんのピアノの音にも強烈な音の輝きがあり,ちょっと狂気が混ざったような世界に浸らせてくれました。
最後にアンコールのような感じで,金澤さんが1990年に作り,今回,改作してた「秋のモーメント」という小品が演奏されました。繊細さと華麗さが,心地よい暖かい響きの中に包み込まれているような作品で,今の季節にぴったりと思いました。
金澤さんの演奏を聞くのは久しぶりだったのですが(現在は本の出版に向け,演奏活動はあまり行っていないとのことです),今回のような組み合わせのプログラムも面白いなと思いました。1時間ほどの長さだったこともあり,疲労感も少なく,リラックスして楽しめたのも良かったと思いました。
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