OEKのCD

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2015年11月15日 - 2015年11月21日

2015/11/21

シャオチャ・リュウ指揮OEK オーケストラから自然な流れを引き出す美しい演奏の連続。谷口睦美さんのファリャはスペインオーラたっぷりの歌唱 #oekjp

11月のOEK定期フィルハーモニーシリーズの指揮者は,OEK初登場となる台湾出身の指揮者シャオチャ・リュウ(呂紹嘉)でした。リュウさんは,1988年のブザンソン国際指揮者コンクール優勝者で,現在,ヨーロッパの歌劇場などを中心に活躍されている方です。この日は,OEKが繰り返し演奏してきたベートーヴェンの交響曲第8番をメインに,メンデルスゾーン,ファリャ,ストラヴィンスキーと多彩な曲目が取り上げられました。

リュウさんについては,どういう音楽を作る方か全く予備知識がなかったのですが,室内オーケストラとしてのOEKとの相性は抜群で,どの曲についても,無理なく自然に流れる美しい音楽を聞かせてくれました。自然な流れといっても,OEKをしっかりとコントロールしており,「フィンガルの洞窟」の途中に出てくる美しい主題(後半,クラリネットがたっぷり聞かせるあの主題です)などは,ぐっとテンポを落とし,沈潜していくような凄いムードを出していました。そういった音楽の流れに作為的なところがないのが素晴らしいと思いました。

後半最初のストラヴィンスキー 弦楽のための協奏曲 ニ調などでも精緻かつ瑞々しい音楽をOEKから引き出していました。この曲は第2次世界大戦後,スイスのバーゼルの室内オーケストラのために書かれた作品ですが,どこか清々しさが伝わってきました。

前半の2曲目では,ファリャのバレエ組曲「恋は魔術師」が谷口睦美さんの独唱を交えて演奏されました。ファリャといえば,原色的な音色と強烈なリズム感を期待していたのですが,リュウさんの作る音楽には,他の曲同様,力んだところがなく,カッチリとまとまったクリアな音楽を聞かせてくれました。荒々しさや野性味はあまり感じなかったのですが,ファリャの音楽そのものの持つ,鮮やかなオーケストレーションを明快に再現してくれ,物足りなさは全くありませんでした。

対照的に谷口さんの方は,ステージに登場しただけでスペイン・オーラたっぷりでした。歌唱にもたくましさや豊かさがあり,リュウさんとOEKの作る音楽の上にスペイン風味をたっぷりと加えていました。

後半最後に演奏されたベートーヴェンの交響曲第8番は,過去,OEKが何度も演奏してきた曲ですが,無理のないテンポから力みのない,柔らかさを持った音楽を引き出していました。OEKメンバーも演奏していて気持ち良かったのではないかと思います。第2楽章の軽快さ,第3楽章のトリオでの自在さなど,どの部分も気持ちよく楽しむことができました。

アンコールでは,シューベルトのロザムンデの間奏曲第3番が演奏されました。これもOEKが何回も演奏してきたお得意の曲ですが,天国的な美しさのある素晴らしい演奏でした。

リュウさんは,どちらかというと地味な雰囲気の方でしたが,オーケストラをコントロールしつつ,無理なく美しい響きを引き出すような音楽作りをする点で,職人的な実力のある方だと思いました。ヨーロッパではオペラの指揮もされているということですので,機会があれば,もっと大規模な作品なども聞いてみたいものです。

2015/11/15

金沢マラソンで市内が盛り上がる中,石川県立音楽堂ではオペラ「滝の白糸」の再演。初演時同様の金沢オリジナルの悲恋物語を堪能しました。 #oekjp

本日は,第1回金沢マラソンが金沢市内で行われました。約1万2千人が参加し,沿道は応援する人でいっぱい,ということで大変盛り上がっていたようです。

その騒ぎが一段落した後,石川県立音楽堂で行われたオペラ「滝の白糸」を聞いてきました。この作品は2014年1月に金沢歌劇座で初演された作品ですが,これだけ短期間で新作が再演されるというのは大変珍しいことです。それだけ初演時の評判が良く,「金沢らしさのある作品」として「金沢の財産」として定着させたい,という思いが制作者側に強かったと言えます。

今回再演を鑑賞して,その思いをさらに強く持ちました。今回出演したメンバーは主役の中嶋彰子さん,相手役の高柳圭さんをはじめ,主要メンバーは初演時と同じで,前回同様,万全の出来だったと思います。文字通り,「滝の白糸一座」というチームワークの良さを感じました。

特に中島さんの言葉の意味がしっかり染み渡るような歌唱はさすがでした。この役は中島さんの「当たり役」ですね。高柳さんの純粋でストレートな歌も見事でした。この純粋さが,白糸を惑わせたと思うと,罪作りだったのかもしれません。

欣也の母役の鳥木弥生さん,南京出刃打ち役の森雅史さんのお2人も,前回同様,リアルなドラマを伝えてくれました。このお2人の歌ったアリアなどを聞いていると,プッチーニのオペラの世界に通じるものがあると思いました。

OEK合唱団の歌唱+演技も印象的でした。馬車のお客さんになったり,見世物小屋のお客さんになったり,裁判の傍聴人になったり,大道具が少ない分(音楽堂での上映ということで,初演時よりもシンプルな舞台たったと思いました),雰囲気の盛り上げを一手に担っていました。

第1幕や第3幕の最後の部分は合唱で終わるのですが,黛まどかさんによる,古典の和歌を思わせる柔らかさのある歌詞がとても良いと,今回改めて思いました。千住明さんのしっとりとしたメロディともしっかりとマッチしていました。合唱団がテーマ曲のような感じで歌う最後の合唱曲などを聞いていると,「浅野川のイメージだな」と感じました。

浅野川に掛かる天神橋で2人は出会うのですが,その2人の悲恋のドラマを浅野川が見守っている,そういう感じのエンディングだと思いました。

今回の再演に際して,ちょっとコンパクトにした部分があるかな,という印象を持ちました。たとえば,第2幕最後の「白糸の狂乱の場」がもっと長かった気がします。今回はよりまとまりがよくなっていた気がします。そのことにより,オペラの3つの幕が,「A-B-A’」というソナタ形式に似た作りになっているような印象を持ちました。ドラマ的には悲劇だけれども,音楽的にはしっかりとしたまとまりを感じました。

# ただし,このドラマの終わり方は,欣也のお母さんには気の毒な気がします。

この日は金沢マラソンの日と重なったのですが,スポーツ面でも音楽面でも,「新しい金沢らしさ」を堪能できた一日になったと思います。

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