東芝グランド・コンサート ダーヴィト・アフカム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団金沢公演 「王道を行く若き巨匠」的なブラームスの2番が見事でした。
この時期恒例の東芝グランドコンサートは,今年は35回目ということで,東京ではダニエル・バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団によるブルックナーの交響曲全集(!)の演奏会が行われました。正直なところ,「金沢でもバレンボイムのブルックナーを」という思いはあったので,金沢公演がバレンボイム指揮ではなく,ブルックナーでなかったのはかなり残念でした。
しかしこのコンサートに登場した若手指揮者は,ほとんどすべて,その後メジャーな活躍をしていますので,今回も若手指揮者,ダーヴィト・アフカムさんを特にお目当てに聞きに行ってきました。
今回のプログラムは,ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲,モーツァルト/オーボエ,クラリネット,ホルン,ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調,K.297b,ブラームス/交響曲第2番ニ長調,op.73というドイツ系の作品が3曲でした。やはりこういった作品を聞くと,シュターツカペレ・ベルリンはドイツのオーケストラだなぁということを実感しました。
「魔弾の射手」序曲の最初の音から弦楽器の音に重みがあり,伝統の力のようなものを感じました。これはアフカムさんの音楽性による部分も大きいと感じました。どの曲も神経質な感じはなく,じっくりとした安定感のあるテンポで各曲をじっくりと聞かせてくれました。コントラバスが下手奥にずらっと並び,その前にチェロが配置していましたが,この辺も低弦の豊かさの理由だったのかもしれません。
特に最後に演奏されたブラームスは,曲全体を通じて,太い流れを感じさせてくれるもので,往年のカラヤンなどの演奏(生で聞いたわけではありませんが...。プログラムによるとカラヤンなどを尊敬しているといった記述がありました)を思い出させるところがあると思いました。たっぷりと聞かせると同時に,第3楽章の中間部や第4楽章などでは,若々しい新鮮味を感じさせるなど,「若き巨匠」といった感じの演奏を聞かせてくれました。
2曲目に演奏された,モーツァルトの管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調,K.297bでは,このオーケストラの管楽器の首席奏者が勢揃いし,オーケストラと一体となった,気持ちの良い音楽を聞かせてくれました。
バレンボイムのブルックナーを聞けなかったのは確かに残念だったのですが,王道を行くようなドイツ音楽の演奏を聞くことができ,大満足でした。
ちなみに今回のプログラムですが...1月に行われた金沢大学フィルの定期演奏会とプログラムが非常によく似ていました(最初が「魔弾の射手」,最後がブラームスの2番)。ホルンが大活躍するプログラムでした。
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