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2016/03/12

ミルオトキクカタチ 板橋廣美「白磁の世界」コンサート 岡本誠司さんのヴァイオリン独奏でバッハの無伴奏作品を中心に「調性の旅」。完成度の高い,素晴らしい演奏の数々でした。

北陸新幹線が金沢まで開通して1年。JR金沢駅周辺では,1周年記念イベントをいろいろ行っていましたが,その混雑を抜けて,石川県立音楽堂交流ホールで行われた,ミルオトキクカタチvol.3 板橋廣美「白磁の世界」コンサートを聞いてきました。

ミルオトキクカタチというのは,美術作品が並べられた会場内でアーティストがそのイメージにインスパイアされてクラシック音楽を演奏するという,美術と音楽のコラボ企画です。聴衆も同じフロアで聞く点も他の演奏会にはないもので,交流ホールならではといえます。

この演奏会は2日連続で行われ,その1日目の方を聞いてきました。本日は,板橋廣美さんの作った「白磁」の作品が並ぶ中,若手ヴァイオリニストの岡本誠司さんがバッハの無伴奏作品を中心に,ヴァイオリン独奏曲ばかりを約90分間演奏しました。

その演奏は本当に素晴らしいものでした。まず,演奏された曲が,ハ調,ト調,二調,イ調...と5度ずつ基音が上がっていくように配列されているのが面白く,今回のプログラムで全体で1枚のコンピレーション・アルバムになると思いました。バッハの無伴奏ソナタとパルティータは全部で6曲ありますが,それぞれから1楽章ずつ抜き出し,さらにイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタやパガニーニのカプリースなどを加えることで,無伴奏ヴァイオリンのための作品のベスト・アルバムのような感じになっていました。

そこにベリオのセクエンツァも加わることで,プログラムに変化ができ,今回のサブタイトルどおり「調性の旅」という感じになっていました。

岡本さんは,第19回ライプツィヒ・バッハ国際コンクールで1位になった方で,昨年のラ・フォル・ジュルネ金沢に出演しています。その音楽には常に落ち着きがあり,技巧的な部分でも音楽が乱れるところが全くなく,バッハの音楽の品格の高さのようなものを感じさせてくれました。有名な,シャコンヌのような規模の大きな曲も素晴らしかったのですが,ガボット(これも有名な曲ですね)などの短めの曲での繊細でキリッと締まった演奏でのセンスの良さも印象的でした。

イザイとパガニーニについては,さらに技巧の幅が広がり(特にパガニーニは,技のデパートという感じでした),華やかさもありましたが,外面的な華やかさよりは,心の中のドラマのように感じられました。

ベリオの作品は,同音反復や同じフレーズの繰り返しが続く部分と大きく変化しながら激しく盛り上がっていく部分とが交錯するような感じで,大変面白く聞くことができました。中間部のものすごい速さで細かい音型を演奏する部分など圧倒的な迫力がありましたが,それでもバッハの音楽を中心とした「調性の旅」の中にしっかりハマっているのが素晴らしいと思いました。

最初のハ長調の曲のシンプルな晴れやかさの後,色々な形で「旅」が進むのですが,それが,少年から大人へと変わっていく「人間の成長」のようにも感じられました。この日,岡本さんは譜面を見ながら演奏されていましたが,バッハの時は上手側,イザイの時は下手側,ベリオの時は中央,という形で演奏場所を移動していたのも,「旅」を連想させるものでした。

岡本さんは,まだ音楽大学の3年生なのですが,これだけの内容の濃いプログラムを,高いレベルで弾きこなし,プログラム全体として聞きごたえのある音楽を聞かせてくれたのは本当に素晴らしいと思いました。まわりの作品の雰囲気にぴったりの知的な雰囲気を持ちつつ,神経質になるところはなく,どの曲でも新鮮な音楽を楽しませてくれた点で,既に完成されたヴァイオリニストだと感じました。

是非今度は,金沢でバッハの無伴奏の全曲を聞かせて欲しいものです。岡本さんには,これからも注目していきたいと思います。

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