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2016/06/26

グラズノフ,侮るべからず。金沢大学フィル サマー・コンサートで交響曲第5番をしっかり楽しんできました。

この時期恒例の金沢大学フィルのサマーコンサートを聞いてきました。金大フィルは,毎年1月頃にプロの指揮者による定期演奏会を行っており,どうしてもそちらの方が年間を通してのメインのイベントになるのですが,今年のサマーコンサートでは,メインプログラムとしてグラズノフの交響曲第5番という大胆な選曲がされました。この心意気に感銘(?)を受け,聞きに行くことにしました。この演奏が本当に良い演奏でした。この曲を取り上げた,思いが伝わってきました。

プログラム前半では,ニコライの歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲とボロディンの「中央アジアの草原にて」が演奏されました,それぞれ,しっかりと真面目に演奏されていたのですが,どちらもやや味が薄いかなという印象でした。後半に演奏された,グラズノフの方は,一転して,冒頭から非常に深みのある音を聞かせてくれました。

実は,私自身,グラズノフという作曲家の作品自体,ほとんど聞いたことがありませんでした。バラキレフと混同しており,ロシア5人組の一人かな...と勘違いしていたほどです。年代的にはチャイコフスキーより若い世代で,ラフマニノフよりも年上です。

ロシアの作曲家といえば,ダイナミックで豪快という印象もあるのですが,グラズノフの場合,CDなどで聞いた感じ(少し予習をしました)では,チャイコフスキーの後継者的で,とてもまとまりの良い作品を作るロマン派の作曲家という印象を持ちました。ドイツの作曲家でいうとメンデルスゾーンのような位置づけでしょうか(実は,最近,メンデルスゾーンが大好きになってきたのですが)。

CDで聞くとちょっと印象の薄い感じのするグラズノフですが,今回の実演を聞いて,「この交響曲第5番は大変素晴らしい作品だ。グラズノフ,侮るべからず」と感じました。

第1楽章は3拍子系で書かれていることもあり,ベートーヴェンの「英雄」やシューマンの「ライン」の第1楽章などに通じる,堂々としたスケール感を持った流れの良さがありました。伸びやかさと自信に溢れており,ロマン派の交響曲らしいなぁと思いました。第2楽章はフルートを中心とした木管楽器が活躍し,メンデルスゾーンのスケルツォを思わせる粋な感じがありました。金大フィルの管楽器の音色もキラキラとしていました。

第3楽章はホルンの重奏から始まる,静かなロマンを感じさせる楽章でした。途中,トロンボーンなどに何かを警告するような感じの重いモチーフが出てくるのですが,その意味深な感じとの対比も魅力的でした。ラフマニノフの交響曲に通じるような切ない甘さもある見事な演奏でした。

第4楽章は,チャイコフスキーの初期の交響曲にありそうな,元気で素朴な曲想が印象的でした。途中,テンポが少しアップして,後半ではタン・タ・タン・タ・ター・ターといったメロディが何回も出てきます。これを中心として,段々盛り上がって行く感じが実に格好良いと思いました。

というような感じで,「~のような」という部分が多い曲なのですが,曲全体がとても健全にがっちりとまとまっており,大変聞きごたえがありました。これまで,この曲を実演で聞いたことはなかったのですが,もっと演奏されて良い曲だと思いました。

私の記憶によると,この曲が金沢で演奏されるのは,ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルが金沢で演奏会を行った時(私は行っていませんが1970年代中頃だと思います)以来ではないかと思います。

大胆な選曲で,しっかりと楽しませてくれた金大フィルの皆さんに大きな拍手を送りたいと思います。是非,これからもこの路線で(時々で良いと思いますが),知られざる名曲を発掘していって欲しいと思います。

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